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増補版 遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病;HHT)の診療マニュアル

  • ページ数 : 177頁
  • 書籍発行日 : 2015年4月
  • 電子版発売日 : 2016年10月21日
3,300
(税込)
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商品情報

内容

基礎的研究が非常に少ないオスラー病の診断・治療経験を集積・集約した一冊!

今回の増補にあたり、一部修正と、いくつかの章で加筆も行われています。近年、オスラー病の原因遺伝子と表現型の関連が明らかになってきており、また分子標的治療のあらたな臨床治験も開始され、本書にはこうした情報も盛り込まれています。
本書が臨床の場で大いに活用され、日本各地において多くの症状で悩むオスラー患者の診療向上に役立つことが期待される。

序文

増補版の序

遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病;hereditary hemorrhagic telangiectasia:HHT)は,反復する鼻出血,皮膚粘膜の末梢血管拡張,内臓病変(動静脈奇形),常染色体優性遺伝を 4 徴候とする全身性血管疾患である.オスラー病は,末梢血管拡張あるいはその部位からの出血が種々の臓器に出現する多臓器疾患(multi-organ system disease)であるために臨床症状が極めて多岐にわたり,患者は内科のみならず,脳外科,耳鼻咽喉科,小児科,皮膚科,歯科など極めて多くの診療科を初診する.さらに,合併する脳動静脈奇形あるいは,肺動静脈奇形の破綻により時に致死的となることもある.本症は,従来,欧米に多い疾患であると考えられていたが,近年,日本においても稀ならず存在することが報告されてきている.

本書の発刊当時,日本におけるオスラー病に関しては,原因遺伝子に関する基礎的研究は非常に少なく,さらに本症の診断と治療は,実地医療機関の臨床的な判断のもとに個別に行われている状況にあった.本書は,日本におけるオスラー病診療に関するこうした状況に鑑み,これまでのオスラー病患者の診断・治療経験を集積および集約して,本症の診断と治療のための「診療マニュアル」を作成しその普及を計ることを目的として発行された.発刊後幸いにして多くの読者を得て,このたび増補版を出版する機会を得た.今回,増刷にあたり,一部修正を加えるとともに,いくつかの章では新しく加筆も行った.近年,オスラー病の原因遺伝子と表現型の関連が明らかになってきており,また分子標的治療のあらたな臨床治験も開始され,本書にはこうした情報も盛り込まれている.

遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)は,厚生労働省の「指定難病」の候補になっており,現在,その書類審査が行われている.こうした現状の中,本書が,臨床の場で大いに活用され,日本各地において多くの症状で悩むオスラー患者の診療向上に役立つところがあれば著者らの望外の喜びとするところである.

なお,本書の作成は,平成 21-23 年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)に関する遺伝疫学と診療ガイドラインの作成」に基づいて行われた.本研究班は,その後,平成 24-25 年度同研究事業「難治性稀少肺疾患(肺胞蛋白症,先天性間質性肺疾患,オスラー病)に関する調査研究」および平成 26-27 年度同研究事業「呼吸不全に関する調査研究」に引き継がれていることを付記する.

2015年 3月

厚生労働省 難治性疾患克服研究事業

遺伝性出血性末梢血管拡張症・診療ガイドライン作成委員会

委員長 秋田大学教授

塩谷 隆信

目次

第1章 定義と診断

1.歴史的背景〈渕崎宇一郎〉

1.歴史と背景

2.William Osler

2.診断と予後〈塩谷隆信〉

1.臨床診断規準

2.症状

3.合併症

4.予後

第2章 疫学

遺伝疫学〈和田安彦 小泉昭夫〉

1.責任遺伝子同定の歴史的経緯

2.遺伝子検査

3.検査で得られた突然変異の,家系調査などによる意味づけ

4.わが国における遺伝疫学の調査

5.有病率

第3章 病因

1.責任遺伝子〈森崎裕子 森崎隆幸〉

1.HHTの遺伝

2.エンドグリンおよびENG遺伝子

3.ALK1およびACVRL1遺伝子

4.HHTの遺伝子解析

5.HHTはTGF−βシグナル伝達異常により発症する

6.遺伝子診断について

2.分子病態生理〈竹中勝信〉

1.血管拡張症の発生

2.脳AVMの発生

3.HHTと分子遺伝学

4.関連分子とモデル

5.将来展望

3.遺伝子型と臨床病型の関連〈吉村邦彦〉

1.遺伝子型と臨床病型の関連

2.遺伝性出血性末梢血管拡張症の各遺伝子型の実際の症例

第4章 臨床所見と画像診断

1.臨床所見の発現経過〈塩谷隆信 佐竹將宏〉

1.臨床病型と臨床所見発現の関連

2.血管異常の発現経過

3.臨床病型の発現と予後の関連

2.鼻出血〈市村恵一〉

1.鼻出血はなぜ起きるか

2.鼻出血の起こる部位

3.血管病変の分類

4.鼻出血の発現状況

5.鼻出血の重症度

6.画像診断

3.皮膚の末梢血管拡張症〈津田昌明 梅林芳弘 眞鍋求〉

1.症例

2.皮疹の特徴

3.鑑別診断

4.内臓動静脈奇形

A.肺

 1)血管造影〈佐藤一洋〉

  1.肺動静脈奇形とは

  2.PAVMとHHTの合併

  3.PAVMの病態

  4.PAVMの特徴

  5.PAVMの画像所見

 2)肺内シャント〈藤本圭作〉

  1.症例

  2.シャント率の求め方

 3)心エコー〈寺田舞 渡邊博之 伊藤宏〉

  1.肺動静脈奇形のスクリーニングにおける有用性

  2.心臓合併症の診断における有用性

 4)日本における遺伝性出血性末梢血管拡張症に合併する肺動静脈奇形(2010年全国アンケート調査結果)〈佐藤一洋 佐野正明 塩谷隆信〉

  1.全国アンケート調査

  2.第一次調査結果

  3.第二次調査結果

B.肝臓

 1)血管造影・CT〈橋本学〉

  1.病理学的所見

  2.画像所見

  3.主な臨床症状

  4.治療

 2)腹部エコー〈石田秀明 長沼裕子 大山葉子〉

  1.肝

  2.胆道系,膵,脾

C.脊髄〈小宮山雅樹〉

  1.脊髄血管奇形の診断

  2.脊髄血管奇形の分類

  3.動静脈瘻

  4.動静脈奇形

  5.HHT関連の脊髄血管奇形の特徴

D.消化管病変〈藤塚宜功 五十嵐良典〉

  1.症例

  2.考案

第5章 治療と管理

1.鼻出血〈市村恵一〉

1.鼻出血の治療法概観

2.保存療法

3.焼灼療法

4.血管塞栓・結紮

5.鼻粘膜皮膚置換術

6.外鼻孔閉鎖術

2.貧血〈奈良美保 澤田賢一〉

1.病態

2.診断

3.治療指針

3.肺動静脈奇形

A.血管内塞栓術と合併症の管理

 1)コイル塞栓術〈橋本学〉

  1.術前評価

  2.基本的手技

  3.塞栓術

  4.成績と経過観察

  5.特殊なPAVMの塞栓

  6.体循環系の関与

  7.妊娠とPAVM

  8.肺動脈圧

 2)塞栓術の適応と効果〈佐藤一洋〉

  1.HHTに伴うPAVMの臨床的問題点

  2.PAVMの治療適応

  3.治療法の選択

  4.カテーテル塞栓術

  5.治療成績

  6.カテーテル塞栓術の問題点

  7.予後

 3)肺高血圧症と治療〈中西宣文 佐久間聖仁〉

  1.遺伝性出血性末梢血管拡張症(HHT)における肺高血圧症

  2.肺血流量増加/左心不全型の肺高血圧症

  3.PAH型の肺高血圧症(HHT−PAH)

  4.HHT−PAHの臨床像と治療

 4)小児の肺動静脈奇形〈山田修 杉山央〉

  1.発生頻度

  2.形態

  3.臨床症状

  4.出現時期

  5.診断

  6.治療

  7.合併症

  8.予後

  9.遺伝子解析

B.外科的切除〈川村光夫〉

  1.外科治療の歴史と今日の位置づけ

  2.本邦での外科治療報告例

  3.外科治療後の再発と経過観察

  4.びまん性肺動静脈瘻の外科治療

4.脳動静脈奇形

A.外科的治療〈竹中勝信〉

 1.脳血管奇形とAVM

 2.脳AVMの形態

 3.HHTに合併する脳AVMの発症様式

 4.HHTに合併する脳AVMの特徴

 5.脳AVMの治療(手術治療に関して)

 6.直達手術によるAVM全摘の可能性

 7.非直達手術について

 8.手術合併症

B.血管内治療〈小宮山雅樹〉

 1.動静脈奇形の治療

 2.HHT関連の脳血管奇形の特徴と治療

 3.HHT関連の脳血管奇形のスクリーニング

C.放射線治療:定位放射線療法を中心に〈鈴木明 清水宏明〉

 1.治療の適応と現状

 2.治療方針

 3.SRSの作用機序

 4.当院におけるSRS

 5.線量計画

 6.治療の評価

 7.症例

 8.遠隔成績と晩期放射線障害

5.肝動静脈奇形〈塩谷隆信 井上博雅〉

1.肝動静脈奇形の背景

2.肝動静脈奇形の治療

6.脊髄動静脈奇形〈小宮山雅樹〉

1.脊髄動静脈奇形の治療(HHTに限らない一般論)

2.HHT関連の脊髄血管奇形の特徴と治療

3.HHT関連の脊髄血管奇形のスクリーニング

4.症例:出血発症の脊髄円錐にある脊髄動静脈瘻

第6章 臨床マネージメントとフォローアップ

1.遺伝カウンセリング〈浦野真理 斎藤加代子〉

1.遺伝カウンセリングとは

2.HHTの遺伝カウンセリング

2.告知後の家族支援〈大橋博文〉

1.疾患の告知が家族にもたらす心理的反応と障害受容

2.実際の家族支援

3.妊娠の影響〈佐野正明〉

1.HHT合併妊娠の問題点

2.治療

3.HHT合併妊娠への対応

4.フォローアップの留意事項〈塩谷隆信 村田勝敬〉

1.フォローアップ

2.深部静脈血栓症の予防

3.脳卒中のあるHHT患者

4.歯科治療

5.航空機による旅行,スキューバダイビング

6.展望

HHT研究会および患者会

附 HHTのEBM International Guideline〈塩谷隆信〉

1.HHTの診断

2.鼻出血

3.脳動静脈奇形

4.肺動静脈奇形

5.消化管出血

6.肝血管奇形

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書籍情報

  • ISBN:9784498035256
  • ページ数:177頁
  • 書籍発行日:2015年4月
  • 電子版発売日:2016年10月21日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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