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麻酔 2024年7月号 【特集】周術期医療におけるPOCUS(ポイントオブケア超音波)のエビデンスと課題

  • ページ数 : 111頁
  • 書籍発行日 : 2024年7月
  • 電子版発売日 : 2024年9月5日
2,970
(税込)
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商品情報

内容

POCUSの基本コンセプトと将来の展望を概説していただき、さまざまなPOCUS対象領域においてPOCUSを実践してきた麻酔科医、救急医あるいは総合診療医に、POCUSの臨床的有用性に関するエビデンスと臨床応用拡大に向けての課題、今後蓄積すべきエビデンスを議論していただいた。

序文

巻頭言
技術の進歩とタスクシフト

私が麻酔科医を志した約30年前と比較すると,麻酔薬や生体モニターが大きく進歩したばかりでなく,麻酔薬の使用法や薬物動態への理解も進んだことによって麻酔の安全性は飛躍的に向上したように思える。思い起こせば心臓麻酔以外では亜鉛化窒素併用のうえでセボフルラン,イソフルランを用いて全身麻酔を行い,フェンタニルは覚醒が悪くなるという理由で使用が限定され,硬膜外オピオイドは術後の呼吸抑制の懸念があるため使用禁止,といった状況で,覚醒遅延は日常のことであり,患者は痛みに顔を歪めながら手術室から退出していくのはさほど珍しいことではなかった。その後プロポフォールが使用可能となり,フェンタニルの血中濃度予測が当たり前になり,レミフェンタニルが使用可能となり,筋弛緩薬も持続投与可能なロクロニウムが使用できるようになり,麻酔管理はある意味マニュアル化した。硬膜外麻酔にオピオイドを併用するのもごく当たり前になっている。このため,以前に比べ患者の周術期のQOL は大きく向上したと同時に麻酔からの回復も格段に早くなり,より効率的に手術室を運用することが可能になっている。その一方,麻酔科医のタスクシフトは徐々にしか進んでおらず,いまだに麻酔管理をnurse practitioner(特定行為研修看護師)を含めた看護師に任せるのは危険で,“看護師にもできるような仕事であると学生たちに誤認させると麻酔科医のなり手がいなくなる”とおっしゃる麻酔科医もいる。

技術進歩の末に自動車などの自動運転が可能になるのも確実と考えられているこのご時世に,技術の最前線にいるはずのわれわれ麻酔科医が旧態依然とした考え方に固執してよいはずはない。日本麻酔科学会のガイドラインにおいても,十分な修練・学習を経験した特定行為研修修了看護師やnurse practitioner が麻酔業務の一部を担うことの妥当性が担保されているうえ,診療報酬においても麻酔管理料(Ⅱ)の算定が認められている。また,看護師が麻酔管理を行ううえで注意すべきことも具体的に示されており,どれだけ麻酔科医が“医師以外の医療スタッフが麻酔維持を行うことは患者を危険にさらす”と声高に叫んだとしても,働き方改革の施行に伴い外堀は埋められつつある状況である。一方でこれまで麻酔科医が担ってきた集中治療の領域では,すでに看護師によって人工呼吸や補助循環を要する重症患者ケアが当たり前に行われている。集中治療の現場では集中治療医は看護師に具体的指示を与えたうえで,安定している患者の管理はある程度看護師に任せ,状態が不安定な患者のケアにリソースを集中させてきていた。トレーニングされている看護師による監視,予測に基づくドクターコールが機能的に働くことによって,状態が悪化しつつある患者に対してはリソースの再配分を行い,効率よく重症患者のケアを行ってきたはずである。手術が日進月歩で低侵襲化する現状で,集中治療医が普段行っているやり方を,限定的であるにしろ臨床麻酔に応用できないはずはないと考える。

現状では人手不足に悩む地域では度を越したタスクシフトが行われかねない状況となっている。われわれ麻酔科医が変革に対して後ろ向きな姿勢を取り続けることで,医療界のニーズに取り残され,かえってわれわれが危険だと考えるようなタスクシフトが進んでいくことのほうが医療安全に反することなのではないかと考える。麻酔科学会が思い切って現状に即したタスクシフトのあり方を提言し,これ以上のことは行わないと限界を明確に決めることで,人手の多寡に関わらない麻酔科診療の質を担保することができるのではないかと期待している。地方の高齢化・人口減少の進み方を考えると,“麻酔科医がいないのであれば手術はしなくて良いしさせられない”と上から目線でいるだけでは,いつかわれわれの存在意義すら失うことになるのではないかと危惧している。


(岐阜大学大学院教授 紙谷 義孝)

目次

巻頭言

技術の進歩とタスクシフト (紙谷義孝)

特 集

周術期医療におけるPOCUS(ポイントオブケア超音波)のエビデンスと課題

緒言とまとめ:POCUS のすすめ (磯野史朗)

ポイントオブケア超音波を用いる周術期管理:基本コンセプトと将来の展望 (片山正夫)

術前評価におけるポイントオブケア超音波 (渡邊 至ほか)

心臓血管麻酔におけるポイントオブケア超音波 (清野雄介ほか)

小児の周術期管理におけるPOCUS について (櫻井淑男ほか)

産科麻酔分野におけるPOCUS (五反田倫子ほか)

緊急手術麻酔におけるポイントオブケア超音波 (山田希生ほか)

術後管理におけるポイントオブケア超音波 (江本 賢ほか)

症例報告

麻酔導入後に発覚した18 トリソミー児のsuprastomal granuloma の1 症例 (北埜 学ほか)

外国文献紹介

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書籍情報

  • ISBN:9784014007307
  • ページ数:111頁
  • 書籍発行日:2024年7月
  • 電子版発売日:2024年9月5日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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