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PT・OTのための脳卒中に対する臨床上肢機能アプローチ 弛緩から痙性・失調・肩の痛み、高次脳機能障害等に対するMovement -Therapy

  • ページ数 : 352頁
  • 書籍発行日 : 2023年11月
  • 電子版発売日 : 2023年12月8日
4,620
(税込)
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商品情報

内容

脳卒中後に生じる上肢機能の症状へのアプローチをライブ感覚でお届け
弛緩、強い痙性、失調症や肩の痛み…….多くの脳卒中患者が上肢機能の症状に苦しんでいます.本書はそのような患者の治療に役立てるべく,全国の臨床家が培った知識と実践を結集して完成しました.臨場感ある治療場面の写真も豊富に掲載し,この一冊で症状別にアプローチのポイントが理解できます.明日からの臨床に活かしていただきたい1冊!

序文

はじめに

私は作業療法士になって三十数年経ちます.作業療法士になった当時は,「脳卒中麻痺側上肢に介入するのか? しないのか?」の論争の真っ最中でした.患側上肢・手にはアプローチをしない.健側上肢で日常生活を自立するよう作業療法士・理学療法士はかかわる.そのような手法,考えが多かったのは事実です.

当院では,そのような状況の中にあっても麻痺側上肢の改善に一生懸命に取り組んできました.うまくいかないこともしばしばです.でもそれは,ずっと継続してきました.なぜなら,患者の訴えだったからです.対象者の希望に応えるのがセラピストです.私はそう思います.患者が「動きやすくなる」「道具を使いやすくなる」「ADL が自立した」等,対象者にとってよい方向になるということが最優先であり,大切なのは“セラピスト(治療者)”として「対象者ファースト」で実践することです.

たとえば,肩の痛み.脳卒中では,ある統計によると70%以上の発生率です.今でも三角巾で保護することが多いかもしれません.当時,患者が肩の痛みの治療を望んでいても,私自身は何もできませんでした.それから年月が経ち,臨床での発見等によってアプローチのしかたがある程度わかってきました.現在,当院では三角巾で肩を吊っている患者は一人もいません.「痛みがあればとる」という医療の臨床を積み上げてきた結果です.いえることは,「臨床の知識・技術は,患者から教わった」こと,そして逃げないことです.

私たちは,単純な運動療法・ロボット訓練,単純なROM 訓練だけではどうにもならないことを実感しています.脳卒中においていえば,「運動の麻痺」だけではありません.感覚・知覚障害や重度の痙性・低緊張,肩の痛み,失調症,高次脳機能障害・認知症,内部障害との合併,そしてパーソナリティや生活環境の違い等,一人ひとりが持ち合わせた身体・精神,そして症状は異なります.それに対応できる私たちでなければならないと思います.

また,「効果は何をもって効果なのでしょう?」.昨今は,ADL 至上主義のように感じます.しかし,対象者に寄り添ってみれば,それだけではよくないことに誰もが気づいているはず.対象者が望んでいることは,それだけではありません.「身体を治してほしい」.誰が何といっても,絶対的本音です.ICF にも「心身構造」は存在します.身体あっての「ADL」「活動」であることを忘れてはいけません.私たちはセラピストです.そのプライドがあります.療法士だからこそ,できることがあります.

今回は,PT・OT のための脳卒中に対する臨床上肢機能アプローチ―弛緩から痙性・失調・肩の痛み,高次脳機能障害等に対するMovement‒Therapy というテーマです.これまでにはない書籍であると自負しています.作業療法士と理学療法士による合作になっており,その専門性も追求したつもりです.きっと何かしらの手がかりになると信じています.たしかな臨床力,わたしたちが創りましょう.


2023年11月

山本伸一

目次

第1章  総  論

 概論1:脳卒中の障害像の理解

 概論2:臨床上肢機能アプローチの実践

第2章  支援技術Ⅰ 症状別への実践

1 弛  緩

 ①背臥位での運動療法・Activityアプローチ

 ②座位での運動療法・Activityアプローチ

 ③立位での運動療法・Activityアプローチ

2 軽度痙性

 ①運動療法アプローチ

 ②Activity・生活への展開アプローチ

3 中等度痙性

 ①運動療法アプローチ

 ②座位でのActivity・生活への展開アプローチ

4 重度痙性

 ①運動療法アプローチ

 ②Activity・生活への展開アプローチ

5 失調症

 ①体幹を中心とした運動療法アプローチ

 ②体幹を中心としたActivity・生活への展開アプローチ

 ③上肢を中心とした運動療法・Activity・生活への展開アプローチ

6 視床症状

 ①急性期~回復期における運動療法アプローチ

 ②急性期~回復期におけるActivity・生活への展開アプローチ

 ③慢性期における運動療法アプローチ

 ④慢性期におけるActivity・生活への展開アプローチ

第3章  支援技術Ⅱ 特殊例への実践

1 肩の痛み

 ①インピンジメント

 ②神経の圧迫

 ③ストレッチペイン

 ④腱板損傷

 ⑤夜間痛

2 視床症状による痛み・しびれ

3 短縮・固縮

4 浮腫手

第4章  支援技術Ⅲ 高次脳機能障害と上肢機能Movement‒Therapy

1 前頭葉と上肢機能アプローチ

2 半側空間無視と上肢機能アプローチ

3 失語症と上肢機能アプローチ

4 失行と上肢機能アプローチ

5 プッシャー症状と上肢機能アプローチ‒1  麻痺側への介入

6 プッシャー症状と上肢機能アプローチ‒2  非麻痺側への介入

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書籍情報

  • ISBN:9784895907965
  • ページ数:352頁
  • 書籍発行日:2023年11月
  • 電子版発売日:2023年12月8日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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