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研修医と指導医のための在宅医療教育マニュアル(先行予約)

  • ページ数 : 484頁
  • 書籍発行日 : 2024年7月
  • 電子版発売日 : 2024年7月5日
  • ※ 7月16日 ダウンロード開始予定
¥6,380(税込)
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商品情報

内容

研修医にとっても指導医にとっても待望の在宅医療マニュアル!
これから在宅医療を学ぶ研修医はもちろん,これから在宅医療を教える指導医にとっても待望の在宅医療マニュアルが完成しました.在宅医療の基本から,在宅でよく遭遇する症状別・疾患別の対応,多職種連携のコツ,さらには指導・研修方法までを網羅しました.マニュアルでの対処が難しいポイントも,各所に現れる“在宅先輩”が的確なアドバイスをしてくれます.在宅医療のやりがいや面白さを感じられる内容も盛り込み,不安だった在宅医療が“楽しみ”“得意”に変わる一冊です.

序文

【この本の成り立ち】


僕は,30歳代に,野戦病院で,10年間働きました.国立長崎中央病院という海軍病院が前身で,今は,ドクターヘリが飛ぶ立派な医療センターになっています.

当時,毎日,毎日,急患が運ばれてきて,僕達の病棟(総合診療科)に,夜間の入院が平均5名,多い時で10名ほどが,入院となりました.医師は実質2名で,当直は,毎週1回あり,ほとんど眠れませんでした.

それでも,研修医が2~3名回ってきて,若いスタッフが多く楽しい時代でした.

毎朝7時半に,最も重要な話し合いが始まります.医局に内科の重鎮のある先生,当直明けの疲れはてた先生と僕が集まりました.タバコの吸い殻と空になった缶コーヒーが並ぶテーブル.つけっぱなしの無音のテレビと古いソファー.窓の横には,黒板があって,当直の先生がチョークを握り,その夜に入院した患者さんの名前と年齢と診断名と入院病棟を,カタカタと音を立てながら書きだします.

「お~,今日は6人か.たいしたことないな.じゃあ,全部,浜ちゃん(僕のこと)頼むよ」と,重鎮の先生がタバコを吸いながら言いました.

「え~,それは,いくらなんでも」と,内科医の中で一番若かった僕は,苦笑いしながら反抗しました.ひとりは,明らかに循環器だし,もうひとりは消化器だし,この人だって呼吸器でいいんじゃないか? 面倒そうな患者を全部,総合診療科に押し付けるのは納得がいかない.僕の目に炎がともろうとすると,

「まっ,君が一番若いし,若い時は勉強,勉強.さて,私は,外来に…」と,僕の肩をポンと叩いて,重鎮の先生は,「イッツ,オートマチック~~」と歌いながら出てゆきました.

当時,宇多田ヒカルの「Automatic」が流れ,僕は,必然的に,機械的に,自動的に,何も考えず馬車馬のように働かされていました.苦笑.

それから,僕は,南2階病棟(後に新館が立ち7B病棟)へ走ります.長い廊下を走りながら,看護婦長さんが怒る姿を想像していました.

「6人も取ったんですか! ベッドないですよ! 入れるなら出してください!」

他の病棟に入院した患者さんを自分の病棟へ移すことが,当時のその病院のルールでした.南2階病棟の患者さんを把握し,患者さんを退院させて,ベッドの空きを作ることが僕の重要任務でした.

だから,研修医の先生に,「担当患者のAさんば,そろそろ退院させんね~. 明日くらによかね?」と,迫ったり….ある時は,患者さんに,「Bさん,突然で申し訳なかとですが,今日の午後に退院してもらえんですか?」とか,「師長さん,Cさんば,転院させよう.俺が家族に話すけん,連絡して」などなど.長崎の田舎の病院でそんなことをしていました.20年以上も前のことです.

つまり,病院のベッドをくるくる回して,回転率をあげて,患者さんを出し入れするのが仕事でした.若い僕は,様々な方に大変失礼なことを申し上げました,ごめんなさい!

かっこよく言えば,僕たちは,その地域の医療を守るため,住民の皆さんの医療ニーズにこたえるために,バタバタと働いていたわけですが,実質上は,非常に少ない医師で,40病床を維持していました.

私も含め,皆若い医師たちでしたが,まったく余裕がなく目の前のことで精いっぱいでした.入ってくる患者さんの対応に忙しく,患者さんが退院した後のことは,薬を出して,サマリーを書くのがやっとのことでした.退院後のひとりひとりの患者さんの生活など,みじんも,これっぽっちも考えていませんでした.

その後,またいろいろあり,留学を機に,私は,病棟医をやめました.

日本に帰って来てから,先輩のクリニックで,在宅医療(訪問医療)をやらせてもらうようになりました.週に2回,約30人の患者さん宅を回らせてもらいました.2007年のことです.

「こんにちは!」と,靴を脱ぎ,はじめて,患者さんの自宅にあがる.他人の家です.「内科の医者の浜田です,よろしくおねがいします」と,挨拶をして,お話を聞き,血圧を測る.ものすごくドキドキしました.きょろきょろ家の中を見回していいのか,わるいのか,どこに視線をもってゆけばいいのか….聴診器を握り,診察しました.私は,研修医のように緊張していました.

在宅医療は,私にとっては,衝撃的でした.

野戦病院で,ベッドを回し忙しさに酔いしれていた自分,中核病院で病棟医長として息巻いていた自分,研修医を引き連れていい気になっていた自分は,なんと傲慢な考え方をしていたんだろうと思いました.まったく退院後の患者さんのことを考えていませんでした.ひどく,反省しました.

病院での医療は,2時間ドラマ.

起承転結があり,だいたいの場合は,2~3週間でドラマは終わります.

在宅での医療は,大河ドラマ.

起承転結はありますが,一般的に,延々と,淡々と続きます.時には,だらだらと.非常に退屈ですが,何も起こらない今日を明日に続ける努力が在宅医療と思います.終わりは,突然やってくることもあり,予想できません.いろいろな沢山のドラマがあります.在宅医療は,医師として,多くのことを学べる場であると思います.

2010年頃より,医学生や研修医を連れて,学びの場として,在宅医療を実践するようになりました.もう,10年以上になりますが,かなりの試行錯誤を行い,今は,一定のフォーマットを作り,短時間で在宅医療の入り口を体験する教育コンテンツを確立したと自負しております.

2020年より在宅医療を経験することが,医科臨床研修医の必須項目となりました.つまり,国は,本格的に在宅医療に従事する医療人を育てたいと思い始めたのです.これは,我々にとっては大きなチャンスと思います.

そこで,2020年に,「在宅医療教育マニュアル」をアマゾンのキンドルで無料の電子版の本として自費出版しました.驚くことに,発行した月に,300件以上のダウンロードがあり,無料本ランキングの上位に入り,1,000ダウンロード以上の実績をつくりました.

僕は思いました.みなさん,在宅医療をどう学んでいいか,どう教えていいか悩んでいるのではないか.

中外医学社も同じ思いだったようで,じゃあ,皆さんの悩みを解決できるような本を作成しよう!

と,いうことになりました.

そして,長崎で在宅医療を実践している先生方へお声をかけ,さらに,日本在宅医療連合学会の先生方へつながりました.医師だけでなく,訪問看護師の皆さん,訪問リハビリの皆さん,ケアマネージャーの皆さんや様々な職種の人の「在宅先輩」が,「在宅医療に興味を持ってもらいたい!」「在宅医療に少しでもかかわってもらいたい!」という思いが沸き上がりました.自費出版版「在宅医療教育マニュアル」をもとに,大幅に加筆と改訂を行い,本書の発行に至りました.

少々長い経緯となりましたが,以上がこの本の成り立ちです.

本の中身は,短く,シンプルな表現で,わかりやすくなっています.ぜひ,「在宅先輩」と共に,ページを開いてください.この本を通して,在宅医療に興味をもってもらえれば幸いです!


浜田久之

目次

はじめに

この本の読み進め方

CHAPTER 1在宅医療実践の基本をマスターする

1.総論1 準備編 〈浜田久之〉

2.総論2 問診編 〈浜田久之〉

3.診察編 〈浜田久之〉

4.診察後のカルテ記載での注意事項 〈浜田久之〉

5.感染対策編 〈田代将人〉

6.高齢者を診察するときの注意点:老年医学的視点 〈浜田久之 小出優史〉

7.高齢者を診察するときの注意点:精神医学的視点 〈松坂雄亮〉

CHAPTER 2在宅医療でよく経験する疾患をマスターする

1.認知症 〈内田直樹〉

2.褥瘡 〈塚田邦夫〉

3.フレイルとサルコペニア 〈若林秀隆〉

4.転倒と骨折 〈西野雄一朗〉

5.肺炎(誤嚥性肺炎) 〈山梨啓友〉

6.慢性心不全 〈吉本明子 弓野 大〉

7.慢性呼吸不全 〈斉藤康洋〉

8.慢性肝不全 〈谷川 健〉

9.慢性腎臓病 〈南 香名〉

10.救急処置(誤嚥 頭部打撲 転倒) 〈高橋健介〉

11.小児難病の在宅医療 〈岡田雅彦〉

12.神経難病の在宅医療 〈立石洋平〉

CHAPTER 3在宅医療でよく経験する症候等に対する対応の仕方を学ぶ

1.痛みへの対処法(麻薬 末期がん) 〈冨安志郎〉

2.呼吸器症状(咳 痰 呼吸困難 胸水 喘鳴)への対処方法 〈山梨啓友〉

3.消化器症状(嘔気 嘔吐 便秘 下痢)への対処方法 〈土屋淳郎〉

4.食欲不振への対処方法 〈土屋淳郎〉

5.認知症に伴う精神症状への対処方法 〈内田直樹〉

6.不眠への対応 〈内田直樹〉

7.低栄養への対処方法 〈土屋淳郎〉

8.家族の不安に対処する 〈鈴木 央〉

9.関節痛への対処方法 〈道辻 徹〉

CHAPTER 4在宅医療の教え方(指導者向け)

1.診療所等で,医学生や研修医を受け入れの際の教育的ポイント 〈浜田久之〉

2.在宅医療で指導医が実践できること 〈中桶了太〉

3.在宅医療研修を運営する上での注意点 〈中桶了太〉

4.外部資金により研修医教育(救急 外来 在宅)を行う運営方法 〈長谷敦子 泉野浩生〉

5.在宅医療は医学教育のテキストブックだ! 〈永田康浩〉

CHAPTER 5在宅医療の基礎知識

1.在宅医療の制度 〈小笠原貞信〉

2.在宅医療で知っておくべき多職種連携 〈小笠原貞信〉

3.ネットワークの構築について 〈白髭 豊〉

CHAPTER 6ケーススタディー

1.在宅医療がうまくいかないケースと反省点1 〈白髭 豊〉

2.在宅医療がうまくいかないケースと反省点2 〈佐藤綾子〉

CHAPTER 7他の職種の仕事を知る

1.ケアマネジャーの仕事 〈鷲見よしみ〉

2.訪問看護の仕事 〈宮崎郁子〉

3.訪問リハビリテーションの仕事 〈田中陽理〉

4.訪問薬剤師の仕事 〈坂本岳志〉

5.訪問歯科の仕事 〈高田 靖〉

6.訪問はり・きゅう マッサージの仕事 〈?田常雄〉

7.訪問介護員(ホームヘルパー)の仕事 〈田尻 亨〉

8.医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の仕事 〈西出真悟〉

9.在宅訪問管理栄養士の仕事 〈依田理恵子 田中弥生〉

CHAPTER 8在宅医療の学びを深めるために

1.医師のキャリアにおいて在宅医療をどう役立てるか 〈木村琢磨〉

2.日本在宅医療連合学会について 〈蘆野吉和〉

コラム

1)僕が在宅医を目指した理由 〈松尾誠司〉

2)施設入所中の暴言や危険行動 〈立石洋平〉

3)研修医に知ってもらいたい在宅で看取るということ 〈押渕素子〉

4)在宅医療を目指す医師は,何を勉強すればよいのか? 〈谷川 健〉

5)在宅先輩が教える在宅医療教育をはじめようとする診療所等の先生のためのQ&A 〈浜田久之〉

6)在宅先輩が教えるZ世代への教え方! 〈浜田久之〉

7)在宅先輩が教える医学生や研修医への効果的なワンポイントアドバイス 〈浜田久之〉

8)在宅医療研修を体験して 〈三ツ井吾朗〉

9)研修医に知ってもらいたい在宅医療を受ける家族の思い 〈長谷敦子〉

10)祖母が受けている在宅医療 イメージと実際の違い 〈?田滝子〉

11)在宅医療研修が研修医に与える影響と在宅医療での高齢者総合指標について 〈筋田悟史〉

12)介護福祉士の仕事 〈石本淳也〉

13)ユニバーサル・ホスピスマインド 〈小澤竹俊〉

14)大学病院と在宅医療 〈野口智聡〉

15)研修医として,在宅医療と救急の両方を通して学んだこと 〈元田 玲〉

平戸市民病院の地域医療研修

在宅先輩 〈詫摩和彦〉

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書籍情報

  • ISBN:9784498120129
  • ページ数:484頁
  • 書籍発行日:2024年7月
  • 電子版発売日:2024年7月5日
  • 判:B6変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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