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商品情報
内容
外傷も感染症も眼科の知識も必要な救急で闘うために 領域問わず救急外来でよく遭遇する疾患の必須知識×エキスパートの実践×エビデンスで日々のルーチンが生まれ変わる! 教科書通りにいかない臨床現場での悩みに対処するエキスパートの技が満載.研修医にも,現場で活躍中の救急医にも最適な1冊.
序文
序
救急患者は増加の一途をたどっており,令和5年3月31日に消防庁から発表された救急車出動数は,722万件であり,過去最多でありました(消防庁発表の「令和4年中の救急出動件数等(速報値)」資料より).20年前の平成14年では456万件ですので,この20年間で約1.6倍増加したことになります.つまり現代の医師にとっては,過去と比べると,より救急対応ができる能力が求められているのです.一方で医療の高度化から医療分野の専門性も高まっていますので,臨床現場の医師にとって,専門にとらわれない幅広い救急対応を行うことは日々の悩みの種となっているのではないかと思います.
また,救急外来では所属している病院がその施設独自の方法を慣習的に行っていることも多く,病院を異動して仕事を始めると,「え,救急外来でそんなことをやるの?」と言われたことを,多かれ少なかれ経験したことがあるのではと思います.また専門外の患者さんが救急外来に運ばれてきたときや,思いもかけない疾患に遭遇した場合に,診療担当者としては少し不安になるような場合もあるのではないでしょうか.
そこで本書では一つの専門に限らず,救急外来でよく遭遇するような疾患やケースにフォーカスをあて,必要な知識をまとめるとともに,最新のエビデンスを盛り込んでみました.本書を読んでいただくと,もしかすると今まで普通に救急外来で行っていたことが,普通ではなかったと思うことがあるかもしれません.さらに臨床現場で著者の先生方が行っているプラクティスを一部まじえつつ,エビデンスとの乖離や臨床現場ならではの悩みも紹介しています.
読者の皆様は専門分野をお持ちの先生が多いかと思いますが,例えば,眼科領域では見逃してはいけない最低限の疾患を知りたい,救急外来で発熱の原因がわからない場合はどうしようか,今さら肺炎の診療について周囲に聞けない,など専門分野に関係なく“医師として皆が知っておきたいと思われること”,も本書でまとめてみました.ぜひ,本書を通じて皆様が日々ルーチンに過ごしていた救急外来の診療が,新鮮な気持ちになって,明日からまた救急診療と向き合う機会になればこの上ない幸せです.
最後に本書をご執筆頂いたエキスパートの先生方,編集並びに執筆の貴重な機会を頂いた中外医学社の皆様,日々お世話になっている順天堂大学の関係者の皆様,救急診療に関わる皆様に改めて御礼申上げます.
2023年11月
順天堂大学医学部附属浦安病院救急診療科
近藤 豊
目次
1 救急外来におけるClinical Prediction Rule(CPR)はどのように用いるべきか? [松本大賀,舩越 拓]
Clinical Prediction Ruleとは
救急外来で有用なCPR
救急外来で使用できないCPR
CPR使用のピットフォールとコツ
2 救急外来における診断とDiagnostic error [鈴木智晴]
診断とDiagnostic error総論
救急外来でDiagnostic errorはなぜ起きやすいか
Diagnostic error 5%は許容すべきか,改善すべきか
診断を正確にするためには
3 救急外来において,くも膜下出血はどのように診療すべきか? [杉本至健]
総 論
診 断
初期治療
くも膜下出血の診断のための腰椎穿刺(髄液検査)を行うべきか
くも膜下出血では頭部を挙上すべきか
部屋を暗くすると,くも膜下出血の再破裂を予防できるか
入院加療と帰宅経過観察の判断
4 救急外来において,脳出血はどのように診療すべきか? [山田直樹]
総 論
診 断
治 療
5 救急外来において,脳梗塞はどのように診療すべきか? [原瀬翔平]
総 論
診 断
治 療
急性期脳梗塞に対して血栓回収療法とrt-PA静注療法は併用すべきか
入院加療と帰宅経過観察の判断
6 救急外来において,痙攣重積はどのように診療すべきか? [中村謙介]
総 論
診 断
救急外来において脳波測定を行うべきか
治 療
Second-line抗痙攣薬
入院加療と帰宅経過観察の判断
7 救急外来において,脳炎・髄膜炎はどのように診療すべきか? [小坂篤志]
総 論
診 断
治 療
腰椎穿刺前の頭部CTは必要か
腰椎穿刺前の抗菌薬投与は脳炎・髄膜炎の予後を改善するか
どのような時にステロイド投与が必要か
入院加療と帰宅経過観察の判断
8 救急外来において,肺炎はどのように診療すべきか? [三池 慧,齋藤浩輝]
救急外来で遭遇する肺炎総論
肺炎の診断
入院加療と帰宅経過観察の判断
市中肺炎の治療
誤嚥性肺炎は抗菌薬が必要か
市中肺炎に対する短期間の抗菌薬治療は可能か
9 救急外来における気胸はどのように治療すべきか? [薬師寺泰匡]
総 論
内因性と外傷性気胸の違い
チェストチューブを挿入しないエビデンスはあるのか
予防的抗菌薬は必要か
入院加療と帰宅経過観察の判断
10 救急外来において,心不全はどのように診療すべきか? [下島正也,野村章洋]
総 論
HFpEFとHFrEFの特徴と治療
右心不全と左心不全を見分けるには
心房細動合併心不全患者における治療法は
心不全患者に対するSGLT2阻害薬の役割
帰宅可能かどうか
11 救急外来において,急性心筋梗塞はどのように診療すべきか? [朝倉清史,南 尚賢]
急性心筋梗塞総論
診 断
一般的な治療と最新のトピックス
急性心筋梗塞と陳旧性心筋梗塞の違い
インフルエンザワクチンを接種すると急性心筋梗塞は予防できるか
入院加療と帰宅経過観察の判断
12 救急外来において,致死的な不整脈はどのように診療すべきか? [藤井 昭]
総 論
各 論
ペースメーカ不全にどのように対処するか
不整脈へのトロポニン測定の意義はあるのか
入院加療と帰宅経過観察の判断
13 救急外来における急性膵炎はどのように診療すべきか? [中堤啓太]
総 論
治 療
鎮 痛
蛋白分解酵素阻害薬
動脈注射
栄 養
初期輸液量はどのくらいがよいのか
抗菌薬は必要か
入院加療と帰宅経過観察の判断
14 救急外来における急性胆囊炎(胆管炎)はどのように診療すべきか? [鈴木研裕]
総 論
診 断
胆囊炎と胆管炎の鑑別
治療と予後
胆囊ドレナージ:胆囊炎ではPT-GBDとEN-GBDのどちらを選択すべきか
入院加療と帰宅経過観察の判断
15 救急外来において,上部消化管出血はどのように診療すべきか? [中山由紀子]
総 論
上部消化管出血に対して,H2受容体拮抗薬とPPIはどちらが有効か
上部消化管出血に対する緊急内視鏡治療はいつ行うべきか
上部消化管出血に対してトラネキサム酸を使用すべきか
入院加療と帰宅経過観察の判断
16 救急外来において,下部消化管出血はどのように診療すべきか? [島村勇人,田邊万葉]
総 論
診 断
救急外来での治療
入院加療と帰宅経過観察の判断
下部消化管出血に対する緊急下部内視鏡は予後を改善するか
下部消化管出血に対する治療
17 救急外来における腸閉塞はどのように診療すべきか? [八木雅幸,園部浩之]
総 論
診 断
治 療
機能的腸閉塞=イレウス
小腸閉塞と大腸閉塞
腸閉塞に対するイレウスチューブ
腸閉塞に対して,予防的抗菌薬は必要か
入院加療と帰宅経過観察の判断
18 救急外来における消化管穿孔はどのように診療すべきか? [桂 守弘]
消化管穿孔総論
治 療
上部消化管穿孔は保存的に加療すべきか
下部消化管穿孔において,一期的手術は可能か
大腸憩室穿孔において,腹腔鏡下peritoneal lavageは選択肢になり得るか
19 救急外来において,敗血症はどのように診療すべきか? [近藤 豊]
総 論
診 断
治 療
敗血症に対してwhole body CTは有効か
入院加療と帰宅経過観察の判断
20 救急外来における不明熱はどのように診療すべきか? [五十野博基]
不明熱総論
ERにおける不明熱と診断するまでのフローチャート
不明熱の鑑別診断
ERにおける不明熱の鑑別のために有用な病歴
ERにおける不明熱の鑑別のために有用な身体診察
ERにおける不明熱の鑑別のために有用な検体検査
入院加療と帰宅経過観察の判断
21 救急外来における凝固異常はどのように診療すべきか? [梅村 穣]
総 論
救急外来で注意すべき凝固異常疾患
播種性血管内凝固(DIC)
血栓性微小血管障害症(TMA)
その他の血液凝固異常
救急外来で可能な検査と診断
血栓性微小血管症(TMA)とDICはどのように鑑別するか
血液凝固障害に対する治療
入院加療と帰宅経過観察の判断
22 救急外来で診断される急性腎障害は慢性腎不全へ移行するか? [奥田拓史]
救急外来における急性腎障害の頻度と原因
病 態
治 療
造影剤使用は慢性腎不全へのリスクとなるか
入院加療と帰宅経過観察の判断
急性腎障害は慢性腎不全へ移行するのか
23 救急外来において,緊急を要する眼科疾患はどのように診療すべきか? [廣澤邦彦,猪俣武範]
総 論
各 論
入院加療と帰宅経過観察の判断
24 救急外来において,アナフィラキシーはどのように診療すべきか? [大野雄康]
総 論
治 療
入院加療と帰宅経過観察の判断
アドレナリン筋注の部位は上腕より大腿の方が良いのか
アナフィラキシーショックに対し,バゾプレシンは有効か
アナフィラキシーショックに対し,抗ヒスタミン薬を使用すべきか
アナフィラキシーショックに対し,グルココルチコイドを使用すべきか
25 救急外来の外傷患者の創部はどのように処置すべきか? [石澤 嶺]
救急外来での創傷処置について
洗浄は生理食塩水を使用すべきか,水道水で十分か
救急外来において埋没縫合を選択すべきか
予防的抗菌薬は必要なのか
抜糸のタイミング
26 救急外来において,熱中症患者はどのように温度を下げるべきか? [神田 潤]
総 論
診 断
治 療
27 救急外来における中毒診療において,胃洗浄と活性炭投与は必要か? [千葉拓世]
中毒総論
診 断
治 療
尿のアルカリ化
透 析
胃洗浄が有効な疾患,タイミングなどエビデンスのまとめ
活性炭投与が有効な疾患,タイミングなどエビデンスのまとめ
入院加療と経過観察の判断
28 救急外来において,血清療法はどのように行うべきか? [一二三 亨]
血清療法とは
血清療法が有効な疾患
血清療法の投与の実際(投与方法,量,回数,追加投与を考慮する場合)
有害事象(血清病,アレルギー反応など)
最近の新しい知見
入院加療と帰宅観察の判断
29 救急外来において,広範囲熱傷はどのように診療すべきか? [加藤聡一郎]
総 論
診 断
治 療
施設間搬送と連携
30 救急外来における介入は院外心停止患者の予後を改善できるか? [本間洋輔]
院外心停止総論
治 療
AEDの適応のない院外心停止患者において,エピネフリンはどのように使用するか
院外心停止患者における自動胸骨圧迫機は予後を改善するか
TORの判断
31 院外心停止患者におけるVA-ECMOはどのようにすべきか? [森山太揮,井上明彦]
VA-ECMO導入について(対象患者,導入基準,実際の導入方法など)
PEAに対するhybrid-ERでのECPR
VA-ECMOにIABPの併用は必要か
ECPELLA
院外心停止におけるVA-ECMOは神経学的転帰を改善するか また死亡を改善するか
32 救急外来において,REBOAはどのように使用すべきか? [大井真里奈,丸橋孝昭]
REBOAとは1
REBOA下CTの是非
REBOAが有効な疾患
REBOAの効果が期待できない疾患
腹部骨盤の静脈出血に対するREBOAの有効性
内因性心停止に対するREBOAの有効性
33 救急外来において,開胸心臓マッサージは必要か? [濱口満英]
総 論
実際の手技
開胸心臓マッサージは予後を悪化させるか?
開胸心臓マッサージが有効な可能性のある疾患
REBOAがあれば開胸心臓マッサージは不要か?
34 ドクターヘリは救急患者の予後を改善できるか? [大森一彦]
総 論
フライトドクターに求められるスキルの紹介など
ドクターヘリの現状(日本,海外)
ドクターヘリ内での治療(ドクターヘリ内で開腹や開胸は可能?)
ドクターヘリが予後改善に寄与するエビデンス
35 救急外来における診療体制は患者の予後に影響するか? [宮本雄気]
総 論
救急外来の混雑と来院患者の予後
救急車不応需・救急搬送時間と救急患者の予後
日中と夜間帯および平日と週末での救急患者の予後の違い
救急専従医と救急非専従医による患者予後の差
36 救急外来を対象とした臨床研究はどのように行うべきか? [小森大輝,阿部智一]
総 論
救急外来を対象とした臨床研究を行うことの意義
救急外来を対象とした臨床研究の注意点
救急外来における臨床研究では,前向きと後ろ向きのどちらが適しているか
心停止患者に対するRCTは実現可能か
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書籍情報
- ISBN:9784498166646
- ページ数:300頁
- 書籍発行日:2023年11月
- 電子版発売日:2023年11月17日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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