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- 順天堂・東大・がん研流 ERCP・EUSマスターブック 胆・膵診療の基礎からひとりだちへのステップ
商品情報
内容
順天堂・東大・がん研の3大施設で行われている胆膵内視鏡の手技と診療ストラテジーをエキスパートがまとめた.
統一性のある解説と豊富な術中写真,内視鏡手技の動画も紹介した胆膵診療に携わる医師必読の書.
序文
序文
一門で力を尽くした書籍『順天堂・東大・がん研流 ERCP・EUSマスターブック』が刊行され,感無量です.どの原稿を見ても現場が思い浮かび,まさに我々の経験が詰まっている書籍であります.胆・膵疾患に対する内視鏡診療は未だ難しく,かつ偶発症のリスクと隣合わせです.そのような手技を生業としていくには,診断・治療・手技についての一貫したストラテジーが必要と考えています.ただし,手技のやり方を切り取ったハウツー本ではこれは伝わらないと常々思っておりました.今回,東大で同じ釜の飯を食った仲間である加藤 順先生(千葉大学 診療教授・内視鏡センター長)のご推薦により,本書を企画・編集する機会を頂きました.加藤先生も疾患の病態にこだわった書籍『かとじゅん流 IBD診療』を出版され,非常に評判が良いと聞いています.
本書は,「基礎知識」,「手技」,「診療ストラテジー」,「トラブルシューティング」の全4章で構成されており,胆膵の内視鏡診療をしっかり網羅しております.最も重要なのはストラテジーですが,実際には患者ごとに多くのバリエーションがあり,全く同じにはならないのが通常です.我々にとっての標準を記載し,読者の皆様が応用する拠り所となることを祈念しております.本書は,東大胆膵グループで学んだ医師たちと,そこから派生した新たなグループの医師たちの両方に執筆を依頼しました.根底に流れるストラテジーには同じ潮流があり,施設,時代ごとの経験によって手技とトラブルシューティングに多くのバリエーションがあります.今回は施設ごとのこだわりを示していただき,なおかつ他施設のエキスパートが追加の情報を加えています.そのため,情報量が非常に多いのが特徴ですが,胆膵内視鏡は全症例に正解を出すのが難しい世界ですので,有益かつ安全な医療を患者さんに提供するにはこれでも足りないと思っています.それでも,本書を学ぶことにより読者の皆さんが安全かつ効率良い胆膵内視鏡治療を行う礎ができるものと信じております.また,本書を執筆・編集することで我々自身も知識の整理と,新たな学びがあり,成長できたと考えております.
本書は多くの方の努力によって完成,出版されました.ただでさえ多忙な中,執筆に時間を割いてくれた胆膵内科医たち,大変だった編集作業を分担してくれた笹平直樹先生と中井陽介先生,そしてこのような機会を頂き,素晴らしい書籍を作ってくれたGakkenの谷口陽一様に感謝申し上げます.
2023年6月
伊佐山浩通
順天堂大学医学部消化器内科 教授
多彩な技術の習得は胆膵内視鏡の魅力の一つだと思います.一方で,胆膵内視鏡を担う医師には,急性胆管炎や重症膵炎のほか,がんの終末期など緊張感をもった患者管理も求められます.「技術の習得」の前には,病態を正しく理解し,適応や戦略を身につけることが必要です.「緊張感をもった患者管理」は,緊急処置前の初期対応のみならず,術後の合併症・偶発症の予防,早期診断,早期治療にも非常に重要です.本書の企画にあたり,伊佐山浩通先生より,「手技に特化せず,病態や戦略,さらには術後管理までを網羅する胆膵内視鏡の専門書を目指したい」という意向が示され,中井陽介先生とともに話し合いを重ねて参りました.入門書や指南書として以外に,知識の整理としても活用いただけるものに仕上がっていると思います.本書の特徴として,比較的若手の胆膵内視鏡医も執筆していることが挙げられます.「手技」や「トラブルシューティング」の章では,指導者目線のみならず,指導を受ける側の視点で普段注意していることなども記載されていますし,「診療ストラテジー」の章では,病棟や外来,救急の最前線での思考や,普段のカンファランスで議論されている戦略などが具体的に示されています.いわば,他の施設に見学に出向き,朝のカンファレンスから日中の内視鏡現場,夕方の病棟までのさまざまなシチュエーションで目にすることがそのまま書かれている臨場感のある書籍ではないかと思います.
施設見学に出向くと,その施設特有のさまざまな流儀に気づきます.他施設の流儀に気づくことは,改めて自施設の流儀を認識するきっかけになり,新たな流儀が生まれることになります.本書にも各項目において,施設の流儀が記載されています.もともと同じ流儀の中で育った同志とそこに集う仲間の原稿を読みながら,変わらぬ流儀,味付けがなされた流儀など,それぞれを楽しませていただきました.読者の皆様におかれましても,メインテーマを十分理解されている項目であっても,この「○○流」に新たな発見があるかと思いますし,他書にはない編集委員3名それぞれによる「マスターからのワンポイントアドバイス」も何かのお役に立てれば幸いです.
最後に,お忙しい中,かなり無理なテーマを含めて執筆・動画編集などをお引き受けいただいた多くの先生方,ならびに,巧みなかじ取りで出版に導いていただいた谷口陽一氏に,心より感謝申し上げます.
2023年6月
笹平直樹
がん研究会有明病院消化器センター肝・胆・膵内科 部長
私自身が内科医となり,胆膵診療に魅せられて早くも25年が経とうとしています.この25年の間にERCP手技の難度も高くなり,Interventional EUS,小腸内視鏡を用いたERCPなど新しい手技も開発されてきました.このように胆膵診療が大きく発展した時代の一部でいられたことを非常に幸せに思います.
私が日々の胆膵診療において常々感じているのは,そこにある“文化”です.長年の診療経験により培われた,この“文化”というのが,それぞれの胆膵診療チームの根底に多かれ少なかれ流れているのです.私自身が経験した師匠の背中を見て学ぶという時代はそれを感じとり,自分で消化していたわけですが,最近では書籍・動画・学会・ウェビナー(Webinar)など,自施設以外の胆膵診療を学ぶ機会も以前では考えられないほど増えています.それでも現場にいないとわからない,言葉には表せないような“空気感”というのは,いまだに存在するのではないかと私自身は考えています.10年以上前に米国に臨床留学した際に,まさにこの“空気感”の違いを五感で強烈に感じたことを今でも忘れられません.これは海外に限らず,国内においても自施設以外の臨床の場に直接行くことで学ぶ点は,今でも多いと思います.
今回,順天堂大学,東京大学,がん研有明病院の3施設の流儀ということで,本書の企画が始まりました.元をたどれば東京大学の同門ですが,この3つの施設にとどまらず,源流から解き放たれた,あるいはその解き放たれた先に新たに集うことになった,多くの胆膵医が結集して完成したのが本書です.本書では,東京大学胆膵診療の“文化”という源流と,そこから3つの施設の特性に合わせて派生した“流儀”が感じられるような内容になったのではないかと自負しております.もちろん本書に書かれていることだけが正解というわけではなく,各施設の診療に合わせた流儀があると思います.ただ,この流儀というものがあるからこそ,文化が醸成され,連綿と次世代へと引き継ぐことができるのだと思います.本書が皆様の流儀の確立の一助になるとともに,マネージメントが困難な胆膵疾患でお困りの患者さんにとって,より良い治療の提供につながることを願っています.また本書を読んでいただき,さらに現場での“空気感”や“文化”を直接感じたいと思われる若い先生がいらっしゃいましたら,是非我々にお声がけいただき,我々の現場に直接足を踏み入れていただければと思います.
最後になりましたが,多忙な中ご尽力いただきました多くの執筆者の先生方,また源流が同じでありながら三者三様の伊佐山浩通先生,笹平直樹先生,私の3名の編集委員をうまく御していただいた谷口陽一氏に,心より感謝申し上げます.
2023年6月
中井陽介
東京大学医学部附属病院光学医療診療部 准教授
目次
第Ⅰ章基礎知識
1 胆管・膵管の実践解剖 牛尾真子
2 術中モニタリングと鎮静・鎮痛の知識 佐藤達也
3 フォローアップ法・ERCP後膵炎(予防と対応) 伊藤光一
4 透視装置と被ばく低減策に必要な知識 福間泰斗
5 トラブルを避けるインフォームド・コンセント 笹平直樹
6 抗血栓薬内服例への対応 鈴木彬実
第Ⅱ章ERCP・EUSの手技
1 ERCP
7 動画 スコープ挿入法と直線化のコツ 伊佐山浩通
8 胆管カニュレーション
■ 8-1 胆管カニュレーションにおける手技の種類と考え方 中井陽介
■ 8-2 動画 カニュレーション法(造影法,WGC) 白田龍之介
■ 8-3 動画 膵管ガイドワイヤー法 笹平直樹
■ 8-4 動画 プレカットテクニック 松原三郎
9 乳頭処置
■ 9-1 乳頭処置の種類と使い分け 石井重登
■ 9-2 動画 内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)・バルーン拡張 白田龍之介
10 胆管結石除去
■ 10-1 動画 胆管結石除去術 白田龍之介
■ 10-2 動画 胆管結石破砕術 高原楠昊
11 膵管インターベンション:膵管口切開・ステント留置
■ 11-1 膵管カニュレーション・膵管造影 佐藤達也
■ 11-2 動画 膵管口切開・膵石除去 水野卓
■ 11-3 動画 膵管ドレナージ・ENPDと膵管ステント・SPACE 水野卓
■ 11-4 動画 副乳頭カニュレーションと切開 山本夏代
12 内視鏡的胆管ステンティング
■ 12-1 動画 狭窄突破と胆管枝の選択 武田剛志
■ 12-2 動画 内視鏡的経鼻胆管ドレナージとプラスチックステント留置術 齋藤圭
■ 12-3 動画 遠位胆管狭窄におけるメタリックステント留置術 伊佐山浩通
■ 12-4 肝門部ステンティング
■ 12-4-1 動画 プラスチックステント 佐藤達也
■ 12-4-2 動画 ステントインステント 石垣和祥
■ 12-4-3 動画 サイドバイサイド 藤澤聡郎
13 動画 内視鏡的経乳頭的胆嚢ドレナージ(ETGBD) 高原楠昊
14 動画 経口胆道・膵管鏡 冨嶋享
15 動画 胆管細胞診・生検 濱田毅
16 動画 胆管・膵管IDUS 濱田毅
17 小腸内視鏡下ERCP
■ 17-1 動画 スコープ挿入 木暮宏史
■ 17-2 動画 胆管アクセス 齋藤圭
■ 17-3 動画 治療手技 白田龍之介
18 動画 内視鏡的乳頭切除術 山本夏代
19 動画 胃十二指腸ステント留置術 高原楠昊
2 EUS
20 EUS観察
■ 20-1 コンベックス型EUS観察法の基本 中井陽介
■ 20-2 動画 胆嚢・乳頭・膵鉤部を見るコツ 松山眞人
21 動画 超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA) 石垣和祥
22 EUS下胆道ドレナージ
■ 22-1 動画 EUS-HGS,EUS-HDS 中井陽介
■ 22-2 動画 EUS-CDS 佐々木隆
■ 22-3 動画 EUS-GBD 松原三郎
23 動画 EUS下膵管ドレナージ(EUS-PDD) 伊佐山浩通
24 動画 EUS下アンテグレード治療手技 髙崎祐介
25 EUS下アディショナルテクニック
■ 25-1 動画 瘻孔拡張 松原三郎
■ 25-2 動画 処置困難例に対するDGW法 中井陽介
■ 25-3 動画 プラスチックステント交換 石井重登
26 EUS下膵仮性嚢胞・WONドレナージ(EUS-PFD)
■ 26-1 動画 EUS-PFD 藤澤聡郎
■ 26-2 動画 内視鏡的ネクロセクトミー 齋藤友隆
27 動画 腹腔内膿瘍ドレナージ 髙橋翔
28 動画 EUS下ランデブー法 松原三郎
第Ⅲ章診療ストラテジー
29 胆管結石(結石性胆管炎,胆石膵炎含む) 伊藤光一
30 ステント留置中の管理 松山眞人
31 急性胆嚢炎 鈴木彬実
32 膵癌診断 三重尭文
33 胆管癌診断 笹平直樹
34 悪性胆道閉塞~遠位胆管 武田剛志
35 悪性胆道閉塞~肝門部胆管 木暮宏史
36 胆管・十二指腸同時閉塞 佐々木隆
37 良性胆管狭窄 佐藤達也
38 慢性膵炎・膵石 水野卓
39 貯留性膵仮性嚢胞・膵液瘻 藤澤聡郎
40 WON(walled-off necrosis) 濱田毅
41 IPMN 大山博生
42 胆管空腸吻合部狭窄 三重尭文
43 膵管空腸吻合部狭窄 鈴木彬実
44 輸入脚閉塞 佐々木隆
45 ERCP後膵炎予防 福田麟太郎
46 EUS関連処置後の管理( 出血・腹膜炎・ステント逸脱の予兆の早期発見) 牛尾真子
第Ⅳ章トラブルシューティング
1 ERCP
47 穿孔? どうする?― 診断と穿孔タイプ別の対処法 佐藤達也
48 ERCP関連出血
■ 48-1 EST後の出血! さあどうする? 石井重登
■ 48-2 ステント留置中の出血! さあどうする? 齋藤友隆
■ 48-3 内視鏡的乳頭切除後の出血! さあどうする? 山本夏代
49 胆管結石・膵石
■ 49-1 難しい胆石をどう掴んで取り除くか? 高原楠昊
■ 49-2 結石嵌頓・バスケット嵌頓への対応はどうする? 齋藤圭
■ 49-3 難しい膵石の取り方・嵌頓への対応策は? 水野卓
50 ステントが抜けない! どうする? 岡本武士
51 胆嚢管に入らない!胆嚢ドレナージ困難な場合はどうする? 齋藤圭
52 胆管・膵管狭窄
■ 52-1 胆管狭窄の突破法は? 武田剛志
■ 52-2 膵管狭窄の突破法は? 水野卓
53 胆管金属ステント留置後の腹痛! 何が起きた? どうする? 松山眞人
54 肝門部メタリックステント閉塞! どうする? 石垣和祥
55 十二指腸狭窄でスコープが入らない! どうする? 岡本武士
2 EUS
56 EUS-FNA
■ 56-1 穿刺が難しいFNAとは? 髙崎祐介
■ 56-2 膵液漏を起こさないための注意点 髙崎祐介
■ 56-3 検体が取れないときの次の一手 石垣和祥
57 Interventional EUS
■ 57-1 細い胆管・膵管を穿刺する技術と工夫 髙橋翔
■ 57-2 出血への対応 髙崎祐介
■ 57-3 困難例克服へのガイドワイヤーテクニック 冨嶋享
■ 57-4 逸脱しかけたステントをどうするか? 伊佐山浩通
■ 57-5 ivEUS後胆汁漏,膵液瘻の診断と対応 冨嶋享
■ 57-6 ネクロセクトミー中の穿孔・出血のマネージメント 冨嶋享
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書籍情報
- ISBN:9784059887164
- ページ数:376頁
- 書籍発行日:2023年8月
- 電子版発売日:2024年8月14日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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