はじめに

日本医師会学校保健委員会は，「地域に根差した医師の活動である学校医活動を推進するための具体的な方策は何か」という諮問を令和4 年11 月に，松本吉郎日本医師会長より受け，令和4年度と令和5年度の2年間にわたり検討を行い，答申をとりまとめたところです．その答申をまとめる過程の中で，学校保健活動を推進するにあたり，その担い手である学校医について議論を進めたところ，今，最も深刻な問題の一つに，学校医不足があるという指摘が多くの委員からなされました．そこで，まずは学校医の数的確保が必要であり，そのためには何が必要であるかを議論しました．その結果，学校医の成り手である医師のみなさんに対し，学校医の活動がいかにやりがいがあり重要であるかなど学校医の魅力についての冊子を作成することとしました．

タイトルは「学校医のすすめ　そうだったのか学校医」とし，わかりやすく，読みやすく，使いやすく，かつ，「学校医をやっていてよかった」「学校医をやってみようか」という思いを持っていただける内容とすることとしました．そこで，各執筆者には，「簡潔であること」，「読みやすいこと」，「学校医の魅力を発信すること」の3 つの基本コンセプトのもと，執筆いただいています．特に学校医の魅力を発信することに力点を置いていただきました．さて，その学校医の魅力ですが，何といっても，学校保健の実践のなかにあると思います．学校保健は，保健管理と保健教育に大別されます．保健管理には，健康診断や健康相談，疾病予防など子ども達の心身の健康管理と，子ども達の学校生活を含めた生活全般の管理，そして，学校現場の環境衛生管理とがあります．また，保健教育では，子ども達の成長を見守り助言するとともに，がん教育や性教育，生活習慣教育，心の病の教育など，さまざまな分野で，学校医のそれぞれの専門性を活かした教育を行います．

そして，結果的に，子ども達の健康を守り学校の教育活動に貢献できるとともに，「チームとしての学校」の一員として参画することができ，教職員をはじめ学内外の多様な人材と共に，一体感を持って，子ども達を守る活動を行うことができます．まさに，地域医療の推進に他なりません．

以上，学校医の魅力について，その一端を述べましたが，いかがでしたか．是非，興味を持たれた先生は，この冊子を一読ください．きっと，その魅力を感じていただけるものと期待するとともに確信しています．

さあ，学校医の先生，そして学校医をやってみようと思う先生，この冊子を手に，学校へ向かいましょう．子ども達が待っていますよ．

「行ってらっしゃ〜い！」

令和6年4月

日本医師会学校保健委員会
委員長　松村　誠