序

「最新ガイドラインに基づく 呼吸器疾患 診療指針2023-’24」が刊行されて2 年余が過ぎました．その前身にあたる「呼吸器疾患診療 最新ガイドライン」「最新ガイドラインに基づく 呼吸器疾患 診療指針2021-’22」に引き続き，多くの皆様のご好評をいただきました．

各疾病の診療の進歩は目覚ましく，この度，改訂を行い，「最新ガイドラインに基づく 呼吸器疾患 治療指針（第6 版）」として出版することになりました．

本書の旧版との大きな違いは，疾患別診療指針では取り上げにくいガイドライン，手引き，指針

「喘息とCOPD のオーバーラップ診断と治療の手引き」

「肺癌患者におけるバイオマーカー検査の手引き」

「クライオ生検指針」

「肺がん検診ガイドライン」

「緩和医療・ガイドライン」

「呼吸器内視鏡診療を安全に行うために」をトピックスとして，巻頭にまとめて取り上げたことが挙げられます．

そのほか，

「成人肺炎診療ガイドライン2024」

「新型コロナウイルス感染症COVID-19 診療の手引き」第10.1 版

「COVID-19 に対する薬物療法の考え方」第15.1 版

「JAID/JSC 感染症治療ガイド2023」

「成人肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解― 2023 年改訂― 」

「希少深在性真菌の診断・治療ガイドライン」（2024 年）

「肺癌診療ガイドライン」

「特発性肺線維症の治療ガイドライン2023」

「An update on management of adult patients with acute respiratory distress syndrome：anofficial American Thoracic Society clinical practice guideline」（2024 年）

「Revised ISHAM-ABPA working group clinical practice guidelines for diagnosing,classifying and treating alergic bronchopulmonary aspergillosis/mycoses」（2024 年）

「ANCA 関連血管炎診療ガイドライン2023」

「呼吸不全に関する在宅ケア白書2024」

「サルコイドーシス診療の手引き2023」

「線毛機能不全症候群の診療の手引き」（2023 年）

「生体部分胚移植ガイドライン」（2023 年）

「脳死肺移植レシピエントの適応基準」（2023 年）など，最近発行されたガイドラインを新たに踏まえて，専門家による説明がなされています（「ガイドラインの現況」に変化を　　　で明示してあります）．

急速な進歩の中で，最新の医療レベルの知識を広い領域で保つことは容易でなくなっております．したがって各領域の診療ガイドラインへのアクセスは，医療レベルの担保になくてはならないものとなっています．そのような状況下で，呼吸器疾患全般の診療ガイドラインへの道標を目指した本書をご活用いただければ幸いです．

旧版である「呼吸器疾患診療 最新ガイドライン」「最新ガイドラインに基づく呼吸器疾患 診療指針2021-’22」「最新ガイドラインに基づく呼吸器疾患 診療指針2023-’24」の以下の基本方針

●専門でない疾患ガイドラインへのアクセスを示す

ガイドラインは，極めて多数存在し，その作成は多数の学会に委ねられているため，専門ではない特定の疾患に関するガイドラインへのアクセスは，大変，難しくなっています．そのため，ガイドラインそのものの存在などの基本情報や情報内容の適正な解釈などを紹介するツールが必要となっています．すなわち，「ガイドラインへのガイドライン」が必要な状況になっており，その要望に応える

● 総合診療医として，かかりつけ医として，他疾患の呼吸器専門医として，研修医として，疾患の非専門家が診療する状況において，専門家でない医師の知りたい情報をまとめるを維持し，最新の知見をしっかりと加えていただきました．診療の現場で大いに参考にしていただける内容と確信しております．執筆の皆様には，この場を借りて，御礼申し上げます．

皆様の「幅の広い安定した呼吸器疾患の診療」のお役に立てることを願います．

2024年12月

日本医科大学 学長
弦 間　昭 彦