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- Cardiology Mania 心原性ショックの制圧 循環器救急・集中治療のど真ん中に切り込む!
商品情報
内容
Cardiology Mania !シリーズ第2弾!極めて緊急度が高く予後不良となる「心原性ショックの制圧」がテーマ.本書は,心原性ショックの病態から治療戦略までを実際に診療にあたる指導者,また新進気鋭の先駆者たちが自らの経験とスキル,さらに最新の知見を存分に盛り込んで書き上げられた“心原性ショック”と闘うためのOperational Designとしてまとめられたテキストになっている.
あわせて読む → Cardiology Mania VT/VFの制圧 致死的不整脈の蘇生からカテーテルアブレーションまで
序文
巻頭言
長年循環器集中治療に携わってきた.
そして改めて 心原性ショックはこの領域のフロンティアである と思う.
心原性ショックの原因として最も多いのは急性心筋梗塞である.急性心筋梗塞の予後は,発症から何時間で梗塞責任血管が再疎通できるかどうかに依存している.救急システムが整備され,重症症例はより早期に搬送され,冠動脈インターベンション・血行再建が行われ,そして機械的循環補助を用いた集中治療室での管理が施されても,依然として心原性ショックの治療成績は十分とはいえないのが現状である.
とはいえ心原性ショックの転帰を改善するために,?(プレ)ショック状態の早期発見と原因に対する個別的アプローチ,?血行動態モニタリングと初期治療の迅速な導入,?患者の状態と血行動態に基づいた適切なフィードバック,そして?機械的循環補助アップグレードの検討 を?“ショックチーム”によって行っていくこと を基本に,各症例の特徴を把握し,そしてそれらの経験をエビデンスとして積み重ねることで,私たちは前進できるものと信じている.
国立循環器病研究センター集中治療室(CCU)でショックチームの中核を担ったメンバーにより執筆された本書は,もちろんエビデンスも そして何よりこのフロンティアに立ち向かおうとする彼らの情熱(PASSION)がつまっている.
2024年2月
東北大学医学系研究科循環器内科学分野 教授
安田 聡
序文
本書は現在の循環器診療の中で最も注目を集めている領域のひとつである心原性ショックについて,病態から治療までを一つにまとめた教科書である.極めて緊急度が高く予後も不良である心原性ショック患者を救命するためには,循環器科医・救急医・集中治療医の質の高い連携と熟練したメディカルスタッフを含めたチーム治療の構築が不可欠である.しかしわが国の循環器科医は,心原性ショック患者に対峙できるような臨床教育を適切に受ける環境は整っているのだろうか.補助循環ポンプカテーテルIMPELLAの登場でこの領域に注目が集まるようになり,心原性ショックに関する医学論文が数多く発表され,学会や研究会でも盛んに取り上げられるようになった.長らくこの領域に従事してきた我々にとっても大変喜ばしいことではあるが,一方で議論の中に軸となる基礎的要素が欠けていると感じることもしばしばである.
本書を作成するにあたり,心原性ショックの原点に立ち返るべく,循環器科医の視点だけではなく,救急医・集中治療医が大事にしている視点も多く盛り込んだ.当然,心原性ショックの診療に従事するからには知っておくべき重要事項ばかりである.本書の執筆陣は,世界を舞台に活躍する,現在の心原性ショック診療の最先端を担う指導者,新進気鋭の先駆者であり,実際に日々の臨床業務の中で心原性ショックに対峙している方々に執筆いただいた.彼らが科学的な知見と経験に基づく見解を紡ぐことで,初学者が幅広く学ぶこともでき,その道の専門家が深みを味わうこともできるよう構成した.第1章ではショックを知る上で不可欠な事柄をまとめてある.ショックについて正確な理解をした上で,第2章で心原性ショックの診断を極めていただきたい.第3章で薬物療法,第4章で補助循環を極め,心原性ショックの総論的事項は完結する.第5章は具体的な疾患や病態について学び,より実践的な知見を学べるようにしている.
本書が心原性ショックの制圧に挑む読者に少しでも貢献できることを祈る.
2024年2月
川上将司 細田勇人
目次
CHAPTER 1 ショックを知る
1 ショックの考え方 [川上大裕]
1 ショックとは何か?
2 酸素需給バランス
3 灌流圧
4 組織低酸素の指標
2 ショックを鑑別する [熊城伶己]
1 ショックの分類と疫学
2 ショックをどのように認識・診断するか?
3 ショックをどのように鑑別するか?
4 ショックにおけるPOCUS
3 乳酸アシドーシスの鑑別 [鈴木祥太郎]
1 乳酸の歴史
2 乳酸の産生・代謝について
3 乳酸上昇の原因・分類
4 乳酸値の測定値
5 乳酸アシドーシスへのアプローチ方法
6 CO2 gapについて
CHAPTER 2 心原性ショックの診断を極める
1 心原性ショックの考え方 [川上将司]
1 心原性ショックの定義・頻度と実臨床での考え方
2 心原性ショックの臨床研究の歴史
3 SCAIによる心原性ショックの重症度分類
4 心原性ショックの血行動態を考える
2 肺動脈カテーテルで血行動態を評価する [兼田浩平]
1 PACによる血行動態モニタリングのエビデンス
2 PACから得られる主な指標
3 PAC指標の計測は呼吸時相に注意
3 心エコーで血行動態を評価する [佐藤如雄]
1 心エコーで血行動態を評価する前に
2 心エコーで心内圧を評価する
3 心エコーで心拍出量を評価する
4 心不全患者における低心拍出量症候群を診断する [三好 徹]
1 低心拍出量症候群とは何か
2 SCAIの分類
CHAPTER 3 心原性ショックの薬物療法を極める
1 輸液・血管収縮薬の考え方 [天野茂太]
1 ショックにおける輸液管理
2 ショックにおける血管収縮薬
2 強心薬・PDE3阻害薬の考え方 [坂本隆史]
1 強心作用(inotropy)の新しい概念
2 強心薬の作用機序
3 強心薬の短期的血行動態への効果
4 心原性ショックおよび急性心不全への強心薬使用の主要エビデンス
5 強心薬の投与方法と注意点
6 心原性ショック治療アルゴリズムにおける強心薬の立ち位置
7 将来展望
3 Nitric oxide吸入療法の基礎と肺高血圧症:右心不全を中心とした循環器疾患への臨床的応用について [大郷 剛]
1 吸入NOの基礎(作用機序と代謝)
2 臨床応用
3 吸入NO使用時の注意点
4 今後の方向性
CHAPTER 4 心原性ショックの補助循環を極める
1 IABP [中野宏己]
1 IABPとは
2 IABPが血行動態に与える効果
3 IABPの適応と禁忌
4 IABPの留置と管理
5 IABPのエビデンスと課題
2 Impella [細田勇人]
1 Impellaの構造と効果
2 心原性ショックにおけるImepellaのエビデンス
3 Impellaの適応
4 Impellaの管理(導入・維持・離脱)
5 心原性ショックに対する今後のImpella
3 静動脈体外式膜型人工肺 [澤田賢一郎]
1 V‒A ECMOの原理
2 V‒A ECMOの適応
3 V‒A ECMOの管理
4 ECPELLA [真玉英生]
1 V‒A ECMOの血行力学的問題点
2 エビデンス
3 適応
4 管理
5 合併症
5 心原性ショックに対する補助循環の使い方 [細田勇人]
1 各MCSの特徴を理解する
2 心原性ショックに対する補助循環の選択
6 VAD [中本 敬]
1 VADとは
2 植込み型VADの適応
3 植込み型VADを検討しVAD施設に紹介するタイミング
4 植込み型VAD装着後の合併症と予後
5 植込み型VADの標準的な管理方法
6 植込み型VAD装着後の合併症
CHAPTER 5 疾患別!心原性ショックを極める
5-1 急性冠症候群
1.急性冠症候群の冠動脈病理 [大塚文之]
1 ACSの多様な成因
2 プラーク破裂(plaque rupture)
3 プラークびらん(plaque erosion)
4 石灰化結節(calcified nodule)
2.重症心筋虚血の心電図 [池江隆志]
1 心原性ショックの必要条件
2 LADの近位部閉塞の判別
3 LMT閉塞/LMT亜閉塞/3VDについて
4 心電図変化に影響する冠動脈
5 STEMIと同様の対応が必要な特殊な心電図
3.心原性ショックを合併した急性冠症候群に対する冠動脈血行再建術 [片迫 彩]
1 循環動態の安定した多枝病変を有する急性冠症候群
2 心原性ショックを伴う多枝病変を有する急性冠症候群
4.非保護左主幹部病変による急性冠症候群の治療戦略 [川上将司]
1 非保護左主幹部病変と心原性ショック
2 非保護左主幹部病変による心原性ショックに対する血行再建
3 非保護左主幹部病変の治療戦略
5.心筋梗塞の機械的合併症(心破裂,心室中隔穿孔) [本田怜史]
1 心破裂,心室中隔穿孔の疫学
2 自由壁破裂,心室中隔穿孔の臨床像,診断,治療
3 心破裂の予防
6.右室梗塞 [小松洵也]
1 右室梗塞の概要
2 右室梗塞の血行動態
3 右室梗塞の臨床所見・診断手順
4 右室梗塞の治療
5 右室梗塞の予後
7.心タンポナーデ [津田浩佑]
1 多量の心囊液貯留≠心タンポナーデ
2 心タンポナーデの診断
3 心囊穿刺の適応と禁忌
4 心囊穿刺の手技
5 心囊穿刺の合併症
6 穿刺後の管理
5-2 劇症型心筋炎
1.劇症型心筋炎の病理学的診断 [中川頌子 大郷恵子]
1 心筋炎の分類,病因,疫学
2 心筋生検採取時の注意と検体の取り扱い
3 リンパ球性心筋炎
4 好酸球性心筋炎
5 巨細胞性心筋炎
2.劇症型心筋炎の薬物療法 [澤村昭典]
1 急性心筋炎の診断:緊急冠動脈造影・心筋生検の必要性
2 急性心筋炎の経過:急性心不全/ACSとの比較
3.劇症型心筋炎の補助循環管理 [浅海泰栄]
1 劇症型心筋炎の重症度評価
2 劇症型心筋炎における一時的機械循環補助の導入の手順・考え方
3 末梢型V—A ECMO導入後の管理のポイント
5-3 重症弁膜症
1.重症大動脈弁狭窄症・経カテーテル大動脈弁植込み術 [菅根裕紀]
1 大動脈弁狭窄症の病態・疫学
2 重症大動脈弁狭窄症合併心不全の初期対応のコツ
3 重症大動脈弁狭窄症合併心不全の治療を開始する際のイメージ
4 重症大動脈弁狭窄症合併心不全の急性期の薬物治療
5 重症大動脈弁狭窄症患者がショックや低拍出症候群となったら
6 経カテーテル大動脈弁植込み術の前に評価したいこと
7 冠動脈疾患を合併した重症大動脈弁狭窄症患者のマネジメント
2.重症大動脈弁狭窄症に対するバルーン大動脈弁形成術 [岩崎正道]
1 今日におけるBAVの位置づけ
2 緊急BAV適応症例の選択
3 緊急BAV時の実際
4 緊急BAVのエンドポイント
3.急性僧帽弁閉鎖不全症(乳頭筋断裂を含む) [門田宗之]
1 病因
2 病態生理
3 臨床徴候
4 考慮すべき主要な検査
5 治療
5-4 重症不整脈
1.頻脈性心房細動を合併する重症心不全に対する治療 [上田暢彦]
1 頻脈性心房細動による心原性ショック
2 心原性ショックを呈する頻脈性心房細動に対する治療戦略
3 薬物療法とその選択基準
4 低心機能症例に対するカテーテルアブレーションの有効性
5 カテーテルアブレーションを踏み切るタイミング
2.心室性不整脈が頻発する重症心不全に対する治療 [木村義隆]
1 心室性不整脈の診断と停止
2 可逆的原因の検索と治療
3 抗不整脈薬,ペーシング,深鎮静
4 アブレーション,補助循環
5-5 心原性ショックを呈する全身疾患
1.甲状腺クリーゼ [木田佳子]
1 甲状腺クリーゼの病態・疫学
2 甲状腺クリーゼの症状
3 甲状腺クリーゼの診断
4 心原性ショックに陥るメカニズム
5 甲状腺クリーゼの治療
2.敗血症性心筋症 [下薗崇宏]
1 敗血症性ショックに対する循環管理の基本コンセプト
2 敗血症性心筋症の診断基準
3 敗血症性心筋症の疫学
4 敗血症性心筋症の病態生理
5 敗血症性心筋症の診断
6 敗血症性心筋症を併発した敗血症性ショックに対する循環管理
CHAPTER 6 まずはここから!循環器集中治療を実践する
1 重症心不全患者の痛み・不穏・せん妄の管理 [桑野公輔]
1 鎮痛鎮静の目的
2 痛みに対するアプローチ
3 せん妄に対するアプローチ
4 不穏に対するアプローチ
5 重症心不全患者に対する鎮痛鎮静
6 虚血性心疾患患者に対する鎮痛鎮静
7 不整脈を伴う心疾患患者に対する鎮痛鎮静
8 心停止蘇生後患者に対する鎮痛鎮静
2 重症心不全患者の栄養の管理 [岡崎結愛 宮島 功]
1 経腸栄養
2 早期経腸栄養
3 静脈栄養
4 近森病院では
3 重症心不全患者の意思決定支援 [大石醒悟]
1 集中治療室における意思決定支援
2 ACP(advance care planning)に基づく方針決定とその障壁
3 臨床倫理の原則と臨床倫理の4分割法
4 侵襲的治療の中止および差し控え
5 集中治療室におけるバーンアウト
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書籍情報
- ISBN:9784498136847
- ページ数:236頁
- 書籍発行日:2024年3月
- 電子版発売日:2024年2月27日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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