医療・介護DX ~コロナデジタル敗戦からAIまで~

  • ページ数 : 216頁
  • 書籍発行日 : 2073年10月
  • 電子版発売日 : 2024年7月9日
2,420
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商品情報

内容

DXやAIはこれからの医療・介護に必須である。
本書はDXやAIに関心がある方、これから学ぼうとする方へ基礎をわかりやすく解説した。
【対象】DXやAIに興味のある方

序文

はじめに

光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった(ヨハネによる福音書1:5)

2020 年代の最初の2 年間は、わが国の医療介護デジタル・トランスフォーメーション(DX)にとっては画期的な年となった。2021 年9 月デジタル庁が開設、2022 年10 月医療DX 推進本部がスタートした。日本では2000 年のIT 基本法により本格的なデジタル戦略が作成されたものの、その進みは遅々としていた。

それを決定づけたのがコロナ禍の中のデジタル敗戦である。コロナ禍の中で、接触アプリCOCOA(ココア)の不具合、入力作業に手間取り現場ではため息しかでなかったHER-SYS(感染者等情報把握・管理システム)、コロナの特別定額給付金のオンライン申請のつまずきなど、一挙に日本のデジタル後進性が浮き彫りになった。

日本のDX の歴史は今回のコロナ禍も含めて光と闇の連続だ。最初の光と闇は1983 年の「レインボープラン」の失敗の闇と2018 年のナショナルデータベースの成功の光である。旧厚生省はレインボープランとして医療機関の診療報酬請求書(レセプト)の電算化をいち早く打ち出す。国の医療DX 政策の先駆けである。ところが、マスコミがこのレインボープランを「不当・不正請求の排除が目的である」と書き立てたため、医師会の大反発を招いて、計画はとん挫する。これによってレセプト電算化が30 年近くも遅れた。しかしようやく電子化されたレセプトデータにより、世界でも最大級のデータベースNDB(ナショナルデータベース)が2018 年に生まれる。

日本では医療機関の電子化は世界に先駆けて早かった。1960 年代に民間IT ベンダーのおかげで医事会計システムやレセプトコンピュータの開発が進み、それをベースに医療機関の医療情報システム化が進んだ。しかし民間IT ベンダーの開発競争の陰で各社でデータの囲い込みが起こり、ベンダー間のデータの交換規格の標準化が遅れた。世界標準のデータ交換規格HL7FHIR の実装が始まるのはつい最近のことだ。世界的にも早かった医療機関の情報化の流れは、情報の交換規格の標準化に大幅な後れをとった。

電子カルテの普及の遅れも日本では際立っている。電子カルテの普及は北欧を始めとする欧州諸国では90%~ 100%普及しているのに対して、日本ではいまだ47%だ。そもそも電子カルテの普及に対する戦略的な取り組みが日本ではなされてこなかった。日本では電子カルテは現場の効率化の観点でしか捉えられていなかった。先進各国では電子カルテデータの二次利活用を国の医療情報政策の一環として明確に位置付けている。最後にわが国の最近のDX の思わぬ成功事例にも触れておこう。医療介護DX の一丁目一番地ともいえる国民共通番号のマイナンバーカードの普及率が2023 年1 月の時点で60%にもなった。欧州先進各国では、英独仏ともマイナンバーの導入については国民のプライバシーに対する懸念から導入に失敗している。日本はそうした欧州諸国を尻目にマイナンバーの導入にいち早く成功した。成功の理由は2007 年の消えた年金記録の闇のおかげである。年金記録はそれぞれの年金制度ごとに異なる個人番号で管理していた。この年金記録を基礎年金番号に統合した際に、古い番号のままで残っていた5 千万件の年金記録が、本人確認ができず持ち主不明のまま残った。このため国民共通番号であるマイナンバーの必要性にようやく国民が気付いた。日本のマイナンバーの成功は消えた年金記録の暗闇から現れた光ともいえる。このようにDX の光は暗闇からしか生まれてこない。

本書では、こうした医療介護DX の光と闇の歴史をふりかえりながら、近未来のDX の光を一緒に探しに行こう。


2023 年3 月 横浜港南台にて

武藤 正樹

目次

第1章 コロナ禍とデジタル敗戦

第2章 医療DX推進本部

1 データヘルス集中改革プランとEHR

2 PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)

3 医療DX推進本部

4 電子カルテの標準化

5 地域医療情報ネットワーク

6 諸外国の医療情報システムの動向

コラム 電子カルテがやってきた

第3章 規制改革会議と医療・介護DX

1 デジタル完結3点セット

2 サムディ(SaMD)とは?

3 介護DX

4 科学的介護とLIFE

5 支払基金改革とAI

コラム アマゾン薬局がやってくる

第4章 リアルワールド・データ

1 リアルワールド・データ

2 NDBの研究活用事例

3 次世代医療基盤法とデータ利活用

4 NDBと死亡データの連結

コラム ハッシュ関数

第5章 医療・介護とAI

1 医療AIの重点6分野

2 ゲノム医療、バイオバンクとAI

3 AIケアプランと介護ロボット

コラム ケアマネジャーは在宅ケアのカナメ

【著者略歴】

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書籍情報

  • ISBN:9784865770582
  • ページ数:216頁
  • 書籍発行日:2073年10月
  • 電子版発売日:2024年7月9日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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