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複視診療のストラテジー チームで実現する患者中心のアプローチ

  • ページ数 : 280頁
  • 書籍発行日 : 2024年11月
  • 電子版発売日 : 2024年11月27日
11,000
(税込)
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商品情報

内容

眼科医と視能訓練士が連携して複視に対処するための基本から実践までを網羅し、効果的なスキルと戦略思考が学べる
本書は、開業医や専攻医を含む眼科医、さらに視能訓練士を対象に、複視患者への包括的で効果的なアプローチを実際の症例を通じて解説します。

ポイント①検査と診断
複視の原因疾患の正確な診断は治療の基盤です。検査や診断機器を具体的に解説します。

ポイント②実践的な治療法
手術、眼鏡、プリズム、視能訓練など、複視の治療法を解説します。成功した治療事例やその背後にある理論に焦点を当て、チームが連携して臨床現場で実践する際の具体的な手順を示します。

ポイント③患者中心のケアとコミュニケーション
同一疾患でも患者の年齢や社会的背景によってその対応は異なります。信頼関係の構築や治療計画の説明について、成功したケアの症例を通じて具体的に解説します。患者によって異なるニーズに適応するためのコミュニケーションスキルや患者中心のアプローチに焦点を当てます。

序文

複視は,単に“物が二重に見える”という患者の視覚的問題にとどまらず,日常生活における大きな障害となり,仕事や生活の質にも深刻な影響を及ぼす.原因が多岐にわたるため,適切に診断して治療法を見極めることが難しく,複視の根本的な治療には高い専門知識と経験が必要とされることが多い.そのため一般的な眼科医療現場では,複視の診療が後回しにされる傾向にあり,発症原因の複雑さゆえに患者への対応が不十分になることも少なくない.複視を放置すれば,患者は日常生活で多大なストレスと不便を強いられる.筆者はそのような患者の声を何度も耳にし,複視治療の現場で感じた限界と患者の苦しみに対する共感から「複視の根絶」が眼科医療における使命であると強く感じ,それを目標に掲げる大きな動機となった.複視の診療は決して容易ではない.しかしその克服こそが患者の生活を根本から改善しうるという信念が,筆者をこの道へと駆り立てたのである.

本書『複視診療のストラテジー』は,眼科医と視能訓練士が協力して複視に対応するために,臨床現場で役立つ実践的なアプローチを,基礎から応用までの具体的な症例に基づいて解説した.また,複視患者に対する包括的かつ効果的なアプローチに焦点を当て,検査スキルと診療の質が高いチーム医療の実践を支援することを目的としている.本書は複視診療で特に重要な3 つの要素,すなわち“検査と診断”,“実践的な治療法”,そして“患者中心のケアとコミュニケーション”で構成している.

検査と診断:複視を引き起こす原因疾患の正確な診断が治療の基盤である.そのため,最新の検査や診断機器を解説し,複視にかかわる多様な症例を取り上げた.理論と実践をリンクさせることで,読者が自信をもって診療に臨めるようサポートしている.実践的な治療法:手術,プリズム眼鏡,視能訓練など,多岐にわたる複視の治療法を紹介し,成功事例とその背後にある理論に焦点を当てている.特に,眼科医と視能訓練士がともに協力して診療するために,臨床現場で活用できる情報を提供している.

患者中心のケアとコミュニケーション:同じ疾患でも患者の年齢や社会的背景によって対応が異なることを踏まえ,信頼関係の構築や治療計画の説明についても解説している.また,異なる患者ニーズへの対応と治療の成功に欠かせない要素として,コミュニケーションスキルを強調している.

今回,本書の編集を三輪書店の久瀬幸代様から依頼された際,筆者にこの大役が務まるのかと当初は不安を感じたが,その熱意に押され,喜んでお引き受けすることにした.編集を進める中で,筆者は本書が『斜視治療のストラテジー』(三輪書店:2017 年)と“姉妹書”のように密接に関連することを強く感じた.浜松医科大学眼科学教室 病院教授の佐藤美保先生が編集された『斜視治療のストラテジー』は,斜視の臨床に即した名著として多くの眼科医療者に愛読されている.2冊を並べて使用いただくことを意識して,表紙デザインにも統一感をもたせた.併読することで複視と斜視の治療における,より包括的なアプローチが可能となると信じている.両書をあわせて活用いただければ幸いである.

最後に,本書が複視診療において“患者を中心としたチーム医療”を実現する一助となり,筆者の座右の銘である「複視の根絶」に向けて少しでも貢献できることを願っている.


2024年10月

国際医療福祉大学熱海病院眼科
後関利明

目次

総論

複視診察の基本的戦略とチーム医療の重要性・・・後関利明

Chapter 1 共同性外斜視

共同性外斜視と複視・・・後関利明

 症例1  間欠性外斜視+斜位近視・・・飯田貴絵・後関利明

 症例2  小角度の間欠性外斜視・・・久我芹奈・後関利明

 症例3  外斜視術後内斜視に対する縫合糸の抜糸・・・君島真純・後関利明

 症例4  小学生の間欠性外斜視・・・森田由香

 症例5  複視がある間欠性外斜視の視能訓練 ①25 Δ以上の斜視角・・・若山曉美

 症例6 複視がある間欠性外斜視の視能訓練 ②20 Δ以下の斜視角・・・若山曉美

Chapter 2 共同性内斜視

共同性内斜視と複視・・・後関利明

 症例7 後天共同性内斜視 ①眼鏡処方・・・戸塚和子・後関利明

 症例8  後天共同性内斜視 ②ボツリヌス毒素療法・・・宇井牧子

 症例9  後天共同性内斜視 ③手術治療・・・國見敬子・後関利明

Chapter 3 眼窩プリー関連疾患

眼窩プリー関連疾患と複視・・・後関利明

 症例10 Sagging eye syndrome ①上下回旋斜視・・・深谷 京・後関利明

 症例11 Sagging eye syndrome ②上下回旋斜視・・・飯田貴絵・後関利明

 症例12 Sagging eye syndrome ③開散麻痺様内斜視・・・國見敬子・後関利明

 症例13 Heavy eye syndrome(固定内斜視)・・・國見敬子・後関利明

 症例14 強度近視性内斜視・・・深谷 京・後関利明

Chapter 4 眼運動神経麻痺

眼運動神経麻痺と複視・・・後関利明

 症例15 動眼神経麻痺 ①血管性・・・中野絵梨

 症例16 動眼神経麻痺 ②外傷性・・・林 思音

 症例17 動眼神経麻痺 ③先天性・・・西村香澄

 症例18 滑車神経麻痺 ①血管性・・・高橋慎也・後関利明

 症例19 滑車神経麻痺 ②血管性・・・尾内宏美

 症例20 滑車神経麻痺 ③外傷性・・・佐々木翔

 症例21 先天上斜筋麻痺(代償不全)・・・尾内宏美

 症例22 外転神経麻痺 ①血管性・・・青木 匠・後関利明

 症例23 外転神経麻痺 ②血管性・・・鷲澤真之・後関利明

 症例24 外転神経麻痺 ③外傷性・・・飯田貴絵・後関利明

 症例25 外転神経麻痺 ④腫瘍性・・・植木智志

Chapter 5 眼窩病変

眼窩病変と複視・・・後関利明

 症例26 甲状腺眼症 ①ステロイドパルス治療・・・石川恵里・後関利明

 症例27 甲状腺眼症 ②ボツリヌス毒素療法・・・神前あい

 症例28 甲状腺眼症 ③手術治療・・・關口真理奈・後関利明

 症例29 特発性眼窩炎症・・・光井江里佳・後関利明

 症例30 IgG4関連眼疾患・・・曽我部由香

 症例31 巨大眼窩筋円錐内腫瘍・・・三村真士

 症例32 眼窩底骨折術後・・・古賀聖子・後関利明

Chapter 6 頭蓋内疾患

頭蓋内疾患と複視・・・後関利明

 症例33 核上性神経麻痺 ①注視麻痺・・・城倉 健

 症例34 核上性神経麻痺 ②One-and-a-half症候群・・・城倉 健

 症例35 Ocular tilt reaction・・・濵崎一郎

 症例36 Tolosa-Hunt症候群・・・光井江里佳・後関利明

 症例37 上斜筋ミオキミア・・・光井江里佳・後関利明

 症例38 複視がある麻痺性斜視の視能訓練・・・歌村圭介・若山曉美

Chapter 7 医原性・外傷性疾患

医原性・外傷性疾患と複視・・・後関利明

 症例39 機械的運動制限が原因の複視 ①バックル術後・・・野口綾華・後関利明

 症例40 機械的運動制限が原因の複視 ②チューブシャント術後・・・市岡 昇・後関利明

 症例41 下眼瞼脱脂術後の複視・・・清水 玄・江本博文・大野明子

 症例42 外傷性内直筋断裂・・・野口綾華・後関利明

 症例43 過去の手術歴がわからない斜視(複数回手術)・・・深谷 京・後関利明

Chapter 8 その他の疾患

その他の疾患と複視・・・後関利明

 症例44 重症筋無力症・・・龍井苑子・後関利明

 症例45 脳脊髄液漏出症・・・山上明子

 症例46 輻湊けいれん・・・山上明子

 症例47 Fisher症候群 野口綾華・後関利明

 症例48 黄斑の異常による複視・・・橋本勇希


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書籍情報

  • ISBN:9784895908283
  • ページ数:280頁
  • 書籍発行日:2024年11月
  • 電子版発売日:2024年11月27日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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