EUS-FNAによる膵疾患の診断

  • ページ数 : 216頁
  • 書籍発行日 : 2020年11月
  • 電子版発売日 : 2024年11月8日
5,940
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商品情報

内容

本書では,まず膵疾患に対するEUS-FNA 検査とそれによる病理診断の概要を説明し,診断に最適な標本を作製するためのポイントについても記載しました。
さらに代表的な症例のEUS,放射線,細胞診,病理組織の各所見について,消化器内科・内視鏡科,外科,放射線診断科の方々の協力も得て概説しました。

序文


膵癌は発見された時点で既に7割以上の症例が切除不能であり,5年生存率も10%以下と極めて低く,難治性の悪性腫瘍に分類されます。また膵癌は,わが国の部位別癌死亡率における男性の4位,女性の3位を占め,今後ますます罹患率が上昇することが予測されています。膵癌の予後を改善するためには,まず正確な病理診断が必要不可欠です。

これまで膵癌の病理診断には,主として膵液,胆汁液のような細胞診検体が用いられてきましたが,近年普及してきた超音波内視鏡下穿刺吸引法(endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration:EUS-FNA)検査により,細胞診のみならず組織診断用の検体を採取することが可能になりました。従来の膵液,胆汁液を用いた病理診断は,術前放射線化学療法や術式を選択するうえで重要な役割を果たしてきましたが,EUS-FNA検体を用いることにより病理診断の精度は劇的に改善しました。とはいえ,EUS-FNAは侵襲があり繰り返して実施することが困難なうえ,採取検体量が少ないこともあるため,限られた検体のなかでいかに多くの情報を得るかが病理診断に携わる者に求められます。

地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターでは,内視鏡科の西村誠先生がEUS-FNAを積極的に実施されました。それに伴って膵臓のEUS-FNA検体が病理検査室に提出されるようになり,少量で変性が加わることが多い検体に対し,さまざまな染色の工夫をして正確な診断に近づけるよう,病理診断科の細胞検査士と病理医が協力して改良に改良を重ねてきました。さらに同センターの消化器内科,内視鏡科,外科,放射線診断科,病理診断科は,キャンサーボードや臨床病理検討会などで密に連携し,診断・治療の向上に取り組んできました。こうした努力が,本書の出版につながったと考えています。

本書では,まず膵疾患に対するEUS-FNA検査とそれによる病理診断の概要を説明し,診断に最適な標本を作製するためのポイントについても記載しました。さらに代表的な症例のEUS,放射線,細胞診,病理組織の各所見について,消化器内科・内視鏡科,外科,放射線診断科の方々の協力も得て概説しました。

膨大な編集作業を根気強く繰り返し行ってくださった東京医学社の西野知美様,阿部美由紀様に心から感謝申し上げるとともに,本書の出版にご尽力いただきました湯村和子先生,井藤英喜先生にも深く感謝申し上げます。

本書が細胞検査士,病理医ならびに臨床医の先生方の,日常診療の一助となることを願います。


2020年1月

松田 陽子

目次

1章 膵癌を取り巻く現状

わが国における膵癌の現状……大池 信之,野呂瀬 朋子

2章 EUS-FNA検査の概要と適応疾患

EUS-FNA検査の概要と適応……西村  誠

EUS-FNA検体の採取法と偶発症……松川 美保

3章 病理医・細胞検査士が知っておくべき画像所見

EUSによる画像診断……松川 美保

膵疾患の放射線画像診断……下地 啓五

4章 EUS-FNA検体による病理診断の実際

【EUS-FNA検体の病理標本作製】

EUS-FNA検体の処理方法……木村 勇里

Papanicolaou(PAP)染色……江坂 四季音

EUS-FNA検体のセルブロック法 ……児島 宏哉

EUS-FNA組織検体における特殊染色の有用性……柿﨑 元恒

EUS-FNA検体における免疫組織化学の有用性……髙熊 将一朗,新井 冨生

【EUS-FNA検体の細胞診】

EUS-FNA検体の細胞診の基本的所見……木曽 有里

膵癌……木曽 有里

神経内分泌腫瘍……今泉 雅之

その他の疾患……浜島 裕理

【EUS-FNA検体の組織診断】

病理診断……野中 敬介

【EUS-FNA検体の精度管理】

診断精度……白幡 浩人

5章 画像所見と病理像の比較……浜島 裕理,松田 陽子

単房性囊胞

神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET),Grade 1

囊胞内容物

solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)

多房性囊胞

膵管内乳頭粘液性腺癌,非浸潤型,主膵管型,胃型と腸型の混在

膵管内乳頭粘液性腺腫,腸型の疑い

漿液性囊胞腺腫

漿液性囊胞腺腫

多発性囊胞

粘液癌

結節性病変+囊胞性病変

浸潤性膵管癌,膵頭部,低分化型

膵管内乳頭粘液性腺癌,浸潤性,膵頭部(主膵管内進展を伴う膵管内乳頭粘液性腫瘍由来の浸潤癌)

結節性病変+膵管拡張

浸潤性膵管癌

浸潤性膵管癌

腺癌

腺癌

結節性病変

浸潤性膵管癌,中分化型,膵体尾部,胃壁に直接浸潤あり

腺癌

腺癌

腺癌

神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET),Grade 1相当

細胞診断:陰性 セルブロック組織診断:陰性

細胞診断:良悪鑑別困難,紡錘形細胞腫瘍 セルブロック組織診断:膵神経鞘腫

腺房細胞癌

混合型腺神経内分泌癌の疑い

混合型腺神経内分泌癌

神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET),Grade 3

神経内分泌癌(neuroendocrine carcinoma:NEC)

多発結節性病変

自己免疫性膵炎

腎細胞癌の膵内転移

膵臓の腫大

浸潤性膵管癌,中分化型腺癌,膵尾部

腺癌

1型自己免疫性膵炎(IgG4関連疾患膵病変)

6章 EUS-FNAをよりよい診断ツールとするために

迅速ベッドサイド細胞診(ROSE)……鈴木 明美

EUS-FNA検体を用いた膵疾患診断の改善方法……松田 陽子

EUS-FNA検体による膵疾患診断の有用性と将来の展望……松田 陽子

索 引

Column

膵切除断端の迅速診断

細胞診 vs 組織診

膵液細胞診

米国での膵臓の病理診断

粘液癌

診断に迷う

EUS-FNAの歴史

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書籍情報

  • ISBN:9784885637179
  • ページ数:216頁
  • 書籍発行日:2020年11月
  • 電子版発売日:2024年11月8日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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