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- 「重症患者が苦手」な研修医へ 集中治療の極意を伝授
商品情報
内容
鑑別できる,診断できる,手技・対応もわかる・・・集中治療に携わるスタッフへ贈る,すべてが詰まった1冊です!
序文
序文
2006年に医師となり,2008年に救急集中治療医の道に足を踏み入れて以降,重症患者さんと向き合い続けてきました.2020年に入り,新型コロナウイルス感染症(COVID - 19)が日本を飲み込んでいきました.2021年には日本E CMOne tを通じて東京へ診療応援に呼んでいただきました.この時の東京はCOVID - 19の患者で溢れていました.慣れない環境に身を置き,初めて会う方々と重症患者診療を一緒に行っていくなかで,「これまで自分がやってきたことは,場所が変わり,どこに行ったとしても通用するんだな」と実感できました.コロナ禍は,救えない命に向き合わなければならないという辛い場に何度も遭遇させられる期間でもありましたが,一方で,それ以上に重症患者さんが良くなる場面に何度も御一緒させてもらえる機会でもあったように思います.今になってようやく自分は,この道に踏み出そうとする皆さんに,胸を張って「集中治療がやりがいのあるすばらしい仕事だ」と伝えることができるようになりました.
また,本書の編集を行いながら「集中治療の極意」って何だろう?と考えました.医師になりたて?の皆さんが今触れて学んでいる知識は,現時点で最新のものばかりでしょう.最新の知識を実臨床の場で活かせることは,何のストレスも感じる必要のない,むしろ誇らしい瞬間かもしれません.しかし,時間が経てば,検査・治療も進歩していきます.当時最新だった知識は,時間の経過とともに古い知識となり,時代において行かれてしまったような感覚に陥ることもあるかもしれません.でも,「最新の…」に翻弄される必要はない気がしてきました.大事なことは,重症患者さんを良くする(必ずしも「治す」が「良くする」とイコールではありませんが)という信念をもちながら,それを達成するためより良い方法を柔軟に(時には古い知識を引き出しにしまい),そして継続して学び続け,取り入れる,そういった姿勢かもしれません.これが「集中治療の極意」なのかもしれないな,と今は思っています(集中治療に限ったことではないかもしれませんが).本書を編集する機会をいただきました清水敬樹先生には,コロナ禍の直前にご一緒する機会をいただき,E C M O治療や重症患者診療に関する夢を語り合いました.そこで,E C M Oそのもののことはもちろんですが,「呼吸不全最後の砦とされるE C M Oを通じて,重症患者を救いたい」という同じ志をもつ仲間を増やす,という共通のビジョンをもっている仲間であることに気づかされました.
最後になりましたが,コロナ禍で多忙の中,本書を執筆いただきました集中治療のエキスパートの皆様,本当にありがとうございました.また,長期間にわたり,叱咤激励とご指導をいただきました森友紀様をはじめ,Gakken編集部のスタッフの皆様におかれましてもありがとうございました.
一緒に重症患者さんを助ける仲間が増えることを願って.
2023年6月
札幌医科大学医学部救急医学講座
文屋尚史
目次
第1章 基本のき
1 ICUで押さえるべき質 受け入れ患者数1500,常に満床!エリート指導医に配属された初期研修医が受けた,強烈な洗礼
2 身体所見 指導医の思い:「簡単なことなのに,研修医はほとんどしてくれない」身体診察中,研修医が患者にしてほしかったこと
3 急変対応 できる指導医が告白した,22年前の非常事態
4 感染症 抗菌薬を投与したけど,発熱が….治療失敗?薬のせい?
5 輸液 「体液の分布ってよくわからない><」立てたはずの計画が予想外の結末に…
6 輸血 あわや大惨事!!曖昧な輸血の理解がまねいた,輸血直前に発覚した研修医のニアミス行動
7 モニターの見方 劣等感でつらい「じつはモニターの見方がよくわからない」できる同期が集まる病院に入局した研修医の本音
8 鎮痛・鎮静 とりあえず使い慣れているミダゾラムを選んでいたら指導医から「“ とりあえず” ではじめるな!」と怒られた
9 せん妄対策 「昼は△△(薬),夜は○○(薬)…」.強めの薬を処方する,26歳研修医の心配ごと
10 人工呼吸器の使い方 ついに名医に昇格…!26歳研修医が,患者・家族・メディカルスタッフの信頼をつかんだ秘策とは?
11 栄養管理 「もう残り1 年もないんだよ!?」残りの研修生活に焦る初期研修医が,たどり着いた栄養管理の知識とは
12 早期リハビリテーション 「ICU入室後3日までにベッド上で筋肉をほぐして,5日までにベッド上端座位…」リハの計画が無残にも打ち砕かれた
第2章 代表的疾患
1 ショック 年明けの夜に悲劇が….当直中に患者がショックを起こし,自分がパニックになりそう
2 敗血症 基準がたくさんあるけど,まずは何をすれば良いの…?
3 重症肺炎 抗菌薬投与3日後も良くない…次の一手は?
4 急性心筋梗塞 ERでの評価と治療は30分以内で!
5 心不全 呼吸困難,動悸,胸部圧迫感,胸痛,失神など…訴えがたくさん…何を優先させれば良いの?
6 不整脈 モニターの音がピピピ これを聞くと頭が真っ白になる.順序立てて考える思考回路とは??
7 急性大動脈解離 左上下肢麻痺で脳梗塞かと思っていたら…
8 肺血栓塞栓症 「さっきまで患者さんと話ができていたのに…」まさか自分の担当患者がPTEになるなんて
9 DIC え?これってDIC?類似疾患とくらべよう!
10 腎不全 「漠然とした輸液や利尿薬」を脱する方法を知りたい!
11 自己心拍再開後の管理 「自己心拍再開」でも血圧が安定しない
12 高カリウム血症 カリウムが上昇しているけど何で?
13 体温異常(熱中症) まずどこから冷やせば良いの…?
14 体温異常(低体温症) どうやって温めれば良いの??~外と中,両方から攻めて温めよう!~
15 薬物中毒 治療の成否は「全身管理」で決まり!その方法は?
16 膵炎 「手持ちの胃薬が効かない」.研修医を迷わせた,患者の言葉
17 肝不全 この患者,画像より症状が重い気がする…タイムラグってあるの?
18 脳卒中 寒~い日にはとくに備えておきたい脳卒中の診断と治療のポイント
19 重症熱傷 「こんな輸液量じゃ,効果を全く感じない!」研修医が匙を投げたくなった,輸液計画
20 けいれん重積 「治ったと思ったらまた!」人を集め,落ち着いて対応しよう
21 血糖異常 健康な人というベール:糖尿病歴がない患者が….生来健康な男性が,ICU入室を機に血糖値が上昇している
22 多臓器不全 原疾患だけをみてはいないかい??
第3章 合併症の予防策と発症時の戦略
1 VAP 月の医療コスト削減にもつながった“めざせノーVAP 人工呼吸”の方法とは?
2 無気肺 「他に原因が見つからなかったの…」右肺のカゲを見抜けなかった,研修医の後悔
3 人工呼吸器離脱困難 恐怖の経験:研修医がひとりで行った人工呼吸器離脱とその結末
4 心房細動 わざわざする価値あり!とっておきの「予防法」3選
5 たこつぼ症候群 「急性心筋梗塞…?」心電図変化が突如現れた患者の管理に難渋
6 腹部コンパートメント症候群 外傷・熱傷:「お腹がパンパンで,乏尿…手術すべき?」
7 肝機能障害 肝機能検査をしよう!「原疾患に効く薬を投与したら…肝臓が…」とならないために
8 HIT 疑ったら検査結果が出る前に治療を開始するのもあり?!ヘパリンが曝露されていなくても発症を予測しよう!
9 ICU-AW 「リハビリは一般病棟に戻ってから!」と考えていた研修医の誤算…
10 カテーテル関連血流感染症 「観察なくして診断なし!」カテーテル刺入部の状態を見逃さない!
11 カテーテル関連尿路感染症 名医の必策?!最大の予防策は?!
Column 極限環境での医療
1 病院前搬送
2 ドクターヘリ
3 南極での医療
4 日本ECMO netとCOVID-19パンデミック
5 カンボジアでの医療
付録 ICUでの手技
1 ECMO ECMOは究極のチーム医療によって初めて成り立つ高度医療である
2 挿管 「条件はいいと思ったのに…」抜管後,再挿管ができない患者の特徴とは
3 気道確保
4 吸着療法 吸着療法とは(適応・施行方法)
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書籍情報
- ISBN:9784059886204
- ページ数:436頁
- 書籍発行日:2023年6月
- 電子版発売日:2024年1月10日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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