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睡眠環境学入門
日本睡眠環境学会 (監) / 日本睡眠環境学会睡眠教育委員会 (編) / 全日本病院出版会
商品情報
内容
睡眠改善・研究に携わる睡眠のエキスパートから寝具メーカーに従事されている研究者まで、幅広い豪華執筆陣による最新の詳細な実験・調査分析結果や、良い眠りのためのノウハウが凝縮されています。
睡眠不足大国である日本が、質の高い睡眠をとりwell-being向上を目指すために正しい睡眠の知識を学べる入門書!
序文
はじめに
眠りに関して,近年,新型コロナウイルス感染症の発生により,感染防止の観点から世界的にも生活環境の変容がみられました.日常生活パターンの変化による睡眠や,多様な勤務や就学状態を経験することになりました.免疫強化や作業成果の向上のため種々の就労の形態が生まれ,仕事やコミュニケーションの手段についてはインターネット利用が進み,ワーケーション,リモートワークが増加してきました.在宅時間の増加に伴い,2022年1月に政府が勤務時間インターバル制度の普及に向けての検討を始めました.これらは睡眠の重要性が認識されてきた結果と考えられます.過去,不十分な眠りは多くの損失があることが認識されてきました.睡眠を含むインターバルタイムの増加を考えると,より睡眠に関する関心が高くなってきました.本邦では,元来睡眠にかかわる寝具寝装品業界のみならず,医薬品分野はもちろんのこと,眠りや健康に関する効果を期待する製品が増加してきました.中でも,腸内環境とパフォーマンスの関係が明らかになり,飲料メーカーや食品関係でも睡眠に有効な物質を投与して身体機能の改善に有効な食品など,衣料分野でも睡眠の質の向上やリラックスタイムの向上を促す商品の増加,オフィスや家庭でも睡眠にかかわるディテールの工夫が多く行われるようになり,多様性を極めます.このように,衣食住・医療を踏まえた睡眠環境の充実が大切であることがわかります.
睡眠に関する多方面からの製品や情報,ノウハウやマネジメントのニーズがあり,広く睡眠環境分野として認識を深めてきました.しかし,自分自身の具体的な睡眠の環境を認識するまでに至っていません.例えば,寝具の状況や寝室の環境が悪いために数十年の後に障害が判明する場合と,短期に現象が発現する場合で眠りが悪く,過労などがすぐに交通事故や大きな損失につながることなど多くの報告があります.眠りをとりまく多方面からの環境整備とユーザーの眠りを保証するための教育が必要であり,本書でも「第4章 睡眠マネジメント,睡眠の評価」でも述べられています.エネルギーやカーボンニュートラル時代の居住域の環境の取り組みが行われています.建築設備機器などからの電磁環境の人への曝露は,よく知られていません.天井配線の上階で寝ている場合に電場が高くなっていますが,測定して初めて認識されます.多様な電磁環境に関して,多くの国では科学的に安全で睡眠に有効な環境の指針が提示されていますが,電磁波治療や活性化に働くレベルだけでなく,障害に関する健康面からの規制,機器整備や医療への配慮が重要です.定性的だけではなく,睡眠環境の定量的な評価が必要で,的確な環境条件の構築が良質な眠りをもたらします.
本書は,日本睡眠環境学会初代会長 鳥居鎮夫編著「睡眠環境学」の多岐の領域の内容を踏まえ,睡環関係各位による最新の詳細な実験・調査分析結果が編纂されています.
研究者のみならず,睡眠の辞典として読者の参考になれば幸いです.
梶井宏修
目次
第1章 睡眠環境学の現状と展望……【編集】橋本修左
1.睡眠環境の歴史的変遷……井川正治
2.睡眠環境学の現状と課題……橋本修左
第2章 睡眠科学の基礎……【編集】広重佳治
1.睡眠の役割と多様性……宮崎総一郎
2.睡眠時の生理現象……広重佳治
3.睡眠時の心理現象……福田一彦・岡部聡美・野添健太
4.睡眠と記憶……萬代 宰
5.睡眠・覚醒の調整機構……平野晋吾
6.生体リズム……山本隆一郎
7.睡眠のライフサイクルと個人差……古谷真樹
第3章 睡眠環境の基礎……
【編集】古田土賢一
1.寝室環境と睡眠環境……古田土賢一
2.睡眠環境の3要素……
1)温熱環境……水野一枝
2)光環境……小山恵美・松本真希
3)音環境……和田侑奈
3.騒音環境と睡眠,心身への影響―快適睡眠のための騒音対策―……笹澤吉明
4.避難所環境の整備―冬季における睡眠や体温に及ぼす寝具の影響―……都築和代
5.睡眠とカフェイン,アルコール,ニコチン―薬理作用と留意点―……水野 康
第4章 睡眠マネジメント,睡眠の評価……【編集】田中秀樹
1.社会の課題と睡眠や生体リズムの問題……駒田陽子
2.健全発達のための早期からの睡眠教育……岡 靖哲
3.バイオマーカーを用いたストレス,睡眠の評価……大平雅子
4.就労層の睡眠マネジメントの実践手法と評価……中村志津香
5.学校での睡眠教育の実践手法と評価……田村典久・田中秀樹
6.発達障害児の睡眠の理解と支援……平野晋吾
7.地域での睡眠マネジメントの実践手法と評価……田中秀樹
8.睡眠教育と睡眠環境調整による睡眠マネジメント……神川康子
9.時差と睡眠,睡眠・覚醒リズムの変化―時差障害対策を含めて―……千葉伸太郎・高橋敏治
10.睡眠改善に関連した香り,香りの時間生物学的活用法……白川修一郎
第5章 睡眠をとりまく現代の環境課題と睡眠支援……【編集】田中秀樹
1.時間栄養学と睡眠,運動―時間健康科学への展開―……田原 優
2.時間栄養学とスポーツ―世代別・競技別の食事・睡眠のタイミング―……中村亜紀
3.入浴,入浴剤を活用した睡眠改善―ホテル,海外旅行での睡眠改善―……渡邊 智
4.睡眠・覚醒リズムの連続計測と睡眠マネジメントへの活用……田口勇次郎
5.ベッド設置型睡眠計を用いた睡眠の評価と改善……木暮貴政
6.介護業務支援における睡眠テックなどのデータ利活用……吉本 敬・山岡 勝
7.高齢者の自宅での日常生活と睡眠……久保博子
8.エアコンの室内環境評価技術から睡眠環境を考える……菅原作雄
9.センサー内蔵マットレス,仮眠ルーム,健康経営……野々村琢人
索引
Column
❶睡眠研究を覘き見る ―魂・意識から感覚・行動・脳波へと―……黒田 稔
❷寝しん床しょう気き候こうの研究を通じての思い……宮沢モリエ
❸睡眠環境:温湿度編 ―冬の寝室湿度にはご注意を!―……森田貴美子
❹20年前に行った「子どもの睡眠教育」……中川雅彦
❺睡眠の質を求めて……宮﨑正己
❻「ネムリヒミツラボ」の試み……藤田 貢
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書籍情報
- ISBN:9784865198201
- ページ数:270頁
- 書籍発行日:2023年6月
- 電子版発売日:2024年6月12日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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