専門医のための水電解質異常 診断と治療

  • ページ数 : 192頁
  • 書籍発行日 : 2018年10月
  • 電子版発売日 : 2024年9月17日
6,380
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商品情報

内容

本書は,あえて「専門医のための」とし,「初心者にも分かりやすい」というコンサイスな内容は目指していない。ここで言う「専門医」はあえて腎臓内科だけでなく,救急医,麻酔科医,内分泌,総合診療なども意識し,ER/ICUで複雑な水電解質異常の治療に臨んでいる各科専門医たちにも満足してもらえる内容を提供するつもりで書いた。

序文

序文


私が1983年に,米国NIH老年病研究所およびベイラー医科大学腎臓内科で尿細管カルシウム輸送の研究を始めたときから35年が経過する。ほかの医学分野と同じように,この間に腎体液生理学は基礎研究だけでなく臨床での多くの発見に導かれて飛躍的に発展した。そして,この発展は日々の水電解質異常症の診断と治療に科学的なバックボーンを提供した。

現在,私は板橋区にある急性期病院に在籍し,腎臓内科だけでなく総合診療科やERで初期・後期研修医を指導しながら,ともに診療もしている。当院は年間9,000台を超える救急車を受け入れており,これを執筆している異常な猛暑の7 ~ 8月には熱中症と低ナトリウム血症,横紋筋融解症による急性腎障害などの患者が連日入院してきている。低ナトリウム血症の多くはSIADHの病態であるとは言え,それにナトリウム喪失が加わっている症例がERでは少なくない。こうした症例に3%NaClを投与すると,血清ナトリウム値がΔ0.5 mEq/時間の速度を上回って一気に上昇してしまう。つい先日はアルコール性ケトアシドーシスと下痢による正AG性代謝性アシドーシス(動脈血液ガス:pH 7.03 ,pCO2 7.3 mmHg),血清カリウム値1.97 mEq/L,そして急性腎障害の患者が入院している。混合性代謝性アシドーシスと重度の低カリウム血症があり,アルコール多飲に下痢,そして腎前性急性腎障害という複雑な病態であった。これを理解するには,水電解質代謝の最新の基本知識が欠かせない。

本書は,あえて「専門医のための」とし,「初心者にも分かりやすい」というコンサイスな内容は目指していない。ここで言う「専門医」はあえて腎臓内科だけでなく,救急医,麻酔科医,内分泌,総合診療なども意識し,ER/ICUで複雑な水電解質異常の治療に臨んでいる各科専門医たちにも満足してもらえる内容を提供するつもりで書いた。ただし,腎臓と並んで重要な酸塩基調節器官である呼吸機能に関してエキスパートではないので,本書では詳述していない。Part Iを「生体の水電解質調節機構」として,臨床を理解するために正常な状態における腎体液生理学の基礎知識をまとめ,かつPart II「水電解質異常症の診断と治療」の中にも,「トリビア」として臨床の事象に対する「なぜ?」を腎体液生理学に基づいて解説している。診断と治療のためだけにPart IIを使うのもよいが,「なぜ?」を理解することが,複雑な臨床の解読には必要だと思う。

本書を書くために,Brenner andRector's The KidneyやSeldin and Giebisch’s The Kidneyの2大教科書は基本として,New England J Medの特集はじめ多くの最新のレビューを参照した。さらにレジデントがよく使うUpToDateTMの記載との整合性にも留意した。ただし,診断と治療に関する記述はこれらによるものばかりではない。なぜなら高いレベルのエビデンスは少なく,診療ガイドラインもKDIGOを含めほとんどないためである。したがって本書の診断アルゴリズム,治療アルゴリズムは,著者の臨床経験に基づくものである。

ぜひ本書を活用して,複雑な異常症を的確に理解し治療する,その醍醐味を共有していただきたい。


2018年8月15日

目次

Part I.生体の水電解質調節機構

Chapter 1.ネフロンを理解する

Column 1.なぜペンギンの脚は凍傷にならないのか?

Chapter 2.血清ナトリウム・水調節機構

Column 2.Beer Potomania

Column 3.皮下ナトリウムプール

Column 4.海水を飲むと脱水になり高ナトリウム血症を起こすのはなぜだろう

Chapter 3.血清カリウム濃度調節機構

Chapter 4.酸塩基調節機構

Chapter 5.ヘモダイナミクスと腎臓

Chapter 6.カルシウム,リン,マグネシウム調節機構

Part II.水電解質異常症の診断と治療

Chapter 7.低ナトリウム血症の診断と治療

トリビア 低ナトリウム血症

Chapter 8.高ナトリウム血症の診断と治療

Chapter 9.多尿を呈する疾患の診断と治療

Chapter 10.酸塩基異常症の診断と治療―呼吸性アルカローシス・アシドーシス

Chapter 11.酸塩基異常症の診断と治療―代謝性アルカローシス

Chapter 12.酸塩基異常症の診断と治療―代謝性アシドーシス

Chapter 13.血清カリウム異常症の診断と治療

トリビア 酸塩基異常・カリウム異常症

Chapter 14.血清カルシウム異常症の診断と治療

Chapter 15.血清リン異常症の診断と治療

Chapter 16.血清マグネシウム異常症の診断と治療

トリビア カルシウム・リン・マグネシウム異常症

Chapter 17.利尿薬の特徴と投与法

Chapter 18.水電解質異常症の診断―臨床検査法のまとめ

索引

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書籍情報

  • ISBN:9784885632969
  • ページ数:192頁
  • 書籍発行日:2018年10月
  • 電子版発売日:2024年9月17日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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