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- パーキンソン病治療Controversy
商品情報
内容
世界中で増加傾向のあるパーキンソン病は,超高齢化を迎える本邦では社会的にも大きな問題となっている.専門家だけでは対応が追い付かない状況に加え,多岐に渡る症状に専門の医師でさえ苦慮することが少なくない.そこで本書では,ガイドラインには載っていないが日常診療で比較的よく遭遇し,議論が分かれる状況をピックアップして解説した.エキスパートならどう対応するのか,経験を踏まえた実践的な方法が詰まった1冊だ.
序文
序文
人口の高齢化に伴い高齢者に多い疾患であるパーキンソン病は世界中で増加し続けている.そしてこうした増加を背景にPDパンデミックという言葉が提唱されるに至っている.特に本邦では諸外国に先駆けて高齢化が進行し,全人口に占める65歳以上の割合を示す高齢化率はここ40年で概ね3倍に増加し,現在30%近くまで進んでいる.これに伴ってパーキンソン病患者数も増加の一途をたどっており,もはや一部の専門家だけでは対応しきれなくなっている.しかしパーキンソン病は運動症状のみならず多彩な非運動症状も呈することもあり,中々治療が奏効せずに診療に苦慮することも少なくない.
本書ではパーキンソン病の日常診療でしばしば経験するものの,その対応に議論が分かれるポイントを選択して取り上げている.パーキンソン病治療の標準的な考え方はもちろん診療ガイドラインに記載されている.近年EBMの重要性が強調され,診療ガイドラインはエビデンスに基づいた厳密な手順に沿って作成される.しかしパーキンソン病にはエビデンスが乏しいが対処を求められる問題が少なくない.またガイドラインを構成するエビデンスが大部分,65歳以下を対象とした治療介入試験であり,現在大多数を占める65歳以上のパーキンソン病症例を対象としたエビデンスは極めて限られているのが現状である.こうした中で診療現場では手探りの診療を進めざるを得ない状況に陥っている.
また新たな内服薬とともにデバイス補助療法の選択肢も増えたが,どの様な場合にどの様な症例に適用すべきかの判断に迷う場合が少なくない.これらもまた十分なエビデンスのないまま現場での対応に任されている現状がある.本書の執筆は編者が信頼する各エキスパートの先生方にお願いした.記載された内容はいずれも診療現場で直ぐに役立つ内容であると信じる.一人でも多くの患者さんの診療に役立てて頂けることを切に願っている.
2024年3月
春の日差しを感じる仙台にて
武田 篤
目次
I 早期治療
1 最初にL-ドパで治療を開始するのはどのようなときに避けるべきか? 武田 篤
2 どんなときにDAアゴニスト,MAOBIが選択されるのか? 武田 篤
3 アマンタジン,抗コリン薬は必要ないのか? 渡辺宏久,水谷泰彰,伊藤瑞規
4 早期の運動療法に意義はあるか? 市川 忠
II 進行期治療
1 DBSはどんな時に導入するのか? タイミングは早い方がよいのか? 下 泰司,中島明日香
2 LCIGやL-ドパ皮下注薬は認知機能低下があっても導入可能か? 池中建介
3 ジスキネジアの治療はどうするのか? アマンタジンは有効か? 冨山誠彦
4 オン時のすくみ足に対する治療はあるのか? 冨山誠彦
5 転倒を繰り返すケースにはどう対処するか? 市川 忠
III 非運動症状
1 頻尿の治療をどうするのか? 榊原隆次
2 起立性低血圧にどう対処するか? 中村友彦
3 難治性便秘にどう対処するか? 榊原隆次
4 痛みにどう対処するか? 中村友彦
5 PDに伴う抑うつの治療に抗うつ薬は有効か? 齊藤勇二,?橋一司
6 衝動制御障害をどう治療するか? 齊藤勇二,?橋一司
7 睡眠障害(日中の傾眠,夜間不眠,RBDなど)にどう対処するか? 渡辺宏久,水谷泰彰,伊藤瑞規
IV 認知症
1 PD認知症に薬物療法は有効か? 馬場 徹
2 幻覚や妄想が出現したらどう対処するか? 馬場 徹
3 認知症が進んだ場合,運動症状をどの程度まで治療すべきか? 前田哲也
V 新規治療
1 遺伝子治療やiPS細胞治療は今後期待できるのか? 波田野 琢,服部信孝
2 機能的脳神経外科治療(FN)は今後新たな展開が期待できるのか? 中島明日香,下 泰司
3 疾患修飾療法は実現可能か? 波田野 琢,服部信孝
VI 後期医療
1 多職種連携に意味があるか? 関 守信
2 誤嚥性肺炎をどう予防・治療するか? 手塚俊樹,関 守信
3 誤嚥防止術はどのようなときに選択されるか? 平野 愛
4 栄養管理をどうしていくべきか? 飯嶋 睦
5 胃瘻や気管切開はどのような場合に進めるかべきか? 飯嶋 睦,武田 篤
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書籍情報
- ISBN:9784498428140
- ページ数:190頁
- 書籍発行日:2024年5月
- 電子版発売日:2024年5月10日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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