人工心肺トラブルシューティング 改訂2版

  • ページ数 : 238頁
  • 書籍発行日 : 2014年5月
  • 電子版発売日 : 2015年9月11日
4,620
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商品情報

内容

人工心肺のノウハウを実践的に解説して好評を得てきた書の改訂版が登場

解説はわかりやすく、現実的で、図やカラー写真、具体例を多く交えて解説されています。
改訂2版では、最新の情報に加え安全対策の Q&A(第7章)が新たに加筆されており、臨床の最前線で働く心臓外科医と体外循環技士が、実際に実行して成果をあげている安全対策について具体的に記載した「安全のためのガイドブック」になっています。

序文

心臓血管外科手術に用いられる人工心肺を装着される患者の皆様の願いはひとつ.それは病気を克服し,健康な暮らしに復帰することです.しかし,万一体外循環にトラブルがあれば,健康を取り戻せないどころか生命の危機ともなります.私達は,「体外循環を安全に行うことができないのなら,それを使用した手術は実施するべきではない」と考えています.体外循環には確かに危険因子が数多く存在しますが,安全性を高めることを第一目標に掲げれば,危険を回避することは可能なはずです.

あるベテランの技師長さんは,人工心肺操作を自動車の運転に例え,「貯血槽はフロントウインドウ,血圧計はスピードメーター,流量計と圧力計はサイドミラーだと思うこと.車の運転中にサイドミラーなどに注意を払いつつ前方から目を離さないのは,事故を起こせば自分の命に係わるからである.自分あるいは親の体外循環を行っていると思って人工心肺を安全第一で操作しなさい」と指導していました. 非常に解りやすい説明です.解説は解りやすく,また現実的でなければ意味がありません.私達も本書の執筆にあたってはこの点を踏まえ,図や写真,具体例を多く交えて解説しました.

本書は,著者らが 2006 年に出版した『人工心肺トラブルシューティング』(中外医学社)の改訂第 2 版です.最新の情報に加え安全対策の Q&A(第 7 章)を新たに加筆しています.本書は,体外循環の安全管理を主な内容として,臨床の最前線で働く心臓外科医と体外循環技士が,実際に実行して成果をあげている安全対策について具体的に記載した「安全のためのガイドブック」です.また好評を頂いております『人工心肺ハンドブック』(中外医学社)の姉妹本でもあります.本書が医療安全を通して,体外循環担当者だけでなく,心臓外科医,麻酔科医,手術室や集中治療部の看護師,体外循環システムや材料の研究開発者,医学・医療を志す学生諸氏,そして患者の皆様に少しでも役に立つことができれば幸いです.


2014年 4月
著者



目次

序章 人工心肺と安全管理

I.心臓血管外科手術と人工心肺

1.心臓血管外科手術の対象疾患と目的

2.心臓血管外科手術の内容

3.心臓血管外科手術数と治療成績

II.人工心肺事故例

1.チューブに亀裂が入り,人工心肺の停止を余儀なくされた例

III.人工心肺担当者に求められる安全管理

1.人工心肺担当者の立場

2.医療事故の定義と報告制度

3.一般的な事故発生時の対応・報告体制

4.事故の届け出と公表について

5.過失があった場合の医療担当者の責任

第 1 章 人工心肺システム

1.人工心肺の目的と体外循環回路

2.血液ポンプ

3.人工肺(熱交換器)

4.開放体外循環回路

5.閉鎖体外循環回路

6.脱血法

7.サクション回路

8.ベント回路

9.心筋保護回路と心筋保護液

10.PCPS とミニサーキット

第 2 章 人工心肺の特殊性と危険因子

1.体外循環の特殊性

2.人工心肺の運用上の危険因子

3.血液ポンプの危険因子

4.人工肺の危険因子

5.貯血槽での危険因子

6.送血フィルターの危険因子

7.心筋保護に関する危険因子

8.ベントの危険因子

9.サクションの危険因子

10.回路チューブの危険因子

11.冷温水槽と温度変化に伴う危険因子

12.製造・滅菌・保存に関する危険因子

13.組立てや充填作業における危険因子

14.汚染の危険因子

15.誤薬と異型輸血の危険因子

16.取り違え

17.PCPS の特有の危険因子

第 3 章 人工心肺の安全対策

1.安全なシステム(ハードウエア)

2.安全装置

3.他の生命維持装置の安全システム

4.安全対策(ソフトウエア)

第 4 章 安全対策の実際

1.完全閉鎖回路と自動制御

2.圧力に関する安全機構

3.気泡に関する安全機構

4.人工心肺支援システム

5.体外循環システムのコンパクト化

6.人工心肺の統一化

7.バックアップ体制

8.教育プログラム

9.操作マニュアルとトラブルシューティング

10.チェックリスト

11.インシデント・アクシデントレポートの提出

12.責任の所在

13.誤薬などに対する安全対策

14.補助循環(PCPS およびミニサーキット)の安全対策

第 5 章 原因の特定と復旧作業

1.原因の特定

2.対処の判断

3.復旧作業のための必要物品(エマージェンシーキット)とスタッフ

4.交換作業の基本操作

5.人工肺の交換

6.人工肺の追加

7.ローラーポンプ送血の復旧

8.遠心ポンプ送血の復旧

9.静脈貯血槽の交換

10.心内貯血槽の追加と交換

11.送血フィルター(エアトラップ)の交換

12.人工心肺回路の交換

13.人工心肺から PCPS への切り替え

14.PCPS 回路の交換

15.血液交換

16.患者からの気泡除去

17.電力の復旧作業

18.ガス関係の復旧作業

第 6 章 トラブルシューティング

●動かない

1.送血ポンプが動かない!

2.冷温水槽が動かない!

3.手が動かない!

●勝手に動く

1.送血ポンプが勝手に回り出す!

2.心臓が動き出す!

3.体外循環中に患者が動き出す!

●なくなる(空になる)

1.貯血槽が空になる!

2.人工肺が空になる!

3.心筋保護液がなくなる!

4.PCPS の充填液バッグが空になる!

●上がる

1.送血圧が上がる!

2.血圧が上がる!

3.炭酸ガス分圧が上がる!

4.カリウム値が上がる!

5.充填液の液面が上がる!

6.貯血レベルが上がる!(溢れる)

7.心内貯血槽から血液が上がる!

●上がらない

1.血圧が上がらない!

2.送血流量が上がらない!(遠心ポンプ)

3.酸素流量が上がらない!

4.酸素分圧が上がらない!

5.静脈血酸素飽和度(SvO2)が上がらない!

6.貯血レベルが上がらない!

7.冷温水槽の温水温度が上がらない!

8.送血温度が上がらない!

9.体温が上がらない!

10.ヘマトクリット値が上がらない!

11.ACT 値が上がらない!(伸びない)

●下がる

1.血圧が下がる!

2.送血流量が下がる!

3.酸素流量が下がる!

4.静脈血酸素飽和度(SvO2)が下がる!

5.pH(BE)が下がる!

6.貯血レベルが下がる!

●下がらない

1.血圧が下がらない!

2.送血圧が下がらない!

3.冷温水槽の水温が下がらない!

4.送血温度が下がらない!

5.体温が下がらない!

●揺れる(変動する)

1.脱血回路が揺れる!

2.血圧が揺れる!(変動する)

3.ポンプが揺れる!

4.心電図が揺れる!(変動する)

5.地面が揺れる!

●赤くなる

1.血液が赤くなる!

2.尿が赤くなる!

3.心内貯血槽のメッシュの上部まで赤くなる!

4.患者の顔色が赤くなる!

●黒くなる

1.血液が黒くなる!

2.貯血槽が黒くなる!

3.患者の顔が黒く(赤黒く)なる!

●暗くなる

1.室内が真っ暗になる!

●噴き出す(湧き出す)

1.人工肺から血液が噴き出す!

2.人工肺(熱交換器)から水が噴き出す!

3.人工肺から泡(血漿)が噴き出す!

4.人工肺から気泡が湧き出す!

5.心内貯血槽から血液が噴き出す!

●固まる(詰まる)

1.貯血槽の血液が固まる!

2.送血フィルターが固まる!(詰まる)

3.人工肺が固まる!(詰まる)

4.充填液が固まる!(血液充填時)

●おかしい

1.何かがおかしい!

第 7 章 体外循環 Q&A 50

1.初級 Q&A

2.中級 Q&A

3.上級 Q&A

4.読者への質問

5.筆者のコメント


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書籍情報

  • ISBN:9784498039094
  • ページ数:238頁
  • 書籍発行日:2014年5月
  • 電子版発売日:2015年9月11日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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