リハビリテーション統計学 第2版<15レクチャーシリーズリハビリテーションテキスト>

石川 朗 (総編集) / 対馬 栄輝 (責任編集) / 中山書店

  • ページ数 : 168頁
  • 書籍発行日 : 2024年3月
  • 電子版発売日 : 2024年3月12日
2,860
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商品情報

内容

疾病を患った人の集団を治療や研究の対象とする医学では,経験や実験を繰り返すことで生まれた経験則を,数値で表す工夫をしてデータにし,統計学の力を借りて効果があった/なかったという客観的な判断を行う.こうして活用される統計学について,リハビリテーションの臨床に役立つ基本的な内容で構成されているため,必要なときに独学の資料としても多用できるテキストである.第2版では,記載を見直すとともに,全4色とした.

序文

序文(第2版)


平均や中央値という用語は,聞いたことがある人も多いと思います.日常生活では,平均という用語を使う機会も多いので,意味についても理解していると思います.「大学生の私は,先月に使ったお小遣いが1日平均1,500円,今月は1日平均1,000円ぐらいだった」といえば,今月は節約したことがわかります.

しかし,これから述べる統計学では,この日常的な感覚で平均や確率を考えると,ややこしいことが起こります.「私は1日平均1,000円使っていたけど,他の大学生も1日平均1,000円使うのかな?」と思い,周りの同級生を100人調査してみたら,100人分の使ったお小遣いの1日平均は約1,200円だったとします.「日本の大学生は1日平均1,200円ぐらい使うのか」と考えるかもしれません.しかし,日本の大学生全部を調べなければ,真の金額はわかりません.日本全国の大学生を母集団,日本全国の平均を母平均と呼びます.大学生100人分の平均は標本平均といって区別するのです.この標本平均の数値を使って,母平均を推定するのが本書で述べる統計学になります.

医療に携わる者は,主に疾病を患った人を対象とします.リハビリテーションでは,頻繁に脳卒中患者や骨折患者などを対象とします.脳卒中患者は「早期離床によって廃用症候群が防げる」とか,術後の骨折患者に対して「関節可動域運動をすれば関節拘縮が防げる」などの理論に裏付けられた経験則があります.しかし,この経験則は先人の豊富な経験から生まれたものもありましょうが,大半は「数名の脳卒中患者に対して早期離床を試みたら,早期離床しない人に比べて廃用症候群が起こり難い」という研究成果をもとにして,「他の脳卒中患者でも同じ結果になるのではないか」と推測するわけです.“早期離床”や“廃用症候群”を客観的な数値で表す工夫をしてデータにし,統計学の力を借りて効果があった,なかったという客観的な判断ができるわけです.こうした意味で,ほとんどの研究で統計学が活用されています.

本書のLecture 11以降は,高度なレベルの統計手法を解説しています.具体的に統計解析を行っていないのであれば十分理解する必要はなく,ある程度の理解で十分です.可能であれば,具体的にパソコン用の統計ソフトウェアを使用して解析を体験してみることも推奨します.


2024年1月

責任編集 対馬栄輝

目次

LECTURE 1 統計学の基礎 (対馬栄輝)

1.統計学の概略

2.統計解析の必要性

3.統計解析の理解

Step up 統計学の基礎事項

小問題

LECTURE 2 データの尺度・特性値・グラフ (國澤洋介・師岡祐輔)

1.データの尺度

2.特性値

3.グラフ

Step up

1.尺度分類の判断

2.特別な尺度

小問題

LECTURE 3 推定と検定の基礎 (対馬栄輝)

1.推定と検定

2.検定の概略

3.検定の実際

Step up 効果量

小問題

LECTURE 4 2標本の差の検定-パラメトリック法(1) (五嶋裕子)

1.差の検定

2.2標本の差の検定

3.2標本t検定を行う手順

4.2標本t検定の例

5.ウェルチの検定

6.適用の注意点

Step up

1.順序尺度のデータに対するパラメトリック法

2.両側検定を選ぶ根拠

3.第Ⅰ種の過誤と第Ⅱ種の過誤

小問題

LECTURE 5 1標本の差の検定-パラメトリック法(2) (五嶋裕子)

1.1標本の差の検定

2.対応ありと対応なしの違い

3.対応のあるt 検定を行う手順

4.対応のあるt 検定の例

5.母平均の差の検定

6.適用の注意点

Step up 効果量の種類

小問題

LECTURE 6 差の検定-ノンパラメトリック法 (國澤洋介・師岡祐輔)

1.ノンパラメトリック法の適用

2.マン・ホイットニーの検定

3.マン・ホイットニーの検定の例

4.ウィルコクソンの検定

5.ウィルコクソンの検定の例

6.ノンパラメトリック法による結果の解釈における注意点

Step up

1.差の検定の選択手順

2.ノンパラメトリック法による差の検定で必要な標本の大きさ(n)と効果量の関係

小問題

LECTURE 7 相関 (対馬栄輝)

1.相関とは

2.相関係数

3.相関の検定と相関係数を求める手順

4.相関の検定と相関係数を求める例

5.適用の注意点

Step up

1.擬似相関

2.交絡と交絡因子

小問題

LECTURE 8 回帰分析 (藤田ひとみ)

1.回帰分析の概略

2.相関と回帰の違い

3.回帰式

4.回帰分析の手順

5.回帰分析の例

6.回帰分析を行う場合の注意点

Step up

1.2変量が正規分布していない場合の考え方-対数変換

2.統計的有意性と臨床的意義

小問題

LECTURE 9 重回帰分析 (高倉保幸)

1.重回帰分析の概略

2.重回帰式

3.重回帰分析の手順

4.重回帰分析の例

5.重回帰分析における注意点

Step up 名義尺度のダミー変数化

小問題

LECTURE 10 分割表の検定 (高倉保幸)

1.分割表の概略

2.分割表の作成

3.分割表の検定

4.分割表の検定の例

5.分割表の検定における注意点

Step up

1.期待度数の補正

2.調整ずみ残差

3.対応のある検定-マクネマー検定

小問題

LECTURE 11 一元配置分散分析 (石田水里)

1.一元配置分散分析の概略

2.一元配置分散分析の基礎事項

3.多重比較法

4.一元配置分散分析の例

5.適用と結果記載の注意点

Step up 二元配置分散分析

小問題

LECTURE 12 反復測定の分散分析 (石田水里)

1.反復測定の分散分析の概略

2.反復測定の分散分析の基礎事項

3.多重比較法

4.反復測定の分散分析の例

5.適用と結果記載の注意点

Step up 分割プロットデザインによる分散分析

小問題

LECTURE 13 信頼性係数 (対馬栄輝)

1.信頼性

2.信頼性係数

3.ブランド・オルトマンプロット

4.信頼性係数を用いた解析の例

Step up

1.ICC(3,1)

2.信頼性を求めた後の対応

小問題

LECTURE 14 多重ロジスティック回帰分析 (対馬栄輝)

1.多重ロジスティック回帰分析の概略

2.多重ロジスティック回帰分析の基礎事項

3.多重ロジスティック回帰分析の例

4.適用の注意点

Step up

1.判別分析

2.ロジスティック回帰分析に関連したほかの手法

小問題

LECTURE 15 検査値の判断指標 (対馬栄輝)

1.感度・特異度とは何か

2.陽性的中率と陰性的中率とは何か

3.ROC 曲線とは

4.ROC 曲線とカットオフ値を求める例

5.適用の注意点

Step up

1.リスク比とオッズ比

2.陽性尤度比,陰性尤度比

小問題

小問題の解答

TEST 試験 (対馬栄輝)

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書籍情報

  • ISBN:9784521749907
  • ページ数:168頁
  • 書籍発行日:2024年3月
  • 電子版発売日:2024年3月12日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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