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臨床画像 2024年5月号 特集1:まれに出会うと悩ましい 肝病変の画像診断/特集2:保険診療を勉強しよう

  • ページ数 : 136頁
  • 電子版発売日 : 2024年4月20日
2,970
(税込)
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商品情報

内容

特集1:まれに出会うと悩ましい 肝病変の画像診断/特集2:保険診療を勉強しよう

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序文

特集1:まれに出会うと悩ましい 肝病変の画像診断
序説


肝に血液として動脈と門脈が流れ込み,肝静脈から流れ出す。血流による偽病変は昔から多くの画像診断医を困らせた。血流偽病変と偽腫瘍について以前から多くの学術論文で画像診断医に警鐘を鳴らしてきた金沢大学の小林 聡先生らにトップバッターとして記載をお願いした。thirdflow領域についての理解も初学者には大切であり,ほかtransient hepatic attenuation difference(THAD)やtransient hepatic intensity difference(THID)という用語も正確に理解したい。

まれな良性腫瘍は信州大学の山田 哲先生らにお願いした。逆によくみる良性腫瘍は肝嚢胞や肝血管腫などであるが,まれな肝腫瘍をこれだけ説得力のある(典型的な所見がある)きれいな画像で説明していただいてびっくりしている。良性は画像で確実に診断すれば不必要な治療を避けられるので,説得力のある画像は非常に重要である。

まれな悪性腫瘍は東京慈恵会医科大学の禹 潤先生らにお願いした。これも上記の良性腫瘍同様,とても説得力のある画像で驚いた。これらの典型像をしっかり頭に入れると日常の読影できっと役立つと思われ,治療にも効果的な役割を果たすであろう。

まれな肝実質性変化は大分大学の浅山良樹先生にお願いした。日常の読影で悩ましいのは,この肝実質の変化ではないだろうか。結果(病理)が得られないことが多く,診断を確定するには臨床情報もしっかりとらえなければならない。ときに依頼票で目にするBudd–Chiari症候群についてもわかりやすく記載していただいている。また,EOB–MRIの肝細胞相で不均一な取り込み低下を示している類洞閉塞症候群は骨髄移植後やオキサリプラチンなどの抗癌剤投与後にみられることも思い出しながら画像をみることも大切と思われる。

まれな肝疾患の超音波診断は日本大学の松本直樹先生(消化器・肝臓内科)にお願いして,肝サルコイドーシスや遺伝性出血性毛細血管拡張症などを含めて記載していただいている。超音波検査を施行したり読影したりする放射線診断医は少ないからこそ,造影超音波やドプラ検査がいかに美しい画像を提供するか知っておくべきである。空間分解能と時間分解能が高い超音波は説得力があり,よくいわれる術者依存性というのは熟練していない術者を指すのではなく,熟練した超音波検査施行医(あるいは技師)のためにある言葉と思っており,彼らの提供する画像は本当に美しい。

まれな肝疾患の核医学診断は慶應義塾大学の岩渕 雄先生にお願いし,PETについて記載していただいた。糖原病のPET画像は非常にインプレッシブである。また,肝にできる悪性腫瘍についても記載していただいていて,PETではこのように集積するのだということがわかりやすい。

まれな小児の肝胆道疾患については,埼玉県立小児医療センターの細川崇洋先生らにお願いした。ご存知のとおり小児の疾患については超音波検査が非常に重要なmodalityとなる。超音波の空間分解能の高さと比較するとCTやMRIは限定的な役割であることが画像から読み取れる。小児の疾患については日常の読影であまり経験しない施設もあるかもしれないが,小児専門のセンターの先生方がどのようなポイントで診断されているのか非常に勉強になる。

肝腫瘍治療後にみられる肝病変や肝実質の変化は琉球大学の友利由佳理先生らにお願いした。肝細胞癌(hepatocellular carcinoma;HCC)を中心に記載していただいており,日常で非常に役に立つ内容となっている。また,最近よく使用されている分子標的薬治療後の変化や免疫チェックポイント阻害薬治療後の合併症についても学ぶことが多い。

本特集が読者の先生方に有用な情報を提供し,肝疾患の病態を画像的に考えるうえで役に立つことを期待する。


企画・編集:岡田真広 日本大学医学部 放射線医学系放射線医学分野



特集2:保険診療を勉強しよう
序説


CTやMRI装置の高機能化に伴って,医療被ばくの低減やMRI検査の安全管理を踏まえたうえでの適切な撮影プロトコル管理(画像診断の管理業務)の重要性が高まってきた。放射線診断医に,これらの画像診断の安全で効率的な業務の遂行・管理業務を委ねる代価として,画像診断管理加算が増点されてきた。さらに,第8次地域医療計画で記載されている外来機能の分化の項では,地域のクリニックに放射線診断専門医による適切なリスク管理の下で得られたCTやMRIの画像や報告書を提供すること(高額医療機器の共同利用)も中核病院で読影業務に従事している放射線診断専門医に求められるようになってきている。

今回の特集『保険診療を勉強しよう』では,得てして雑用としてとらえられがちである「画像診断の管理業務」と「高額医療機器の共同利用」に焦点をあてた。

執筆者は以下の基準で選定し,文書で依頼するのみならず,直接お電話を差し上げて執筆にあたっての細かな点を口頭でお願いした。原稿の依頼先は,高度急性期病院を表す「急性期充実体制加算」を地方厚生局に申請し,「旧画像診断管理加算2」と「頭部MRI撮影加算(常勤の放射線専門医3名以上,夜間及び休日の読影体制,夜間及び休日を除いた検査前の画像診断管理,被ばく管理,MRIの安全管理の要件)」を取得している一般病床が600床台の病院の放射線診断部門を管理している先生とした。

執筆いただく原稿のテーマは,①急性期充実体制加算の概要と画像診断を24時間実施できる体制をどのような工夫で行っているのか,②「高額医療機器の共同利用」をどのようにして行っているのか,③放射線診断の安全管理にかかる体制を病院組織のなかのどのような位置付けで行っているのかとし,依頼したテーマが診療報酬にどのように反映されているのかまで言及していただくようお願いした。特集は昨秋企画されたが,図らずとも,今回の特集内容は本年6月から始まる救命救急センターを有する病院が取得できる「新画像診断管理3」の要件を満たすための体制のあり方と,次回以降の診療報酬の改定で増点の可能性がある地域連携(高額医療機器の共同利用)の行い方を含む内容となった。

今回の特集の編者である筆者は,診療報酬の請求ルールの下では同一患者に,胸部や腹部といった部位や単純と造影を分けるなどして複数回・複数日に撮影したり,CT撮影で診断ができる疾患なのにMRI撮影を追加して撮影件数を増やしたりしても,医業収益が撮影件数に比例して増えない(報酬を減額する)仕組みが診療報酬に組み込まれていることと,本年6月からの画像診断管理加算で得られる収益を具体例を基にして説明した。

画像診断にかかわる診療報酬の仕組みを理解して,適切な「画像診断の管理業務」の下で,夜間・休日も含めた適切な「撮像指示(撮影プロトコル)管理」を行い,これらに基づく高度な画像診断を「高額医療機器の共同利用」として地域医療に還元していけば,放射線診断医が勤務している病院の提供する医療の機能に応じたCTとMRIの撮影件数に自ずと収斂して,過不足のない医業収益を確保できるようになるであろう。

このような取り組みは最終的に,CTやMRI撮影を受ける患者の負担(侵襲)を軽減し,放射線診断医のみならず,診療放射線技師と撮影業務をアシストする看護師の働き方改革にも寄与するはずである。

本特集は,若手の放射線科医にとってはやや難しい内容かもしれないが,いつかは向き合わなくてはならないものである。読者の皆様方に編者の意図がうまく伝われば幸いである。


企画・編集:出町 洋 富山県立中央病院 放射線診断科

目次

特集1:特集1 まれに出会うと悩ましい 肝病変の画像診断  企画編集:岡田真広

序説

肝にみられるまれな血流偽病変

まれな良性肝腫瘍のCT,MRI診断(成人)

まれな悪性肝腫瘍のCT,MRI診断(成人)

まれな肝実質性変化のCT,MRI診断(成人)

まれな肝疾患の超音波診断(成人)

まれな肝疾患の核医学診断(成人)

まれな小児の典型的な肝胆道疾患と,鑑別となるまれな疾患 細川崇洋

肝腫瘍治療後にまれにみられる肝病変や肝実質の変化

特集2:特集2 保険診療を勉強しよう  企画編集:出町 洋

序説

画像診断(CTとMRI)の診療報酬の構造

急性期充実体制加算の概要と施設要件の「画像診断および検査を24時間実施できる体制」について

「高額医療機器の共同利用」に対する取り組みとその意義

「放射線診断の安全管理に係る体制」の病院組織のなかでの位置付けおよび診療報酬にどのように反映されているのか

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書籍情報

  • ISBN:9784008004405
  • ページ数:136頁
  • 電子版発売日:2024年4月20日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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