• ページ数 : 120頁
  • 書籍発行日 : 2024年10月
  • 電子版発売日 : 2024年10月17日
3,300
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商品情報

内容

統合失調症の最新薬物療法が分かる!

統合失調症は人口の1%が発症する病気で、決して珍しい病気ではありません。10代から30代に発症することから、本人は自分自身に何か起こったのか、また両親などの支援者も心配で仕方がないと思います。なぜならひと昔前、統合失調症は長期入院が必要な病気だったからです。でも、大丈夫です!お薬による治療が進化したため、早めに診断を受け、適切な治療を受ければ、症状を抑え、普通の生活を送ることができます。ただし、統合失調症の症状を再発させないためにもお薬を続けることがとても大切です。最新のエビデンスに基づく薬物治療の内容を知り、治療に主体的に取り組むことで、統合失調症をコントロールし、自分なりの回復(リカバリー)を達成できるようになることを支援するのが本書の狙いです。

序文

はじめに

本書が伝えたいこと

・統合失調症は、脳の病気であり、養育や本人の性格により生じる疾患ではない

・統合失調症は、適切な治療でリカバリー(回復)し得る疾患である

・ 第二世代抗精神病薬を1種類だけ用いるのが治療の基本となる。薬の継続は再発を抑える上でも重要

統合失調症は、いまだにその原因が完全には解明されていない病気です。また、血圧のように、分かりやすい客観的な指標があれば、患者さん本人だけでなく周囲も治療の必要性や治療の効果を理解しやすいのですが、統合失調症による症状を客観的に評価する指標は、現在までのところ、残念ながらありません。現時点では、患者さん本人の訴えから診断を付け、治療します。よって、患者さん本人や、家族などの支援者と医療者の「対話」が、診断・治療を円滑に進める上でとても大切になります。

医師に言われた通りに治療を受け、副作用と思われる症状も我慢する。これが、ひと昔前の医師と患者さんの関係だったかもしれません。しかし、現在の医療は違います。治療する側の医師は、治療の選択肢の利点と欠点を説明し、患者さんは自分が望む生活・人生の夢などを医師に説明する。そして、患者さんの望みを叶えるために最も適した治療法を医師と患者さんが相談して決めていく。これが本来あるべき診療であるということが、医療者の中に浸透してきています。医療の世界では、これを「共同意思決定(shared decision making:SDM)」と呼んでいます。

インフォームド・コンセント(説明と同意)という言葉をご存じでしょうか。これは、医療者が、医学的に最も良いと思う治療法を選び、その治療法について患者さん本人に説明し、患者さん本人がその治療を受けるか否かを決める、というものです。このインフォームド・コンセントをさらに進めて、本人の価値観に沿う医療を、医師は医療のプロとして提案する、という方向に進化したのが、共同意思決定です。

すなわち、高い効果が期待される(と医師が考える)治療であって、患者さん本人が「この副作用は耐えられない」という場合は、効果は多少劣っても、他の治療法に変更したり、本人が「毎日お薬を飲むよりも、月に一度の注射が良い」と考える場合は、内服薬と注射で効果は違わないというデータがあったとしても、本人の希望を優先して注射による治療を選択する、というものです。

共同意思決定は、患者が主体的に治療に向き合うことで初めて可能になります。もちろん、治療に詳しいのは医師ですが、治療の効果や副作用を最もよく理解できるのは、治療を受けている患者さん自身であり、治療に望むこと、受け入れられる副作用は、個々の患者さんで異なるでしょう。また、どんな症状なのか、疲れがたまった時、ストレスが高まる出来事があった時などに症状はどう変化するか、それを正確にウォッチできるのも、患者さん本人です。本書を通して、統合失調症の治療についての理解を深め、積極的に治療に向き合い、治療をあなたが望むものに近付けられるよう、医師との対話を進めてください。

ただ、統合失調症では、共同意思決定が少し難しくなる可能性があります。これは、他の精神疾患とも共通するのですが、脳の病気はこころに多大な影響を及ぼすためです。脳以外の病気であれば、「お腹が痛い」「膝の調子がおかしい」というように、脳はその症状を客観的に評価し、言葉として訴えることがたやすいのですが、脳の病気では、症状を客観的に理解し、表現することが難しくなることがあります。この症状を病気と考えたら、自分自身を否定してしまうことになり得る。そんな恐怖を抱きやすくさせるのも脳の病気の特徴かもしれません。

でも、大丈夫です。病気の症状を知ることで、徐々に、自分の中の統合失調症をコントロールできるようになるはずです。あなたはあなたであり、統合失調症があなたの全てではないことが分かるようになります。多くの先輩患者さんが、実際、うまく病気と共存しながら、その人らしい生活を送っています。

本書は、日本神経精神薬理学会と日本臨床精神神経薬理学会が、2022年に発行した『統合失調症薬物治療ガイドライン2022』(医学書院)と、このガイドラインを基に作成された『患者と支援者のための統合失調症薬物治療ガイド2022』(新興医学出版社)に沿って、統合失調症の当事者や支援者向けに、統合失調症の薬物治療について解説したものです。

『統合失調症薬物治療ガイドライン2022』は、医師だけでなく、当事者や家族、看護師、薬剤師、作業療法士、精神保健福祉士、心理士などが協力して作成した、科学的な根拠に基づく診療ガイドラインです。しかし、もしかしたら、精神ても、本書では解説しています。

本書の目的は、患者さん本人や、その支援者が治療に主体的に取り組むために必要な知識を提供することであり、主な治療法であるお薬について詳しく解説しています。


目次

Part1 統合失調症とは

統合失調症ってどんな病気

統合失調症の診断

統合失調症の治療目標

Part2 統合失調症治療への疑問に答える

急性期編

Q1-1 急性期の統合失調症に抗精神病薬は必要?

Q1-2 急性期の統合失調症で抗精神病薬の効果が不十分な場合、薬を切り替えるべき?それとも増量するべき?

Q1-3 抗精神病薬の効果が不十分な場合、抗精神病薬の種類を増やした方が良いですか?

Q1-4 抗精神病薬の効果が不十分な場合に抗精神病薬の単剤治療と抗精神病薬以外の脳に作用するお薬(向精神薬)との併用治療はどちらが適切ですか?

安定・維持期編

Q2-1 症状が安定したら、抗精神病薬を中止してもいいですか?

Q2-2 安定したら抗精神病薬は減少できますか?

Q2-3 統合失調症が安定した後の治療として、抗精神病薬の服用間隔を空けたり、症状が出そうになった際に服用してもいいですか?

Q2-4 維持期治療の抗精神病薬、第一世代と第二世代どちらが有用?

Q2-5 維持期治療に抗精神病薬の持続性注射剤は有用ですか?

治療抵抗性統合失調症編 治療抵抗性統合失調症は「治療法がない」という意味ではありません!

Q3-1 治療抵抗性統合失調症に対してクロザピン治療は有用か?

Q3-2 クロザピン治療が有効だが副作用が生じてしまったら?

Q3-3 クロザピンの効果が十分に得られない場合はどんな治療がある?

Q3-4 クロザピンを使用しない場合、治療抵抗性統合失調症にはどんな治療法がある?

Q3-5 クロザピンを使用しない場合、治療抵抗性統合失調症にはどんな治療法がある?

副作用編その1 抗精神病薬の副作用―錐体外路系副作用―

Q4-1 抗精神病薬による薬剤性パーキンソン症状に推奨される治療法・予防法は?

Q4-2 抗精神病薬による急性ジストニアに推奨される治療法・予防法は?

Q4-3 抗精神病薬による遅発性ジストニアに推奨される治療法・予防法は?

Q4-4 抗精神病薬によるアカシジアに推奨される治療法・予防法は?

Q4-5 抗精神病薬による遅発性ジスキネジアに推奨される治療法・予防法は?

副作用編その2 抗精神病薬のその他の副作用

Q5-1 悪性症候群に推奨される治療法・予防法とは?

Q5-2 抗精神病薬による体重増加に推奨される治療法・予防法は?

Q5-3 抗精神病薬による便秘に推奨される治療法・予防法は?

Q5-4 抗精神病薬による心電図異常(QT延長)に推奨される治療法・予防法は?

Q5-5 抗精神病薬による性機能障害に推奨される治療法・予防法は?

その他の疑問

Q6-1 安定した統合失調症患者の不眠症状に対して鎮静作用のある向精神薬の使用は推奨されるか?

Q6-2 不安・不眠時に抗不安作用・鎮静作用のあるお薬の頓服は推奨されるか?

Q6-3 過眠症状に対して抗精神病薬の変更・減量、または併用中の向精神薬の減量・中止は推奨されるか?

Q6-4 抑うつ症状にはどのような薬物治療が有用?

Q6-5 認知機能障害に推奨される薬物治療は?

Q6-6 妊娠中の統合失調症に抗精神病薬は有用?

Q6-7 授乳中でも抗精神病薬を服用すべき?

Q6-8 初回エピソード精神病に抗精神病薬治療は有用?

支援者さんに知ってほしいこと

Q7-1 大声を出したり興奮している状態(精神運動興奮状態)に対して推奨される薬物療法は?

Q7-2 統合失調症の緊張病に推奨される治療法は?

Q7-3 病的な多飲水・水中毒に対して推奨される薬物治療は?

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書籍情報

  • ISBN:9784296204052
  • ページ数:120頁
  • 書籍発行日:2024年10月
  • 電子版発売日:2024年10月17日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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