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- 医学のあゆみ288巻8号 出血傾向あるいは血栓傾向をきたす血小板減少症と血小板機能異常症
商品情報
内容
・したがって,血小板減少に遭遇したら,まずは血栓症をきたす疾患を頭の隅におきながら,病態把握と治療の選択を迅速に行わなければならない.
・本特集では,出血をきたす血小板減少性疾患と血栓傾向をきたす血小板減少性疾患の両者を紹介し,その血小板減少をきたす病態や診断法を学び,適切な治療を選択できるようになることを目的とする.
序文
はじめに
血小板数が数万の患者に遭遇したら,どうしますか.出血が怖いので,思わず血小板製剤を輸注してしまいますか.
2023年,免疫性血小板減少症(immune thrombocytopenic purpura:ITP)の診断基準案が16年ぶりに改訂され,さらにITP の治療薬として2010年にトロンボポエチン作動薬(thrombopoietin receptor agonists:TPO-RA)が承認されて以降,久しぶりに新規治療薬である経口脾臓チロシンキナーゼ阻害薬(ホスタマチニブ)が発売された.一方で,後天性血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)の標準治療は血漿交換療法とステロイド療法,およびリツキシマブ投与となっているが,2022年末に新規作用機序を有する微小血栓形成阻害薬(一本鎖ヒト化抗フォン・ヴィレブランド因子モノクローナル抗体)カプラシズマブが発売され,TTP の治療が大きく変わろうとしている.このように,血小板減少をきたす疾患が今,臨床では熱い!
多くの臨床医は血小板数が低下すると,出血傾向を心配する.血小板の減少が進行すると思わず,血小板製剤を輸注したくなる.しかし,血小板減少をきたす疾患のなかには,重大な血栓傾向をきたす疾患が隠れており,血小板輸注により病態が増悪し致死的となる場合もある.したがって,血小板減少に遭遇したら,まずは血栓症をきたす疾患を頭の隅におきながら,病態把握と治療の選択を迅速に行わなければならない.
そこで本特集号では,出血をきたす血小板減少性疾患と血栓傾向をきたす血小板減少性疾患の両者を紹介し,その血小板減少をきたす病態や診断法を学び,適切な治療を選択できるようになることを目的とした.また,最近は後天性フォン・ヴィレブランド病や骨髄増殖性腫瘍の後天性血小板機能異常症も臨床で注目されており,こういった疾患の病態を理解することも重要である.そして最後に,献血が減少している昨今の問題を解決すべく,人工血小板についても紹介する.
今回の特集では,血小板の数の低下,機能の低下をきたす疾患を中心に血栓止血分野のエキスパートに解説いただいた.皆様の日常の診療に役立つのみならず,血栓止血学に興味を持っていただけたら幸いである.
森下英理子
Eriko MORISHITA
金沢大学医薬保健研究域病態検査学
目次
特集 出血傾向あるいは血栓傾向をきたす血小板減少症と血小板機能異常症
はじめに
【出血傾向をきたす血小板減少症・機能異常症】
免疫性血小板減少症/特発性血小板減少性紫斑病(ITP)―診断,検査,治療の最新の知見
先天性血小板減少症―病態,診断,検査,治療
先天性血小板機能異常症
後天性血小板機能異常症
後天性フォン・ヴィレブランド症候群
【血栓傾向をきたす血小板減少症】
血栓性血小板減少性紫斑病―病態,診断,治療の最新知見
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)―疾患概要と抗補体治療時代の治療戦略
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)とヘパリン以外が原因となるHIT
【再生医療】
間葉系幹細胞由来血小板様細胞の医療応用―再生医療等製品の開発への取り組み
【TOPICS】
社会医学
COVID-19ワクチン接種状況と接種証明書の活用
神経精神医学
精神・神経疾患のニューロモデュレーション治療
【連載】
医療システムの質・効率・公正―医療経済学の新たな展開(24)(最終回)
健康・ウェルビーイング志向の社会システムづくり
遺伝カウンセリング―その価値と今後(14)
がん診療における遺伝カウンセリング
臨床医のための微生物学講座(4)
肺炎球菌―ワクチン導入により変化する肺炎球菌感染症
【フォーラム】
世界の食生活(13)
世界の病院食―世界の病人は何を食べているのか
死を看取る―死因究明の場にて(5)
生と死の境界線(5)
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書籍情報
- ISBN:9784006028808
- ページ数:70頁
- 書籍発行日:2024年2月
- 電子版発売日:2024年2月21日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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