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- PETで極める癌の読影レポートと総合画像診断
商品情報
内容
全身に及ぶ豊富な読影レポートサンプルを題材に,形態画像(CT,MRI)と機能画像(FDG-PET/CT)を組み合わせた統合的な画像診断の進め方を,特にPETのメリット・デメリットに注目しながら丁寧に解説。実際に研修医や初学者から寄せられた声を基に,臨床現場で生じる内容をQ&A方式で学ぶ。研修医・専攻医問わず,臨床医とのディスカッションやカンファレンスに必携!
リンパ節アトラスを交えた癌の分類・ステージごとの違いを理解し,適切に表記するための実践書。
※付録(リンパ節アトラス)のp158ページ図1「骨盤内リンパ節の名称」および表1 「骨盤内リンパ節の分類」は,都合により電子版には収載していません。
序文
序にかえて
悪性腫瘍(悪性新生物)はわが国における死亡原因の第1位を占めています。悪性腫瘍の診療において画像診断は重要な役割を担っており,胸部X線写真,CT,MRIなどの形態画像,そして,近年は悪性腫瘍で亢進する糖代謝をイメージングできるFDG-PET画像が欠かせなくなりました。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの新しい治療薬が次々に登場し,患者の生命予後が延長されつつありますが,再発診断や治療効果判定を画像で正しく評価し,継続的に最適な治療法を提供することが臨床現場で非常に大切になってきています。
悪性腫瘍の鑑別診断や病期診断に関する画像診断の書籍は多くありますが,再発診断や治療効果判定に関する本は意外と少ないのが現状です。また,放射線領域内でCTやMRIの本,PETの本と分かれている現実が示すとおり,日常診療では多くの施設で放射線診断医と核医学専門医で読影が分かれています。そうした背景もあり,形態画像と機能画像を総合的に診断する総合画像診断が求められる実際の臨床現場において,我々放射線科医は臨床医のニーズにうまく応えられてないように思います。そこで今回,メジカルビュー社の協力を得て,より実臨床のニーズに近づけるよう,さまざまな癌種の症例について,病期診断から再発診断,治療効果判定に至るまで実際の症例を多くとりあげ,CTやMRIなどの形態画像と機能画像であるFDG-PET/CTの両方を掲載し,それぞれの画像診断,そして両者の総合画像診断の解説を行うという,新しいタイプの総合画像診断書を発刊することになりました。
まずⅠ章で,CT とMRI によるさまざま治療効果判定法(RECIST ver1.1,肝細胞癌のmRECISTとRECICL,悪性胸膜中皮腫のmRECIST,分子標的薬に対応したChoi分類,免疫チェックポイント阻害薬治療に特化したirRECIST,iRECIST など),FDG-PETによるさまざまな治療効果判定法(EORTC,PERCIST,免疫チェックポイント阻害薬治療に特化したimPERCIST,悪性リンパ腫のLugano 分類とRECIL 分類など)をまとめていますので,知識の整理にご活用ください。Ⅱ章ではPETの読影レポートを実際にどのように書いたらよいかわからないという先生のために,レポート作成の際の手順として大切な10の心得を示したあとに,実際の20の症例のレポート例を紹介しました。PETの画像診断を新たに始める先生が陥りやすい盲点や抱きやすい疑問点(リンパ節転移や骨転移や肝転移や副腎転移を診断する方法や診断能)を各症例のなかでQ&A方式で解説しました。また,参考症例として,各癌種で有用なケース(再発診断や治療効果判定の症例)を挙げたほか,癌であってもFDG集積のない偽陰性の症例(pure GGNタイプの早期肺癌),活動性炎症や肉芽腫にFDGが集積する偽陽性の症例[MRONJ(骨吸収抑制薬関連顎骨壊死)や胸膜癒着術後の異物肉芽腫への非特異的集積の症例]を紹介しています。加えて,癌のCT/MRI診断についても,乳癌と膀胱癌のレポートシステムであるBI-RADS(乳腺画像報告データシステム)とVI-RADS(膀胱癌筋層浸潤診断システム)について概説したほか,食道癌,膵癌,子宮頸癌,子宮体癌におけるそれぞれの周囲浸潤の診断ポイントを実際の症例を用いてまとめました。
治療前病期診断の症例では日本独自の癌取扱い規約と国際基準であるUICC分類第8版(2017年)の両方の最新版を最後に記載し,治療効果判定の症例ではCTやMRIの治療効果判定とFDG-PETの治療効果判定をまとめとして記載しました。これらは過去の書籍にはあまりないものの,臨床医がまさしく知りたい情報として参照性を重視しました。マスターすれば,臨床医とのディスカッションやカンファレンスにおいて活躍できることは間違いないでしょう。画像診断が患者の利益としてフィードバックされることを切に願っています。
本書は,これから画像診断を学ばれる若手医師,中堅からベテランの放射線科専門医や核医学専門医,他科の臨床医など,幅広い読者を対象にしています。本編以外に,前付録としてモダリティと検査の基本的な解説,また,後付録として頭頸部・胸部・腹部・骨盤部のリンパ節の名称とシェーマを付けたので,読影時の資料として活用ください。本書が癌の診療にかかわる方にお役に立てば幸いです。最後に,本書の企画・構成から発刊に至るまで大変お世話になった井上紘一郎さんをはじめ,メジカルビュー社編集部スタッフの方々に深謝申し上げます。
2023年11月 秋風にふかれて
兵庫医科大学放射線科准教授
北島一宏
目次
Ⅰ章FDG-PET/CTによる治療効果判定の基本
1 CT の治療効果判定法
RECIST,irRECIST,iRECIST:肝細胞癌と中皮腫を除く固形癌全般
EASL,mRECIST,RECICL:肝細胞癌
mRECIST:悪性胸膜中皮腫
Choi 分類:GIST,肝細胞癌,腎細胞癌などに対する分子標的薬
2 PET 定量値
SUVmax,SULpeak,MTV,TLG など
3 PET の治療効果判定法
症例でわかるFDG-PET/CT の優位性
EORTC,PERCIST,imPERCIST:固形癌全般
Lugano 分類,RECIL 分類,LYRIC 分類:悪性リンパ腫
Ⅱ 章FDG-PET/CT診断とレポート作例
1 FDG-PET/CT 診断とレポートの基本
大切な10 の心得
2 症例提示とレポートの実際
舌癌の治療前病期診断
下咽頭癌の治療前病期診断
肺癌の治療前病期診断
肺癌の免疫チェックポイント阻害薬治療の治療効果判定①
肺癌の免疫チェックポイント阻害薬治療の治療効果判定②
悪性胸膜中皮腫の化学療法の治療効果判定
乳癌の治療前病期診断
乳癌の治療後の再発診断
乳癌の術前化学療法の治療効果判定
食道癌の治療前病期診断
大腸癌の治療前病期診断
大腸癌の治療後の再発診断
肝細胞癌の分子標的治療の治療効果判定
胆管細胞癌の治療前病期診断
膵癌の治療前病期診断
膀胱癌の治療前診断
子宮頸癌の治療前病期診断
GIST の治療効果判定
悪性リンパ腫の治療前病期診断
悪性リンパ腫の化学療法の治療効果判定
付録(リンパ節アトラス)
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書籍情報
- ISBN:9784758321181
- ページ数:176頁
- 書籍発行日:2024年2月
- 電子版発売日:2024年2月9日
- 判:B5変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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