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- J. of Clinical Rehabilitation33巻14号 AWGC2023基準の悪液質とリハビリテーション医療
商品情報
内容
●従来の悪液質診断基準は欧米発でアジア人に適さない部分が多く実用性に課題があったが,2023年にアジア基準(AWGC2023)が策定され,早期発見と臨床での活用が期待されている.
●本特集では,AWGC2023基準を基に悪液質の病態,対応策,体組成評価を解説し,がんや心不全など各疾患における特徴を紹介する.臨床現場での悪液質への理解を深め,適切な診断と効果的な介入につながる一助となることを期待する.
序文
特集にあたって
悪液質(cachexia)は,古くから栄養不良により衰弱した状態を指す概念として用いられてきた.わが国では医療従事者の間でも「悪液質=がん終末期」というイメージが強いが,これは必ずしも正しくはない.悪液質とは,がんを含む慢性消耗性疾患を起因とする体重減少,炎症状態,食欲不振に関連した慢性疾患に伴う代謝不均衡を指す.消耗性疾患には,うっ血性心不全,慢性閉塞性肺疾患,慢性腎不全,慢性肝不全,膠原病,慢性感染症等,多岐にわたる疾患が含まれる.
悪液質の原因となる慢性疾患では,炎症性サイトカインの分泌が亢進し,骨格筋や脂肪の分解が進行したり,食欲低下を引き起こしたりすることで,体重が減少しやすくなる.悪液質は生命予後,身体機能や精神機能の低下,QOL の低下を招くため,早期発見と介入が極めて重要である.現在のところ悪液質に対する根治療法は存在しないが,運動療法,栄養療法,心理療法,薬物療法等の集学的治療により,部分的な改善や悪化の軽減が期待できることが報告されている.
2023 年秋,アジアの悪液質ワーキンググループ(Asian Working Group for Cachexia;AWGC2023)により,新しい診断基準が策定され,診断基準と臨床上のアウトカムを記したコンセンサス論文が発表された.AWGC2023 基準の悪液質の診断基準は,臨床で使いやすく,悪液質を早期に発見できることを意識して提案されており,臨床現場での幅広い活用が期待されている.これまでの悪液質の診断基準は主に欧米から発信されており,カットオフ値がアジア人とは異なる可能性があることや,診断基準が煩雑であったため,臨床で使いづらい印象があった.
本特集では,AWGC2023 基準の悪液質とリハビリテーション医療について,最新のエビデンスをベースに,悪液質の病態やマネジメントの解説および将来展望を行う.各分野のエキスパートが,がん,慢性心不全,慢性腎不全,慢性閉塞性肺疾患等,さまざまな疾患における悪液質の特徴と対応策について詳細に解説する.また,悪液質における体組成の変化や骨格筋の質の評価方法についても取り上げ,包括的な理解を深めることを目指している.
このコンセンサス論文の発表を契機に,わが国におけるリハビリテーション診療でも悪液質のマネジメントの質が向上することが期待される.本特集が,臨床現場での悪液質への理解を深め,適切な診断と効果的な介入につながる一助となれば幸いである.
(編集委員会 企画担当:吉村芳弘)
目次
特集 AWGC2023基準の悪液質とリハビリテーション医療
特集にあたって(吉村芳弘)
Asian Working Group for Cachexiaによる悪液質(吉村芳弘)
骨格筋の質の評価(山田 実)
がん患者における悪液質の病態とマネジメント(坂口達馬 森 直治)
慢性心不全患者における悪液質の病態とマネジメント(小西正紹)
慢性腎不全患者の悪液質の病態とマネジメント(齊藤正和 濱田大樹・他)
慢性閉塞性肺疾患患者の悪液質の病態とマネジメント(柳田賴英 飯田有輝)
コラム:サルコペニアの摂食嚥下障害患者における悪液質・低栄養と臨床推論(前田圭介)
連載
リハなひと
12.理学療法士/株式会社シンクハピネス 代表取締役 糟谷明範さん
巻頭カラー リハビリテーション科医が知っておくべき最新の義肢構成パーツ
7.最新の機械式膝継手「MCK」(月城慶一 後藤 学)
リハビリテーション科医師に必要な診察,評価手技
10.サルコペニア,フレイル,ロコモティブシンドローム(酒井良忠)
ニューカマー リハ科専門医
(奥山由美)
最新版! 摂食嚥下機能評価―スクリーニングから臨床研究まで
7.摂食嚥下障害のグレード(藤島グレード),摂食状況のレベル(FILS)(國枝顕二郎 藤島一郎)
おさえておきたい転倒・転落予防の基本知識と現場での応用
3.転倒・転落の主な原因と対策:(2)疾患とADL低下(佐竹昭介)
“こんなときどうする?” リハビリテーション臨床現場のモヤモヤ解決! 令和版
他科・他院交渉編:(1)他科・他院からの紹介を増やしたい(青柳陽一郎)
リハビリテーション科医に必要な消化器疾患の知識と近年の進歩
6.膵疾患とリハビリテーション(竹山宜典 里井俊平)
障害福祉サービスとリハビリテーション
4.生活介護(齋藤 薫)
リハビリテーション関連職の現状と展望
8.歯科医師・歯科衛生士(菊谷 武 水上美樹)
臨床経験
発達性ディスレクシア児1例に対する全般的な言語指導により変化した能力の検討(今井裕弥子 木村奈々子・他)
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書籍情報
- ISBN:9784006203314
- ページ数:100頁
- 書籍発行日:2024年12月
- 電子版発売日:2024年12月4日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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