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- ①整形外科の病態と診察・診断〈ニュースタンダード整形外科の臨床〉
商品情報
内容
本巻では,整形外科の病態と診察法・診断法について各分野のエキスパートが執筆. 第1章では骨・関節・靱帯・関節包・筋肉・末梢神経の病態生理と治癒機転を,第2章では体表解剖で痛みやしびれのある部位から想定される病態を,第3章では診察法を動画などを交えて解説.第4章では整形外科で代表的な障害・疾患と重要な周辺領域を含めて構成.臨床に役立つ動画多数.
序文
序文
私の整形外科医としての座右の銘に「診断半分・手術半分」「手術半分・リハビリ半分」があります.私が若い頃に勤務していた病院の整形外科部長の教えでした.若い医師が少しでも早く多くの手術経験を積みたい,そのような熱い気持ちは大切です.しかしその若い医師たちに,その経験豊かな部長が「手術は正確に上手にすべきだが,その前にきっちりと診断することが大事」「手術がうまくできても,そのあとのリハビリがとても重要」と教えてくれたものでした.
メスを置いて開業してすでに24 年経ちましたが,毎日の診療で私はいつもその恩師の言葉を思い出します.われわれ医師は病める人を治すのが使命です.しかし,手術をするにしても保存的治療をするにしても,目の前の患者さんの病気やケガの原因や病態をまず見極めることが大事です.病気の原因を間違って診断すれば,治る人も治らないかもしれません.もちろんすべての原因が分かるわけではありませんし,自分以外の専門医などに紹介して別の目で診断して貰うことも必要だと思います.
そして診断をつけて「X 線で大きな問題がないので,湿布と鎮痛薬を出します」だけでは,治らないこともしばしばです.整形外科を受診する患者さんの主訴は運動器の障害や痛みやしびれがほとんどです.診断や治療の後のリハビリや日常生活の指導がとても重要です.どのような体操をどの程度すればよいのか,してもよいこととよくないことなどを患者さんに寄り添って導くことが大切です.
中山書店からこのたび,『ニュースタンダード整形外科の臨床』という全11 巻のシリーズの本が順次刊行されることになりました.中山書店にはすでに専門的な大系や手術書の全集もあります.このシリーズでは,大学病院や基幹病院だけでなく,一般中小病院や開業医に受診するような日常でよくある腰痛,肩こり,五十肩や捻挫などの疾患も解説されています.その意味で私のような開業医が編集委員の一人として選ばれたのだと思います.
この第1巻は整形外科の病態と診察法・診断法についてそれぞれの分野の専門家に執筆をお願いしました.第1章では,骨・関節・靱帯・関節包・筋肉・末梢神経の病態生理と治癒機転を解説していただいています.第2章では,体表解剖で痛みやしびれのある部位から想定される病態を解説していただきました.第3 章では診察法を動画などを交えて説明していただいています.基本的な診察法は整形外科医にとって大事だと思います.第4 章では整形外科で代表的あるいは少し周辺的な疾患も含めて解説をお願いいたしました.
第4巻以降にそれぞれの部位のより詳しい解説がありますが,この1 巻から第3 巻までは基本的なこと,知っておいた方がよいことを解説するように企画しています.分かりやすいように,なるべく図やイラストを多くし,診察法やエコーの動画を紙面の二次元コードからスマートフォンなどで簡単に参照できるようにしています.
本書が整形外科医やプライマリケア医などの先生方の診療に少しでもお役に立てれば,幸甚に思います.
2024年9月
井尻整形外科
井尻慎一郎
目次
1章 運動器の病態生理と治癒機転
骨の基礎知識と骨折治癒機転の基礎知識 (前田和洋,斎藤 充)
関節の基礎知識 (中村伸一郎,松田秀一)
靱帯・関節包の基礎知識 (松下雄彦,黒田良祐)
筋の基礎知識と筋治癒機転の基礎知識 (荒川高光)
末梢神経の基礎知識と神経治癒機転の基礎知識 (柿木良介)
2章 体表解剖と痛みやしびれから想定される病態
頚部 (古矢丈雄,大鳥精司)
肩関節周辺 (高瀬勝己)
肘 (今谷潤也)
手関節と手 (中村俊康)
胸部と背部 (加藤裕幸,渡辺雅彦)
腰部 (紺野愼一)
骨盤と股関節 (帖佐悦男)
大腿 (帖佐悦男)
膝関節周辺 (星野祐一,黒田良祐)
下腿 (安田稔人)
足関節 (宮本拓馬,田中康仁)
足 (原口直樹)
3章 診察法(患者問診・診察・検査・診断)
頚部 (牧 聡,大鳥精司)
肩関節周辺 (山本宣幸)
肘 (丸山真博)
手関節と手 (建部将広)
胸部と背部 (山下一太,西良浩一)
腰部 (手束文威,西良浩一)
骨盤と股関節 (伊藤重治,髙木理彰)
大腿 (立石智彦)
膝関節周辺 (橋口直史,中前敦雄,安達伸生)
膝靱帯損傷 (荒木大輔)
下腿 (熊井 司)
足関節 (窪田 誠)
足 (青木孝文)
小児 (薩摩眞一)
4章 整形外科の代表的な病態と治療
痛み (寺嶋祐貴,牛田享宏)
炎症 (首藤敏秀)
急性・慢性の違い (三木健司)
関連痛,放散痛 (三木健司)
関節痛,関節炎,変形性膝関節症 (井石智也,神頭 諒,中尾吉孝,中山 寛)
関節ねずみ (五月女慧人,岩崎倫政)
神経痛,神経麻痺 (柿木良介)
デルマトーム図と末梢神経分布図 (亀山 隆)
腱炎,腱鞘炎 (上原浩介)
石灰性腱炎・滑液包炎 (浜田純一郎)
肉離れ (仁賀定雄)
こむら返り (鈴木幹也)
疲労骨折 (新倉隆宏,荒木大輔,中西雄太)
骨挫傷,不顕性骨折 (新倉隆宏,小田崇弘)
骨粗鬆症 (萩野 浩)
関節リウマチ (松本卓巳)
リウマチ性多発筋痛症 (小俣康徳)
RS3PE症候群 (近藤正一)
痛風 (横川直人)
偽痛風 (井尻慎一郎)
肩こり (新井貞男)
首下がり症候群 (遠藤健司)
ストレートネック (熊谷玄太郎)
いわゆる腰痛症 (杉浦宏祐,藤谷順三,西良浩一)
骨腫瘍および軟部腫瘍 (筑紫 聡)
ロコモ,フレイル,サルコペニア (石橋英明,柴田輝明)
成長痛 (小林大介)
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書籍情報
- ISBN:9784521750910
- ページ数:419頁
- 書籍発行日:2024年11月
- 電子版発売日:2024年12月20日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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