監修のことば

相手のニーズに適したアプローチを行うために

整形外科の患者さんのケアというと、何か特別な技術が必要なのではないか、たぶんこれで合っていると思うけれど、いつまでもケアに自信がもてないという思いをお持ちの方も多いのではないでしょうか？　あるいはこれまでやってきているケアの内容をちょっと確認したいけれど、誰に聞いたらよいかわからないということもあるのではないかと思います。この増刊号では、これまで整形外科を専門とする立場の方から、これまでの実践を通して蓄えられ効果をあげてきたケアについて、丁寧に解説いただきました。基本を押さえつつ、明日からの臨床実践に応用できるように構成しています。読んでいただくと、「こんなひと工夫もあるんだ！」ということが随所に散りばめられています。

川島みどり先生は、著書『看護の技術と教育』（勁草書房，2018）のなかで、技術について次のように述べています。

『なんとかしてあげたい、という素直な思いを原点にして、その思いをどのようにすれば達成できるかを考え、相手のニーズに適した看護的なアプローチを行うために必要なものが看護技術である。そして、「看護」と「看護でないもの」を分け、「専門職」とそうでないものを分けるのが「技術」である。』

1つひとつの項目に専門職の技が垣間見える内容になっています。本書を手に取られた方にとって、明日からのケアに1つでも役立つものであることを願ってやみません。

小山友里江
北里大学健康科学部基礎看護学 教授

整形外科ナースがずっと使える看護技術が満載！

整形外科看護は、骨折や関節疾患、脊椎疾患など、運動器系の疾患をもつ患者さんのケアを行う専門性の高い分野です。また患者さんの状態や治療内容によって、多岐にわたる看護技術が求められます。しかし、はじめて整形外科病棟に配属された看護師は、整形外科特有の看護技術や、患者さんの幅広い年齢層、全身の運動器が対象になるという守備範囲の広さに戸惑うことも多いと思います。

そこで、本増刊号では基本的な看護技術を取り上げるとともに、患者さんの運動器障害ごとに項目を細かく分け、はじめて整形外科病棟に配属された看護師でも、これを見るだけで整形外科の看護技術がイメージでき、すぐに実践できるように企画いたしました。

今回の増刊号の特長として、①図やイラスト、動画で看護のポイントが一目でわかる、②実際に現場で活躍するエキスパートならではの看護技術のコツがわかる、ことを目的に、北里大学健康科学部基礎看護学教授の小山友里江先生にご監修いただき、大学教員・認定看護師・臨床の現場で勤務されている看護師の皆さまに、それぞれの項目でわかりやすく執筆していただいたうえで、さらに実際の現場で活躍されている日本運動器看護学会認定運動器看護師（JSMNC）の皆さまに解説や臨床での要点（コツ）をまとめた動画や写真を作成していただきました。

この1 冊があれば、整形外科看護の基本的な技術を習得できるものと自信をもってお勧めできます。ぜひ手に取っていただき、皆さまの看護ケアの充実につながるよう願っています。

小林充弘
キッコーマン総合病院看護部／日本運動器看護学会認定運動器看護師