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高齢者の摂食嚥下サポート—老嚥・オーラルフレイル・サルコペニア・認知症—

  • ページ数 : 198頁
  • 書籍発行日 : 2017年2月
  • 電子版発売日 : 2024年10月22日
4,730
(税込)
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商品情報

内容

「とりあえず禁食」が原因に?! 高齢者摂食嚥下リハの新常識
 超高齢社会のなかで重要性が増す、高齢者の摂食嚥下サポート。
医原性サルコペニアの摂食嚥下障害を防ぐために知っておくべき、
高齢者モデルの摂食嚥下サポートについてわかりやすく解説した。
具体的なエピソードやコツを交え、老嚥と摂食嚥下障害の原因から、評価方法、
診察時や地域・在宅でできるリハビリテーションまでを網羅。
高齢者の摂食嚥下サポートを完全マスターできる1冊!

序文

序文


本書はモダンフィジシャン2015年の第35巻第12号の特集「高齢者の摂食嚥下サポート」を刷新し,新規項目を加えたものである.超高齢社会のわが国では,摂食嚥下のフレイルといえる老嚥,オーラルフレイル,サルコペニアの摂食嚥下障害,認知症の摂食嚥下障害を認める高齢者が増えている.当然,高齢者の摂食嚥下サポートの重要性が増加しているが,それに伴い摂食嚥下リハビリテーション(以下,リハ)への関心が医療職の間で増加しているかどうかは疑問である.摂食嚥下リハに関心の高い一部の医療職のなかだけで盛り上がっていて,多くの医療職は「おまかせリハ」や「おまかせ看護」になっていないだろうか.

脳卒中による重度の摂食嚥下障害に対しては,「おまかせリハ」でもよいかもしれない.しかし,老嚥やオーラルフレイルは摂食嚥下障害の前段階であるため,摂食嚥下リハの対象外とされることが多く,おまかせできない.高齢者モデルの摂食嚥下サポートでは,老嚥やオーラルフレイルの段階で発見して,侵襲を契機にサルコペニアの摂食嚥下障害にならないような予防的リハ栄養が有用かつ重要である.医科歯科問わず,診察室で老嚥やオーラルフレイルを発見して,予防的リハ栄養に取り組んでほしい.ちなみに筆者は老嚥だと自覚しているので,嚥下筋のレジスタンストレーニングを毎日行い,定期的に歯科受診している.

誤嚥性肺炎の高齢者も,わが国では増えている.二度三度と誤嚥性肺炎を繰り返す高齢者も少なくない.しかし呼吸器科で誤嚥性肺炎を専門的にみる医師は少なく,そのほかの科では誤嚥性肺炎は専門外で関心はないが,仕方なくみる医師が多い.そのため,入院当日からリハ科併診もしくはリハオーダー(少なくとも理学療法と言語聴覚療法,必要なら作業療法も),院内に歯科があれば入院当日に併診されることは少ない.よかれと思って「とりあえず安静・禁食」「とりあえず水電解質輸液」として,酸素療法や薬物療法のみで加療されやすい.その結果,誤嚥性肺炎の治癒時にはサルコペニアの摂食嚥下障害や寝たきりを生じることがある.高齢者の摂食嚥下サポートでは,このような医原性サルコペニアの予防と治療が大切である.医原性サルコペニアをいかに作らないかを常に意識しながら,摂食嚥下サポートを行ってほしい.

最後に執筆してくださった皆様,企画,編集してくださった新興医学出版社の林 峰子さん,下山まどかさんに心より御礼申し上げます.


2016年12月

横浜市立大学附属市民総合医療センターリハビリテーション科
若林 秀隆

目次

第1章 高齢者の摂食嚥下サポート―脳卒中モデルから高齢者モデルへのパラダイムシフト

脳卒中モデルから高齢者モデルの摂食嚥下サポートへのパラダイムシフト

①脳卒中モデルの摂食嚥下サポート

②老嚥:軽視され続けてきた存在

③サルコペニアの摂食嚥下障害:脳卒中モデルは逆効果?

④リハビリテーション栄養:攻めの栄養管理が治療

⑤認知症の摂食嚥下障害:適切な評価と観察が重要

⑥KTバランスチャート:高齢者モデルの摂食嚥下サポートに

第2章 老嚥と摂食嚥下障害の原因

1.フレイルとサルコペニア

①高齢化に伴う医療のパラダイムシフト

②フレイルとは

③フレイルをいかに診断するか

④サルコペニアをいかに診断するか

⑤摂食嚥下障害とフレイル,サルコペニア

2.医原性サルコペニア

①医原性サルコペニアとその原因

②活動に関連する医原性サルコペニア

③栄養に関連する医原性サルコペニア

④医原性サルコペニアをなくすために

3.老嚥

①老嚥(presbyphagia)とは

②老嚥(presbyphagia)の原因と要因

③加齢に伴う口腔の変化

④加齢と摂食嚥下機能に関係する筋力および筋肉量

⑤老嚥(presbyphagia)の改善

4.オーラルフレイル

①超高齢化社会に伴う口腔機能の虚弱化からオーラルフレイルへ

②オーラルフレイルとは

5.サルコペニアの摂食嚥下障害

①摂食嚥下にかかわる筋と摂食嚥下障害の原因

②老嚥との違い

③診断方法と発症パターン

④治療方法と多職種包括的ケア

6.認知症の進行と摂食嚥下障害

①アルツハイマー病(AD)の進行と摂食嚥下障害

②レビー小体型認知症(DLB)の摂食嚥下障害

7.薬剤性の摂食嚥下障害―味覚障害も含めて―

①薬剤性摂食嚥下障害

②薬剤性摂食嚥下障害を防ぐために

第3章 診察時にできる老嚥と摂食嚥下障害の評価

1.診察時にできる摂食嚥下スクリーニングテスト

①摂食嚥下スクリーニングテストの目的

②スクリーニングテストの条件

③スクリーニングテストにおける感度や特異度について

④実際のスクリーニングテスト

⑤理想的なスクリーニングテストとは

⑥安全なスクリーニングテストのために

2.診察時にできる老嚥の評価:EAT-10

①EAT-10について

②食形態と舌圧の関連

③高齢者の栄養に関して

3.診察時にできる口腔機能と口腔環境の評価

①口腔機能の低下

②口腔機能評価項目

③口腔環境の評価項目

4.診察時にできるサルコペニアの摂食嚥下障害の評価

①摂食嚥下障害の原因とサルコペニア

②急性疾患がもたらすサルコペニア進行の理解:今こそ暗黒時代の終焉を

③悪液質に関連したサルコペニアの摂食嚥下障害と評価

④高齢者におけるサルコペニアと嚥下障害の関連:先行研究レビュー

⑤サルコペニアを念頭に置いた摂食嚥下障害の評価

5.サルコペニアの摂食嚥下障害診断フローチャート

①サルコペニアの摂食嚥下障害における診断の基本的な考え方

②嚥下関連筋群の筋肉量

③嚥下関連筋群の筋力

④サルコペニアの摂食嚥下障害の診断方法

⑤サルコペニアの摂食嚥下障害診断フローチャート

6.診察時にできる認知症の摂食嚥下障害の評価

①アルツハイマー病(Alzheimerʼs disease:AD)

②レビ―小体型認知症(Dementia with Lewy bodies:DLB)

③前頭側頭型認知症(Frontotemporal dementia:FTD)

④家族の訴えのアセスメント~その“食べられない”は本当に摂食嚥下障害ですか?~

⑤外来と訪問,病棟ラウンド,ミールラウンド

第4章 老嚥と摂食嚥下障害のリハビリテーション

1.診察時にできる老嚥に対する摂食嚥下訓練

①筋力増強訓練実施にあたって

②嚥下筋力増強訓練

③機能を維持するために

2.診察時にできるオーラルフレイルに対する口腔ケアと訓練

①加齢とオーラルフレイル

②オーラルフレイル対策に有効なスクリーニングとケア

③包括的スクリーニングと口腔ケア

④口腔ケアは摂食嚥下障害の間接訓練である

3.診察時にできる摂食嚥下障害患者に対する薬剤調整

①「薬がのめていないのです…」

②まずは摂食嚥下障害の有無を把握する

③摂食嚥下障害があり服薬できない場合

④摂食嚥下障害はないのに服薬できない理由

⑤薬剤サイドの問題~多剤併用(ポリファーマシー)~

⑥薬剤サイドの問題~剤形・錠剤の大きさなど~

⑦「服薬」も「摂食」も同じ経路

4.診察時にできる摂食嚥下障害に対する嚥下調整食指導

①嚥下調整食とは?

②嚥下調整食指導のポイント

5.サルコペニアの摂食嚥下障害とリハビリテーション栄養

①サルコペニアとリハビリテーション栄養

②サルコペニアに対する栄養サポート

③摂食嚥下障害に対する栄養サポート

④栄養サポートの実際

6.誤嚥性肺炎に対する早期リハビリテーション

①誤嚥性肺炎の評価

②入院関連機能障害

③入院関連機能障害予防リハビリテーション

④早期呼吸リハビリテーション

⑤リハビリテーション栄養

⑥早期退院サポート

7.誤嚥性肺炎に対する早期経口摂取

①誤嚥性肺炎の原因と複合した背景

②肺炎の診断を受けた要介護高齢者の絶飲食と床上安静の弊害

③誤嚥性肺炎患者への包括的ケアとリハビリテーション

④「誤嚥」を予防し安全で自立性を高める食事介助技術

⑤高齢者肺炎患者への早期経口摂取の成果

8.認知症の摂食嚥下障害に対するリハビリテーション

①認知症の人に対するリハビリテーションにおいて不可欠な視点

②認知症の人にみられる摂食困難の特徴

③食事前に整えておくべき基本3要素

④認知症の人の摂食嚥下障害の特徴とリハビリテーション

9.摂食嚥下障害に対する歯科治療

①捕食・食物の臼歯部への移送(準備期)

②咀嚼運動(準備期)

③食塊の舌背から咽頭部への移送(口腔期)

④口腔癌術後の摂食嚥下障害

10.口から食べる幸せを守るKTバランスチャート

①KTバランスチャートとは

②KTバランスチャートの利点

③退院支援に活用したKTバランスチャート

④KTバランスチャートを用いて退院支援を行った事例

⑤口から食べる幸せの道しるべ

11.KTバランスチャートを活用して口から食べる幸せを守った症例

①患者の紹介

②介入の実際

第5章 地域・在宅での摂食嚥下リハビリテーション

1.摂食嚥下障害に対する訪問栄養食事指導の実際

①介入により経口摂取が増えたケース

②在宅訪問管理栄養士のアプローチ

③在宅訪問管理栄養士の広がりと期待

2.摂食嚥下障害に対する訪問リハビリテーションの実際

①在宅高齢者を取り巻く生活環境

②摂食嚥下機能と食事環境,食事内容・形態

③在宅での嚥下調整食の作り方

④必要栄養量の確保

⑤摂食嚥下機能の維持・向上のために

⑥訪問STの探し方と問題点,今後の課題

3.NST・嚥下連絡票を活用した摂食嚥下障害の地域連携

①高齢者モデル

②高齢者モデルに必要な地域医療・介護連携

③地域連携ツール

4.嚥下リハビリテーション相談窓口と活用の実際

①嚥下相談窓口の意義

②神奈川摂食嚥下リハビリテーション研究会

③嚥下相談窓口の実際

④今後の嚥下相談窓口の在り方

5.食のバリアフリー:レストランでの嚥下調整食

①食のバリアフリーのために必要なこと

②フランス料理店での嚥下調整食

③嚥下フレンチメニュー

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書籍情報

  • ISBN:9784880027708
  • ページ数:198頁
  • 書籍発行日:2017年2月
  • 電子版発売日:2024年10月22日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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