医学のあゆみ291巻7号 脳血管内治療の最前線と近未来

  • ページ数 : 70頁
  • 書籍発行日 : 2024年11月
  • 電子版発売日 : 2024年11月13日
1,650
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商品情報

内容

・カテーテルを使用した脳血管内治療は,脳血管障害の治療に不可欠な方法として確立されている.
・硬膜動静脈瘻などの一部の疾患では第一選択となっているが,頸動脈狭窄症など外科手術との選択が必要となる疾患もある.また,脳動静脈奇形や頭蓋内動脈狭窄症では有効性がまだ確立されていないなど,適切な治療法の選択には深い知識が求められる.
・この分野は急速に進歩しており,新しいデバイスが次々と開発されている.本特集では,第一線の専門家たちが各疾患に対する最新の治療法と近い将来の展望について解説する.

序文

はじめに


カテーテルを用いて行われる脳血管内治療は近年,急速に進化し,脳血管障害治療においてなくてはならない存在となった.本治療は開頭手術に比べて低侵襲であり,治療デバイスの進化や有効性のエビデンスが確立したことがその理由であろう.なかでも,急性脳主幹動脈閉塞や破裂脳動脈瘤についてはランダム化比較試験で血管内治療の優位性が確認されており,第一選択となることが多い.また,硬膜動静脈瘻などにおいては治療現場での経験から世界的に脳血管内治療が第一選択となっている.一方,患者の病態ごとに治療法を選択すべき疾患もある.たとえば,頚動脈狭窄症については病変の画像診断や患者の病態によって外科手術と血管内治療を選択することが,良好な成績につながることが知られている.

もちろん,現時点で血管内治療の有効性が確立してない疾患もある.たとえば,脳動静脈奇形や頭蓋内動脈狭窄症などがそれにあたる.これらの疾患に対しては,他の治療法が困難な場合などに,その補助として脳血管内治療を適応することとなる.このため,外科手術や内科的治療を含む各治療法と治療選択などに関する深い知識が必要である.

また最近,中硬膜動脈の塞栓を行うことで慢性硬膜下血腫の再発が減少し,治癒率が上がるという報告がなされ,新たな治療対象として注目が集まっている.本病態に関しては複数のランダム化比較試験が進行中であるが,現時点でどのように対応すべきかについて検討が必要である.

さて,脳血管内治療は日進月歩であり,世界中で新しい治療器具が開発されている.新規デバイスの導入は従来治療が受けられなかった患者に大きな恩恵を与えうるが,有効性・安全性の確認も必須である.その近未来についてもここで紹介する.

本特集では,脳血管内治療の対象となる各疾患の最前線と近未来について,国内のトップランナーの先生方がわかりやすく解説してくださった.この場を借りて心から御礼申し上げたい.本特集が読者の皆さまの診療のお役に立つことを,心から期待している.


吉村紳一
兵庫医科大学脳神経外科

目次

特集 脳血管内治療の最前線と近未来

はじめに

吉村紳一

脳動脈瘤に対する脳血管内治療の最前線─ 新たな治療機器,フローダイバーターと瘤内デバイス

吉村紳一・他

脳動静脈奇形治療の最前線

坂田洋之・遠藤英徳

頭蓋内硬膜動静脈瘻治療の最前線

佐藤 徹

脳血栓回収療法の最新情報

内田和孝・他

頚動脈狭窄症治療の最前線

長内俊也・藤村 幹

頭蓋内動脈硬化性病変に対する血管内治療の現状と展望

吉本武史・他

慢性硬膜下血腫に対する血管内治療

榊原史啓

脳血管内治療用デバイスの近未来

坂井千秋

TOPICS

疫学

膵臓癌とメタボリック症候群の隠れた関係─ 膵臓癌はメタボリック症候群の改善により予防できるか?

矢田 豊・北風政史

生化学・分子生物学

骨格筋線維タイプの決定機構─ 速筋タイプⅡB筋線維決定因子の同定を中心に

定木駿弥・他

連載

自己指向性免疫学の新展開 ─ 生体防御における自己認識の功罪16

制御性T細胞の組織恒常性維持機能における抗原特異性の役割

津原萌里・他

細胞を用いた再生医療の現状と今後の展望 ─ 臨床への展開❷

自己完結型肝硬変再生療法に至る基礎的研究から治験まで

藤岡 毅・他

FORUM

数理で理解する発がん17

モランモデルの期待値・分散・固定確率

中林 潤

戦争と医学・医療❺

第二次大戦下の医学研究と今日の医学研究倫理

土屋貴志

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書籍情報

  • ISBN:9784006029107
  • ページ数:70頁
  • 書籍発行日:2024年11月
  • 電子版発売日:2024年11月13日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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