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- 脳梗塞診療読本 第4版
商品情報
内容
脳梗塞診療の基本からアドバンスまで、専門医を目指す神経内科医師,脳神経外科医師.脳梗塞の診療に携わる後期研修医から入局5〜10年目の医師までを対象に解説した脳梗塞診療のバイブル的書籍の全面改訂!最新のガイドラインを反映するのはもちろん,超音波診断や急性期リハビリ,脳保護療法と細胞治療,構造的心疾患カテーテル治療など最新のトピックスを追加.気鋭のエキスパートによる活きた知識を1冊で.
序文
序文
私が国立循環器病研究センターで,脳血管障害の道を歩み始めてから35年がたった.この間,道標(みちしるべ)ともいうべき何冊かの書籍に出会った.亀山正邦(編)「脳卒中のすべて第2版」(南江堂),田川皓一(編)「脳卒中の神経症候学」(西村書店)などである.自らが携わった成書も少なからずある.山口武典ほか(編)「脳卒中学」(医学書院),峰松一夫・由谷一夫(編)「心原性脳塞栓症」(医学書院)の2冊は特に力を込めた.
冒頭に挙げた「脳卒中のすべて第2版」は,特に隅から隅まで読み込んだ教科書である.執筆陣には,当時の脳卒中学会を代表する先生方が名を連ねていた.この本は,温故知新,今でも新しいアイデアを与えてくれる.
昨今の脳卒中医学・医療の進歩は驚くほど速い.IT技術の進歩で,最新かつ大量の情報を得ることも容易になった.キーワードを打ち込めば,簡単に情報を入手でき,最新文献へのアクセスも容易である.既存情報をコピペ(Copy & Paste)したマニュアル本が氾濫し,分厚い書籍は作る側からも,また読む側からも敬遠されがちである.
そんな時代に,私の後任の脳血管内科部長,豊田一則君が,「脳梗塞診療読本」(中外医学社)を編集・執筆してくれた.私自身も監修者として関与した「SCUルールブック」,「脳卒中レジデントマニュアル」の上級編とのことである.執筆陣は,今の脳卒中学会を代表する若き精鋭たちばかりである…ああこれは,私が約35年前に手にした「脳卒中のすべて第2版」と同じだ.
脳卒中診療の最前線で戦う若き戦士たちが,一人でも多く本書に出会い,自らの今後の道標としてほしい.執筆者も,読者も,35年後に本書を手にし,改めて新たな感動を覚えることができればと願う.本書はそれだけのポテンシャルを持っている.
桃李もの言わざれども下自ずから蹊(みち)を成す (司馬遷「史記」)
平成26年2月
国立循環器病研究センター 副院長
日本脳卒中学会・日本神経学会 理事
(現 日本脳卒中協会理事長/国立循環器病研究センター名誉院長)
峰松一夫
序文
中外医学社編集部から声をかけていただき,分担執筆者と協力して「脳梗塞診療読本」初版を作ってから,ちょうど10年たちます.10年前,平成26年のはじめに私たちはどんな脳卒中医療を行っていたでしょう.ステントレトリーバーは急性期脳梗塞に薬事承認されるも,まだ保険償還されておらず.新規経口抗凝固薬が少しずつ市場に増えてきたが,ワルファリンを超える使用には至らず.急性期脳出血患者への降圧目標は相変わらず180 mmHg未満.脳卒中対策基本法の法制化を目指すも,毎年跳ね返されていた頃です.そして多分,脳卒中臨床に携わる医療者は,今ほどの自信を感じていなかったかもしれません.10年の動きは大きいです.過去のどの10年間よりも,診療技術がぐんと進歩しました.逆に当時から夢見ながら,実現していない事柄もいくつもあります.血栓溶解薬テネクテプラーゼは,ついに今年欧州で脳梗塞患者に承認されましたが,日本ではまだゴールに達していません.多くの細胞治療薬が開発治験を行いましたが,実用化に至っていません.脳卒中医療が進歩すればするほど,より有効な治療が求められ,それを実践できる社会の変化も求められるでしょう.
初版以来,本書は,脳卒中医学・医療を学ぼうと欲する方への入門書を目指してきました.白衣のポケットに無理やり押し込めば入るサイズで,ぜひ現場の友として使っていただきたく思います.本書を手に,私の職場を見学に来てくれた若手も多くいました.多くの読者にご愛用いただき,多少なりとも役に立っているのだろうと嬉しく思うとともに,皆様に深く感謝申し上げます.
さて,このたび全面的改訂による第4版を作る機会をいただきました.最初に考えたのは,漕ぎ手を替えること.これまでの数回の改訂は,私の同級生を中心とする「平成の同じ景色を見てきた」執筆者を多く配しました.10年前の新鮮さを取り戻すために,今回は令和のスター選手の皆様に執筆をお願いしました.「まだ書きたかったのに」と思われた平成執筆陣の方がおられたら,ごめんなさい.
改訂にあたって分担執筆者の先生方および中外医学社編集部の皆様に,多大なご尽力をいただきましたことを,深く御礼申し上げます.初版以来の変わらぬ願いですが,大きく変容しつつある脳梗塞診療について,本書が読者の方々への手軽で信頼される羅針盤になればと,願うばかりです.
令和6年3月
平成26年2月 国立循環器病研究センター 副院長
国立循環器病研究センター 副院長・脳血管部門長
豊田一則
目次
第1章 脳梗塞救急診療
1 救急医療体制と遠隔医療〈藤本 茂〉
A.一次脳卒中センターと再灌流療法指針の整備
B.早期治療体制の構築
C.遠隔医療
2 ERでの診察と症候学的診断〈立石洋平,辻野 彰〉
A.ERにおける神経診察の二律背反問題
B.脳卒中急性期診療は病院到着前から始まっている
C.効率的な神経所見
D.ラクナ梗塞の症状は変動し進行することがある
E.ERで診断ピットフォールに陥りやすい病態
F.Stroke mimics
G.ERではチーム医療が重要
3 検体検査と生理検査,バイオマーカーの意義〈吾郷哲朗〉
A.血液凝固・線溶系に関連するマーカー
B.血小板凝集に関連するマーカー
C.心・血管障害の指標
D.基礎疾患の管理・評価
E.脳梗塞に関連したバイオマーカー
4 脳画像診断と脳血管画像診断〈井上 学〉
4-1 脳画像診断
A.CT(computer tomography)
B.MRI(magnetic resonance imaging)
C.灌流画像(perfusion imaging)
D.核医学(PET・SPECT)
4-2 脳血管画像
A.CTA(CT angiography)
B.MRA(MR angiography)
C.血管撮影検査(digital subtraction angiography:DSA)
5 脳神経超音波〈斎藤こずえ〉
A.頸動脈超音波検査
B.経頭蓋超音波検査(経頭蓋カラードプラ検査,経頭蓋ドプラ検査)
C.下肢静脈超音波検査
D.心臓超音波検査
6 静注血栓溶解療法〈小松鉄平,井口保之〉
A.適応判断のポイント
B.アルテプラーゼ投与の実際と治療開始後の管理
C.血管内治療との併用
D.今後の課題
7 超急性期の血管内治療〈早川幹人〉
A.治療手技
B.MTのエビデンス
C.血管内治療の適応
D.血管内再開通療法における時間短縮の目標
第2章 急性期からの薬物治療
1 脳梗塞亜病型毎の治療概論〈豊田一則〉
A.病期から考える脳梗塞治療
B.病型から考える脳梗塞治療
2 急性期抗血栓療法〈山上 宏〉
A.止血機構と血栓形成
B.脳梗塞の病型による急性期抗血栓療法
C.急性期脳梗塞に対する抗血小板療法
D.急性期脳梗塞に対する抗凝固療法
E.脳梗塞に対する再灌流療法後の抗血栓療法
F.脳梗塞急性期の抗血栓療法に関する現在のガイドラインと今後の展望
3 脳保護療法と細胞治療〈新妻邦泰〉
A.脳保護療法
B.細胞治療
4 血圧管理〈中島 誠〉
A.超急性期再開通療法と血圧管理
B.急性期の血圧管理
C.亜急性期以降の血圧管理
5 糖・脂質代謝の管理,栄養管理と摂食訓練〈三輪佳織〉
A.糖代謝の管理
B.脂質代謝の管理
C.栄養管理と摂食訓練
6 慢性期抗血栓療法〈板橋 亮〉
A.抗血栓薬を考えるときの3つのポイント
B.抗血栓薬の使い分け
C.虚血イベントと出血リスクを考慮した使い分け
第3章 非薬物療法を中心に
1 頸動脈の血行再建治療〈吉田和道〉
A.症候性病変に対する血行再建
B.無症候性病変に対する血行再建
C.内科的治療の進歩と血行再建の有効性に関する新たなRCT
D.頸動脈の血行再建に関するガイドライン
E.今後の課題
2 頭蓋内動脈の血行再建治療〈濱野栄佳,片岡大治〉
A.内科治療
B.血管内治療
C.EC-IC(extracranial-intracranial)バイパス
3 抗浮腫療法と減圧開頭・血腫除去術〈村井 智,菱川朋人〉
A.脳浮腫と出血転化
B.内科的抗浮腫療法・脳圧降下療法
C.広範な大脳半球梗塞・出血転化に対するテント上減圧開頭術
D.広範な小脳梗塞に対するテント下減圧開頭術
4 急性期からのリハビリテーション診療〈角田 亘〉
A.脳梗塞に対するリハビリテーション診療の進め方
B.急性期脳梗塞に対するリハビリテーション診療
C.回復期脳梗塞に対するリハビリテーション診療
D.慢性期脳梗塞に対するリハビリテーション診療
E.脳梗塞に対する新たなリハビリテーション治療
5 続発するてんかん,うつ,認知症〈新堂晃大〉
A.脳卒中後てんかん
B.脳卒中後うつ
C.血管性認知症
6 構造的心疾患へのカテーテル治療〈吉村壮平〉
A.奇異性脳塞栓症・卵円孔開存の関与が疑われる潜因性脳梗塞
B.非弁膜症性心房細動患者への左心耳閉鎖術
7 全病期におよぶ包括的患者ケア〈竹川英宏,津久井大介,藤本 茂〉
A.疾患管理プログラム
B.脳卒中における疾患管理プログラム
C.地域包括ケアシステム
D.地域包括ケアシステムにおけるリハビリテーションの重要性
E.療養患者の包括的ケア
F.地域包括ケアシステムと退院計画
G.包括的患者ケアと脳卒中相談窓口
8 脳梗塞の診療情報管理と医療経営〈松尾 龍〉
A.脳梗塞の現況
B.脳梗塞診療の質とquality indicator
C.診療情報と質の改善
D.脳梗塞とDPC
E.脳梗塞DPCと診療報酬
F.脳梗塞と回復期リハビリテーション
第4章 特殊な虚血性脳血管障害と類縁疾患
1 一過性脳虚血発作〈尾原知行〉
A.TIAにおけるパラダイムシフト
B.TIAの定義の変遷とその意味するところ
C.TIAの病態の特徴と脳梗塞発症リスク
D.TIAの症状と鑑別診断
E.TIAリスクスコア
F.TIAの実際の診療,治療
2 頭蓋内動脈解離〈古賀政利〉
A.頭蓋内動脈解離の疫学
B.頭蓋内動脈解離の病理学的検討
C.頭蓋内動脈解離の危険因子
D.頭蓋内動脈解離の臨床経過
E.頭蓋内動脈解離の診断
F.頭蓋内動脈解離の治療
G.頭蓋内動脈解離の転帰
3 大動脈原性脳塞栓症と大動脈解離からの脳梗塞〈上野祐司〉
A.大動脈原性脳塞栓症
B.大動脈解離からの脳梗塞
4 凝血学的異常,自己免疫異常,炎症,悪性腫瘍を伴う脳梗塞〈河野浩之〉
A.凝血的異常に伴う脳梗塞
B.自己免疫異常に伴う脳梗塞
C.悪性腫瘍に伴う脳梗塞
5 もやもや病〈藤村 幹〉
A.もやもや病の基礎病態と診断基準
B.もやもや病に対する標準治療
C.もやもや病 疾患感受性遺伝子RNF213
6 遺伝性脳梗塞〈猪原匡史〉
A.アテローム血栓性脳梗塞の責任遺伝子
B.脳小血管病の責任遺伝子
C.脳梗塞−その他の責任遺伝子
7 脳小血管病〈藥師寺祐介〉
A.SVDの病理
B.SVDの神経画像マーカー
C.Summary SVD score
D.SVDへの対応
8 可逆性後頭葉脳症症候群(PRES),可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)〈藤堂謙一〉
A.PRES
B.RCVS
9 静脈性脳梗塞〈竹本光一郎,安部 洋〉
A.脳静脈の解剖学的特徴
B.疫学
C.臨床症状
D.画像診断
E.治療
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書籍情報
- ISBN:9784498328297
- ページ数:504頁
- 書籍発行日:2024年5月
- 電子版発売日:2024年5月17日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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