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「留学する?」から一歩踏み出す研究留学実践ガイド 人生の選択肢を広げよう

  • ページ数 : 240頁
  • 書籍発行日 : 2024年9月
  • 電子版発売日 : 2024年9月12日
3,960
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商品情報

内容

進路に悩む研究者に,留学の魅力を伝授!
進路に悩む学生やポスドクの方に留学という選択肢を示し,その魅力を伝えます.留学先の探し方や応募のしかた,採用試験の準備から留学後のキャリア展開まで,みんなが悩むポイントにつき多くの体験談を交えて解説.

序文

はじめに


Life is a sum of all your choices. ̶ Albert Camus

「人生は選択の総和である」という作家・哲学者であるアルベール・カミュの言葉が物語るように,私たちは生きていくうえで大なり小なりさまざまな選択を迫られます.その中で将来科学者としての成功を夢見る学生はいずれ「留学する?しない?」という選択を迫られることがあるでしょう.住み慣れた母国を離れ,異国の地で研究をすることには大きな不安がつきまとうかもしれません.しかし,海外に出ることで自らの語学力やコミュニケーション能力を含めた総合的な研究力を向上させることができたり,異文化に触れることが多様な価値観を理解するきっかけとなったり,コネクションを広げることで将来のキャリア展開を有利に進めることができたりと,留学をすることで多くの人はさまざまな恩恵を得ることができるでしょう.本書は主に「留学に興味があるが,いま一歩踏み出せない」,「留学を志しているが具体的に何から取りかかればいいのかわからない」といった思いを抱く学生やポスドクの方々,このような岐路に立たされた個々人を指導する立場にある教員やベテラン研究者,さらには自らが進む方向性を模索する若手研究者の手引書となるべく,生命科学の分野で海外研究留学をするにあたっての具体的・実践的なアドバイスを最新の情勢とともに詰め込みました.また「留学なんて自分には関係のないことだ」と感じている方にもお読みいただけると,これまで気づかなかったご自身の可能性や新たな選択肢を見出すきっかけになる,そんな一冊をめざしました.

本書を上梓するきっかけとなったのが羊土社から刊行されている『実験医学』誌の2023年3月号から10月号で連載された「研究留学の技法2023」という企画です.コロナ禍前後での欧米での研究状況の変革やDEI(Diversity, Equity, Inclusion)をより一層重要視する風潮,博士号取得者のキャリアパスの多様化,海外留学を頭脳流出ではなく頭脳循環ととらえる近年の傾向,円安やインフレーションといった経済的な変動など,留学希望者を取り巻く状況が刻一刻と変わっている状況を鑑み,さまざまなバックグラウンドを持つ方々の座談会や多様な切り口や視点に基づく記事を通じ,最新の留学情報を8カ月にわたりお伝えしました.

連載終了後に編集部から本連載が好評であったことを踏まえ書籍化の提案をいただき,記述内容のさらなる充実や連載時には紙面の都合上あまり踏み込めなかった内容の追加をめざし,読者アンケート等のフィードバックを踏まえながら,大幅な加筆・改訂作業を行ってきました.

海外で研究をすることにはチャンス・リスク,メリット・デメリットがあり,どのような立場で留学をするのかによってさまざまなパターン(基礎研究者のポスドク留学,医師のポスドク留学,学位取得のための留学,在学中の留学,日本でのアカデミックポストを維持したままでの留学,企業からの留学,スタッフとしての短期・長期就労)が考えられます.いずれにも共通することは,海外で研究をするということはどういうことなのか(特に日本との違いなど),留学先はどうやって探せばよいのか,インタビュー対策はどのようにすべきなのか,渡航準備や生活の立ち上げはどのように行えばいいのか,留学後の仕事や人間関係がうまくいっていないときは誰に相談しどのような手を打つべきなのか,仕事がうまくいっている場合はキャリアアップやキャリアチェンジ(アカデミア・インダストリー含む)に関してどのように考え,どういった行動をとるべきなのか,将来的に日本に戻ってきたい場合には何が大事なのか,などのさまざまな疑問がつきまとうことです.連載時は留学先の中でも特にアメリカ合衆国(米国)の生命科学分野における制度・慣習・体験談を取り上げ,特に基礎研究者のポスドク留学,博士号を取得するための大学院留学,テクニシャン・スタッフサイエンティストとしての海外就労やその後の去就に焦点を当てました.書籍化にあたっては,留学時の立ち居振る舞いや米国以外での留学先に関する話題を追加し,DEIに関する情報や留学後のさまざまなキャリアパスに関する内容をより一層充実できるように心がけました.

本書を読み終わった読者の中には「留学しない」という決断をする方もいるでしょうし,諸事情により「留学はしたいが,できない」という状況に置かれている方もいるでしょう.本書はそのような方に対しても「留学する」と決めた人はどのようなことを考え行動し,それを通じてどのような経験を得ているのか,といったことをより明確にお伝えすることで,今後研究を続けていくにあたってどのようなことを意識すればより充実した研究者人生を送ることができるのか,といったことを考えるきっかけを提供することができればと思います.

羊土社からは2016年発行の『研究留学のすゝめ! ~渡航前の準備から留学後のキャリアまで』をはじめとする研究留学に関する良書が数多く刊行されており,本書もこれらの書籍のように,読者の皆様の研究・人生の幅を広げる糧になることができれば幸いです.なお,本出版にあたり多大なご協力をいただいた著者・インタビュイーの先生方,ならびに,企画段階から編集作業に至るまで大変お世話になった早河輝幸様,岩崎太郎様,蜂須賀修司様をはじめとする羊土社編集部の皆様に厚く御礼を申し上げます.


2024年8月

山本慎也,中田大介

目次

◆はじめに【山本慎也,中田大介】

1章 あなたの研究キャリアに海外という選択肢を[座談会]【五十嵐 啓,中田大介,安田 圭,安田涼平,山田かおり,山本慎也】

1 思い立ったらコンタクト.オンサイト学会が無理なら真摯なメールを

2 大学院留学はメリットたくさん.ポストバカロレアプログラムも選択肢に

3 Ph.D.取得後のインダストリーも大きな選択肢

4 海外に出るリスク,日本に残るリスク

5 地域ごとの環境は? 待遇を巡る最新動向

6 大事なのはPh.D.取得日! 先を見据えた人生設計を

2章 研究留学先を探し,オファーを獲得する【山本慎也,中田大介】

1 興味のある研究先のリストを作成する

情報収集にはさまざまなメディアを利用しよう!/大御所だけでなく実力のある若手や勢いのある中堅にも目を向けよう!/大学名にはこだわるな!

〈memo〉研究資金の重要性

2 まずはコンタクトをとってみる

3 推薦状を求められたら

4 インタビューでは何をみられるのか?

5 オファーが出た! 正式に受諾する前に検討すべきこと

6 海外留学までの流れの具体例

インタビュイー:小川優樹/三谷忠宏/梅津康平/米澤大志/原 貴恵子/古舘 健/穴見康昭/横井健汰

〈memo〉医学研究都市ヒューストンとテキサスメディカルセンター

3章 大学院留学,ポストバック留学という選択肢【五十嵐 啓,安田涼平】

1 なぜいま大学院留学を勧めるのか?

2 海外での大学院生活

3 海外大学院に応募するコツ

4 学部卒業後にポストバック研究生・テクニシャン職に応募するには

5 おわりに

4章 留学前後・ラボでの立ち居振る舞い【山本慎也】

1 渡航前にすべきこと

古巣での仕事を仕上げ,引き継ぎなどをスムーズにする/留学先のPIとのプロジェクトの打ち合わせ/フェローシップへの応募/ビザ等の取得/現地での生活のセットアップに必要な情報収集/各種手続きや引っ越し準備

2 渡航直後にすべきこと

生活の立ち上げ/受け入れ先の大学・研究機関でのチェックインやオリエンテーション/家族のケア

3 新しい研究環境に適応する

PIやラボメンバーとの研究内容の打ち合わせ/新生活のスケジュール・リズムに慣れる/仕事の引き継ぎやプロジェクトの立ち上げを通じて新しい手法をラボ内で学ぶ/自分の知識や実験手法を留学先のラボのメンバーに伝授する/コアファシリティを知り利用する

4 研究能力を磨く

語学力を磨く/発表力・質問力を磨く/論文力・グラント力を磨く/教育力を磨く/ネットワークを広げ,維持する

5 トラブルへの対処

5章 海外のアカデミアで活路を見出す【山田かおり】

1 いい論文を出して教員職に応募する

2 そこまですごい論文はないんだけど大学教員になりたい

3 大きな論文が出なかったり,独立する研究費を取れなかったとしても

4 ライフイベント

5 テニュアを取れなかったときのプランB

6 おわりに

6章 DEI(Diversity, Equity, Inclusion)を知り,実践する【船戸洸佑,樋口 聖,外山玲子】

1 ダイバーシティーの国アメリカ

2「女性が半分」はもはや常識:多くの女性が活躍するアメリカ社会

3 レイシャルダイバーシティーとエスニックダイバーシティー

〈memo〉アメリカの主なダイバーシティー関連月間

4 PIに求められるダイバーシティー促進の心得

5 似ているけれど違うEquityとEquality

6 Inclusionは思いやり

7章 アカデミア以外のキャリアパス【安田 圭】

1 はじめに

2 行動を起こす前の必要条件:グリーンカードの取得

3 職探しの準備

情報収集/Resumeの作成/LinkedInのアカウントを作成し,情報をアップデート

4 スタートしてから職を得るまでにかかった時間

5 インタビュー

未来の上司となる人とのコーヒーインタビュー/正式なインタビュー/将来の同僚および人事の人との面接/Referenceの重要性/オファー

6 現在の仕事について

7 おわりに

8 後日談

8章 留学後,日本のアカデミアで職を得るために[座談会]【安藤香奈絵,井垣達吏,大石公彦,合田圭介,園下将大,星野歩子(進行:山本慎也)】

1 日本に戻るためにはコネが必要か?

2 日本の公募,どうやって知る?

3 アメリカと日本でのインタビューや条件交渉の違い

4 帰国の際の家族の動向

5 日本に帰ってきて苦労したこと,良かったこと

6 これから留学しようか迷っている方々へ

Column

2-1 ポスドク先探し ~きっかけは思わぬところから【佐藤奈波】

2-2 コーヒーと雨のエメラルドシティで新米PIとともに4年間を過ごして【西田奈央】

2-3 Butterflies in my stomach【乘本裕明】

2-4 企業からの海外研究留学 ~もう一つの選択肢【高橋一敏】

3-1 人とのつながりも一つの合格要因【増谷涼香】

3-2 Ph.D.いつ始めても遅くない!【大山友子】

3-3 米国でのギャップイヤーが秘める可能性【藤島悠貴】

3-4 学部生でもしよう研究留学【古田能農】

4-1 世界で活躍をめざす研究者とその家族を支える【足立春那,足立剛也,貝沼圭吾,長谷川麻子】

4-2 旅の恥は掻き捨て? 海外用のアバターをつくる【中田大介】

4-3 新しいプロジェクトの立ち上げ ~ボスへの提案と独立への道筋【早瀬英子】

4-4 『サイエンスを遊ぼうの会』~ヒューストンでサイエンスを楽しむ【西田有毅】

4-5 プロジェクトが計画どおり進まない!【小川優樹】

4-6 前任者との再現性がとれなかったときにまず考えること【松本康之】

4-7 留学先でのトラブルに対処する ~泣き寝入りをしないために【嶋田健一】

4-8 急な解雇通告でどうする?【田守洋一郎】

4-9 スイスからアメリカへ夢を追いかけて【石原 純】

4-10 留学をしないという「選択肢」【中村能章】

5-1 アカデミア就職の実際【山田かおり】

5-2 正攻法ではない研究独立譚 ~ポスドクをしないというオプション【山本慎也】

5-3 フェローシップを利用して独立する【山中直岐】

5-4 PI になると決めちゃえ【吉本桃子】

5-5 コアファシリティで働くという選択肢【川内紫真子】

5-6 米国でtwo-body problemとノンアカデミックキャリアを経ての研究室立ち上げ【小黒秀行】

5-7 イギリスで研究室主宰者になるまで【木下将樹】

5-8 スウェーデンに研究留学し独立する【三原田賢一】

5-9 中国の国際的研究所への就職活動【大前彰吾】

5-10 シンガポールでの独立と起業 ~事業化がモチベーションでも基礎研究を重視したい!【杉井重紀】

6-1 Ginther Reportとその影響【外山玲子】

6-2 医学生物学分野の人材の多様性を推進する特別なプログラムの例【外山玲子】

6-3 Diversity Statementについて【船戸洸佑】

6-4 キャリア形成の設計図Individual Development Plan(IDP)【樋口 聖】

6-5 大学レベルでのDEIへの取り組みの例【樋口 聖】

6-6 大学レベルでのAccessibilityに関する取り組みの例【船戸洸佑】

7-1 アメリカのバイオテックでの研究生活【マクロースキー亜紗子】

7-2 知的財産を扱う ~理系の知識を活かせる文系の仕事【沢井昭司】

7-3 学術研究員からメディカル・ライターへの道【大山達也】

7-4 米国大学院からコンサルティング,動物病院経営へ【渡利真也】

8-1 世界で活躍する研究者をリクルートする工夫【伊藤 徹】

8-2 帰国後アメリカで独立するという選択【山下真幸】

8-3 日・米で研究室を運営する【鳥居啓子】

◆索引

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書籍情報

  • ISBN:9784758122733
  • ページ数:240頁
  • 書籍発行日:2024年9月
  • 電子版発売日:2024年9月12日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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