本当にやさしい人工呼吸器からの離脱とその後　特集によせて

「人工呼吸器からの離脱」という過程は、ICU に限らず病棟でも行われることです。医療者から見れば、治療の一過程と考えるのかもしれません。しかし、患者にしてみれば、そこからが勝負になるのではないでしょうか。人工呼吸器を装着されることはおそらく人生でそんなに多くないはずです。ということは、離脱後の世界（状態）も経験したことのない未知の世界になります。そのため、「いかに安全・確実に離脱するか」はもちろんですが、離脱後の管理も考慮した計画を持って進めていくことが重要になります。

本特集では、最前線でご活躍されている先生方より、さまざまな症例から実際の離脱過程の方法やポイントだけでなく、看護師の役割から多職種連携までをわかりやすく解説していただいています。読者の疑問にすべて答えることはできないかもしれませんが、日々のケアの参考になることを願います。 （桒原勇治）

現代の医療現場において、人工呼吸器からの離脱（ウィーニング）は、看護師を含む医療チーム全体にとって大きな挑戦の1 つです。このプロセスは患者の回復にとって非常に重要であり、適切なタイミングと方法で実施されることが求められます。しかし、離脱後の管理や患者の状態の観察は依然として複雑で、多岐にわたる課題が存在します。本特集は、こうした課題に対処し、人工呼吸器からの離脱をより効果的に行い、看護師が患者にやさしいケアを提供するための知識とスキルを向上させることを目的としています。

本特集が、看護師の皆さまの日々の業務において役立ち、人工呼吸器からの離脱プロセスをより円滑に進めるための一助となることを願っています。患者にとって最もやさしいケアを提供するために、私たちと一緒に最新の知識とスキルを身につけ、チーム力を高めていきましょう。（尾野敏明）

ブラッシュアップ特集　急変時の初期対応アプローチ

患者さんが急変しないように、そして変化を早期に発見して初期段階で適切に対応するために、われわれは日々予測を頭に浮かべながら観察します。また、急変に対応した経験は、何にも変え難い教育をわれわれにもたらします。起こった事象を振り返り、観察の視点や不備を学び、予測しなければならなかった事柄を教科書と照らし合わせながら学びます。実際の患者さんのことを思えば思うほど、その振り返りはとても大きな印象をもたらし、次回からの自分の観察に重みが増し、『あの時のようにならないように』と予防線を張ることになるでしょう。

しかし、急変を予防する力を“ 蓄えること” こそが、専門家としての目標ではないでしょうか？ 今回の特集では、先輩が後輩に伝える『以前こういう患者さんの時、こういう症状が出た後に、こういう急変をして、悔しい思いをしたから、ここを注意して観察してね』ということを事例にしてみました。急変事例の経験がないスタッフが、本特集のいくつかの事例をもとに疑似体験するような学びを得てくれたらと思います。

森安恵実
北里大学病院　救命救急・災害医療センターICU　クリティカルケア認定看護師