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小児科 Vol.59 No.5 思春期を診る!【電子版】
「小児科」編集委員会 (編集) / 金原出版
商品情報
内容
ただ,現在の小児科医の一般臨床では,思春期の健康問題について経験し学習する機会が乳幼児のそれと比べてはるかに少ないといえます。
本書はこうした小児科医の知識と経験の不足を経験豊富な執筆陣と多彩な項目立てにより補っております。
思春期診療に関わる多くの方々にとって,必携の書となるでしょう。
序文
思春期の子どもや若者は医療機関を受診する機会が少なく,医療において「忘れられた世代」ともいえますが,彼らが抱える健康問題がほかの年代に比べて少ないかというと決してそうではありません.本特集「思春期を診る」の目次を見てみると,思春期の子どもや若者に起こりうる様々な健康問題があることがわかります.思春期における成長・成熟・発達にかかわる問題,慢性の身体症状,メンタルヘルスの問題,思春期に気づかれやすい・起こりやすい疾患,性と生殖の健康に関する問題,生活習慣に関連する問題(食事,睡眠,メディア等),ハイリスク行動(喫煙,飲酒,薬物乱用,性行動,自傷行為,自殺企図,危険行動,暴力被害等)というように,思春期の健康問題は多岐にわたります.
思春期の臨床では,患者の年齢や発達段階に応じて医療における意思決定に参加させるとともに,健康管理の主体を保護者から患者自身へと段階的に移していくことになります.この過程で診療科を小児科から成人期診療科へと計画的に移していくこともあります.
小児科医の一般臨床では思春期の健康問題について経験し学習する機会が乳幼児のそれと比べてはるかに少ないといえます.こうした知識と経験の不足をどのように埋めていけばよいのでしょうか.ひとつのヒントは継続的な診療にあるように思います.子どもはみな成長とともに思春期を迎えます.かかりつけの小児科医として幼少の頃から継続的にみていくと,あるいは慢性疾患をもつ子どもを定期的,継続的に診療していくと,思春期のプロセスを縦断的に経験することができます.身体症状に対する診察のかたわらで,患者の成長や発達を確認したり,生活習慣やハイリスク行動をスクリーニングする質問を投げかけたりして,患者や家族との対話のなかに思春期の健康に関する話題を織り交ぜていくこともできるでしょう.たとえ思春期の子どもや若者を診る機会が少なくとも,患者1 人へのかかわりのなかで複数の健康問題を扱い,それらを学ぶことができます.
思春期の健康すべてを理解していないと思春期の子どもや若者を診られないのではないかと構えることなく,まずは日々の診療で出会う患者に関係する健康問題を扱いながら,それを学んでいくところから始めていけば,思春期医療のハードルがいくらか低くなるのではないかと思います.本特集が,思春期の子どもや若者を診る皆様にとってお役に立てば幸いです.
目次
特集 思春期を診る!
I. 総論
1. 日本における思春期医療(総論)
2. 思春期の身体的特性
3. 思春期心性とは?
4. 思春期の患者・保護者への接し方のコツ
II. 小児科医が行う思春期診療-どう診るか?どこまで診るか?
5. 摂食障害
6. 起立性調節障害
7. 不安症/不安障害
8. 頭痛
9. くりかえす腹痛(慢性腹痛)
10. こどもの強迫性障害の治療と鑑別
11. 四肢や体幹の痛み
12. 自閉症スペクトラム障害
13. 学習障害
14. 睡眠の問題
15. 気分障害
16. 身体表現性障害(疼痛性障害を含む)
17. 肥満
18. 月経のトラブル(初経の早発・遅発/初経後の異常/月経随伴症状etc.)
19. 性感染症
20. 思春期における妊娠の現状と子どもたちとのかかわり方について
21. 性別違和
22. 乳腺疾患
23. 甲状腺疾患(慢性甲状腺炎・バセドウ病)
24. 鉄欠乏性貧血
25. 消化器疾患(Wilson病・敏性腸症候群)
26. 思春期の姿勢異常
27. 不登校
28. 触法行為・自殺企図
III. 移行期医療をふまえた診療の仕方-これを診ておこう・やっておこう
29. アレルギー疾患(気管支喘息・アトピー性皮膚炎)
30. 内分泌疾患
31. 神経疾患
32. リウマチ性疾患・自己免疫性疾患
33. 腎疾患
34. 白血病・がん
35. 先天性代謝異常症
36. 先天性免疫不全症候群
37. 循環器疾患
IV. 知っておきたい!生活サポート&性教育
38. 食生活
39. 喫煙(喫煙防止・ニコチン依存症治療)
40. 薬物乱用
41. 暴力行為
42. スポーツ医学
43. 思春期の予防接種
44. 思春期男子への性教育
45. 思春期女子への性教育
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