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すべての臨床医が知っておきたいリウマチ・膠原病の診かた

  • ページ数 : 416頁
  • 書籍発行日 : 2024年10月
  • 電子版発売日 : 2024年10月12日
5,500
(税込)
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商品情報

内容

主要徴候からのアプローチでリウマチ・膠原病の診断に自信がつく
多彩な症状を呈すために難しいイメージのあるリウマチ・膠原病.なかでも特に多い関節炎については7つのグループに分けて診断の流れをとことん解説.主要徴候から鑑別診断にアプローチする新しい入門書!

序文

はじめに


リウマチ膠原病の症状は非常に多岐にわたります.そのため,多くの臨床医の先生方や医学生さんたちは,「膠原病って何だか難しそう...」とのイメージをおもちかもしれません.でも,リウマチ膠原病を専門とする医師にとっては,少し印象が異なります.リウマチ膠原病学は,一定のパターンさえ身につけてしまえば,そこからすらすらと診断を導くことができ,勉強すればするほど世界が広がっていくのです.そのうちにあなたもきっとこう思うようになるでしょう.「こんなにおもしろい学問はない!」と.

リウマチ膠原病の専門医は決して,個々の疾患の診断基準を読み上げて,これが当てはまる,当てはまらない,と判断しているわけではありません.「主要徴候」からスタートし,そこからいくつかの疾患に共通するパターンをもとに,自分なりの鑑別診断の系統樹をつくり上げ,診断を絞り込んでいるのです.例えば「関節の腫れ」ひとつをとり上げたとしても,その腫れ方は疾患群により微妙に異なっています.それを意識して観察をくり返すことにより,主要徴候からいわば反射的に鑑別診断をあげられるようになるのです.本書は,そんなリウマチ専門医の頭のなかを,1冊の本にまとめたものです.

この「主要徴候からアプローチする」という考え方は,本邦でも総合診療はじめあらゆる分野の診断学で行われていることではありますが,とりわけ,欧米の内科学のレジデントが徹底的に叩き込まれる考え方です.この考え方を軸とした教科書を作成するために,本書では最適な共著者である神野定男先生とタッグを組むことになりました.神野先生は,米国で10年間にわたりRheumatologyの専門医として診療に携わり,それを実践してこられました.一方,私は,海外で学んだわけではありませんが,三森経世先生をはじめとする本邦の膠原病学の権威の先生方から,リウマチ学を学んできたという自負があります.こうして,日米のリウマチ専門医が火花を散らしあいながらつくったこの本を,ぜひご覧いただければと思います.

また,本書ではもう1つの特徴として「なぜそうなるのか?」を考えることにも重きをおきました.例えば,皆さんは,医学部の講義で「リウマチは骨を食む,SLEは骨をかすめる」という説明を受けたことがあるもしれません(関節リウマチでは骨破壊をきたすが,SLEの関節炎では骨破壊をきたさないことの例え).以前の教科書では,ただそうなっているとの記述にとどまると思いますが,現代のリウマチ膠原病学や免疫学の進歩を踏まえれば,「なぜそうなるのか?」を理論的に説明することが可能になっています.この本を通じて,近年のリウマチ膠原病学の華々しい進歩を,肌で感じていただければと思います.

最後に,本書の作成にあたり,珠玉のような写真をご提供いただきましたすべての先生方に御礼を申し上げます.特に大阪公立大学整形外科の岡野匡志先生と皮膚科の鶴田大輔先生,廣保 翔先生からは,数多くの写真をご提供・ご監修いただきました.当科スタッフや研修医からも幅広く意見をいただくことができ,皆様のおかげで「膠原病学がカラフルで楽しい学問である」ことを伝えられる本になったと思います.

本書を手にとっていただいた先生が,一人でも,リウマチ膠原病学に魅力を感じていただき,この不思議な世界の探検に一緒に加わっていただけるならば,筆者にとってこれ以上の喜びはありません.


2024年9月

大阪公立大学大学院医学研究科 膠原病内科学
橋本 求

目次

・はじめに

・略語一覧

・関節の名称

第1部 「関節炎」を鑑別しよう

1)リウマチ膠原病の疾患概念

2)関節炎のグループ分類

3)各関節炎グループの鑑別

①関節炎の発症様式

②関節炎の性状

③関節炎の部位分布

④関節外症状

⑤血液検査(自己抗体,炎症反応など)

⑥画像検査:X線

⑦画像検査:エコー

⑧画像検査:MRI

⑨関節液検査(細胞数,結晶,培養)

4)各関節炎の特徴まとめ

5)その他の関節炎疾患

6)各関節の診察法

7)ケースシリーズ

①急性の左膝の痛みと腫れ!鑑別診断は?

②急性単関節炎 〜emergencyを見逃さない

③急性の下肢の痛み 〜現病歴が不明瞭な関節痛には要注意!

④慢性の左肩の痛み,非典型例にご注意を

⑤高齢発症の多関節炎,まず疑うべきは?

⑥急性多関節炎,渡航歴含めた病歴聴取を忘れずに

⑦入院中の高齢者における急性多関節炎

⑧蜂窩織炎疑い,でも抗菌薬が効いていない?

⑨RF陽性だと関節リウマチ?

⑩非対称性の慢性多関節炎といえば?

⑪高齢者の多関節炎 〜全身消耗症状に要注意!

⑫若年発症の慢性関節炎 〜炎症性腰背部痛の評価をしよう

⑬先行感染症状のある慢性多関節炎,鑑別すべきは?

⑭慢性多関節炎,関節外症状に着目しよう

⑮RAの悪化じゃなかった?次の一手は

第2部 よくある主要徴候から鑑別しよう

1)全身症状

①発熱・不明熱

2)皮膚症状

①レイノー現象

②結節性紅斑

③紫斑

④皮膚潰瘍

3)眼症状

①ぶどう膜炎・強膜炎

②視力・視野障害

4)耳鼻咽喉症状

①中耳炎・副鼻腔炎

5)口腔症状

①口内炎・口腔内潰瘍

②唾液腺腫脹

6)胸部症状

①漿膜炎

②間質性肺炎

③肺高血圧症

7)神経・筋症状

①手足のしびれ,痛み,脱力

②筋痛・筋力低下

8)泌尿器症状

①腎病変

第3部 なぜ分子標的薬の奏効性が重要か?

・おわりに

・巻末付録:診断基準,分類基準,治療アルゴリズム

・索引

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書籍情報

  • ISBN:9784758124195
  • ページ数:416頁
  • 書籍発行日:2024年10月
  • 電子版発売日:2024年10月12日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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