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内容
>続編『 らくらくマスター外科基本手技2』はこちら
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序文
監修の言葉
外科医にとって必要な要件は,warm heart(暖かい心),cool head(十分な知識に基づいた冷静な判断力)とskilled hands(鍛錬された技術)と信じ,自分自身に言い聞かせ,そして後に続く若い医師に伝承している.
これらの中でも「技術」というものの教育は,決して容易なものではない.最近では,videoを用いた学会発表や教材などを通して,より効率的な方法が模索されてはいるが,必ずしも十分ではなく,結局,手術室やBed sideの現場での教育に依らざるを得ない.そのような「現場」における教育は当然のこととしても,実際の患者さんへの処置や手術という現場における教育は今日,益々限られたものとなっているのが現状である.特に外科を将来目指すか,目指さないかに拘わらず,本書で取り扱っている「結紮」,「縫合」,「吻合」,「剥離・切開」は外科手技の基本であるにも拘わらず,若者に十分な経験を積ませるには,その機会はきわめて限られたものであることは,以前も今も変わらない.かつて私共が外科研修もしくは習練していた頃は,外科の教室の至る所に,実際の手術で不用となった縫合糸を用いた結紮の習練をした糸が,椅子なり机の柱なりに所構わず,あたかも神社のおみくじの短冊の如く結び付けられていた.その光景をなつかしく思い出す.最近はそのような場面に遭遇することはむしろ珍しくなってきた.
しかし,嘆いてばかりはおられず,何か効率的に,スポーツのボクシングにある"shadow boxing"のような,現場ではなくても十分な手技の系統的トレーニング法がないものかと考えていた.その思いを強く私と共用し,教育法を模索しながら実践してきたのが,著者の浅尾高行博士である.浅尾博士とは教授,准教授として十余年ともに診療,研究はもとより医学教育特に外科学教育に力を注いできた.本書は「様々の身近な道具を用いてより良い外科学の基本をどのように教育するか」との命題に沿って,幾度となく試行錯誤を繰り返してきた末の「外科基本手技教育法」の「集大成」であり,実際に今,群馬大学で実践している教育法である.また多岐に亘る疑問や原則を学ぶのにわかりやすく興味を持って学べるような設問やコラムの工夫が随所に散りばめられている.さらに本書には,彼が独自に開発した教材のみでなく,実際に手をとって教えなければ分からないポイントが網羅されている.これは,外科学を科学として認識し,上級医が気づかずに体得してきた手技を理論的に解析・考察し,さらに独自の工夫を加えてきた成果と言える.
外科学はある意味,伝承の学問である.この本を手にとったかたは,後輩に技術を伝承する事を目的としている著者の意図を本書の随所に発見されることとであろう.1,000名を超える医学生に外科技術の基礎を教え,数え切れないぐらいのティッシュラボ,アニマルラボを行ってきた,著者だからこそ書くことができた類のない外科系教科書と言える.
医学部の教員に限らず,医療に携わるものの使命は,「教育」,「研究」,「診療」であることは言うまでもない.「研究」の評価は,その業績で,また「診療」の評価は,経験症例数や専門医の修得などで,客観的に評価することが比較的容易である.しかしながら「教育」という分野は,その客観的,数値化した評価になじみにくい.したがって人によっては,前二者に重きを置いて日常の活動にあたることが多いのも事実である.しかし逆を言えば,「教育」に力を傾注する人こそ,己の目先の目に見える評価のみにとらわれずに「誠実」に医療に取り組んでいる人物とも言えよう.著者の浅尾高行博士はまさにそのような「好漢」であり,その高い研究業績と臨床力に基づいて教育に情熱を傾注している.
読者の皆様,特に医学生,研修医,そして外科を志した若者,さらに外科教育に携わる方々にその「熱情」が伝わり,本書に基づいた外科学の教育と習練が世界に冠たる我が国の外科学の礎となることを切望するものである.
―「かんじんなものは、目に見えない。」サン=テグジュペリ「星の王子様」より―
2010年 3月吉日
群馬大学大学院病態総合外科 教授
桑野 博行
はじめに
■手術がうまくなることと自転車に乗ること■
古くから外科的手技は先輩の手術を「見て盗んで覚えろ」といわれてきました.外科医は封建的で閉鎖的であるような印象を与え,外科が敬遠される原因の1つでしょう.しかし,外科医は意地悪なのでしょうか? なぜ親切に教えてくれないのでしょう?
その答えは,「手技のコツを教えたくても教えることが難しい」からです.つまり,先輩の外科医は自分でも気がつかないうちに,しかも大昔に身についた技術なので,なぜできるか,なぜできないか,どうやったらできるようになるか説明できないのです.決して秘伝を教えたくなくて「見て覚えろ」ではないのです.自分ができることとそれを人に教えられることは同義ではありません.例として,もし子供に「自転車に乗れるようになりたい」といわれたら,あなたはどのように教えますか?
「教え方1」まずハンドルを両手で握り,サドルに腰をかける.次にペダルを強く踏み込む.このとき転ばないように注意する.
「教え方2」何度も転んでいるうちに自然に乗れるようになる.痛くても我慢して練習しろという.
あなたは自転車にうまく乗れるのに,乗り方を教えるのが予想外に難しいことに気付かれると思います.外科教科書の総論の外科基本手技は「教え方1」に,指導医が研修医にお説教しているのは「教え方2」にあたります.
本書は,研修医や学生が初めて手技を練習しようとした時になぜできないのか,逆に上級医はなぜできるのかを検証し,さらにその技術を効率よく習得するための練習法を記載した指南書です.両手で同時進行する複雑な外科手技を,ステップにわけて独自の練習方法とともに紹介しました.もちろん読むだけで上達するわけではありません.練習が必要なことはいうまでもないことですが,本書により早く楽にそして楽しく上達することは間違いないと思います.本書を活用され少しでも早く手術手技をマスターされることを心より望んでいます.
さて,自転車の練習法を本書風に書けば,以下のようになります.
Step 1.まず自転車のペダルを取り外す.ペダルなしの自転車の左側に立ってハンドルを握り歩いて押す.このとき自転車が倒れる方向にハンドルを回すようにする.なぜなら,自転車は右側にハンドルを切れば重心が自転車の左に移動するように設計されているから.
Step 2.うまく押せたら,こんどは反対側に立って同じ練習をする.
Step 3.いっぱいに下げたサドルにまたがり,地面を蹴りながら進む.倒れそうになるなら,Step 1に戻る.
Step 4.地面に書いた曲線に沿って曲がれるかを評価する.
Step 5.サドルを上げてStep 3を行い,最後にペダルを取り付けペダルに足をかけてこぐ.
私は,娘が初めて自転車に乗れるようになった時の笑顔を忘れることができません.手術技術をマスターする達成感は,医師にとって何にも代え難い喜びであり,モチベーションを高く保つ健全な方法です.指導医の先生には手術手技指導の参考として手術ができる医師の育成に役立てていただければ幸いです.
2010年 3月吉日
群馬大学大学院病態総合外科学
浅尾 高行
目次
まずはじめにお読みください!! 本書の使い方と手術習練の心得
第1章 結紮法
Level 1 両手結びで糸をからめる
Lesson 1 糸の持ち方
Lesson 2 左手に糸を絡める 第1結紮
Lesson 3 右手に糸を絡める 第2結紮
【自己評価法◆ Level 1】手元を見ないで両手結びを行う
Level 2 両手結びで糸を締める
Lesson 4 左手第2指で結紮を締める
Lesson 5 第2結紮を締める
Lesson 6 右手にHeadを持って開始し,結紮する
【自己評価法◆ Level 2 その1】輪ゴムを束に結紮する
【自己評価法◆ Level 2 その2】スポンジを血管に見立てて結紮する
Level 3 深部結紮
Lesson 7 右手で糸の中点を運んで深部結紮する
Lesson 8 左手で糸の中点を運んで深部結紮する
【自己評価法◆ Level 3】コップをかぶせた模擬止血鉗子の先に糸をかけて結紮する
Level 4 長糸を結紮する
Lesson 9 針付き長糸の第1結紮
Lesson 針付き長糸の第2結紮
Lesson 糸を付けた鉗子を使って深部結紮する
Lesson 結紮点を移動させて結紮する
【自己評価法◆ Level 4】糸を付けた鉗子を使って深部結紮する
第2章 縫合法
Level 1 縫合針の扱い
Lesson 1 縫合針を回す
【自己評価法◆ Level 1 その1】Out pointのマークに正確に針先を出す
Lesson 2 縫合針を抜く
Lesson 3 順針から逆針への持ち替え
【自己評価法◆ Level 1 その2】針付きの縫合針で連続縫合する
Level 2 器械縫合
Lesson 4 持針器で第1結紮をする(STが向こう側)
Lesson 5 持針器で第2結紮をする(STが手前側)
Lesson 6 持針器で糸を巻き取って結紮する
Lesson 7 Short Tailの調節
【自己評価法◆ Level 2】スポンジを縫合し,器械結紮する
Level 3 埋没縫合
Lesson 8 埋没縫合の運針
Lesson 9 埋没縫合の結紮
Lesson 糸を2本切る
【自己評価法◆ Level 3】スポンジの切り込みを埋没縫合で閉じる
Level 4 Z縫合
Lesson 浅い術野での縫合止血
Lesson 深部Z縫合
【自己評価法◆ Level 4】擬似血管からの出血を縫合止血する
第3章 吻合法
Level 1 内翻縫合の運針
Lesson 1 後壁全層縫合の運針
Lesson 2 前壁全層縫合の運針
Lesson 3 前壁,後壁移行部の全層縫合の運針
【自己評価法◆ Level 1 その1】前後壁縫合が内翻になっているか確認する
【自己評価法◆ Level 1 その2】前壁,後壁移行部を運針する
Level 2 Gambee吻合
Lesson 4 後壁の運針
Lesson 5 前壁の運針
【自己評価法◆ Level 2】ブタの胃―胃吻合を行う
Level 3 口径差のある吻合
Lesson 6 口径差のある後壁吻合
Lesson 7 口径差のある時の前壁吻合
【自己評価法◆ Level 3】ブタの食道―胃吻合を行う
第4章 剥離・切開法
Level 1 ハサミで切離する
Lesson 1 ハサミの片刃で剥離し切離する
Lesson 2 両刃を用いて剥離切開を行う
Lesson 3 結合組織を切りながら剥離する
【自己評価法◆ Level 1】ブタの胆嚢摘出(ティッシュラボ)を行う
Level 2 血管処理(1)
Lesson 4 血管前壁の結合織を切離して血管を処理する
Lesson 5 血管側壁からアプローチして血管を処理する
【自己評価法◆ Level 2】ブタの胃での血管処理(ティッシュラボ)を行う
Level 3 血管処理(2)
Lesson 6 太い血管の剥離操作
【自己評価法◆ Level 3】アニマルラボでの下大静脈,腎静脈,肺動脈の血管処理
付録 教材の入手先,作成法
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書籍情報
- ISBN:9784498051041
- ページ数:182頁
- 書籍発行日:2010年4月
- 電子版発売日:2011年5月31日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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