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- 無敵の腎臓内科
商品情報
内容
「腎臓内科って苦手」「どこから押さえればいいのかわからない…」と悩む初期研修医や非専門医の先生,必見です.腎臓内科診療で最低限知っておくべき内容を,本当によく遭遇するcommonな症例×本当に困りがちな臨床的トピックに絞ってまとめました.教科書やガイドラインからは零れ落ちてしまう実臨床ならではの話題をクイズ形式で飽きることなく,ページ数の多さを感じず一気に通読できる軽妙な文体で解説.これだけ読めばまさに“無敵”.研修医や非専門医のみならず,専門医の腕試しにも最適な一冊です!
序文
序
はじめまして.京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学の谷口智基と申します.私は2016年に京都大学医学部医学科を卒業し,我々の代から新内科専門医制度(J-OSLER)が始まった“新世代”の内科医です.内科医として5年間腎臓・透析分野に従事し,卒後7年目(2022年)に腎臓専門医・透析専門医を取得いたしました.その過程で免疫の奥深さ・面白さに気づかされたため,卒後8年目より母校の臨床免疫学教室に進学し,現在は膠原病分野の臨床・研究に日々いそしんでおります.2021年より旧Twitter(現: X)で腎臓分野の医学情報発信をしていましたが,この度,初期研修医・非専門医の先生方を対象とした腎臓分野の医学書執筆のお話を頂戴いたしました.
これまで御高名な先生方が腎臓分野の本を多数出版されており,我々臨床医にとって勉強しやすい環境が整いつつあります.一方で,臨床的知見の広がりは留まるところを知らず,初期研修医や非専門医の先生方にとっては「どこから始めていいのやら」と途方に暮れてしまうケースも見聞きしております.また,実際に臨床医が苦慮するのは,ガイドラインや成書に書かれた知見の“間を縫う”ようなグレーゾーンの症例が多いと思われます.しかし,現時点ではそのような症例はエビデンスも少ないため,ガイドラインや成書で扱われることはほとんどなく,我々臨床医が個人的経験・知恵を出し合いながら何とか対応してきた,というのが現状ではないでしょうか.
御高名な先生方を差し置いて,単著で本を出させていただくのは大変恐れ多いと存じますが,腎臓専門医・透析専門医を取得して間もない若輩者であるからこそ,若手・非専門の先生方がわからない点に寄り添いつつ,実際に臨床医が苦慮するケースもカバーできるような内容をお伝えできるのではないかと思い,この度筆を執ることを決意いたしました.
本書の主な特長は,
①解剖生理学への帰着 ②使わない知識の断捨離 の2点です.
現時点での最新の医学知識は,5年後・10年後には“使い古された”知識になってしまう可能性があります.しかし,それとは対照的に,解剖生理学は何十年経っても揺るがない確固とした知見です.本書では,最新のトピックを含む様々な腎臓分野の知見を解剖生理学に立ち返って考察しております.読者の皆さまには,“付け焼き刃”ではない本質的な知識を習得していただけると確信しております.
また本書では,実臨床で使わない知識は断捨離しており,使用頻度の高い知識の練度を上げることに注力しております.「知識の練度を上げる」というのは,教科書的な知識を実践で使える形にmodifyし,実践形式で自身の血肉となる知識として落とし込む過程を意味します.例えば,緊急性の高い高カリウム血症一つにしても,ただ単に治療オプションの羅列を覚えるだけでは意味がなく,各治療法の効果の違い,治療を行うために準備すべきもの,所要時間などが理解できて初めて実際に使える知識といえます.
今回は初期研修医,非専門医の先生方が遭遇し得る比較的commonなケースを中心に紹介しておりますが,初期研修医を指導される腎臓専門医の先生方向けの発展的な内容も載せております.初期研修医向けを★1つ,内科系後期研修医・非専門医向けを★2つ,腎臓専門医向けを★3つに設定しました.症例ベースの問題形式で解説しており,まずは自分なりに問題の答えを考えていただき,その後一般論の解説や問題解説を読むことを推奨いたします.しかし,臨床業務でお忙しい先生方におかれましては,ご自身の専門分野に関わりそうな内容だけ“つまみ食い”する形でも全く問題ないと著者自身は考えます.
最後になりましたが,今回書籍出版にあたりお声がけいただいた中外医学社 牧田里紗様,これまで私を御指導いただいた医療機関の皆様(倉敷中央病院 初期研修部,京都市立病院 腎臓内科,京都第一赤十字病院 救急科・膠原病内科,京都大学大学院医学研究科 臨床免疫学),そして私の執筆活動を支えてくれた家族に,心から感謝申し上げます.単著であり内容に偏りがあるかもしれませんが,この本が腎臓分野の勉強にお困りの先生方に少しでもお役に立つことができれば幸いでございます.
2024年6月
谷口智基
目次
<難易度>
★:初期研修医向け
★★:内科系後期研修医,非専門医向け
★★★:腎臓専門医向け
👉特に読んでほしい対象者
第1章 検査
#尿検査
1 尿検査異常をみた際,速やかに腎臓内科へ紹介すべきケースは? ★
コラム1 尿道カテーテル留置中の患者さんの尿検査異常に対して治療すべきでしょうか?
2 肉眼的血尿が出た時,どのように初期対応すればよいですか? ★
3 血尿の患者さんを泌尿器科へ紹介予定ですが,特に注意すべき症例(高リスク群)について教えてください. ★★ 👉プライマリーケア医
4 腎機能障害における尿検査の活用方法を教えて下さい. ★
5 尿検査異常の感度・特異度はどの程度でしょうか? ★★★
6 変形赤血球のみ持続陽性なのですが,腎生検の適応はありますか? ★★★ 👉免疫膠原病内科医
コラム2 月経時の尿検査所見はどこまで信頼できますか?
#腎機能
7 腎機能ってeGFR,推算CCrどちらで評価するべきですか? ★★★
8 CKD患者の将来的な腎予後を予測する方法はありますか? ★★
9 1/CreグラフはCre 8 mg/dLになるタイミングを正確に予測できるのでしょうか? ★★
10 Creが基準値内なのに腎不全!? ★
#エコー
11 腎臓のエコーで何がわかりますか? ★★★ 👉循環器内科医,救急医,集中治療医
#腎生検
12 腎生検すべき症例は? 腎生検する際に鑑別疾患はどうやって考えている? ★★
13 腎生検すべきだが高リスクのため腎生検困難な症例では治療方針はどうやって決めますか? ★★★
コラム3 尿所見異常があり腎生検を行いましたが,尿所見に比して腎病理光顕所見が軽かった場合,どう考えればいいですか? 👉免疫膠原病内科医
コラム4 微小変化型ネフローゼ症候群と巣状分節性糸球体硬化症の鑑別に必要な糸球体数は何個でしょうか?
#血液ガス
14 血液ガスの見方がわかりません.わかりやすく教えてください. ★
15 血液ガスの機械がないのですが,他に酸塩基平衡異常を推測できる方法はないでしょうか? ★ 👉プライマリーケア医
第2章 症候
#尿量異常
1 頻尿に対する適切な対応を教えてください. ★★ 👉プライマリーケア医
#腰痛
2 腎疾患が腰痛の原因となることはありますか? ★★★
コラム5 尿量低下で病棟から相談を受けたら「とりあえず輸液,とりあえず利尿薬投与」で問題ないでしょうか?
#浮腫
3 浮腫の診かたを教えてください. ★★
#体液異常
4 溢水・脱水をどうやって判断する? ★★
#高血圧症
5 高血圧症において,Ca拮抗薬とRAS阻害薬の使い分けがわかりません. ★★ 👉プライマリーケア医,薬剤師
6 適切な血圧測定の方法を教えてください. ★★ 👉プライマリーケア医
7 降圧薬の半減期について教えてください. ★★ 👉薬剤師
8 高血圧症の人はいつ・どんな時も降圧薬を継続すべきでしょうか? ★★
第3章 電解質異常
#低Na血症
1 低Na血症が苦手です.どうすれば克服できますか? ★★
コラム6 浸透圧脱髄症候群(ODS)は本当にNa迅速補正によって生じるのでしょうか?
#高Na血症
2 高Na血症において,血管内脱水による低血圧がある場合,輸液は何を使えばいいですか? ★★
#K異常
3 高K血症の治療方法を教えてください. ★
コラム7 緊急血液透析の待ち時間は30〜90分もかかるの? 👉救急科
4 低K血症の治療方法を教えてください. ★
コラム8 低K血症において,同じ血清K濃度でも症状が異なることはあるのでしょうか?
5 高K血症による不整脈を予防するため,透析患者さんの血清K濃度の目標は少し低めに設定すべきでしょうか? ★★ 👉透析診療に携わる非専門医
#高Ca血症
6 高Ca血症って治療しないといけないですか? ★★ 👉骨粗鬆症診療に携わる非専門医
コラム9 高Ca血症の原因の9割は副甲状腺機能亢進症って本当?
第4章 貧血
#貧血
1 CKD患者の貧血=腎性貧血ですか? ★★
2 エリスロポエチン製剤(ESA)とHIF-PH阻害薬の違い,使い分け,各々のメリット・デメリットを教えてください. ★★★ 👉薬剤師
第5章 CKD総論
#CKD
1 CKDってなぜ進展するの? ★★
2 CKDガイドライン2023の「かかりつけ医から腎臓専門医に紹介すべきタイミング」をわかりやすく教えてください. ★★ 👉プライマリーケア医
3 CKDには全例にRAS阻害薬・SGLT2阻害薬を入れた方がいいですか? ★★
コラム10 RAS阻害薬は「腎保護作用」があるので,AKIやCKD増悪の際も継続必須ですか?
4 CKD診療って具体的に何をすればいいの? ★★
第6章 急性腎障害(AKI)
#AKI
1 急性腎障害(AKI)をどうやって診ますか? ★
2 輸液を多めにしておけばAKIは防げますか? ★★★
コラム11 腎前性AKIは輸液負荷さえしておけば十分ですか?
3 腎機能障害をおこす薬剤,腎機能低下時に注意して使用すべき薬剤を教えてください. ★ 👉薬剤師
コラム12 保存期CKD・透析患者では血清マグネシウムは高い方がよい?
第7章 血液透析
#保存期→透析導入への移行
1 CKD患者さんをフォローしています.腎臓内科に紹介するのは「透析一歩手前」の時点でよいですか? ★★
コラム13 CKD stage4-5の方が他科に入院しました.バスキュラーアクセス未造設ですが,腕の血管温存は気にした方がいいですか?
#維持透析
2 血液透析患者が手術目的で入院しました.腎臓内科・透析科の先生に連絡すべきことや,確認すべきことはありますか? ★★
#緊急血液透析
3 緊急血液透析の適応は「AIUEO」ですよね? ★★
4 透析離脱の基準はありますか? ★★★ 👉循環器内科医,救急医,集中治療医
#アクセス
5 緊急透析が必要な場合,透析カテーテル留置は全例必須ですか? ★★★ 👉循環器内科医,救急医,集中治療医
6 中心静脈カテーテル留置術が苦手です.コツはありませんか? ★★ 👉初期研修医,CVC留置術を指導する医師
第8章 薬剤
#降圧薬
1 ARBの強さ,使い分けを教えてください. ★★ 👉プライマリーケア医,薬剤師
2 ARNIに腎保護作用はある? ★★ 👉循環器内科医,薬剤師
#利尿薬
3 利尿薬の使い分け,使用上の注意点がわかりません. ★★
#SGLT2阻害薬
4 なぜSGLT2阻害薬には腎保護作用があるのでしょうか? ★★★ 👉循環器内科医,糖尿病内科医,薬剤師
5 SGLT2阻害薬を使用する際の注意点は? ★★★ 👉循環器内科医,糖尿病内科医,薬剤師
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書籍情報
- ISBN:9784498224988
- ページ数:516頁
- 書籍発行日:2024年8月
- 電子版発売日:2024年7月6日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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