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INTESTINE 2019 Vol.23 No.6 全身性疾患における腸管病変-腸管ベーチェット病とその鑑別疾患
商品情報
内容
序説
Ⅰ.腸管ベーチェット病の疫学と診断基準
Ⅱ.話題提供-腸管ベーチェット病の診療ガイドラインについて
Ⅲ.腸管ベーチェット病の治療
Ⅳ.腸管ベーチェット病の鑑別疾患
(1)単純性潰瘍・trisomy 8 の腸病変-腸管ベーチェット病との異同
(2)サイトメガロウイルス腸炎
(3)家族性地中海熱関連腸炎
(4)Chronic enteropathy associated with SLCO2A1 gene(CEAS)とcryptogenic multifocal ulcerous stenosing enteritis(CMUSE)
(5)NSAIDs 起因性小腸病変
(6)膠原病・血管炎に伴う腸病変
ほか
序文
序説
小腸バルーン内視鏡やカプセル内視鏡の発達により,以前は暗黒の臓器とされていた小腸を直接観察することができるようになった.このような背景から,他の診療科からの依頼で全身性疾患患者の消化管病変に遭遇する機会が増えたと思う.
小腸を含めた下部消化管の炎症性疾患にはその代表であるIBD(クローン病,潰瘍性大腸炎)のほかにも,ベーチェット病,膠原病や血管炎に伴う消化管病変, プロスタグランジン関連腸症(CEAS,CMUSE)などさまざまな全身性疾患に伴う消化管病変が含まれる.本号のテーマとして腸管ベーチェット病を基軸として,これと鑑別が必要な全身性疾患に伴う下部消化管病変に焦点を当てた.
小腸を含めた下部消化管の炎症性疾患にはその代表であるIBD(クローン病,潰瘍性大腸炎)のほかにも,ベーチa全身性疾患において腸管病変を把握することは診断のみならず予後予測と治療方針の決定に重要である.腸管ベーチェット病の診断はベーチェット病患者の予後予測と治療方針の決定に大きく影響する.ベーチェット病患者において腸管病変の存在は穿孔や出血による緊急手術(腸管切除)のリスクとなり,抗TNFα抗体製剤治療の導入も視野に入れなければならない.一方腸管ベーチェット病のマネージメントはしばしば複雑で,腸管病変以外の症状を同時にコントロールするためには,全身性疾患としての腸管ベーチェット病という視点をもち他の診療科との連携をはからなければならない.また腸管ベーチェット病と鑑別が必要な疾患として,単純性潰瘍とtrisomy 8 に伴う消化管病変がある.これらの疾患間の病態生理学的な相違点はまだ完全に解明されていないが,薬物治療抵抗性を含めた臨床的予後予測にはこれらの疾患の鑑別は重要である.これらを含めて腸管ベーチェット病については新たな診療ガイドラインの作成が進んでおり,それについても本号では解説されている.ェット病,膠原病や血管炎に伴う消化管病変, プロスタグランジン関連腸症(CEAS,CMUSE)などさまざまな全身性疾患に伴う消化管病変が含まれる.本号のテーマとして腸管ベーチェット病を基軸として,これと鑑別が必要な全身性疾患に伴う下部消化管病変に焦点を当てた.
プロスタグランジン代謝・輸送と関係すると想定されているCEAS(chronic enteropathy associatedwith SLCO2A1 gene)やCMUSE(cryptogenicmultifocal ulcerous stenosing enteritis)の診断には臨床経過,家族歴とともに内視鏡所見が重要である.とくにCEAS では斜走する比較的浅い潰瘍が特徴で,確定診断には内視鏡下生検組織を用いたSLCO2A1 蛋白の免疫組織化学とSLCO2A1遺伝子のゲノム解析が行われる.CEAS やCMUSEはとくに小腸型クローン病や腸管ベーチェット病との鑑別が重要で,分子標的治療薬による免疫抑制治療に抵抗性である.またCEAS に類似の内視鏡所見を呈するものにNSAIDs enteropathy があり小腸粘膜におけるプロスタグランジン代謝の重要性を示しているものと考えられる.
家族性地中海熱(MEFV)関連腸炎は新しい疾患概念であり,現在,さまざまな施設から症例が集積している.疾患の定義,内視鏡所見を含めた臨床像をこれから明確にしていかなければならないが,病態的にはベーチェット病などの自己炎症性疾患に含まれるのではないかと考えられる.もっとも重要なことはMEFV 関連腸炎の患者ではコルヒチンが有効であるということである.治療抵抗性IBD の中にコルヒチンが有効なMEFV関連腸炎が紛れ込んでいる可能性は高く,その鑑別は大きなインパクトをもつと思われる.
サイトメガロウイルス腸炎は免疫不全患者や免疫抑制治療を受けているIBD 患者で問題になる.とくにIBD 患者ではサイトメガロウイルス感染をbystander infection なのか病態増悪因子として考えるのかで治療方針は大きく変わってくる.しかし,その診断は必ずしも容易ではなく,サイトメガロウイルス感染のメカニズムまで含めた理解が必要となる.
全身性疾患である膠原病に伴う多彩な消化管病変をしばしば経験する.それらは腸管ベーチェット病やIBD に類似していることもあれば,どの疾患にも当てはまらない所見を呈することもある.その相違点を整理することは消化管炎症性疾患の病態を理解することにつながり,免疫抑制治療の適応などを考えるうえで役立つに違いない.
今回の特集では,それぞれの章を個別に読むことで各疾患について深い知識を得ることができると思うが,さらに各疾患の類似性や相違点にも着目してほしい.病変の分布や内視鏡所見の類似性は病態そのものの類似性を示唆している可能性がある.逆に臨床経過や内視鏡所見の違いはその病態の違いを示しているかもしれない.小腸を含めて全消化管が直接観察できる時代になった今だからこそ,解剖学や形態学を整理し複雑な消化管炎症性疾患の病態と結びつける作業が必要だと考えている.
本号が読者の先生方の日常臨床に役立ってくれたら嬉しい.最後にご多忙のなか,各テーマをご執筆いただいた先生方に深謝し序説とする.
Department of Gastroenterology and Hepatology, Kyorin University School of Medicine
杏林大学医学部消化器内科学
久松 理一
目次
序説
Ⅰ.腸管ベーチェット病の疫学と診断基準
Ⅱ.話題提供─ 腸管ベーチェット病の診療ガイドラインについて
Ⅲ.腸管ベーチェット病の治療
Ⅳ.腸管ベーチェット病の鑑別疾患
(1)単純性潰瘍・trisomy 8の腸病変─ 腸管ベーチェット病との異同
(2)サイトメガロウイルス腸炎
(3)家族性地中海熱関連腸炎
(4)Chronic enteropathy associated with SLCO2A1 gene( CEAS)とcryptogenic multifocal ulcerous stenosing enteritis(CMUSE)
(5)NSAIDs 起因性小腸病変
(6)膠原病・血管炎に伴う腸病変
TOPICS ─文献紹介
大腸微小ポリープに対するJumbo鉗子を用いたcold forceps polypectomyの局所再発に関する多施設共同前向きコホート研究
松かさ・絨毛所見は潰瘍性大腸炎関連大腸癌またはdysplasiaを示唆する内視鏡所見である
第23巻総目次・著者索引・Key word索引
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