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- これでマスター!エコーガイドPTA ―シャント管理の基本からPTAのコツまで
商品情報
内容
これは「シャント管理を考えたらまず読む本」です.本書の軸はエコーガイドPTAの解説ですが,これがシャント管理にも十二分に役に立つ内容なのです.エコーにおいてもシャント管理においても,その特徴を正しく理解し,視診や触診を用いて全体像をとらえることが重要です.確実な技術向上を目指すべく,どのようなトレーニングをどういう順番で学んでいけばいいのか,ステップアップ形式で構成しました.順を追って実践すれば,エコーガイドPTAのコツもシャント管理の要領も身に付く,プラクティカルな入門書です.
序文
はじめに
近年シャントPTAで増えてきているエコーガイドPTAは,透視装置の代わりにエコー装置を用いてPTAを行うものです.本書はそのエコーガイドPTAの本ではありますが,シャント管理を行う医療スタッフの皆さんにも役立つように,『シャント管理を考えたらまず読む本』というコンセプトで書きました.なぜエコーガイドPTAがシャント管理にも役立つかは後述しますが,簡単に言えば「シャント管理が上手くなるとエコーガイドPTAも上手くなる」からです.
本書は,次のような願いをもつ方々の力になれるように構成しました.
・エコーガイドPTAの手技やコツを知りたい
・シャント評価のポイントを知りたい
・シャント管理を学びたい
・シャントエコーが上手くなりたい
・エコーガイド穿刺のコツを知りたい
・PTAをやる前に読んでおきたい
・シャントPTAの補助に入るがどんなことを考えて治療しているか知りたい
医師のタスクシェアの観点から,2021年10月1日より臨床工学技士が血液浄化におけるバスキュラーアクセスのエコー検査を実施できるようになりました.このようにシャント領域での穿刺・検査・治療において大きな役割を持つようになってきたエコー手技のコツやトレーニングのステップアップについて説明していきます.医師だけでなく,看護師・臨床工学技士・臨床検査技師などシャントにかかわるスタッフの皆さんにも読んでいただければ幸いです.
■エコーガイドPTAと透視下PTAの違い
最も大きな違いは『見える範囲』です.エコーは見える範囲は狭いので全体像をつかみづらいですが,内部の性状や血流がない部分まで見ることができます.一方,透視では全体像や実際の血流を見ることはできますが,血管壁自体の構造や閉塞部位を見ることができません.
このエコーの『全体像を捉えにくい』という欠点を補うにはどうしたらよいでしょうか? そのためには,細かく見たものを頭の中で構成して全体像にする,もしくはエコー以外の方法で全体像を捉えていくといった作業が必要になります.エコー操作の技術に習熟することはもちもん重要ですが,同時に視診・触診といった理学所見やマッピングにより,目や手や頭を使ってシャント全体を把握していくことが上手くなるコツです.エコーガイドPTAというと,経験が浅い人ほどエコーに頼りがちになりますが,視診や触診を用いた方が圧倒的に早く情報を集めることができます.
シャント管理においても同様で,視診や触診に習熟すれば,エコーを行う前に診断の8割以上は可能です.つまり,普段のシャント管理でエコー操作や視診・触診をトレーニングすることでエコーガイドPTAをスムーズに行えるようになります.視診・触診に関しては簡便かつ短時間で行うことができるので,透析の穿刺の時に行えば,トレーニングの回数を増やすことができます(ただし内シャントには自己血管のAVFと人工血管のAVGとがあり,AVGでは触診はあまり有効ではないので,別のアプローチが必要になります).
■エコーガイドPTAのメリット・デメリット
PTAを行う時には,エコーガイドと透視下のそれぞれのメリット・デメリットを知って使い分けていく必要がありますが,「病変を視認できるか」が1つのポイントとなります.
透視下でのPTAを行っていて,その後にエコーガイドPTAを導入した施設では,PTA全体の8〜9割以上がエコーガイドになっていくことが多いようです.それだけ,いったん習得すると非常に有用な方法であるということです.
【エコーガイドのメリット】
<手技にかかわるもの>
・リアルタイムで病変や血管内をみながら処置を行える
・閉塞病変でも血管を描出できる
・拡張後のマイナーリークなどを確認しやすい
<手技以外の部分>
・造影剤を使用しない
・被曝がない
・省スペース【エコーガイドのデメリット】
・石灰化病変や中心静脈,人工血管の種類によっては描出ができない
・吻合部や深部静脈などのエコーで描出が難しい場合がある
・ステントやステントグラフトなどは全体像を描出ができない
こういった特徴を理解して,必要に応じて透視下や透視下との併用を選択します.透視下でのPTAに慣れている場合には,まずはエコーガイドを併用しながらPTAを行っていくのがよいと思います.
本書が普段の診療のお役に立てましたら幸いです.
2024年4月
奥 哲治
目次
1章 スクリーニング入門(AVF編) 早期発見!触れて診るシャント診断
まとめページ
Step❶まずはシャントに触れてみよう
1.全体の流れを感じ取る
2.スリルに注目する
3.血管の圧は?
Step❷狭窄部位を診断しよう
1.スリルの増強
2.圧上昇
3.狭窄部位の触診
4.閉塞の所見
Step❸透析時のシャントトラブルから類推しよう
1.脱血不良
2.静脈圧上昇(止血困難)
3.穿刺困難
4.再循環
【Appendix】
狭窄類似病変
こんなところを視てみよう―視診における注目ポイント
聴診器の使いどころ
シャントトラブルスコアリング(STS)
チェックリスト
2章 シャント評価入門 シャントマッピングをやってみよう!
まとめページ
Step❶エコーを持つ前に
1.ポイントとなる解剖(血管走行)を理解する
2.病変を推定する
Step❷エコーを当ててみよう
1.ルーチンのやり方をつくる
2.病変部位を評価する
3.病変部のエコー所見と理学所見を比べてみよう
Step❸マッピングを完成させよう
1.メインの血流を捉える
2.責任病変を特定する
3.方針を決定する
チェックリスト
3章 エコーの使い方入門? エコーを使いこなせ!:基礎編
まとめページ
Step❶エコー装置の配置を考える
1.配置例?:初心者向け
2.配置例?:少し慣れてきたら
3.配置例?:だいぶ慣れてきたら
Step❷エコープローブの扱い方
1.エコープローブの持ち方・当て方
2.長軸像の描出に慣れよう
【Appendix】
カラードプラってなに?
Step❸パルスドプラ
チェックリスト
4章 エコーの使い方入門? エコーを使いこなせ!:穿刺編
まとめページ
Step❶エコーガイド穿刺は短軸が基本
Step❷シミュレーターを使ってやってみよう
1.シミュレーターで刺し方の基本的な操作を練習する
2.透析の穿刺時と同じ配置にして練習する
3.実際の穿刺と同じ手順で練習する
Step❸本番に挑戦しよう
1.エコーガイド穿刺が比較的簡単な症例は「少し深めで太い血管」
2.実際の患者さんとシミュレーターの違いを理解する
チェックリスト
5章 グラフトのみかた トラブルから逆算して評価する
まとめページ
Step❶グラフトの評価方法
1.血流評価は聴診器とエコーでフォローする
2.透析中の静脈圧をモニタリングする
Step❷狭窄のパターンを知っておく
1.流出路
2.穿刺部
3.動脈吻合部
Step❸見逃してはいけないトラブル
1.グラフト感染
2.仮性瘤
3.血清腫
【Appendix】
グラフトの材質とエコー
チェックリスト
COLUMN 手技の心得
6章 手術プランを立てる 手術の成功はプランニングにあり
まとめページ
Step❶シース:どこからアプローチするかを考える
1.シースの位置を見極める
2.シースの種類を見極める
Step❷バルーンの選択
1.何を考えて選択するか
2.その他の基本的な項目
3.バルーン選択の手順
Step❸トラブルシューティングを想定する
1.患者さんの状態変化―シャントだけに気をとられない
2.手技の中で起きるトラブル
【Appendix】
手術準備―上手な手術はよい準備から
チェックリスト
7章 エコーガイドPTAをやってみよう エコーのデメリットは理学所見でカバー
まとめページ
Step❶ガイドワイヤーの操作
1.シースの先端から出てくるガイドワイヤーをみつける
2.分岐部を通過させる
【Appendix】
瘤
3.狭窄部を通過させる
4.吻合部の通過
Step❷バルーンカテーテルを描出する
1.カテ先を描出する
2.角度が急な部位のカテーテルの通過
3.バルーンの位置を合わせる
4.バルーン拡張
【Appendix】
特殊バルーンのブレード
吻合部の拡張
バルーンの拡張圧・拡張時間と開存期間の関係
スローインフレーション・ロングインフレーション
Step❸拡張後の状態を評価する
1.合併症の有無を評価する
2.治療効果を評価する
チェックリスト
PTA道場
1.麻酔
2.穿刺・シース
3.ガイドワイヤー・シース挿入
4.止血
5.閉塞病変
6.トラブルシューティング
COLUMN 患者さん目線のアウトカム
8章 術後評価・経過フォロー 振り返りが上達への近道
まとめページ
Step❶手術を振り返ろう
1.手術記録を作成する
2.手術記録に反省点を書き加える
Step❷術後経過を観察しよう
Step❸長期的なプランを考えよう
1.AVF,AVG,表在化,長期留置など多面的な治療を考える
2.アクセスの種類を検討する
チェックリスト
COLUMN 開存期間延長のための一手
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書籍情報
- ISBN:9784498224889
- ページ数:216頁
- 書籍発行日:2024年5月
- 電子版発売日:2024年5月22日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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