作業療法 義肢・装具学

  • ページ数 : 383頁
  • 書籍発行日 : 2024年12月
  • 電子版発売日 : 2025年1月11日
6,380
(税込)
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商品情報

内容

豊富な図表と動画115本を収載.講義,国試から臨床まで役立つ
構造や動きをイメージしにくい義肢装具療法が,豊富な図表と115本の動画でよくわかる!基礎知識から実習までを国試を意識した記述で解説し,多数の症例の作業療法を時系列に沿って紹介.座学から臨床まで役立つ!

序文

近年,医療技術の進歩は目覚ましく,特にリハビリテーション分野においては,ロボット技術や人工知能(Artificial Intelligence:AI)の導入など,革新的な取り組みが加速しています.義肢・装具も例外ではなく,高齢社会の進展や多様なニーズに対応するため,その重要性はますます高まっています.

このたび,皆さまにお届けする本書は,作業療法士を目指す学生を主な対象とする,基本的な義肢と装具に関して基礎から臨床までを網羅したテキストです.義肢・装具を専門としていない教員の方々にも使いやすいようにさまざまな工夫をしています.また,すでに義肢・装具学の基礎を修め,より実践的な知識と技術を身に付けたい現役の作業療法士に役に立つ知識・情報も豊富に掲載しており,臨床に出ても使い続けることができます.

本書の特徴は,以下の2 点になります.

【義肢・装具の基礎から臨床までを段階的に学ぶ】第Ⅰ章では,義肢・装具の基礎知識をわかりやすく解説し,義肢・装具の概論や分類,作業療法の評価と治療について体系的に学びます.第II 章では,最新の臨床事例を中心に,より実践的な内容を深めていきます.実際の臨床事例が豊富に掲載されているため,理論と実践のギャップを埋めることができます.

【豊富な図表と写真,動画の掲載】

複雑な概念や技術も,豊富な図表や写真,動画によって視覚的に理解できるよう工夫しています.実際の患者さんに登場してもらった図・動画も多数あります.これらにより,より直感的に内容を把握することができます.

作業療法および義肢・装具は,日々進化を続けています.本書を通して,作業療法士を目指す学生が義肢・装具学の基礎をしっかりと理解し,臨床で活かせる知識と技術を習得することを期待します.そして,本書の内容を習得した後は,さらなる研鑽を重ねていただき,より実践的な知識と技術を身に付けた作業療法士となり,今後の義肢・装具学の発展に貢献できる人材へと成長されること,および,将来,作業療法の対象となる方々の生活の質(Quality of Life:QOL)の向上に貢献できる専門家へと成長されることを心から願っています.

謝辞 最後に,本書の刊行にあたり,執筆にご協力いただいた先生方,そして関係者の皆さまに心から感謝申し上げます.


2024年11月

妹尾勝利

目次

第Ⅰ章 義肢・装具学

1 義肢概論【妹尾勝利】

1 義肢とその歴史

  1)義肢とは 2)義肢の歴史

2 切断の基礎知識

  1)切断とは 2)切断の疫学 3)切断レベルの分類 4)切断術(断端形成術) 5)特殊な切断術(クルーケンベルグ切断)

3 義手と義足の基本的構成要素

  1)義手と義足 2)義手と義足の基本的構成要素

4 上肢切断レベルと断端の運動(特徴)[動画]

  1)肩甲胸郭間切断(フォークォーター切断) 2)肩関節離断(上腕0%~30%未満) 3)上腕切断 4)上腕長断端/肘関節離断(上腕90%以上~100%) 5)前腕切断 6)手関節離断(前腕100%) 7)手根骨部切断,中手骨部切断,指切断

5 四肢の先天性奇形・欠損

  1)横軸性欠損(上肢) 2)長軸性欠損(上肢)

6 義肢と作業療法士の役割

2 義手の基礎知識【妹尾勝利】

1 義手の分類

  1)切断レベルによる分類 2)支持部の構造による分類 3)義手の機能による分類

2 各義手の構成要素と操作・機能

  1)装飾用義手 2)作業用義手 3)能動義手 4)筋電義手(前腕義手)

3 部品

  1)ハーネス 2)ソケット 3)支持部 4)継手 5)手先具 6)操作・制御システム 7)上腕半カフおよび三頭筋パッド

3 能動義手と筋電義手の操作・制御【吉村 学】

1 能動義手の操作[動画]

  1)単式コントロールケーブルシステム 2)複式コントロールケーブルシステム

2 筋電義手(筋電電動義手)[動画]

  1)前腕筋電義手 2)上腕筋電義手

3 装飾用義手

4 作業用義手[動画]

4 義手の評価【妹尾勝利,吉村 学】

1 義手の適合検査[動画]

  1)これまでの義手適合検査と2024年に公表された新しい能動義手適合検査 2)装飾用義手・作業用義手・筋電義手の適合検査 3)能動義手の適合検査

2 義手使用時の評価

  1)Assessment of Capacity for Myoelectric Control(ACMC) 2)Southampton Hand Assessment Procedure(SHAP) 3)Box and Block Test(BBT) 4)カナダ作業遂行測定(Canadian Occupational Performance Measure:COPM) 5)筋電義手用ADL評価表

5 上肢切断の作業療法【妹尾勝利】

1 リハビリテーションチームの関連職種と役割

2 上肢切断のリハビリテーション過程

3 オリエンテーション

4 作業療法評価

  1)症例情報の収集 2)第一印象 3)身体機能面 4)精神心理面 5)ADL

5 評価結果の整理

6 作業療法の方針と目標の設定

7 作業療法プログラム[動画]

  1)義手装着前練習 2)練習用仮義手の作製 3)義手装着練習 4)自宅や学校,職場などでの試用練習 5)本義手の処方・作製と適合検査

8 フォローアップとメンテナンス

6 能動義手・筋電義手の作業療法 〜症例から学ぶ,作業療法の流れ【妹尾勝利,吉村 学】

1 能動義手の作業療法(症例)[動画]

  1)オリエンテーション 2)作業療法評価 3)問題点の整理 4)作業療法の基本方針と目標の設定 5)作業療法プログラム 6)本義手の作製 7)フォローアップ・メンテナンス

2 筋電義手の作業療法(症例)[動画]

  1)オリエンテーション 2)作業療法評価 3)問題点の整理 4)作業療法の基本方針と目標の設定 5)作業療法プログラム

7 下肢切断の作業療法【吉村洋輔】

1 下肢切断レベルにおける断端の運動(特徴)

  1)片側骨盤切断 2)股関節離断 3)大腿切断 4)膝離断 5)下腿切断 6)サイム切断 7)足部の切断

2 義足の構成と部品

  1)大腿義足 2)下腿義足 3)作業療法時のチェックポイント

 ・ Advance:障害者スポーツで使われる義足

  1)障害者のスポーツを可能にする義足 2)競技として 3)運動に適した義足とは

3 作業療法プログラムと理学療法の連携

  1)作業療法実施上のポイント 2)評価(トイレ・更衣などのADLに関与するものを中心に) 3)作業療法プログラム(ADL,立ち上がり時の膝ロック機構など) 4)理学療法との連携

8 装具/スプリント概論【平田淳也】

1 装具とは

2 装具の分類と名称

  1)装着部位による分類 2)制度による分類 3)材料による分類 4)使用目的による分類 5)機能による分類

3 作業療法と装具学

  1)装具/スプリントの歴史 2)装具/スプリントとICF 3)装具/スプリントと作業療法士の役割 4)処方箋と多職種連携 5)装具/スプリントの適合判定,効果判定

4 装具/スプリントの基本構成

  1)基本構成

5 装具/スプリントの目的と機能

  1)目的 2)機能

6 良い装具/スプリントの条件

  1)装具/スプリントの使用を阻害する要因 2)使用されるための装具/スプリントの条件

9 上肢装具/スプリント【平田淳也】

1 上肢装具/スプリントの目的

2 種類[動画]

  1)肩装具 2)肩肘装具 3)肩肘手関節装具 4)肘装具 5)手関節装具 6)手・指装具/スプリント

3 作業療法のポイント

10 スプリント療法の基礎知識【斎藤和夫】

1 スプリントの対象組織と病態

  1)対象組織 2)対象となる病態 3)スプリントの評価の重要性

2 スプリントの目的と適応

3 スプリントのデザイン

4 スプリントの装着時間

5 スプリントの力学

  1)3点固定の原理 2)全面接触の原理 3)力学的考慮事項

6 実施上の留意点

  1)医師の指示に基づく対象者の評価とニーズの理解 2)スプリントの選択 3)可変性の確保と経過の確認 4)清潔とスキンケア 5)対象者教育とコミュニケーション 6)日常活動での機能性 7)継続的な評価と定期的な再評価

7 スプリントの材料

  1)スプリント材料の選択基準 2)主要なスプリント材料の種類と特性

8 静的スプリント(Static Splint)

  1)目的 2)適応 3)確認ポイント(スプリントの適合性と効果判定)

9 動的スプリント(Dynamic Splint)

  1)目的 2)適応 3)確認ポイント

10 その他のスプリント

  1)静的進行スプリント(Static Progressive Splint) 2)機能的スプリント(Functional Splint)

11 最後に

11 スプリント作製の手順と技術【岡野昭夫】

1 作製方法

2 採型法の工程[掌側カックアップスプリント(サムホールタイプ)の例][動画]

  1)材料と道具 2)トレーシング 3)カッティング 4)ヒーティング 5)モールディング 6)トリミング 7)スムージング 8)ストラッピング 9)チェックアウト

3 動的スプリント作製の工程[背側アウトリガースプリントの例][動画]

  1)材料と道具 2)トレーシング 3)カッティング,ヒーティング,モールディング 4)トリミング 5)スムージング,ストラッピング 6)虫様筋バーのデザインとメジャーリング,カッティング 7)虫様筋バーのヒーティング,モールディング 8)虫様筋バーのスムージング 9)アウトリガーのデザイン,メジャーリング,作製 10)アウトリガーの本体への接着 11)アウトリガーの牽引用ベースの作製 12)アウトリガーの牽引用ベースに面ファスナーフック面を貼る 13)牽引用カフの作製 14)牽引用カフの取り付け 15)牽引方向のチェックアウト

4 その他:特別な材料や道具を使用しない動的スプリント[コイル式指伸展スプリントの例]

  1)材料と道具 2)作製工程

12 体幹・下肢・靴型装具の作業療法【原田祐輔,平田淳也】

1 頚椎・体幹装具:骨折・脊髄損傷[動画]

  1)目的 2)種類 3)作業療法のポイント

2 体幹装具:側弯症

  1)目的 2)種類 3)作業療法のポイント

3 下肢装具:脳卒中[動画]

  1)目的 2)種類 3)作業療法のポイント

4 靴型装具

  1)目的 2)特徴 3)作業療法のポイント

13 車椅子・歩行補助具の基礎知識【山田麻和】

・ 車椅子の基礎知識

1 車椅子の種類

  1)標準型 2)モジュラー型 3)座位変換型(ティルト・リクライニング型) 4)スポーツ型 5)電動式(パワーアシスト型)

2 基本構造と寸法

・ 車椅子シーティング

[動画]

  1)車椅子を使用する目的 2)座位能力とマットの評価 3)車椅子・座クッションの選定 4)環境との適合 5)車椅子と身体の適合 6)生活場面での確認

・ 歩行補助具

1 歩行補助具の導入を検討する時期

2 歩行補助具の役割

3 杖[動画]

  1)種類 2)基本構造 3)杖の選定 4)杖の調整 5)杖の使用手順

4 歩行器と歩行車[動画]

  1)種類 2)構造 3)歩行器・歩行車の選定 4)歩行器の使い方

14 補装具の支給制度【富山弘基】

1 義肢装具の制度分類

  1)治療用 2)更生用

2 義肢装具の支給制度

  1)義肢装具の価格 2)支給される補装具の個数 3)義肢装具の耐用年数 4)支給制度の種類 5)各支給制度の概要 6)保険制度の選択

3 各支給制度の申請方法

  1)治療用義肢装具の申請方法 2)更生用義肢装具の申請方法

4 作業療法士と義肢装具士の連携

  1)対象者情報の共有 2)義肢装具作製の前に行っておくこと 3)更生用義肢装具の作製にあたって

第Ⅱ章 疾患別にみる義肢・装具療法

1 手部義手 〜練習用仮義手を活用し,精神的負担の軽減と問題点の解決が可能となった一例【小林伸江】

症例 交通事故による手部切断

  1)作業療法評価とプログラム 2)作製した義肢 3)経過 4)まとめ

2 能動義手(肩義手)〜身体機能を強化し,生活で使える義手につながる支援を行った一例【吉村 学】

症例 右肩関節離断[動画]

  1)作業療法評価とプログラム 2)作製した義肢 3)経過 4)まとめ

3 前腕能動義手 〜復職希望を叶えた一例【溝部二十四】

症例 右前腕切断

  1)作業療法評価とプログラム 2)作製した義肢 3)作業療法プログラム 4)まとめ

4 筋電義手(肩義手)〜肩義手の使用により家事・職業動作が可能となった一例【竹原脩一郎】

症例 肩甲胸郭間切断[動画]

  1)作業療法評価とプログラム 2)作製した義肢 3)作業療法経過・作業療法プログラム 4)まとめ

5 前腕筋電義手 〜復職のために多様な手指機能を可能にする多関節筋電義手の一例【遠藤孔太郎】

症例 非利き手の前腕切断[動画]

  1)作業療法評価とプログラム 2)作製した義肢 3)経過(作業療法プログラム) 4)まとめ

6 小児義手(就学に用いる義手)〜成長発達により変化する身体機能やニーズに応じて支援した一例【野口智子】

症例 上肢形成不全

  1)作業療法評価とプログラム 2)作製した義肢 3)経過 4)まとめ

7 大腿義足 〜大腿義足の使用により,家庭や地域での役割を再獲得できた一例【笘野 稔】

症例 交通事故による右大腿切断(長断端)

  1)作業療法評価とプログラム 2)作製した義肢 3)経過 4)まとめ

8 回旋筋腱板損傷 〜回旋筋腱板損傷患者のスポーツ復帰に向けて支援を行った一例【井上由貴】

症例 テニスによる右回旋筋腱板損傷

  1)作業療法評価とプログラム 2)作製した装具 3)経過 4)まとめ

9 末梢神経損傷 〜橈骨神経麻痺による機能障害を補助し,生活する手を導くスプリントの一例【奥村修也】

症例 圧迫による利き手の橈骨神経麻痺

  1)作業療法評価とプログラム 2)作製したスプリント 3)経過(作業療法プログラム,スプリント装着練習など) 4)まとめ

10 手指屈筋腱損傷 〜スプリントを使った腱滑走による癒着防止が復職につながった一例【佐藤彰博】

症例 示指深指屈筋腱損傷

  1)作業療法評価とプログラム 2)作製したスプリント 3)経過と結果 4)まとめ

11 脳血管障害 〜スプリントの活用が痙縮の改善につながった一例【小林伸江】

症例 脳梗塞後右片麻痺

  1)作業療法評価とプログラム 2)作製したスプリント 3)経過 4)まとめ

12 関節リウマチ 〜変形を抑制し,目標達成を後押ししたスプリントの一例【佐藤信治】

症例 複数指に変形を呈する関節リウマチ[動画]

  1)作業療法評価とプログラム 2)作製したスプリント 3)経過 4)まとめ

13 熱傷 〜熱傷後に起こる皮膚性の変形や拘縮を予防するためのスプリントの一例【石田幸平】

症例 爆発事故による上肢の重度熱傷

  1)作業療法評価とプログラム(熱傷部位の評価と治療) 2)作製したスプリント 3)経過 4)まとめ

14 小児疾患(運動発達遅滞)〜子どもの可能性を広げる装具の一例【西村信哉】

症例 頚部リンパ管腫,精神運動発達遅滞[動画]

  1)作業療法評価とプログラム 2)作製した装具 3)経過 4)まとめ


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書籍情報

  • ISBN:9784758114387
  • ページ数:383頁
  • 書籍発行日:2024年12月
  • 電子版発売日:2025年1月11日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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