大腸癌取扱い規約 第9版

  • ページ数 : 132頁
  • 書籍発行日 : 2018年7月
  • 電子版発売日 : 2019年2月8日
4,180
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内容

TNM分類第8版との整合性、他規約の記載法を踏まえ、改訂!

5年ぶりの改訂となる本版では、TNM分類第8版や他規約との整合性を重視しながら、肛門管の直腸型腺癌の壁深達度、リンパ節転移、遠隔転移、進行度分類、同時性・異時性の定義、内視鏡治療、手術治療、リンパ節郭清度、内視鏡治療後の癌遺残、側方リンパ節分類、組織型、SM浸潤距離の実測法、検体の取扱い、組織図譜など幅広く改訂。さらに、記載項目のチェックリストなど実臨床の場に有用な附を新設した。

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序文

第9版 序文

このたび,5年ぶりに「大腸癌取扱い規約」が改訂されました。

第8版の「序文」で述べましたように,「大腸癌取扱い規約」の目的は,①観察した所見や行った治療を決められた定義に従って記載すること,②記載された記録を蓄積してデータベースとし,それを分析して,現状の問題点を洗い出し,それを解決することにより,大腸癌の診断・治療を改善することです。ご存知のように,日本の大腸癌の診断・治療は独自の進化を遂げ,その過程において,「大腸癌取扱い規約」はこの日本独自の診断・治療に基づいて作成・改訂されてきました。一方,大腸癌の診断・治療の領域では,加速度的に諸外国との交流が進んでいます。近年では,日本の大腸癌の診断・治療は諸外国からも注目を浴びるようになってきましたが,日本以外の国では,大腸癌の所見の分類・記載法はTNM分類に従っているため,「大腸癌取扱い規約」に基づいて収集・分析された日本の大腸癌の臨床試験や研究の成果は,必ずしも正しく,適切な評価を受けているとは限りません。

第9版では,大腸癌研究会に蓄積されたデータを用いた分析を行ったうえで,TNM分類と齟齬をきたさない領域ではできるだけTNM分類に準ずるように改訂を行いました。しかし,長年の蓄積で得られ,有用と判断された日本独自の分類はそのまま維持しています。従って,初めのうちは混乱を招く点もあるかと思いますが,第9版を十分に理解し,日常の診療に用いていただければと思います。

さらに,日本ではそれぞれの部位の消化器癌にはそれぞれの「癌取扱い規約」が使用されています。一方,大腸癌診療に携わっている先生方は,大腸癌のみの診療に特化していることはなく,多くの先生方はいくつかの消化器癌の診療に携わっていると思います。それぞれの「癌取扱い規約」での定義が臓器によって異なることは,消化器癌診療に従事している先生方に余計な負担を強いることになり,また,記載の誤りにもつながる危惧があります。特に,病理の先生方の負担は大きいと思います。このため,各臓器の癌の特性を十分に考慮しつつ,分類や記載法をできるだけ統一してゆく必要があります。第9版ではその一歩を踏み出しました。

今回の改訂を経ても,「大腸癌取扱い規約」には引き続き検討すべき点が少なからず残っています。大腸癌研究会では,今後もプロジェクト研究などを通して,より完成度の高い規約を目指してゆきたいと思います。


平成30年7月

会長 杉原 健一

目次

I.規約

1 目的と対象

1.1 目的

1.2 対象

2 記載法の原則

2.1 臨床所見、術中所見、病理所見

2.2 術前治療後の所見

2.3 再発癌の所見

3 所見の記載法

3.1 原発巣

3.1.1 癌の占居部位

3.1.2 大腸、虫垂、肛門管の区分

3.1.3 腸壁の区分

3.1.4 病巣の数、大きさ、環周率

3.1.5 肉眼型分類

 3.1.5.1 基本分類

 3.1.5.2 0型(表在型)の亜分類

3.1.6 壁深達度〔T〕

3.2 転移

3.2.1 リンパ節転移

 3.2.1.1 リンパ節の群分類と名称

 3.2.1.2 リンパ節番号

 3.2.1.3 領域リンパ節

 3.2.1.4 リンパ節転移〔N〕

3.2.2 遠隔転移〔M〕

 3.2.2.1 肝転移〔H〕

 3.2.2.2 腹膜転移〔P〕

 3.2.2.3 肺転移〔PUL〕

3.3 進行度分類(Stage)

3.3.1 進行度の臨床分類と病理分類

3.3.2 術前治療後の進行度分類

3.4 多発癌、重複がん、多重がん

3.5 家族歴および遺伝性疾患

4 内視鏡治療、手術治療

4.1 内視鏡治療

4.1.1 内視鏡治療の方法

4.2 手術治療

4.2.1 到達法

4.2.2 手術の種類

4.2.3 リンパ節の郭清

 4.2.3.1 リンパ節郭清度〔D〕

 4.2.3.2 側方リンパ節の郭清度〔LD〕

4.2.4 吻合法

 4.2.4.1 吻合形態

 4.2.4.2 吻合手段

4.2.5 合併切除臓器

4.2.6 自律神経系の温存〔AN〕

5 切除断端における癌浸潤、癌遺残、根治度の判定

5.1 切除断端における癌浸潤

5.1.1 内視鏡摘除標本

 5.1.1.1 水平断端(粘膜断端)〔HM〕

 5.1.1.2 垂直断端(粘膜下層断端)〔VM〕

5.1.2 手術切除標本

 5.1.2.1 近位(口側)切離端〔PM〕

 5.1.2.2 遠位(肛門側)切離端〔DM〕

 5.1.2.3 外科剥離面〔RM〕

5.2 癌遺残

5.2.1 内視鏡治療後の癌遺残〔ER〕

5.2.2 手術治療後の癌遺残〔R〕

5.3 手術治療の根治度〔Cur〕

6 薬物治療、放射線治療

6.1 薬物治療の記載事項

6.2 放射線治療の記載事項

6.2.1 治療目的

6.2.2 照射条件

6.2.3 照射部位

7 切除標本の取扱い

7.1 肉眼的所見

7.1.1 占居部位

7.1.2 肉眼型分類

7.1.3 大きさ

 7.1.3.1 腫瘍の大きさ

 7.1.3.2 粘膜内腫瘍部分の大きさ

 7.1.3.3 潰瘍の大きさ

7.1.4 腸管環周率

7.1.5 病巣から切除断端までの距離

7.1.6 浸潤・転移の広がりの性状・距離

7.1.7 壁深達度

7.1.8 リンパ節転移とその部位

7.2 組織学的所見

7.2.1 組織型

 A 大腸

 B 虫垂

 C 肛門管(肛門周囲皮膚を含む)

7.2.2 浸潤増殖様式〔INF〕

7.2.3 脈管侵襲

 7.2.3.1 リンパ管侵襲〔Ly〕

 7.2.3.2 静脈侵襲〔V〕

7.2.4 簇出〔BD〕

7.2.5 リンパ節構造のない壁外非連続性癌進展病巣〔EX〕

7.2.6 神経侵襲〔Pn〕

7.3 薬物治療、放射線治療の組織学的効果判定基準

7.4 大腸生検組織診断分類(Group分類)

7.5 浸潤距離の測定法

7.5.1 T1癌

7.5.2 漿膜を有しない部位で固有筋層を越えて浸潤する癌

8 治療成績の記載事項

8.1 患者数

8.2 多発癌、重複がん、多重がん

8.3 主たる治療法および補助療法

8.4 大腸癌治療総数および治療の種類別の例数および率

8.4.1 切除率

8.4.2 内視鏡治療

8.4.3 薬物治療、放射線治療

8.5 手術直接死亡数および率

8.6 在院死亡数および率

8.7 生存解析

8.7.1 生死

8.7.2 再発の有無、再発部位および形式

8.7.3 生存解析の方法

附-リンパ節の分類と名称

附-肉眼型図譜

附-SM浸潤距離の実測法

II.薬物治療・放射線治療の効果判定

1 効果判定

2 有効性のエンドポイントの定義

2.1 奏効割合(Response rate)

2.2 全生存期間、無増悪生存期間、無再発生存期間、無病生存期間、治療成功期間

3 有害事象の記載法

III.病理学的事項の説明[附-組織図譜]

1 組織型

A.大腸

B.虫垂

C.肛門管(肛門周囲皮膚を含む)

2 大腸生検組織診断分類(Group分類)

3 検体の取扱い

3.1 生検材料の取扱い

3.2 外科切除標本の肉眼観察と処理方法

3.3 内視鏡切除検体の取扱い

附-組織図譜

附-TNM分類・所見の要約・切除標本の病理学的記載事項(チェックリスト)・略語表

附-1 TNM分類(UICC 8th edition)

附-1-1 大腸のTNM分類

附-1-2 虫垂のTNM分類

附-1-3 肛門管のTNM 分類

附-1-4 大腸と虫垂のカルチノイド(高分化型神経内分泌腫瘍(G1およびG2))

附-2 所見の要約

附-3 切除標本の病理学的記載事項(チェックリスト)

附-4 略語表

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書籍情報

  • ISBN:9784307203895
  • ページ数:132頁
  • 書籍発行日:2018年7月
  • 電子版発売日:2019年2月8日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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