かとじゅん流IBD診療 秘伝!108の極意

  • ページ数 : 244頁
  • 書籍発行日 : 2021年4月
  • 電子版発売日 : 2024年1月5日
5,720
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商品情報

内容

IBD診療のスペシャリストである加藤順(かとじゅん)先生が,ひとりきりの臨床現場でも,診療で困らないようにIBDのすべてを徹底解説.
現場の疑問をすべて解決できる「108の極意」を一冊にまとめた.
わかりやすく気軽に読めるIBD診療の超実践本.

序文

序文

私は,IBD診療は内視鏡や外科手術と同じ一つの技術だと思っています.多様な病態,多様な社会背景,多様だけれども不十分な薬,いろいろあるバイオマーカー,そういったものを頭にインプットして,患者さんと一緒にどうすれば良いかを考える,それは内科医としての一つの技術です.しかし,内視鏡や外科手術は,先輩の先生が実際に行っているところを見て学ぶことができますが,IBD診療の多くは,医者一人患者一人の外来の密室でなされているため,先輩から学ぶことが難しいのです.

したがって,多くの先生(とくに若手や非専門医の先生)方は,誰に教えてもらえるわけでもない状態で,試行錯誤しながらIBD患者さんを診ていらっしゃいます.そういった先生方に少しでも役立ててもらいたいという気持ちで,以前,IBD診療をQ&Aで解説した書籍を出版しました.その際,多くの先生方やIBD診療にかかわる製薬メーカーなどの方々から「大変わかりやすい」と好評をいただきました.しかし,IBDの世界は日進月歩であり,とくに,最近,新しい薬剤やバイオマーカーが多く登場してきました.登場するのは良いことですが,ますますIBD診療がややこしく混乱するものになってしまっているかもしれません.

そういったなかで,いまいちど,IBD診療のハウツー的な書籍が必要とされているに違いないと思い,本書を執筆しました.題名を『かとじゅん流』としたのは,IBD診療には絶対の正解があるわけではなく,あくまで「加藤 順の考え方に基づいている」という意味を込めたからです.ただ,自分で言うのも何ですが,まっとうなIBD診療のやり方を網羅的にわかりやすく書いてあると思います.本書が,皆様の日々の診療に役立ち,一人でも多くのIBD患者さんがhappyになることを願っています.

本書が形になりましたのは,以前の書籍同様,編集長の谷口陽一さんの力がとても大きいです.心より感謝申し上げます.


2021年3月 コロナ禍のまっただなかの千葉にて

千葉大学医学部附属病院診療教授・内視鏡センター長
加藤 順

目次

Ⅰ章 IBDの診断

1 UCの基礎知識と治療目標

2 CDの基礎知識と治療目標

3 UCを疑うべき患者像

4 CDを疑うべき患者像

5 大腸内視鏡をする前の問診,診察と検査

6 内視鏡時の注意点,典型的内視鏡像と病理像

7 鑑別が必要な疾患と鑑別法

Column8 地中海熱腸炎

9 診断,鑑別時に大腸内視鏡以外に行うべき検査

10 IBDと診断がついたときの患者さんへの説明

Ⅱ章 IBDの治療

Ⅱ‒1 潰瘍性大腸炎(UC)

基本知識

11 治療開始前の評価と初期治療

12 治療法(薬の種類と治療の流れ)

13 治療の大原則

Column14 いつでも粘膜治癒を目指すべきか?組織学的寛解とは?

寛解導入療法:軽症〜中等症(軽め)

15 メサラジン製剤の種類と特徴

16 メサラジン製剤の使い方と注意点

17 5-ASA 製剤を上手に使うコツ

18 局所製剤の選び方,使い方

19 メサラジン製剤の副作用と対処法

寛解導入療法:中等症(重め)

20 ステロイドの使い方と注意点

21 ステロイドの副作用と対処法

Column22 胃薬のデメリットと整腸薬のメリット

23 GMAの適応と使い方

寛解維持療法とチオプリン製剤

24 寛解維持療法のコンセプト

25 チオプリン製剤の特徴とNUDT15遺伝子多型

26 チオプリン製剤の使い方と副作用の対処法

難治例,重症例に対する治療

27 難治・重症例に対する治療方針

28 難治例の治療前にするべきこと,考えること

29 難治性UC に対するバイオ製剤の選び方

30 抗TNF-α抗体の作用機序,適した患者像と使い方

31 ベドリズマブの作用機序,適した患者像と使い方

32 ウステキヌマブの作用機序,適した患者像と使い方

33 トファシチニブの作用機序,適した患者像と使い方

34 バイオ製剤の有効性の見極め,中止,スイッチ

35 バイオ製剤の副作用と対処法

Column36 バイオ製剤メーカーの欺瞞を見抜く

37 入院管理の適応と気を付けること

38 腹痛・発熱の対処法

39 重症入院の治療方針と高用量ステロイドの使い方

40 タクロリムス・シクロスポリンの使い方

41 タクロリムス・シクロスポリンの投与のコツと注意点

Ⅱ‒2 クローン病(CD)

基本知識

42 治療開始前の評価と検査

43 治療法(薬の種類と治療の流れ)

Column44 かつてのCD治療法

45 CDの自然史といつまで治療するか?

Column46 treat to targetとは何か?

バイオ製剤以外の治療

47 養療法の位置づけと方法

48 5-ASA製剤・抗菌薬の位置づけ

49 ステロイドからチオプリン製剤へ

50 ゼンタコート® の使い方

バイオ製剤による治療

51 バイオ製剤の特徴

52 インフリキシマブの適した患者像と使い方

53 アダリムマブの適した患者像と使い方

54 ウステキヌマブ・ベドリズマブの適した患者像と使い方

55 効果減弱の判断と対処法

56 バイオ製剤のスイッチの仕方

Column57 IBDの今後の新薬

Ⅲ章 外来でのIBDの診かた

58 外来フォローの心構え

Column59 患者さんの性格,社会背景と治療選択

60 外来診療の治療目標

61 問診,診察の仕方とカルテの書き方

Column62 IBD患者さんとその母親

63 モニタリング法の使い方

Column64 IBD患者さんのIBS症状と下痢止め

65 外来時の血液検査と通院・検査間隔

66 便検査(カルプロテクチン,FIT)の使い方

67 再燃のトリガー

Column68 薬をサボる患者さんへの対策

69 再燃と感染合併の見極め方

70 内視鏡を行うタイミングと施行時の注意点,その他の画像診断

71 再燃をふまえた診療の流れ

72 どこまで自分で診て,どこから専門医に紹介するか?

Ⅳ章 発癌と手術

Ⅳ‒1 UCに対する手術と術後

73 手術の適応・時期・術式

Column74 IBD手術の最近の傾向

75手術後の合併症と回腸嚢炎

Ⅳ‒2 CDに対する手術と術後

76 手術の適応・時期・術式

77 肛門病変に対する手術

78 手術後の治療方針

Ⅳ‒3 UC・CD由来の発癌と治療

79 IBD患者さんは手術後にどのような状態になるか?

80 UCの発癌とそのサーベイランス

Column81 発癌を予防するためには,やっぱり粘膜治癒か?

82 CDの発癌とそのサーベイランス

83 UCおよびCDの内視鏡治療

Ⅴ章 腸管外合併症

84 腸管外合併症にはどのようなものがあるか?

Column85 IBD患者さんは何に困っているか?

86 皮膚病変の特徴と対処法

87 関節炎・関節痛の診断と対処法

88 原発性硬化性胆管炎と高安動脈炎

89 その他の腸管外合併症

90 IBDの貧血の鑑別と対処法

91 IBDの上部消化管病変

Ⅵ章 スペシャルシチュエーションと情報

92 スペシャルシチュエーションとバイオ製剤の選択

93 小児のIBDの診断と治療

94 高齢者のIBDの特徴と治療

Column95 特殊なIBD

96 B型肝炎合併例・結核・T-スポット® 陽性例の対処法

97 IBD関連感染症(CMV・C.difficile)の診断と対処法

Column98 糞便移植

99 妊娠・出産・授乳

100 日常生活・食事・他の疾患の薬

101 予防接種

102 難病医療費助成制度

Column103 難病医療費助成制度の副作用

104 身体障害者・障害年金

105 学校・就職・仕事・生命保険

106 ジェネリック医薬品とバイオシミラー

107 青黛(広島漢方)

Column108 IBDと新型コロナウイルス

付録

薬剤一覧

略語一覧

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書籍情報

  • ISBN:9784059886358
  • ページ数:244頁
  • 書籍発行日:2021年4月
  • 電子版発売日:2024年1月5日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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