尿検査のみかた,考えかた 改訂2版

  • ページ数 : 310頁
  • 書籍発行日 : 2024年10月
  • 電子版発売日 : 2024年10月10日
5,940
(税込)
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商品情報

内容

小児〜成人の尿検査を年代ごとに詳細にまとめた好評書の改訂
尿検査の種類・実施法,検査値の診かたや鑑別を,小児〜移行期〜成人の各年代ごとに網羅し詳細に解説した好評書籍の改訂版.簡潔かつ平易ながら,どうしてその見かた・結果になるのかの『なぜ』についてしっかりと記載し,尿検査を行うにあたり必要な知識を外来や病棟で素早く調べることができる.今回は初版で不十分であった記載を改め,近年改訂されたガイドラインの記述や尿中バイオマーカーなどの新知見を加筆し,診療現場のみならず産業医や学校医など尿検査を活用する医療従事者にとってさらに有用な一冊となった.

序文

第2版改訂にあたって


本書の初版が発行されてからすでに6年が過ぎました.この間,多くの皆さまにお読みいただいていると聞き,大変うれしく思っています.この度,各種ガイドラインの改訂内容や新知見をもとに改訂第2版を上梓することになりました.今回も小児における尿検査を関西医科大学小児科金子一成教授,成人における尿検査を順天堂大学腎臓内科鈴木祐介教授に編集をご担当いただき,臨床・研究・教育の第一線でご活躍中の先生方にご執筆をお願いしました.尿検査は,小児から成人,高齢者まで幅広い年齢層で行われますが,試験紙法のような簡易検査のみならず様々な特殊検査も行われるようになっています.それらの実施法や検査結果のみかた・考え方は,小児と成人では異なっているところもあり,同一ではありません.小児から成人への移行期・思春期についての尿検査のみかたも考える必要があり,改訂第2版でも年代に合わせた詳細な解説がなされています.しかし,忘れてはならないのは,尿検体の採取を正しく行い新鮮尿で検査することです.もしそれができない場合には,適切な保存をするといった原則を守り検査することが重要です.

今回の改訂では,初版の良さはそのままに,不十分であった記載を改め,尿中バイオマーカーなどの新知見を加筆しましたので初版と同様に診療現場のみならず産業医や学校医の皆さまにもご活用いただけると思います.また,医学生にとっても有用な解説書になると思いますので,お役立てください.

ご多忙ななかご協力いただきました編集者・執筆者に心からお礼申し上げます.また読者の方々には忌憚のないご批判やご叱正をお願いいたします.最後に,諸事ご協力いただきました中外医学社の皆さまに厚くお礼申し上げます.


2024年盛夏 都庁舎を眺めつつ

富野康日己

目次

1章 尿検査総論

1.尿の成分・外観〈井下博之〉

A.正常状態で尿に含まれる成分

B.病的状態で尿に含まれる成分

C.尿の外観的検査

2.採尿方法,尿の保存方法〈富野康日己〉

A.尿の採取方法

B.尿の保存方法

3.尿蛋白の評価と意義〈高木美幸〉

A.蛋白尿・アルブミン尿の評価法

B.蛋白尿異常値の場合に考えるべき病態

4.血尿・血色素尿の評価と意義〈若林啓一〉

A.血尿の測定法および基準値

B.異常を呈する病態

C.診療の進め方

5.白血球尿の評価と意義〈眞野 訓〉

A.白血球尿について

B.白血球尿の原因について

6.尿糖の評価と意義〈蒔田雄一郎〉

A.尿糖測定の目的

B.試料の採取方法と保存条件

C.尿糖の測定方法

D.細胞内へのグルコース輸送のメカニズム

E.腎尿細管上皮細胞におけるグルコース輸送のメカニズム

F.尿糖が出現する病態

7.尿沈渣の作製法と評価法〈村越真紀〉

A.採尿法

B.尿沈渣標本の作製

C.尿沈渣標本の鏡検

D.標本の観察

E.尿沈渣成分の評価

8.細胞診の意義と評価〈山里勝信〉

A.意義

B.細胞診検査の利点と欠点

C.判定

D.検査の流れ

E.検体採取・提出方法

F.評価法

9.尿中の結晶や円柱の評価と意義〈脇田 満〉

A.結晶成分

B.円柱成分

10.尿浸透圧・尿比重の評価と意義〈山田耕嗣〉

A.尿浸透圧

B.尿比重

11.尿酸・尿素窒素・ケトン体の評価と意義〈福田裕光〉

A.尿酸

B.尿素窒素

C.尿ケトン体

12.尿中の電解質とアニオンギャップの評価と意義〈辻 章志〉

A.尿中ナトリウム

B.尿中カリウム

C.尿中カルシウム

D.尿中リン

E.尿アニオンギャップ

13.試験紙検査の評価と意義〈辻 章志〉

A.尿試験紙検査の測定項目と原理

B.異常値が出た場合に想定するべき疾患

C.尿試験紙法の偽陽性と偽陰性

14.尿細管障害のバイオマーカーの評価と意義〈西崎直人〉

A.尿中NAG

B.尿中α1MG

C.尿中β2MG

15.急性腎障害のバイオマーカーの評価と意義〈山内壮作〉

A.代表的な急性腎障害の尿中バイオマーカーとその特徴

B.近年,注目されているAKIの尿中バイオマーカー・TIMP—2とIGFBP7について

C.最近,報告された新規のAKIの尿中バイオマーカーとその特徴

16.Kova Slide法の評価と意義〈木全貴久〉

A.膿尿と細菌尿

B.Kova Slide法

C.Kova Slide法の原理

D.Kova Slide法による尿路感染症の診断手順

2章 小児の尿検査

1.小児の採尿法〈木全貴久〉

A.小児の採尿方法

B.尿検体の保存方法

2.乳幼児検尿の意義と実際〈西崎直人〉

A.3歳児検尿の目的

B.3歳児検尿における有所見の頻度

C.3歳児検尿における尿採取

D.3歳児検尿の判定

E.三次精密検診以降の対応

3.学校検尿の意義と実際〈西崎直人〉

A.学校検尿の目的

B.学校検尿の方法

C.学校検尿(腎臓)フローチャート

D.暫定診断と学校生活管理指導表について

E.緊急受診が必要な場合

4.血尿を呈する小児疾患〈藤永周一郎〉

A.血尿の定義と分類

B.糸球体性血尿

C.非糸球体性血尿

D.血尿を呈する小児への対応

5.蛋白尿を呈する小児疾患〈藤永周一郎〉

A.蛋白尿の定義と分類

B.体位性蛋白尿

C.糸球体性蛋白尿

D.溢流性(腎前性)蛋白尿

E.腎後性蛋白尿

F.蛋白尿を呈する小児への対応

6.尿細管性蛋白尿を呈する小児疾患〈藤永周一郎〉

A.尿細管性蛋白尿の定義と分類

B.ネフロン癆

C.Dent病

D.Lowe症候群

E.CUBN遺伝子異常症

7.小児のCKDの尿検査異常〈大友義之〉

A.慢性腎臓病について

B.CKDの定義

C.CKDの重症度とステージング

D.小児のCKDの定義

E.小児CKDの疫学と原因

F.小児のCKDの尿検査異常

8.小児腎臓病専門医へ紹介すべき尿検査異常〈大友義之〉

A.小児におけるCKDのスクリーニング

B.小児腎臓病専門医へ紹介すべき尿検査異常

3章 思春期の尿検査異常

1.起立性蛋白尿〈西崎直人〉

A.定義・疫学

B.病因・病態

C.検査方法

D.管理および注意点

2.ナットクラッカー現象〈平野大志〉

A.定義・概念

B.疫学

C.病因・病態生理

D.臨床症状

E.診断

F.治療・予後

3.月経血の混入〈西崎直人〉

A.月経に対する配慮

B.月経血と潜血反応

C.月経血と尿蛋白

D.月経者の取り扱い

4.小児の腎臓病の内科への移行〈平野大志〉

A.定義・概念

B.対象疾患

C.移行時期および具体的な移行プログラム

D.移行期医療の問題点

E.わが国の移行医療の現状

4章 成人における尿検査

1.成人の採尿法〈野原奈緒〉

A.採尿方法による分類

B.採尿時間による分類

C.採尿方法の留意事項

2.成人の血尿に関する疫学〈新里勇樹 座間味 亮 古波蔵健太郎〉

A.血尿の定義

B.血尿の頻度

C.血尿の発見動機

D.血尿の予後と診療上の留意点

3.成人の蛋白尿に関する疫学〈二瓶義人〉

A.発見動機

B.頻度

C.予後

D.ネフローゼ症候群の頻度

E.ネフローゼ症候群の予後

4.成人における血尿をきたす鑑別疾患〈清水芳男〉

A.糸球体性血尿と非糸球体性血尿

B.血尿と腎生検の適応

5.成人における蛋白尿をきたす鑑別疾患〈高原久嗣〉

A.蛋白尿とは

B.蛋白尿の鑑別疾患

C.蛋白尿が主体の糸球体疾患

D.蛋白尿に血尿を伴う糸球体疾患

E.蛋白尿を伴う尿細管間質疾患

6.成人における肉眼的血尿を認めた場合の鑑別疾患〈武藤正浩〉

A.肉眼的血尿とは

B.肉眼的血尿の鑑別に必要な病歴聴取,検査

C.内科的疾患

D.泌尿器科領域の悪性腫瘍

E.悪性腫瘍を除く泌尿器科領域の疾患

F.薬剤に関連した肉眼的血尿

7.成人が初めて血尿を指摘された際の二〜三次スクリーニングについて〈木原正夫〉

A.健診で尿潜血陽性を指摘された場合:一般医家での初期対応

B.尿沈渣により血尿であることが確認された場合

C.内科的に緊急を要する肉眼的血尿

D.蛋白尿を合併しない血尿症例に対する腎生検について

8.成人が初めて尿蛋白を指摘された際の二〜三次スクリーニングについて〈毎熊政行〉

A.初めて蛋白尿を認めたとき

B.病的な蛋白尿を疑う場合の鑑別ポイント

C.診断確定・治療

9.成人における尿所見異常者の専門医への紹介のタイミングについて〈福崎晴奈〉

A.慢性腎臓病における病診連携

B.腎臓専門医へ紹介するタイミング

10.糸球体腎炎の尿検査のみかた〈後藤 眞〉

A.糸球体腎炎と尿異常

B.糸球体腎炎の臨床症候と尿異常

C.尿所見からみた糸球体腎炎と鑑別診断

D.糸球体腎炎と尿沈渣

E.糸球体腎炎と尿蛋白量

F.健康診断における尿検査と腎臓専門医への紹介基準

11.IgA腎症の尿所見の特徴とみかた〈鈴木 仁〉

A.IgA腎症の尿所見異常

B.IgA腎症の活動性と尿所見異常

C.IgA腎症の予後と尿所見

D.腎臓専門医に紹介するタイミング

E.血尿の二次スクリーニング―新規バイオマーカー―

12.ネフローゼ症候群の尿検査の特徴とみかた〈狩野俊樹〉

A.糸球体血尿の有無および細胞性円柱

B.発症の仕方

C.Selectivity index

D.病型別特徴

13.急性腎障害(AKI)の尿所見の特徴とみかた〈井尾浩章〉

A.AKIの鑑別診断

B.尿検査所見の特徴とみかた

14.急速進行性糸球体腎炎(RPGN)の尿所見の特徴とみかた〈中田純一郎〉

A.急速進行性糸球体腎炎とは

B.尿所見の特徴

C.追加すべき検査と鑑別が必要な病態

15.糖尿病性腎症の尿所見の特徴とみかた〈合田朋仁〉

A.糖尿病性腎症と糖尿病関連腎臓病との関連性

B.腎症の早期診断マーカーとしてのアルブミン尿

C.糖尿病関連腎臓病の尿所見

D.尿所見と腎機能障害の関連性

E.糖尿病関連腎臓病の治療

F.腎臓専門医に相談するタイミング

16.間質性腎炎の尿所見の特徴とみかた〈中野貴則〉

A.間質性腎炎の原疾患と疫学

B.TINの特徴

C.TINの血液・尿所見の特徴

D.TINの治療,予後

E.間質マーカーなど追加すべき検査のポイント

F.腎臓専門医に紹介するタイミング

17.腎硬化症・高血圧性腎障害の尿所見の特徴とみかた〈上田誠二〉

A.疫学

B.病態

C.尿所見の特徴と診断

D.治療

E.腎臓専門医に紹介するタイミング

18.遺伝性疾患と尿所見の特徴とみかた〈小林 敬〉

A.常染色体顕性多発性囊胞腎

B.良性家族性血尿(菲薄基底膜病)

C.Alport症候群

D.爪膝蓋骨症候群

E.Fabry病

19.急性下部尿路感染症の尿所見の特徴とみかた〈家田健史 堀江重郎〉

A.概要

B.尿沈渣所見

C.急性膀胱炎

D.急性細菌性前立腺炎

E.急性精巣上体炎

20.慢性下部尿路感染症の尿所見の特徴とみかた〈野間康央 堀江重郎〉

A.定義

B.症状

C.追加検査のポイント

D.尿所見の特徴

21.尿路系悪性腫瘍の尿所見の特徴とみかた〈高畑創平 堀江重郎〉

A.下部尿路系悪性腫瘍の疫学

B.症状

C.尿沈渣での検査所見

D.尿細胞診

E.尿中マーカー検査

F.追加検査について

22.薬物治療と尿所見異常〈佐藤浩司〉

A.薬剤性腎障害の疫学

B.薬剤性腎障害における尿所見異常

C.尿の色調が変化する薬剤

D.尿の臭いが変化する薬剤

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書籍情報

  • ISBN:9784498224391
  • ページ数:310頁
  • 書籍発行日:2024年10月
  • 電子版発売日:2024年10月10日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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