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最新主要文献とガイドラインでみる 麻酔科学レビュー 2024

  • ページ数 : 376頁
  • 書籍発行日 : 2024年6月
  • 電子版発売日 : 2024年6月6日
¥15,400(税込)
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商品情報

内容

毎年発行の麻酔科学レビューの2024年版

2022年8月~2023年11月の約1年間に国内外で発表された論文・ガイドラインから、麻酔科学分野のエキスパート医師が主要な文献(約1200本)をピックアップしレビューしています。
計62のテーマを取り上げており、この一冊を読むだけで、最新の研究成果や麻酔科学分野の動向を把握することが可能です。

序文

序文


今年も「最新主要文献とガイドラインでみる麻酔科学レビュー2024」をお届けするに至りました.原則として,2022 年8 月〜2023 年11 月までの1 年間に,国内外で発表された主要文献を,それぞれの領域における第一人者にpick up して解説いただいたものを「2024 年度版」として発行しています.

本“序文”を書いている2024 年4 月の時点では,新型コロナウイルス感染症が第5 類へ移行してから約1 年が経過しました.学術集会も国際学会を含め現地開催が多くなる中,Web参加の利点も活用されるなど新たな学術活動が模索されてきています.そんな中,久しぶりに現地開催された世界麻酔学会(シンガポール)に参加してきました.世界中から現地に集まった麻酔科医たちと交流することができ,改めて対面で議論する学術集会の有用性を感じた次第です.

さて,今回の項目に関しては昨年とほぼ同様ですが,執筆者を数名,若手のエキスパートと交替し,刷新を図りました.監修者が変更となってからの試みとして,ガイドラインが発表されている項目に関してはどんどん取り入れていただき,麻酔科医や集中治療医にとって日常臨床に有効活用できる内容と確信しています.

今回の内容をざっと振り返りますと,昨年に引き続き,新型コロナウイルス感染症に関する話題はある程度落ち着いてきているように思います.一方で興味深い知見やガイドラインも紹介されています.挿管時におけるデクスメデトミジンの有用性や循環器系薬剤の術前管理に一定の方向性が打ち出されたことは,臨床上非常に有用です(「麻酔前投薬と術前評価」).

術前の炭水化物含有清澄水の有用性も改めてガイドラインに加えられました(「術前の絶飲食について」).知人のWarner 先生が網羅的に書かれた禁煙の有用性に関するガイドラインは電子タバコについても言及しており,麻酔科医であれば必読のReview も紹介されています(「周術期禁煙ガイドライン」).本邦で世界に先駆けて全身麻酔薬として臨床応用されたレミマゾラムですが,それに関する研究が少ないのは残念に思います(「静脈麻酔薬」).欧州麻酔集中治療学会(ESAIC)ならびに米国麻酔学会(ASA)から周術期筋弛緩ガイドラインが発表され,本邦においてもこれらを遵守した管理の重要性を感じました(「筋弛緩薬と拮抗薬」).

局所麻酔薬についてはいつも思うことですが,チューブなどの留置を必要としない,十分に長時間作用する局所麻酔薬の活用が本邦でもできることを切望しています(「局所麻酔薬」).

レミマゾラムが循環に及ぼす影響がプロポフォールに比較して少ないのであれば,これほど単回投与に適した静脈麻酔薬はないのではないでしょうか(「麻酔と心機能」).女性が男性に比較して麻酔の域値が高く,また覚醒が早いReview が発表されたことには驚きました(「麻酔と脳神経機能」).脊柱起立筋面(erector spinae plane:ESP)ブロックは頸椎から腰椎の全ての脊椎レベルで施行可能であり,より臨床応用されていいブロックと考えます(「超音波診断と末梢神経ブロック」).Patient blood management において,周術期の貧血と同種血輸血の回避が強調され,同種血輸血回避の手段として自己血輸血の有用性が述べられており,全面的に支持します(「自己血輸血」).Monitored anesthesia care(MAC)に関連して,学会機関誌JA 誌に「安全な鎮静におけるプラクティカルガイド」が英文で公表されています。日本からも英文で多くのガイドラインが発表されるのは重要と考えます(「全静脈麻酔(TIVA),鎮静(MAC)」).WHO 手術安全チェックリストは,周術期の患者を安全に管理する上で重要ですが,とくに外科医に軽視する傾向があり,形骸化しています。手術中の適切な時間帯で再度状況の確認と今後の手術進行の流れを確認するStOP? プロトコールが考案されていますが,麻酔科医としては大賛成です(「手術室危機管理・安全対策」).以前,帝王切開術麻酔時の昇圧薬に関して,エフェドリンかフェニレフリンかの議論がありましたが,今はノルアドレナリンが推奨されているようです(「産科麻酔」).心房細動患者に対する抗凝固療法のガイドラインがアップデートされました.直接経口抗凝固薬(DOAC)を用いた抗血栓療法の適応拡大に伴い,我々もガイドラインに従った術前管理が必要になります(「抗血栓療法と周術期血液凝固管理」).本邦においては集中治療における人工呼吸中の鎮静薬としてレミフェンタニルが承認され,この有用性に関する研究が期待されます.その一方で,本邦では適応のない集中治療におけるレミマゾラムによる鎮静の研究が発表されている点は興味深いです(「集中治療(3)ICU における鎮痛と鎮静」).最後に研究倫理です。以前は,盗用や捏造が問題となっていましたが,現在では,ChatGPT などによるconversational AI の取り扱いが重要となっています。個人的には,情報を得るための参考にしてはよいと思いますが,論文の作成過程に利用するのは問題があると感じています(「研究倫理」).

以上,今回もたったこの1 年の間に多くの研究論文やガイドラインの発表・改定がなされていました.今回も,この序文を書くためにゲラ原稿に目を通したわけですが,これら麻酔科領域における英文トピックスを自分で選択し,重み付けをして,さらに読み解くにはどれだけの時間と労力を必要とするかを考えると,少々高い医学書と思ったとしてもかなりお得な感じがします.事実,監修し,執筆者達のゲラ原稿を読んでいるだけでも知識の整理ができて充実した気持ちになりました.ここから新たな臨床研究や基礎研究のヒントを得るのも一考かと思います.

本著は,専門医はもちろん,これから専門医を目指す麻酔科専攻医,あるいは麻酔科領域に興味のある医師が読者対象になります.麻酔科診療に携わる多くの先生方がこの本を手にし,是非ご一読いただき,目の前にいる患者さんに役立つことができれば,監修者として望外の喜びです.


2024年4月

監修
山蔭 道明
廣田 和美

目次

麻酔前投薬と術前評価

術前の絶飲食について

周術期禁煙ガイドライン

麻酔と気道管理・確保

吸入麻酔薬

悪性高熱症ガイドライン

静脈麻酔薬

新しい全身麻酔薬レミマゾラム

筋弛緩薬と拮抗薬

局所麻酔薬

心・血管作動薬

麻酔に用いられる麻薬性鎮痛薬と鎮静薬

麻酔と呼吸機能

麻酔と心機能

麻酔と冠循環

麻酔と肝機能

麻酔と腎機能

麻酔と脳神経機能

麻酔薬と臓器保護作用

麻酔深度とモニター活用法

麻酔領域での経食道心エコー(TEE)による評価

超音波診断と末梢神経ブロック

周術期ポイントオブケア超音波~ABCD sonography~

輸血と輸液

宗教的輸血拒否

外科的危機的出血

自己血輸血

全静脈麻酔(TIVA),鎮静(MAC)

手術室危機管理・安全対策

WHO安全な手術のためのガイドライン

硬膜外麻酔と脊髄くも膜下麻酔

小児麻酔

高齢者麻酔

緊急手術の麻酔

産科麻酔

産科危機的出血への対応ガイドライン

内視鏡・ロボット手術の麻酔

日帰り手術の麻酔

心臓・大血管手術の麻酔

小児心臓手術の麻酔

脳外科の麻酔

Awake craniotomyの麻酔

移植手術の麻酔

抗血栓療法と周術期血液凝固管理

麻酔関連偶発症

痛みの生理学

術後の疼痛管理

ペインクリニック

緩和ケアとがんの痛みの治療

麻酔科医と救急医療

心肺蘇生と脳保護

手術室の効率化と安全

麻酔科領域の新機材,新技術,新知見

新しい人工呼吸

集中治療(1)呼吸・循環管理

集中治療(2)体液,栄養,感染の管理

集中治療(3)ICUにおける鎮痛と鎮静

集中治療(4)ICUにおけるモニター

集中治療(5)小児集中治療

集中治療(6)血液浄化療法

COVID-19と麻酔・集中治療

研究倫理

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書籍情報

  • ISBN:9784883784820
  • ページ数:376頁
  • 書籍発行日:2024年6月
  • 電子版発売日:2024年6月6日
  • 判:AB判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:2

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