糖尿病医療者のための災害時糖尿病診療マニュアル2024

  • ページ数 : 128頁
  • 書籍発行日 : 2024年5月
  • 電子版発売日 : 2024年5月22日
1,870
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商品情報

内容

災害時糖尿病医療に関わるすべての医師・医療従事者に役立つ実践的診療マニュアル,10年ぶりの改訂版!

糖尿病患者は災害の影響を受けやすいため,災害に備えた患者や医療者の教育の必要性が高く,災害時には支援が必要となる可能性が高い.2014年に日本糖尿病学会「東日本大震災から見た災害時の糖尿病医療体制構築のための調査研究」委員会が作成した災害時の診療マニュアルを,10年ぶりに改訂.今回から日本糖尿病協会も策定に加わり,熊本地震での知見の追加のほか,新規糖尿病治療薬など最新の診療状況にも対応.体制構築が進む「糖尿病医療支援チーム(DiaMAT)」についても詳述した.

序文

はじめに

日本は地震・津波や洪水,台風など,何度も大きな災害に見舞われてきた.災害医療体制はこのような災害を経験し,その反省と課題をもとに発展してきた.特に日本の災害医療発展の大きな契機となったのが1995年の阪神・淡路大震災であり,「避けられた災害死」が多く発生したとされる.この際の様々な問題点を踏まえて,広域災害救急医療情報システム(emergency medical information system:EMIS)や災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team:DMAT)の設立,災害拠点病院の指定や広域医療搬送計画の作成が行われた.

2011年の東日本大震災では,これらのシステムが機能し,災害急性期の様々な医療ニーズに対応することで「避けられた災害死」の回避に貢献した.一方で,「災害関連死」が避難者の0.79%に発生し,継続した医療・保健・福祉の総合的支援の提供が重要であることが認識された.2016年の熊本地震では,DMATや日本医師会災害医療チーム(Japan Medical Association Team:JMAT),日本赤十字社の救護班などの多数の災害医療支援チームが連携することによって,時間的な空白を生じることなく災害亜急性期以降の医療体制へ移行することができ,災害関連死を避難者の0.15%まで減らすことができた.しかし,それでも災害関連死者数は全死者数の8割を占めており,発災時に助かった命を守るためのさらなる対策が必要であることが認識された.

糖尿病患者は,急性の代謝失調を起こしやすい,食事の変化に影響を受けやすいなどの特徴がある.また,インスリンなどの注射を受けている患者では,特殊な治療器具や薬剤が必要であるなど,災害の影響を受けやすい.従って,災害に備えた患者や医療者の教育の必要性が高く,また災害時には支援が必要となる可能性が高い.

東日本大震災の際に日本糖尿病学会によって災害時の糖尿病医療に関する学術調査研究事業が立ち上げられ,2014年に『糖尿病医療者のための災害時糖尿病診療マニュアル』(第1版)が刊行された.その後10年が経過し,この間に発生した熊本地震の際には,このマニュアルで提唱された糖尿病医療支援チーム(Diabetes Medical Assistance Team:DiaMAT)を想定した熊本糖尿病支援チーム(Kumamoto Diabetes Assistance Team:K-DAT)が設立され,被災地支援が行われるなど,このマニュアルの有用性が示された.一方,この間に新規糖尿病治療薬が出たりインスリンポンプ治療が発展するなど糖尿病診療も大きく変わってきており,マニュアルの改訂が必要となってきた.

本書『糖尿病医療者のための災害時糖尿病診療マニュアル2024』では,日本糖尿病学会に加えて日本糖尿病協会にもご協力いただき,特にこれまで災害を経験されたメンバーを中心に策定委員会に入っていただき改訂を行った.本書が,平時の災害に備えた医療者への教育や,いつか起こるであろう災害時の糖尿病診療に役立つことを願うものである.


2024年3月

「糖尿病医療者のための災害時糖尿病診療マニュアル2024」改訂委員会

目次

Ⅰ 災害に対する備え

1 ライフラインと情報の整備

2 食料や医薬品の備蓄

3 医療機関の災害対応マニュアル,訓練

4 地域の医療連携

5 災害時糖尿病医療従事者の教育

6 糖尿病患者への啓発

 ▶COLUMN シックデイ対策

Ⅱ 災害時の糖尿病医療者の役割

1 災害派遣医療チーム(DMAT)

2 糖尿病医療支援チーム(DiaMAT)

3 医 師

4 看護師,保健師

5 薬剤師

6 管理栄養士

7 理学療法士,健康運動指導士

8 公認心理師,臨床心理士

9 臨床検査技師,臨床工学技士

10 歯科医師,歯科衛生士

Ⅲ 個々の糖尿病病態への対応

1 全体的な注意事項

2 インスリン治療者

 ▶COLUMN インスリンポンプ使用者

3 インクレチン関連薬(注射剤)による治療者

4 経口血糖降下薬による治療者

5 食事・運動療法のみの患者

6 高血糖,低血糖,糖尿病性昏睡

7 糖尿病合併症・併存疾患

 1.神経障害

 2.網膜症

 3.腎症,透析

 4.足壊疽,PAD

 5.静脈血栓塞栓症

 6.感染症

 ▶COLUMN COVID-19

 7.心血管疾患

 8.高血圧(急性増悪)

 9.脳卒中

 10.精神疾患

8 特別な配慮が必要な患者・場合

 1.避難所

 2.妊 婦

 3.高齢者

 4.精神的サポート

Ⅳ 患者の備え

引用文献

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書籍情報

  • ISBN:9784830614002
  • ページ数:128頁
  • 書籍発行日:2024年5月
  • 電子版発売日:2024年5月22日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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