• ページ数 : 300頁
  • 書籍発行日 : 2024年3月
  • 電子版発売日 : 2024年3月5日
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商品情報

内容

脳神経領域でいま一番注目すべきトピックを,それぞれの第一人者による解説で!

脳神経科学分野のエキスパートたちが内外の文献を踏まえてその年の最注目トピックを厳選し,解説する好評シリーズの2024年版がいよいよ登場. 未診断疾患イニシアチブ(IRUD)の現状と展望,プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究,COVID-19の神経筋症状・COVID-19後神経症状,など臨床と研究に役立つ最先端の研究を幅広くキャッチアップできる,今年も見逃せない1冊!

序文


新型コロナウイルス感染症は2023年5月に5類移行の扱いとなり,この4年にわたる人類と感染症との闘いはワクチンや治療薬の開発を経て新たな局面に入っている.巷間のマスク着用者も医療・介護関係者が多いように邪推されるが,学会などの学術活動も次第にpandemic前に戻りつつある昨今である.一方,国際的な紛争は果てしなく続いており,また天変地異も繰り返し発生している混乱の中ではあるが,神経科学・臨床神経学は着実に進歩しており,当該領域の古典的概念の見直しや革新的な治療開発などは枚挙にいとまがない.

本書Annual Review神経がBasic Neuroscience,本年の動向,各種疾患の三つの章から構成されるスタイルは発刊時から一貫している.この2024年版でも「感覚視床の発達」,「DNA損傷の修復と神経変性」,「拡散MRI調和法」(Basic Neuroscience),「中枢神経系とメカノバイオロジー」,「がんと脳卒中の併発」(本年の動向),「疾患感受性遺伝子RNF213」,「スモンの現状」,「COVID—19の病態」(各種疾患)など,日常臨床に役立つ最新情報や病態生理から治療にいたるまでの様々な話題が,神経内科・脳神経外科の関わる幅広い領域から取り上げられている.

科学論文のレビューは神経科学に限らず学術活動の基本であることは論を俟たないが,最近驚異的な進歩を遂げている人工知能AIがこの作業にも参画する見通しはいかがであろうか.ためしに「神経科学,レビュー,2024年」でChatGPTに質問してみると,「残念ながら,私の訓練データには2022年までの情報しか含まれておらず,2024年の特定の神経学の総説については直接提供することができません.(中略)2024年の神経学に関する最新の情報や総説について知りたい場合は,最新の医学書,学術論文,専門誌,または信頼性のあるウェブサイトで情報を入手することをお勧めします.大学や研究機関のウェブサイト,PubMed,または専門の医学出版社などが良い情報源となります.(後略)」との返事であった.すなわち現時点でこのAnnual Review神経が発出している情報は,まだしばらくはAIの能力が及ばない知見の選択・集約能力と即時性から作り出されたものであると言えるかもしれないのである.

本誌の編集方針が,脳神経を専門とする研究者・臨床医に支持されて必読の伝統書籍との高評価を頂いていることは編集者一同の喜びとするところであり,また引き続き本書の理念を実践すべくきめ細かい編集企画を継続する責任を感じ,身の引き締まる思いでもある.終わりにあたり,ご多忙の中ご執筆いただいた先生方に深甚なる謝意を述べて巻頭の序としたい.


2024年3月

編集者一同

目次

I. Basic Neuroscience

1.神経生理

1 マイクロワイヤブラシアレイ電極による長期間多点神経活動記録の基礎と実際〈小谷野賢治〉

MBAの特徴と使用の基礎  長期記録の実際と学習・視覚研究への応用

多点神経細胞活動記録による協調活動解析の実際

fMRI同時記録による全脳活動との関連の実際  長期間留置による複数プロジェクト使用の実際

2 感覚視床の発達 〈中山寿子 宮田麻理子〉

感覚視床の入出力投射  感覚視床—大脳皮質間投射の発達制御機構

体性感覚を中継する後内側腹側核(VPM核)への入力投射の生後発達

2.神経病理

1 パーキンソン病の運動障害と黒質のドパミン神経細胞体の変性との関連〈澤本伸克〉

PDにおける線条体のドパミン神経終末の変性  PDにおける黒質のドパミン神経細胞体の変性

線条体のドパミン神経終末および黒質のドパミン神経細胞体の変性と運動症候との関係

2 薬剤誘発性ジスキネジアと淡蒼球内節に関する研究動向〈西嶌春生 中村崇志 冨山誠彦〉

L—ドパ誘発ジスキネジア  遅発性ジスキネジアと淡蒼球内節

3.生化学(分子生物学)

1 未診断疾患イニシアチブ(IRUD)の現状と展望 〈高橋祐二 水澤英洋〉

未診断疾患イニシアチブIRUD  IRUDの研究実施体制  IRUDの成果  IRUD Beyond

2 DNA損傷の修復と神経変性 〈藤田慶大 岡澤 均〉

DNA損傷修復不全と神経変性  DNA損傷と遺伝子発現および細胞死

4.画像

1 αシヌクレイン病変をとらえるPET薬剤の開発 〈松岡 究 樋口真人〉

神経変性疾患とタンパク質病変  αシヌクレイン病変可視化の必要性

αシヌクレイン病変を対象としたPET薬剤の開発状況

18F—SPAL—T—06 PETによるαシヌクレイン病変の可視化

2 拡散MRI調和法による神経変性疾患評価 〈鎌形康司 斎藤勇哉 青木茂樹〉

調和手法  多施設拡散MRIデータへの応用  今後の展望

II. 本年の動向

1 自己免疫性自律神経障害の全国調査,診断基準策定,国際的な総意形成〈中根俊成 廣澤宏昭 中辻裕司〉

全国調査  診断基準策定に向けて:3疾患の一次調査組入基準と調査のこれから  国際的な総意形成

2 ヒト由来ミクログリア細胞モデルを用いた精神神経疾患研究 〈扇谷昌宏〉

ヒト検体の重要性  ミクログリア  ヒトのミクログリアモデル細胞

3 中枢神経系とメカノバイオロジー 〈寺尾安生〉

メカノバイオロジーとは  神経のメカノバイオロジーに関わる分子  神経疾患とメカノバイオロジー

超音波刺激とメカノバイオロジー  神経可塑性のメカノバイオロジー

4 アミロイド関連画像異常(ARIA) 〈中野博人 小野賢二郎〉

ADの治療開発  Amyloid—related imaging abnormality(ARIA)

ARIAの病態  各抗Aβ抗体製剤ごとのARIAの発生状況  ARIA発症前後の対応

5 SOD1変異ALSに対する核酸医薬 〈伊藤大輔 佐橋健太郎 勝野雅央〉

人工核酸  治療への核酸応用  Tofersenの臨床応用

6 新規RNA標的医薬品の研究開発 〈三浦元輝 横田隆徳〉

核酸医薬  低分子医薬  タンパク質

7 本邦における脊髄髄内腫瘍の治療:現状と展望 〈遠藤俊毅〉

脊髄上衣腫  脊髄血管芽腫  海綿状血管腫  星細胞腫  

展望:遺伝子診断とその役割  まとめ

8 がんと脳卒中の併発例に対する領域横断的コンセンサス形成の必要性〈河野浩之 平野照之〉

Stroke oncology(腫瘍脳卒中学)  両疾患の関係(疫学)  両疾患の関係(病態)  検査

がん合併脳梗塞症例の急性期治療  がん併発脳梗塞症例の再発予防と生命予後  まとめ

III. 各種疾患

1.感染症・炎症疾患

1 パーキンソン病と腸内細菌 〈平山正昭〉

LBDにおける腸内細菌叢解析  RBDにおける腸内細菌叢(16S rRNAシーケンス)

DLBにおける腸内細菌叢(16S rRNAシーケンス)  以上から導かれる腸内細菌とLBDの関係

2 プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班の紹介〈高尾昌樹 三浦義治 細矢光亮〉

研究班の必要性  診療ガイドライン  研究班の活動  まとめ

2.脳血管障害

1 脳梗塞後の炎症と修復を制御する脂質代謝 〈中村彩夏 七田 崇〉

脳における脂質の役割  脳梗塞における炎症と脂質代謝  脳梗塞後の炎症の収束と脂質代謝

脳梗塞後の神経修復と脂質代謝

2 疾患感受性遺伝子RNF213:RNF213関連血管症 〈猪原匡史〉

RNF213遺伝子の機能  RNF213遺伝子と頭頸部血管疾患

RNF213遺伝子と他の血管疾患  今後の展望

3 遺伝性疾患研究からみえてきた脳小血管病の治療戦略―CARASILモデル動物におけるマトリソーム蓄積の抑制 〈加藤泰介〉

単一遺伝性脳小血管病とマトリソーム

脳小血管病治療戦略としてのマトリソームタンパク質蓄積抑制効果  今後の課題

4 脳動脈瘤の発生・破裂メカニズム 〈池堂太一 片岡大治〉

血管形状からのアプローチ  CFD解析によるアプローチ  

血行力学的負荷による微小環境変化

5 血栓回収療法の現状と展望 〈森山拓也 山上 宏〉

静注血栓溶解療法と血栓回収療法の併用  脳底動脈閉塞例に対する血管内治療

広範囲虚血病変を有する脳梗塞に対する血管内治療

3.脳腫瘍

1 シークエンス解析を用いた脳腫瘍の分類と髄芽腫の病態解明 〈鈴木啓道〉

DNAメチル化に基づく脳腫瘍分類と新規疾患

髄芽腫におけるCBFA複合体異常の発見と病態解明  今後の展望

2 中枢神経系原発悪性リンパ腫の分子病態と治療 〈佐々木重嘉 永根基雄〉

寛解導入療法  地固め療法  維持療法  サルベージ治療

4.外傷

1 慢性硬膜下血腫はどこまでわかっているのか 〈平井 聡〉

慢性硬膜下血腫についての最近の疫学  手術法・術後管理について

内服薬について  再発因子について  炎症性因子について  まとめ

2 頭部外傷における凝固線溶障害 〈中江竜太 横堀將司〉

病態  凝固線溶障害と予後  高齢者頭部外傷における凝固線溶障害

小児頭部外傷における凝固線溶障害  頭部外傷後の凝固線溶障害に対する治療  今後の展望

5.変性疾患

1 パーキンソン病の病態進展と甲状腺 〈斉木臣二〉

甲状腺機能変化による神経系合併症について  甲状腺機能とパーキンソン病(PD)

6.中毒・代謝疾患

1 スモンの現状 〈久留 聡〉

臨床  感受性遺伝子研究  キノホルム毒性機序研究  今後の展望

7.脱髄・免疫性疾患

1 本邦におけるMOG抗体関連疾患の疫学と実態 〈中村正史 中島一郎〉

本邦におけるMOGADの疫学と実態

2 抗代謝型グルタミン酸受容体1型脳炎 〈吉倉延亮 木村暁夫 下畑享良〉

病態機序  臨床症候  検査所見  治療と予後

8.末梢神経障害

1 化学療法による薬剤性ニューロパチー 〈三澤園子〉

化学療法による薬剤性ニューロパチーの基礎知識  CIPNにおけるアンメットニーズ  最近の進歩

2 CIDPの各病型の病態と治療展望(nodopathyを含める) 〈飯島正博〉

CIDPの診断基準とoverdiagnosis/underdiagnosis  Autoimmune nodopathyとIgG4サブクラス自己抗体

維持治療に関する最近の知見  CIDP新規作用機序による治療の開発

CIDPの病型,疾患活動性や治療反応性のバイオマーカー  今後の展望

9.神経筋疾患

1 自己免疫性筋炎研究の進歩 〈鈴木重明〉

免疫介在性壊死性ミオパチー  抗合成酵素症候群  皮膚筋炎  今後の展望

2 筋ジストロフィーの標準的医療 〈松村 剛〉

正確な診断の重要性  リハビリテーション  治療薬の導入  呼吸ケア

心筋障害治療  ドラッグ・ロスを防ぐために

10.自律神経疾患

1 体温調節と発熱惹起を担う視索前野ニューロン 〈中村佳子 中村和弘〉

EP3ニューロンは暑熱環境で活性化する  EP3ニューロンは体温を上下自在にコントロールする

EP3ニューロンが放出する神経伝達物質  EP3ニューロンによる体温調節と暑熱耐性のメカニズム

まとめと今後の展望

2 運動ニューロン疾患における自律神経障害と機能回復〈狩野 修 森岡治美 平山剛久〉

運動ニューロン疾患における非運動症状  運動ニューロン疾患における自律神経障害

自律神経障害を呈したALS患者の病理所見  ALS患者に対するサイバニック治療  今後の展望

11.機能性疾患

1 てんかんにおける遺伝子の役割 〈服部秀則 福山孝治 岡田元宏〉

ADSHEの概略  ADSHEの病態解析(in vitro)  ADSHEの病態解析(in vivo)

ADSHE病態におけるCHRNA4/CHRNB2遺伝子変異のインパクト

S286Lトランスジェニックラットを用いたADSHE病態解析  今後の課題

2 乳幼児歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症 〈早川 格〉

DRPLAの疫学の最近の動向  発症年齢と臨床病型についての研究の動向

乳幼児型DRPLAの歴史と最近の動向  乳幼児型DRPLAの臨床像・検査所見

乳幼児型DRPLAの遺伝カウンセリング  CHEDDA症候群  まとめと今後の展望

12.機能的脳神経外科

1 絞扼性末梢神経疾患治療の現況と展望 〈金 景成 井手口稔 井須豊彦〉

手根管症候群  殿皮神経障害  足根管症候群  その他  

今後の展望

2 淡蒼球視床路(pallidothalamic tract)に対する手術 〈平 孝臣 堀澤士朗 金 吉秀〉

手術方法  臨床効果  運動障害以外への効果

13.COVID—19

1 COVID—19とlong COVIDの神経筋症状と病態機序 〈中嶋秀人〉

COVID—19の神経筋症状  COVID—19の神経合併症  Long COVIDの神経筋症状と頻度

COVID—19軽症者・オミクロン株とlong COVID  Long COVIDの病態

Long COVIDのリスクと治療  今後の課題

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書籍情報

  • ISBN:9784498428089
  • ページ数:300頁
  • 書籍発行日:2024年3月
  • 電子版発売日:2024年3月5日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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