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- 腎生検病理アトラス 改訂版
商品情報
内容
序文
はじめに:「腎生検病理アトラス」発刊にあたって
2005 年に,日本腎臓学会腎病理診断標準化委員会の編集による「腎生検病理診断標準化への指針」が出版されました。「臨床編」,「病理編」,「腎臓病の分類」の3 部構成になっており,腎生検の診断の際に必要な臨床事項,病理標本作製の基本から,基本的な腎炎の解説が,豊富な写真とともに記載されています。これまで,この種の解説本が少なかったことから,好評を博してきました。しかし,取り上げられた疾患に偏りがあり,比較的稀な疾患の記載が無いことや,その後,新たな疾患概念や新分類が提唱されてきたため,病理的な内容を充実させた改訂の希望が多く寄せられるようになりました。また,これまで腎臓医の定本として使用されていたWHO の糸球体病変のアトラスが絶版となったこともあり,日本語の良質な腎生検組織のアトラスと解説書を求める声が臨床側からも,病理側からも大きくなってきました。この要望を受けて,腎病理診断標準化委員会では改訂に向けた検討を行い,日本腎病理協会と協力して,病理組織のアトラスと解説を中心にした,大幅な改訂を行いました。
改訂にあたっての編集の基本方針を以下のようにしました。1. 腎生検病理診断のための使いやすい優れた解説書となるよう,臨床側の意見を取り入れ,一貫した編集方針で行う。2. 病理的な解説が主体となるが,臨床的記載は腎生検病理診断のために必要な内容を充実させる。3. アトラスとしての役割を果たすために,優れた図を豊富に掲載する。
以上の編集方針により,腎病理協会に所属する腎病理のエキスパートの会員が,それぞれの領域を解説し,多くの写真の中から優れた図を厳選して,各項目を担当しました。さらに臨床の先生方の協力も得て,「腎生検病理アトラス:腎生検病理診断標準化への指針;病理改訂版」ができあがりました。腎臓医が座右におくべき日本語の良質な腎生検組織のアトラスと解説書を目指しましたが,質量ともに答えられた内容の1 冊になったと自負しています。一貫した編集方針を貫き,最新の情報も網羅したつもりでしたが,必ずしも十分とは言い切れないと思われます。さらに優れた内容とするために,読者の皆様のご指摘やご指導を頂くことをお願いいたします。
この冊子が,腎病理に携わる方達の参考になり,腎臓病診療にわずかでも貢献できれば,著者一同の喜びとするものであります。
平成22年8月10日
腎生検病理診断標準化への指針:病理改訂版 編集委員
田口 尚
城 謙輔
長田 道夫
はじめに:「腎生検病理アトラス」改訂にあたって
腎生検病理アトラス改訂版をお届けします。腎生検病理アトラスは,日本腎臓学会の腎病理診断標準化委員会によって 2005 に刊行された「腎生検病理診断標準化への指針」を,2010 年に日本腎臓学会と日本腎病理協会の共同編集として大幅に改定したものを初版としています。
初版アトラスの最大の特徴は,実践的病理診断の手順に沿って,疾患分類や基本的な読み方から,重要な疾患の病理所見の解説まで,広範囲に記載している点です。一方で,項目の括りが統一されていない部分や,病因論での新しい分類に対応できなくなるなど,改善すべきいくつかの問題も明らかになってきました。
今回 7 年を経て,より使いやすいアトラスとなるよう,腎病理協会会員を中心に改訂しました。今回の改訂は,新しい疾患概念に対応し,かつ最新の臨床病理学的な情報を盛り込むことで,さらに腎疾患の病理を病因から理解できるように編集しました。そのために 10 項目,80 ページ程度増えて少し重くなりましたが内容は非常に充実したものになっています。
このアトラスは,日本腎臓学会の腎病理診断標準化委員会と日本腎病理協会の協力のもとに充実してきましたが,そのどちらにも中心的な役割をされた,長崎大学名誉教授の田口 尚先生,信州大学名誉教授の重松秀一先生が,改訂を待たずに逝去されました。今回の改訂によって本アトラスが完成度の高いものになったのも,臨床と病理が理解しあう関係を持ってわが国の腎臓学が発展したのも,ひとえに田口先生と重松先生の高い学識とリーダーシップによるところが大きいと感じています。改訂版において重松先生は,腎病理の基盤である疾患概念について包括的に述べておられ,非常に示唆に富んでいます。さらに沢山の教えをいただく気持ちでしたが,残念なことに絶筆となってしまいました。その想いから,表紙は病理図ではなく重松先生の絵にしました。これからこの本を手に取る若い方にも,この想いが届けばと思います。
最後に,今回の改訂にあたり,執筆を含めご協力いただきました多くの方々と,これまで温かい指導を賜りました田口 尚先生,重松秀一先生に厚く御礼申し上げます。
本書が,これを手に取る多くの方々により,腎臓病の患者さんのためになることを願っています。
平成29年7月
日本腎病理協会代表世話人 筑波大学医学医療系
長田 道夫
腎生検病理アトラス改訂版編集委員長 昭和大学顕微解剖学
本田 一穂
目次
はじめに:「腎生検病理アトラス」発刊にあたって……田口 尚,城 謙輔,長田 道夫
はじめに:「腎生検病理アトラス」改訂にあたって……長田 道夫,本田 一穂
執筆者一覧
組織写真,図提供への謝辞
臨床情報
腎生検病理診断に必要な臨床情報……白井小百合,木村健二郎
腎生検臨床情報記載用紙:成人……横山 仁
腎生検臨床情報記載用紙:小児……石倉 健司,本田 雅敬
腎生検報告書の書き方と腎病理診断の標準化……本田 一穂
腎病理総論
腎生検に必要な各種染色法……山中 宣昭
所見の捉え方:光学顕微鏡……城 謙輔
所見の捉え方:免疫抗体法……小川 弥生,上田 善彦
所見の捉え方:電子顕微鏡……浜口 欣一,上杉 憲子
疾患分類
糸球体腎炎のWHO分類の変遷と今後の方向……重松 秀一
尿細管・間質・血管病変の分類……畔上 達彦,山口 裕
各論:糸球体病変
微小変化型ネフローゼ症候群……橋口 明典
巣状分節性糸球体硬化症……長田 道夫
膜性腎症……本田 一穂
IgA腎症……城 謙輔
紫斑病性腎炎(IgA血管炎)……久野 敏
抗GBM病……清水 章
膜性増殖性糸球体腎炎……辻 隆裕,深澤雄一郎
C3腎症:dense deposit病とC3腎炎……城 謙輔
ループス腎炎と抗リン脂質抗体症候群……串田 吉生,倉持 茂
糖尿病性腎症……北村 博司
腎アミロイドーシス……眞部 俊
細線維性腎炎とイムノタクトイド糸球体症……城 謙輔
爪膝蓋骨症候群と膠原線維沈着性糸球体症……城 謙輔
クリオグロブリン血症性糸球体腎炎……種田 積子
軽鎖沈着症,重鎖沈着症,軽鎖重鎖沈着症……小松田 敦
単クローン性IgG沈着を伴う増殖性糸球体腎炎……相馬 淳
フィブロネクチン 腎症……上杉 憲子
リポプロテイン糸球体症……長田 道夫
Alport症候群,菲薄基底膜病……原 重雄
先天性ネフローゼ症候群……長田 道夫
Fabry病……松岡健太郎
ミトコンドリア異常症……益澤 尚子
各論:感染関連腎炎
溶連菌感染後急性糸球体腎炎……上田 善彦,尾田 高志
細菌感染性腎炎……岡 一雅
ウイルス関連糸球体腎炎……田中 瑞子
肝疾患に関連した腎病変……南口早智子,上杉 憲子
各論:血管病変
腎硬化症……長田 道夫,田口 尚
血管炎症候群……小川 弥生
ANCA関連血管炎(AAV)……小川 弥生
血栓性微小血管症……大橋 隆治
全身性硬化症(強皮症腎)……川野 充弘
コレステロール塞栓症(アテローム塞栓症)……金綱友木子
各論:尿細管間質性病変
急性尿細管傷害/壊死……長濱 清隆
尿細管間質性腎炎……山口 裕,藤田 裕美
肉芽腫性間質性腎炎……柳内 充
腎盂腎炎……青木 茂久
IgG4関連腎臓病……久野 敏
代謝性尿細管障害……藤乘 嗣泰
ネフロン癆/常染色体優性尿細管間質性腎疾患(ADTKD)……武田 朝美
各論:移植腎病変
拒絶反応(バンフ分類)……原 重雄
移植腎の薬剤性障害……武田 朝美
移植腎のウイルス性腎症……金綱友木子
移植後リンパ増殖性疾患……小池 淳樹
腎移植後の再発腎炎,新生腎炎……大塚 康洋
各論:随伴性腎疾患
骨髄移植と腎障害……外岡 暁子
妊娠高血圧腎症……緒方謙太郎
薬剤性腎障害(分子標的薬)……相田 久美
Castleman病,POEMS症候群,TAFRO症候群(Castleman-Kojima病)……冨田 茂樹
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書籍情報
- ISBN:9784885632860
- ページ数:384頁
- 書籍発行日:2017年8月
- 電子版発売日:2024年9月20日
- 判:A4変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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