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- 医学のあゆみ291巻11号 脂質制御因子SREBPの新展開
商品情報
内容
・SREBPには,脂肪の酸産やコレステロールの産生・取り込みに関する遺伝子発現を誘導する役割があり,直接的,間接的にあらゆる細胞機能に関与していると言っても過言ではない.そのため,SREBPの制御異常が生じるとさまざまな疾患が発症する.
・本特集では,SREBPの制御機構と活性化機構について最新の研究を解説する.
序文
はじめに
Goldsteinテキサス大学教授およびBrown同教授(1985年ノーベル医学・生理学賞受賞者)によって,1993年に脂質制御因子SREBP(sterol regulatory element-binding protein)が発見されてから30年が経過した.PubMedで検索すると,総計では6,000報,近年は毎年400報の論文が発表されており,ますます注目される因子である.
SREBPはSREBP1a,SREBP1c,SREBP2の3つのアイソフォームで構成されており,SREBP1cは脂肪酸産生を,SREBP2はコレステロール産生と取り込みに関する遺伝子発現を誘導する.コレステロールは細胞膜の構成成分であるとともに,ステロイドホルモンや胆汁酸の原料である.脂肪酸はそれ自身の作用に加えて,トリアシルグリセロールや複合脂質であるグリセロリン脂質,スフィンゴ脂質,エイコサノイドなどに変換されることで,さまざまな作用を発揮する.脂質の重要な機能は,細胞膜の形成と機能維持,エネルギー貯蔵と産生だけでなく,生理活性脂質としてシグナル伝達作用も行っている.このように脂質は細胞機能の維持に必須であり,その制御異常によってさまざまな疾患が発症する.すわなち,SREBPは直接的,間接的に,ありとあらゆる細胞機能に関与していると言っても過言ではない.
古典的なSREBPの活性化経路は,インスリンシグナルやコレステロール量に応じたSCAP(SREBP cleavage-activating protein)を介した小胞体からゴルジ体への輸送,S1P(site-1 protease)/S2P(site-2 protease)による切断,核内移行,SRE(sterol regulatoryelement)への結合による転写活性化である.SREBP研究にはわが国の研究者が大きく貢献しており,新たな制御機構や活性化機構が次々と発見されている.本稿では,SREBPの制御機構,活性化機構について,最新の研究内容を解説いただいた.皆様の学術活動に資することを期待している.
福原淳範
下村伊一郎
大阪大学大学院医学系研究科肥満脂肪病態学寄附講座
目次
脂質制御因子SREBPの新展開
はじめに
福原淳範・下村伊一郎
ブロッコリー由来成分スルフォラファンによるSREBPタンパク質分解制御
井上 順
全長型SREBPを標的とするユビキチンリガーゼARMC5の同定
奥野陽亮
カロリー制限下におけるSREBP-1cの発現制御機構と白色脂肪組織の代謝リプログラミング
野崎優香・他
ビタミンD誘導体による選択的SREBP-SCAP阻害作用
橘高敦史
SCAPのポリユビキチン化によるSREBP活性化
佐藤隆一郎
SREBP-1cの新たな切断活性化機構と脂肪酸による切断制御
韓 松伊・他
連載
自己指向性免疫学の新展開 ─ 生体防御における自己認識の功罪18
Tリンパ球の恒常性維持における自己反応性の新たな役割
河部剛史
細胞を用いた再生医療の現状と今後の展望 ─ 臨床への展開4
脂肪幹細胞を用いた末梢動脈閉塞症に対する治療効果
清水優樹・室原豊明
特報
第61回(2024年度)ベルツ賞受賞論文1等賞
福山型筋ジストロフィーを含めた糖鎖合成異常症の系統的な解明・治療に関する研究
戸田達史
第61回(2024年度)ベルツ賞受賞論文2等賞
がんゲノム医学を基盤とした個別化医療
柴田龍弘
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書籍情報
- ISBN:9784006029111
- ページ数:70頁
- 書籍発行日:2024年12月
- 電子版発売日:2024年12月11日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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