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- 運動生理学 改訂第2版
商品情報
内容
健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023に合わせ改訂!健康の維持・増進に必要な運動と食事の関係をわかりやすく解説.管理栄養士やスポーツ関連の専門職として,運動・栄養指導を行う際に役立つ1冊.
序文
改訂第2版の序
命の営みによって栄養素は消費される.その栄養素を外部からとり入れるには,大昔の狩猟・採集生活を送っていたころの人間がそうであったように,狩猟や採集などの身体運動が本来は必要であり,運動しなければ栄養素等を獲得することはできない.しかし,現代社会では運動しなくても食べることが可能となり,その弊害として肥満症やメタボリックシンドローム等の健康問題が引き起こされている.その一方では,減量のために食事量を極端に制限する人たちも存在し,やせの問題も深刻化している.現代社会における「食」と「身体運動」の問題は多様化している.
「食」の専門家である栄養士・管理栄養士の役割は「対象となる人の栄養状況を評価して適切な食事を提供すること」であるが,そのためには,「食」とともに「身体運動」に関する知識と理解が不可欠な時代となった.また,「身体運動」の専門家である健康運動実践指導者や健康運動指導士,また,保健体育教員やスポーツ指導者には「身体運動」とともに「食」への理解も求められている.
本書は,栄養士・管理栄養士やスポーツ・運動関連の専門職をめざす大学生を読者として想定した「運動生理学」のテキストである.しかし,上に述べた背景により,その内容は「身体運動が身体に及ぼす影響としくみ (運動生理学)」にとどまらず,「身体運動と食事のかかわり(運動栄養学)」や「スポーツパフォーマンス向上や健康づくりのための食事(スポーツ栄養学)」にわたっている.
これらのことから,本書の執筆は,運動生理学の各分野の専門家に加えて,食の領域に関係の深い運動栄養学・スポーツ栄養学分野の教育,研究,実践に従事している専門家にお願いした.おかげさまで初版はご好評いただき,栄養士・管理栄養士養成校を中心に多くの学校で教科書採用いただいた.5年ぶりとなる今回の改訂では,記載内容のアップデートや,「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」をはじめとするガイドライン情報などの更新を行っている.将来の健康科学の担い手となる学生たちには,科学技術のめざましい発展に裏付けられる知識・技術を体得し,それを実践の場で応用できる経験を積み重ねて欲しい.本書がその「食」と「身体運動」の理解と実践の一助になれば幸いである.
最後に,本書の編纂にあたり多大なお力添えを賜りました羊土社の今城葉月氏,中田理沙氏はじめ,関係各位に感謝の意を表します.
2024年10月
麻見 直美
川中健太郎
目次
・改訂第2版の序【麻見直美,川中健太郎】
はじめに 運動生理学と栄養学のかかわり【麻見直美,川中健太郎】
1 身体運動の効果:運動生理学
2 身体運動と食事のかかわり:運動栄養学
3 スポーツ栄養学とは
第1章 骨格筋の構造と筋収縮【後藤一成,土屋吉史】
1 骨格筋の構造
A マクロ的な筋肉の構造と機能
B 筋線維(筋細胞)
C 筋原線維
D アクチンフィラメントとミオシンフィラメント
2 筋収縮のしくみ
A 活動電位の伝播
B 筋小胞体からのカルシウム放出
C アクチンフィラメントとミオシンフィラメントの相互作用
3 筋線維の種類
A 速筋線維と遅筋線維
B スポーツ選手の筋線維組成
4 筋肉の収縮様式
A 静的収縮
B 動的収縮
5 最大筋力の優劣に影響する要因
A 神経系の要因
B 筋系の要因
6 トレーニングによる筋力や筋量の変化
A 神経系の改善
B 筋肥大
C トレーニングにおける栄養素等の摂取の重要性
〈スポーツ栄養への入門〉運動が食欲に及ぼす影響:運動後には食事量が減少する?
第2章 神経系の役割【澁谷顕一】
1 神経系の構造と機能
A ニューロンの構造
B 神経系の分類
2 中枢神経系
A 脳を構成する細胞と構造
B 大脳
C 間脳
D 小脳
E 脳幹
F 脊髄
3 末梢神経系
A 感覚神経系
B 運動神経系
C 自律神経系
4 筋と神経の関係
A 筋紡錘きんぼうすい
B 伸張反射
C ゴルジ腱器官
5 運動単位と筋線維の動員パターン
A 運動単位
B 閾値いきち
C 筋線維タイプと動員パターン
〈運動と栄養への入門〉運動の自動化とフェニルアラニン摂取の必要性
第3章 運動と循環・呼吸【飛奈卓郎,熊原秀晃】
1 血液の循環と心臓の働き
A 体循環と肺循環
B 心臓の拍動と刺激伝導系
C 心臓の働きと心電図
D 運動時における心臓の働き
2 血圧
A 血圧の種類
B 運動と血圧の関係
3 毛細血管の働き
A 毛細血管の構造
B 筋線維の種類と毛細血管密度
4 呼吸と肺の働き
A 呼吸器系の概要
B 肺の構造
C 肺換気(呼吸運動)のしくみ
D 呼吸の調節
E 呼吸機能の指標
F 運動時の呼吸の変化
5 肺と組織でのガス交換
A 肺胞でのガス交換
B 組織でのガス交換
C 血液によるガス運搬
6 酸素摂取量
A 酸素摂取量の求め方
B 運動時の酸素摂取量
C 最大酸素摂取量
7 運動時のエネルギー代謝
A 運動中に利用されるエネルギー基質
B 呼吸商
C 無酸素性作業閾値
8 トレーニングによる心臓ならびに骨格筋の適応
A 心臓の適応
B 骨格筋の適応
〈スポーツ栄養への入門〉持久走の後に立ち止まらない理由とは?
第4章 運動とエネルギー源【川中健太郎】
1 エネルギー源となる栄養素
A 筋収縮の直接的なエネルギー源であるATP
B ATP再合成に必要なエネルギー産生栄養素:糖質・脂質・タンパク質
C 運動中の主要なエネルギー源である糖質と脂質
2 糖質と脂質の貯蔵量・貯蔵形態
A 糖質の貯蔵
B 脂質の貯蔵
C 身体内の糖質と脂質の貯蔵量
3 運動中のエネルギー源としての糖質・脂質の使い分け
A 運動強度に応じたエネルギー源の使い分け
B 自覚的な運動強度とエネルギー源の使い分け
4 糖質と疲労
A 肝グリコーゲンの枯渇と中枢性疲労
B 筋グリコーゲンの枯渇と末梢性疲労
C 運動終了後の筋グリコーゲン回復
5 運動と糖尿病(ダイアベティス)
A 骨格筋のインスリン抵抗性と糖尿病
B 骨格筋にインスリン抵抗性が生じるしくみ
C 運動がもたらす糖尿病の予防・治療効果
6 エネルギー供給系
A 有酸素系
B 乳酸系
C ATP-CrP系
D 有酸素運動と無酸素運動
E トレーニングがエネルギー供給系に及ぼす影響
F 筋線維の種類とエネルギー供給系
〈スポーツ栄養への入門〉運動中の糖質摂取
〈スポーツ栄養への入門〉スポーツ選手の糖質摂取量
第5章 エネルギー消費量【緒形ひとみ】
1 総エネルギー消費量の内訳
A 基礎代謝量
B 食事誘発性熱産生
C 活動時代謝量(活動誘発性熱産生)
D 身体活動とメッツ(METs)
E 身体活動レベル
2 エネルギー消費量の推定法
A 直接熱量測定法(直接法)
B 間接熱量測定法(間接法)
3 エネルギー必要量の推定法
A 栄養アセスメントによる算出法
B 推定式からの算出法
〈スポーツ栄養への入門〉増量と減量
第6章 身体組成・体格【大河原一憲】
1 身体組成
A 身体組成とは
B 成分モデル
C 内臓脂肪組織と皮下脂肪組織
D 白色脂肪組織と褐色脂肪組織
2 身体組成の測定方法
A 間接法(実験室レベル)
B 簡便法(現場レベル)
3 肥満とやせ
4 スポーツ選手の体格・身体組成
〈運動と栄養への入門〉減量指導における留意点
第7章 筋肉づくりとタンパク質【中井直也】
1 タンパク質代謝のしくみ
A タンパク質とは
B タンパク質の合成
C タンパク質の分解
D アミノ酸の分解
2 タンパク質代謝に影響を与える要因
A 摂食・絶食が筋肉のタンパク質合成と分解に及ぼす影響
B 運動が筋肉のタンパク質合成と分解に及ぼす影響
C 加齢が筋肉のタンパク質合成と分解に及ぼす影響
D 筋肉のタンパク質合成と分解にかかわるホルモン
3 筋肉づくりのためのタンパク質必要量
A 1日のタンパク質必要量
B タンパク質必要量に影響を与える因子
C タンパク質の過剰摂取
4 筋肉づくりに効果的なタンパク質
A 植物性タンパク質と動物性タンパク質
B ホエイとカゼイン
C 分枝アミノ酸(BCAA)
5 筋肉づくりのためのタンパク質摂取タイミング
A 運動後の摂取タイミング
B 睡眠前の摂取タイミング
C 摂取間のインターバル時間
〈運動と栄養への入門〉筋肉づくりとビタミンD
第8章 骨づくりと栄養素・身体活動【麻見直美】
1 骨の構造
A 人体を構成する骨の構造
B 骨の基本構造
C 骨細胞,骨芽細胞,破骨細胞
2 骨の機能
A 支持機能
B 運動機能
C 保護機能
D 代謝機能
E 造血機能
3 骨の代謝
A 骨量
B 骨吸収と骨形成
C リモデリングとモデリング
D 骨代謝機構とそれにかかわる栄養素の代謝
4 運動・重力と骨量
A 重力と骨量
B 運動(身体活動)と骨量
C スポーツ選手の骨量
5 栄養素等の摂取状況と骨量
A カルシウム
B タンパク質
C エネルギー
D その他の栄養素等
6 Female Athlete TriadとRelative Energy Deficiency in Sport
A Female Athlete Triad(FAT)とは,Relative Energy Deficiency in Sport(REDs)とは
B FATの現状
C FAT・REDsへの対策(予防および改善案)
〈運動と栄養への入門〉望ましい食生活の実践と骨
第9章 体温調節と水分補給【林 恵嗣】
1 熱産生
A 食事による熱産生
B 寒冷環境下での熱産生
2 熱放散
A 蒸発性熱放散
B 非蒸発性熱放散
3 体温調節機構
A 温度の受容
B 暑熱順化
C 寒冷順化
D 運動トレーニングによる変化
4 脱水・熱中症対策
A 運動時の発汗と脱水
B 熱中症
5 水分・電解質補給
A 水分・電解質補給法
B 運動誘発性低ナトリウム血症
C 運動と味覚の変化
〈運動と栄養への入門〉熱中症対策とタンパク質
第10章 加齢に伴う身体機能の変化【大藏倫博】
1 筋力・筋量の変化
A 筋力の変化
B 筋量の変化
C 筋線維レベルでの変化
D サルコペニア
E 運動の効果
2 骨量の変化
A 加齢と骨量減少
B 骨粗鬆症
C 運動の効果
3 全身持久力の変化
A 最大酸素摂取量の変化
B 呼吸器系機能が全身持久力に与える影響
C 循環器系機能が全身持久力に与える影響
D 運動の効果
4 ロコモティブシンドローム
〈運動と栄養への入門〉フレイル予防における運動と食事の意義
第11章 運動と健康【飛奈卓郎,熊原秀晃】
1 運動処方
A 運動のメリットとデメリット
B 運動条件
C 運動強度の考え方
D 相対的強度
E 運動処方の手順
2 LT強度の運動による疾患予防効果とそのしくみ
A 肥満
B 糖尿病
C 高血圧
D 脂質異常症
E 認知症
F がん
G 免疫
3 新しい運動処方の考え方
A スロージョギングとウォーキング
B 高強度短時間運動
C 栄養状態と運動効果
〈運動と栄養への入門〉肥満の解消には運動と食事制限の併用が理想的?
第12章 身体活動と健康【菅 洋子】
1 身体活動の現状
A 身体活動とは
B 各年代における身体活動等の現状
2 身体活動の健康への影響
A 身体不活動の健康への悪影響
B 身体活動量を増やすことによる効果
C 加齢による身体活動減少と健康への悪影響
3 健康づくりのための身体活動・運動ガイドおよび指針
A 運動指針作成の背景
B 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
C アクティブガイド
〈運動と栄養への入門〉身体活動を理解することの必要性
第13章 スポーツ選手の食事管理【武田哲子,麻見直美】
1 スポーツ活動の目的に合わせた食事の考え方
2 トレーニング期間の食事
A 通常トレーニング期の食事
B 強化合宿における食事
3 試合前の食事
A 試合前の調整期間の食事
B グリコーゲンローディング
C 試合時間を考慮した食事調整
D 糖質補給とグリセミックインデックスの活用
E 危機管理を中心とした食事(栄養補給)の考え方
4 試合後の補食・食事
A 試合間に素早く回復するための補食
B 糖質およびタンパク質補給の目安
C 水分補給
D 試合後の食事の工夫
5 スポーツ選手の増量・減量
A 食事調整の基本と注意点
B 増量のための食事
C 減量のための食事
6 スポーツ貧血対策
A スポーツ貧血とは
B スポーツ貧血の予防
C スポーツ貧血の治療
7 コンディショニングとビタミン・ミネラルの摂取
A エネルギー産生に重要なビタミン類
B 抗酸化ビタミン
C カリウム
D 塩素
E 亜鉛
8 スポーツにおけるサプリメントの利用
A サプリメントとは
B 食品とサプリメント
C スポーツ選手が利用するサプリメント
9 運動と食物アレルギー
A 食物アレルギーとは
B 食物アレルギーの原因食物
C 食物依存性運動誘発アナフィラキシー
〈スポーツ栄養への入門〉栄養サポートの理想と実際
・索引
Column
筋線維組成の推定法
除脳ネコは歩く
心拍数は常に一定?
フルマラソンのペース配分
NEAT(運動以外の身体活動量)と生活習慣病のリスク
太っている人と普通体形の人との違いは,NEAT(運動以外の身体活動量)の総量?!
食べる量を減らしても太ることがある?!
ウェアラブルデバイスを用いたエネルギー消費量の推定方法
食事のタイミングを変えるだけでメタボリックフレキシビリティが変化する?!
運動とオートファジー
運動と骨の強度の関係
骨量の増加や維持に,タンパク質摂取量が多いことは有効か?
FATの予防・改善にはスポーツ選手の知識,意識,認識が大切!
子どもは熱しやすく冷めやすい
サルコペニア予防のためのおすすめ運動は?
測定時の運動様式で最大酸素摂取量は変わる!?
子どもと身体活動
睡眠による休養のススメ
急に減らせるのは水分
省エネモードに注意
調整する力
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書籍情報
- ISBN:9784758113762
- ページ数:232頁
- 書籍発行日:2024年11月
- 電子版発売日:2024年10月31日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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