血液内科治療のトリセツ

  • ページ数 : 300頁
  • 書籍発行日 : 2024年10月
  • 電子版発売日 : 2024年10月11日
3,960
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商品情報

内容

京都大学病院の最新プロトコールを余さず解説。血液内科治療のすべてが分かる!
京都大学病院の血液内科診療チームが満を持して贈る「治療のトリセツ」が登場.単なるケモレジメンにとどまらず,すべての治療について京都大学病院で実際に行っている最新治療プロトコールが,疾患ごとの解説でよくわかる.薬物療法だけでなく,細胞療法や放射線療法,緩和ケア,リハビリテーションなど造血器疾患にかかわるあらゆる治療を包括的に解説し,医師のみならず看護師,薬剤師,臨床検査技師,PT,OTなど血液内科のチーム医療に携わるすべての人に必須の内容となった.これ1冊で血液内科治療のすべてが分かる!

序文

巻頭言

皆様,ここに「血液内科治療のトリセツ」をお届けできることを心から嬉しく思います.

ご存じのように,血液疾患の治療は多くの新薬の登場で複雑化している現状がありますが,今は様々なガイドラインが入手可能です.特に,日本血液学会発行の「造血器腫瘍ガイドライン」や厚労科研費 特発性造血障害に関する調査研究班の「特発性造血障害疾患の診療の参照ガイド」等を読者の皆様も利用しておられることと思います.

一方で,実臨床の場で,実際の薬を処方する際に,手軽に参考にする本はあまりないのではないかと思います.当科では,ガイドラインが今のようにない過去に,科内の標準治療を冊子にして,関連病院で共有していた時代がありました(ずいぶん昔の話です).そこで,現在の標準治療を実臨床の場で使用する際のわかりやすい参考書(トリセツ)があれば,臨床の現場,特に若い先生達に役立つのではと考え,作成を試みました.

本書が,皆さんの実臨床のお役に立てば,当科の執筆者一同望外の喜びです.


2024年9月

京都大学医学部附属病院 病院長・血液内科教授
髙折 晃史

目次

CHAPTER I:血液疾患に対する治療の全体像〈山下 浩平〉

 ・造血器腫瘍に対する薬物療法

CHAPTER II:薬物治療

A 血液悪性疾患

1.慢性骨髄性白血病(CML)〈北脇 年雄〉

 ・イマチニブ(第1世代TKI)

 ・ニロチニブ(第2世代TKI)

 ・ダサチニブ(第2世代TKI)

 ・ボスチニブ(第2世代TKI)

 ・ポナチニブ(第3世代TKI)

 ・アシミニブ(STAMP阻害薬)

2.骨髄増殖性腫瘍(MPN)〈北脇 年雄〉

 ・瀉血療法

 ・アスピリン

 ・ヒドロキシカルバミド(HU)

 ・ロペグインターフェロン アルファ—2b

 ・アナグレリド

 ・ルキソリチニブ(RUXO)

 ・モメロチニブ

3.骨髄異形成症候群・急性骨髄性白血病(MDS/AML)〈竹田 淳恵〉

 ・細胞障害性化学療法

 ・少量シタラビンを含むレジメン

 ・脱メチル化剤,BCL2阻害薬を用いたレジメン

 ・FLT3阻害薬

 ・急性前骨髄球性白血病(APL)に使用するレジメン

4.急性リンパ芽球性白血病(ALL)〈石山 賢一〉

 ・Ph陰性ALLに対する治療法

 ・Ph陽性ALLに対する治療法

 ・再発・治療抵抗性B—ALLに対する治療法

 ・再発難治T—ALL/LBLに対するプロトコール

 ・レジメン補足

 ・副作用とその対策

5.慢性リンパ性白血病(CLL)〈水本 智咲〉

 ・イブルチニブ単剤

 ・アカラブルチニブ単剤

 ・アカラブルチニブ+オビヌツズマブ

 ・ベネトクラクス+リツキシマブ

 ・FCR療法

 ・BR療法

6.ホジキンリンパ腫(HL)〈錦織 桃子〉

 ・ABVD療法

 ・A(BV)—AVD療法

 ・BV(ブレンツキシマブ ベドチン)療法

 ・抗PD—1抗体療法

7.非ホジキンリンパ腫(NHL)〈松井 宏行〉

 ・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)

 ・中枢神経原発リンパ腫(PCNSL)

 ・バーキットリンパ腫(BL)/高悪性度B細胞性リンパ腫(HGBL)

 ・濾胞性リンパ腫(FL)

 ・マントル細胞リンパ腫(MCL)

 ・リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(LPL/WM)

 ・末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)

 ・節外性NK/T細胞リンパ腫(ENKL)

8.成人T細胞白血病(ATL)〈阪本 貴士〉

 ・Modified LSG15(VCAP—AMP—VECP)

 ・モガムリズマブ

 ・ブレンツキシマブ ベドチン(BV)

 ・その他の保険承認薬

9.多発性骨髄腫(MM)〈松本 忠彦〉

 ・自家造血細胞移植適応患者の第一選択化学療法

 ・移植非適応患者の第一選択化学療法

 ・再発・難治性患者の化学療法

 ・副作用とその対応

 ・治療成績

10.有毛細胞白血病(HCL)〈阪本 貴士〉

 ・プリンアナログ±リツキシマブ

 ・インターフェロン—α

 ・新規分子標的薬

B 血液非悪性疾患

赤血球系

1.鉄欠乏性貧血〈川端 浩〉

 ・経口鉄剤による治療

 ・静注鉄剤による治療

2.巨赤芽球性貧血〈新井 康之〉

 ・主な治療プロトコール

 ・治療にあたっての注意点

3.自己免疫性溶血性貧血(温式AIHA/CAD)〈蝶名林 和久〉

 ・温式抗体によるAIHAの治療

 ・CADの治療

4.発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)〈北脇 年雄〉

 ・抗C5療法

 ・近位補体阻害薬

5.再生不良性貧血(AA)〈森 美奈子 川端 浩〉

 ・重症度stage 1およびstage 2aの治療

 ・重症度stage 2b以上の治療

 ・支持療法

6.赤芽球癆〈川端 浩〉

 ・シクロスポリン(CsA)

 ・副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)

 ・シクロホスファミド(CY)

 ・輸血後鉄過剰症への対策

 ・予後

7.腎性貧血(成人保存期慢性腎臓病患者)〈水本 智咲〉

 ・赤血球造血刺激因子製剤(ESA)

 ・HIF—PH阻害薬

血栓・止血系

8.特発性血小板減少性紫斑病(ITP)〈新井 康之〉

 ・一次治療各レジメンの概説

 ・二次治療各レジメンの概説

 ・緊急時の対応

9.播種性血管内凝固(DIC)〈阪本 貴士〉

 ・基礎疾患の治療

 ・補充療法

 ・抗凝固療法

 ・抗線溶療法

10.血栓性微小血管症(TMA)〈新井 康之〉

 ・血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)

 ・溶血性尿毒症症候群(HUS)

 ・造血幹細胞移植後TMA(TA—TMA)

11.ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)〈新井 康之〉

12.凝固因子異常症:血友病とvon Willebrand病〈白川 康太郎〉

 血友病

 ・出血時の止血治療

 ・予備的補充療法

 ・定期補充療法

 ・血友病A治療薬

 ・血友病B治療薬

 von Willebrand病(VWD)

 ・治療薬

レトロウイルス感染症

13.HIV感染症/後天性免疫不全症候群(AIDS)〈白川 康太郎〉

 ・抗レトロウイルス療法(ART)について

 ・大部分の感染者に推奨されるARTレジメン

 ・臨床状況によっては推奨されるARTレジメン

 ・その他のARTの特徴

その他

14.伝染性単核球症〈松本 忠彦〉

15.血球貪食症候群(HPS/HLH)〈城 友泰〉

 ・HLH—94プロトコール

 ・HLH—2004プロトコール

 ・レジメン補足

 ・治療成績

 ・化学療法後の治療

 ・その他の留意点

16.抗リン脂質抗体症候群(APS)〈竹田 淳恵〉

17.原発性免疫不全症〈新井 康之〉

 ・感染予防

 ・根治治療

18.遺伝性血管性浮腫(HAE)〈山下 浩平〉

 ・オンデマンド治療

 ・短期発作予防

 ・長期発作予防

CHAPTER III:細胞療法

A 造血幹細胞移植

1.自家移植〈諫田 淳也〉

 ・末梢血幹細胞採取

 ・悪性リンパ腫

 ・多発性骨髄腫

 ・考慮すべき事項

2.同種移植〈渡邊 瑞希〉

 ・前処置の強度と分類

 ・移植に使用される薬剤(各論と特異的な有害事象,予防)

 ・TBI照射における注意点と有害事象の予防

 ・全般的な前処置副作用に対する予防と対策

 ・肥満や臓器障害がある場合の用量調整

 ・当院で頻用している前処置レジメン

 ・実際の前処置選択におけるポイント

 ・移植前処置における検討課題と挑戦

B 移植以外の細胞療法

1.輸血療法〈城 友泰〉

 ・実際の治療方法

 ・副作用とその対策

 ・輸血検査・安全管理

2.キメラ抗原受容体T細胞(CAR—T)〈新井 康之 谷口 理沙〉

 ・ブリッジング治療

 ・リンパ球除去化学療法(LDケモ)

 ・CAR—T投与時の前投薬

 ・CAR—T細胞

 ・CAR—T細胞投与後合併症の対応

3.顆粒球輸血〈城 友泰〉

4.ドナーリンパ球輸注(DLI)〈城 友泰〉

5.間葉系幹細胞(MSC)〈新井 康之〉

6.体外フォトフェレーシス〈城 友泰〉

CHAPTER IV:放射線療法:概論〈宇藤 恵〉

 ・通常分割照射,放射線治療の目的,放射線治療の方法について

 ・副作用の種類や対処法

 ・チーム医療で取り組む京都大学医学部附属病院での放射線治療について

CHAPTER V:リハビリテーション療法:概論〈濱田 涼太 村尾 昌信 馬場 千夏〉

 ・血液疾患患者におけるリハビリテーションのエビデンス

 ・血液疾患患者におけるリハビリテーション評価

 ・血液疾患患者に対するリハビリテーションの進め方

 ・運動療法の内容

 ・血液疾患患者に対してリハビリテーション介入を行う際に考慮すること

CHAPTER VI:血液内科の栄養療法:概論〈小林 亜海 幣 憲一郎〉

 ・貧血

 ・悪性疾患

CHAPTER VII:緩和ケア:概論〈嶋田 和貴〉

 ・緩和ケアの背景

 ・血液疾患の緩和ケア

 ・痛みのマネジメント

 ・精神症状のマネジメント

CHAPTER VIII:支持療法:概論

1.Oncology emergency〈新井 康之〉

 ・腫瘍崩壊症候群(TLS)

 ・高カルシウム血症

2.化学療法時のG—CSF投与〈蝶名林 和久〉

 ・予防投与

 ・治療投与

3.感染予防〈水本 智咲〉

 ・化学療法の感染予防投与として使用する薬剤

 ・疾患・化学療法による感染予防

 ・同種造血幹細胞移植治療の感染予防投与として使用する薬剤

 ・B型肝炎ウイルス

CHAPTER IX:チーム医療としての血液疾患治療:概論

1.Cardio—onco—hematologyの現状と展望〈加藤 恵理〉

 ・がん治療関連心血管毒性(CTR—CVT)

 ・がん治療関連心機能障害(CTRCD)

 ・高血圧

 ・不整脈

 ・虚血性心疾患

 ・静脈血栓塞栓症

 ・肺高血圧症

 ・腫瘍循環器アルゴリズム

 ・長期生存者のモニタリングアルゴリズム

2.オンコネフロロジー(腫瘍腎臓病学)〈松原 雄 柳田 素子〉

 ・がん診療中にみられる腎障害

 ・がん薬物療法時の腎障害診療ガイドラインのUpdate

 ・血液内科領域におけるOnconephrology

3.レジメン登録と管理〈山際 岳朗〉

 ・レジメンの作成

 ・レジメンの登録

 ・レジメンの管理

 ・薬剤師による抗がん薬処方の監査

4.未承認・禁忌・適応外薬における安全管理〈山本 崇〉

 ・未承認・禁忌・適応外薬に関する法令上の取り扱い

 ・未承認・禁忌・適応外薬使用の可否を決定する際のポイント

 ・未承認薬の使用例(シドフォビル)

5.血液疾患に対する新規レジメン開発〈島津 裕〉

 ・多剤併用化学療法開発の歴史

 ・レジメン開発の法則を解明

 ・今後の展開

結びの言葉


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書籍情報

  • ISBN:9784498225503
  • ページ数:300頁
  • 書籍発行日:2024年10月
  • 電子版発売日:2024年10月11日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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