ケースで学ぶ 老年薬学

  • ページ数 : 320頁
  • 書籍発行日 : 2024年1月
  • 電子版発売日 : 2024年1月26日
¥5,280(税込)
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商品情報

内容

超高齢社会で必要とされる薬剤師になるために何をすべきか。
高齢者へ適切な薬物療法を提供するための現場対応力を磨く1冊。

高齢者は、加齢による身体的・精神的機能の低下により、複数の疾患を抱えることが多い。「老年薬学」は、そうした多くの併存疾患、老年症候群を有し、日常生活に支障を来した高齢者に対して、どのような薬物療法や薬学的介入を行うべきかについて、体系立てていく学問である。
 本書は、2016年に発足された「日本老年薬学会」の監修のもと、高齢者に特徴的な病態、疾患について、加齢によりどのような生理的変化が生じるかを解説。特に、4章「高齢者における疾患と治療」では、高齢者に代表的な22の病態・疾患を取り上げ、具体的な症例を通じて、処方提案や生活指導といった、薬剤師が現場で介入すべきポイントを学ぶことができる。
高齢者に多い疾患は何か、それらは加齢でどのように変化するか、薬剤師はそうした諸問題にどのような解決の糸口を見いだすことができるのか。「老年薬学」の前線に立つ執筆陣による、高齢者薬物療法の第一歩が学べる1冊。

序文


超高齢社会である我が国において高齢者医療およびその基盤となる学術領域である老年医学の重要性については議論の余地がないであろう。一方で、高齢者医療にはまだ以下のような多くの課題がある。(1)エビデンス不足:薬物療法などの医療行為に関するエビデンスが乏しいこと、(2)多疾患併存(multimorbidity):専門領域以外の複数の疾患と老年症候群を抱え、多彩な病像、障害を呈する高齢患者への対処に難渋すること、(3)安全性とコスト:医原性疾患が多く、濃厚な医療提供はふさわしくない場合がしばしばあるが、年齢や障害、経済的理由による過少医療も懸念されること、(4)多様な医療現場:急性期・回復期・慢性期病院、介護施設、診療所、在宅医療など機能もリソースもさまざまな現場でそれぞれに適した医療が求められること──など。欧米でも、臓器別に断片的な医療は多数提供されると転帰不良となること、エビデンスに乏しいという学会合同声明があることなど、同様に問題提起されている。

このように、高齢者への多様な医療提供は難易度が高い。長寿社会になり、年齢も幅広いが、病態や併存症から心身の機能、生活環境に至るまで非常に多彩である。また、高齢者に対する医療では求められるアウトカムも若年者とはやや異なり、死亡率の低下よりもQOLの改善や身体機能の回復が重視されるようである。それらへの個別化医療を提供するための概念や根拠を提示するのが「老年医学」であり、世界的にもまだまだ発展途上ではあるが、日本老年医学会は2023年現在、設立65周年を迎えた。「老年薬学」は、高齢者特有の薬物療法や薬学の加齢変化を研究する学術領域であるが、老年医学と密接に関連する。逆に老年医学においては、老年薬学は必須の領域である。上記のように、多病の高齢者はポリファーマシーである場合も多く、薬物動態と薬力学の変化を背景とした薬物有害事象のリスクも高いからである。したがって、老年薬学は薬剤師と薬学者のみならず、高齢者医療と老年医学に携わる全ての方が学ぶ必要のある学問である。

我が国の老年薬学を発展、普及させる目的で創設されたのが日本老年薬学会であり、設立は2016年と歴史は浅いが、2023年には「日本老年学会」にも8番目の学会として加盟し、日本老年医学会とも協力して日本の老年学の一翼を担い、ますます発展することが期待される。ちなみに、日本で初めて老年薬学が教育に取り入れられたのは、日本老年薬学会創設者の1人である福島紀子先生が、慶應義塾大学薬学部に「老年薬学」カリキュラムを作成したことが端緒である。世界的にも「老年薬学」(geriatric pharmacy)を冠する学会・団体は見当たらず、この分野では日本が世界のトップランナーと言える。

さて、本書「ケースで学ぶ 老年薬学」であるが、名称の通り、症例・事例を通して具体的にイメージしながら老年薬学を学んでいただく構成となっている。日本老年薬学会の公式書籍に「老年薬学ハンドブック」があるが、そちらは老年薬学のエッセンスをまとめたコンパクトな入門書、本書は総論から各論、そして基礎から実践まで網羅した教科書として使える内容となっている。また、日本老年薬学会の老年薬学認定薬剤師制度でも活用いただくべく、同学会の認定試験小委員会委員や指導薬剤師による査読を受けている。これから老年薬学を学ぶ学生から老年薬学認定薬剤師を取得しようという薬剤師、現場の医療・看護・介護専門職、さらには学生に老年薬学を教える教員まで幅広く活用いただければ幸いである。


2023年12月吉日

秋下 雅弘

目次

序 老年医学と老年薬学(東京大学大学院医学系研究科老年病学 秋下 雅弘 先生)

1章 老年薬学とは(鈴鹿医療科学大学薬学部 大井 一弥 先生)

1)高齢者とは

2)高齢者と社会の変化

3)高齢者の生理機能

4)フレイルとサルコペニア

5)ADME

2章 高齢者のみかたと高齢者総合機能評価(東京大学大学院医学系研究科老年病学 小川 純人 先生)

1)高齢者総合機能評価

2)QOLの評価

3)認知機能の評価

4)栄養状態の評価

3章 老年症候群とは(東京大学大学院医学系研究科老年病学 秋下 雅弘 先生)

4章 高齢者における疾患と治療

1)心不全、虚血性心疾患(三重ハートセンター薬局 高井 靖 先生)

2)脳血管障害(昭和大学藤が丘病院薬剤部 藤原 久登 先生)

3)高血圧・低血圧(神戸大学医学部附属病院薬剤部 大本 暢子 先生)

4)肺炎、嚥下性肺疾患(大阪医科薬科大学薬学部循環病態治療学研究室 加藤 隆児 先生)

5)COPD(慢性閉塞性肺疾患)(大阪医科薬科大学薬学部循環病態治療学研究室 加藤 隆児 先生)

6)糖尿病(神戸大学医学部附属病院薬剤部 大本 暢子 先生)

7)脂質異常症(新潟市民病院薬剤部 武藤 浩司 先生)

8)骨粗鬆症(虎の門病院薬剤部 那須 いずみ 先生)

9)ロコモティブシンドローム(三重中央医療センター薬剤部 長谷川 章 先生)

10)消化器疾患(日本医療研究開発機構 加藤 雅斗 先生)

11)CKD(慢性腎臓病)(米沢市立病院薬剤部 赤尾 眞 先生)

12)パーキンソン病(三豊総合病院薬剤部 篠永 浩 先生)

13)感染症(慶應義塾大学薬学部薬学科薬効解析学講座 松元 一明 先生)

14)がん(三重大学医学部附属病院薬剤部 岩本 卓也 先生)

15)皮膚疾患(鈴鹿医療科学大学薬学部 大井 一弥 先生)

16)褥瘡(医療法人愛生館小林記念病院褥瘡ケアセンター 古田 勝経 先生)

17)ポリファーマシー(千葉大学医学部附属病院薬剤部 新井 さやか 先生)

18)うつ(三重県立こころの医療センター薬剤部 中村 友喜 先生)

19)せん妄(睡眠障害)(三重県立こころの医療センター薬剤部 中村 友喜 先生)

20)認知症(鈴鹿医療科学大学薬学部 三輪 高市 先生)

21)便秘(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター薬剤部 溝神 文博 先生)

22)排尿障害(ながえ前立腺ケアクリニックお薬情報センター 前堀 直美 先生)

5章 高齢者の介護と在宅医療

1)施設ケア(横浜あおばの里薬剤部 丸岡 弘治 先生)

2)在宅医療(さいがケアファルマ合同会社 雜賀 匡史 先生)

3)緩和医療(日本赤十字社医療センター薬剤部 細谷 治 先生)

4)終末期医療(日本赤十字社医療センター薬剤部 細谷 治 先生)

5)食事状況に応じた剤形選択(昭和大学薬学部 倉田 なおみ 先生)

6章 法律と制度(帝京平成大学薬学部 亀井 美和子 先生)

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書籍情報

  • ISBN:9784296204038
  • ページ数:320頁
  • 書籍発行日:2024年1月
  • 電子版発売日:2024年1月26日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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