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乳がん診療 聖路加スタイル 最高のチーム医療をめざして

  • ページ数 : 204頁
  • 書籍発行日 : 2012年6月
  • 電子版発売日 : 2013年5月2日
3,520
(税込)
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商品情報

内容

“患者に寄り添う医療”とは? その実践に必要なことは? そんな問いに応えるべく、聖路加国際病院ブレストセンターが乳がん診療において実践している“チーム医療”のスタイルとノウハウをありのままに紹介したのが本書である.

個の集まりとしてのチームが共通の目標をもってベストパフォーマンスを発揮するとき、チーム医療は“絆医療”になる.

序文

「乳がんチーム医療」の道しるべ

医療がますます高度化し,専門分化する中で,理想とされる「患者中心の医療」を実現するためには,専門家間のコミュニケーションスキルを磨くことが肝要である.ちょうど,卓越したサッカーチームの選手個々が,阿吽の呼吸で,一つのボールに神経を研ぎ澄まし,ゴールを目指す,このような専門家集団をつくることが,究極のチーム医療ではないかと思う.私自身も育った聖路加国際病院は,日野原重明理事長の明確なVisionと,燃えるようなPassionと,万年青年を思わせる行動力のもとで,「チーム医療」の実現を目指してきた.

ブレストセンターは,その思いが結実した一例である.一人の乳がん患者さんを診るためには,乳腺外科,腫瘍内科,放射線診断,放射線治療,病理診断,緩和ケア等を専門とする医師の他,患者を取り巻く職種として,看護師,放射線技師,検査技師,栄養士,臨床心理士,ソーシャルワーカー等が存在し,関連職種が集まったカンファレンスが日々開かれている.精神面のサポート役として,チャプレンが参加しているのも,聖路加ならではの特徴の一つである.本書では,こうしたチームを構成するメンバー各々のMissionとVisionが,詳しく紹介されている.

「がん」克服への道のりは,まだまだ遠く,暗黒の宇宙の如く果てしないが,チームが一丸となって事にあたれば,やがて一筋の光が見えてくるものと思う.本書がその光への道しるべとなることを祈念している.


2012年 5月
昭和大学医学部乳腺外科教授 中村清吾
昭和大学病院ブレストセンター長
(聖路加国際病院ブレストセンター教育アドバイザー)



聖路加国際病院ブレストセンターを支えているTEAM医療

2010年5月,聖路加国際病院ブレストセンターは開設5周年を迎えた.

その5周年の節目に,創設者である中村清吾先生が乳腺外科教授として昭和大学医学部へ異動されるという出来事があった.

後任として着任した当初,私が強く感じたことは,聖路加ブレストセンターを支えているのはまさに"TEAM"だということだった.医療スタッフ1人1人がチームの一員としての自覚をもち,大勢の患者を支えている.乳がんと診断された患者を病気から解放することはできなくても,完全治癒ができなくても,その過程において愛と希望をすこしでも提供できるよう,皆が同じ思いで患者に寄り添っている.そして何より,患者の笑顔や感謝の言葉によってわれわれ自身が励まされ,成長させられているという好循環の手ごたえを強く感じたのである.

日本の医療現場でチーム医療の重要性が叫ばれて久しい.しかしその中で,自分をどのように活用したらよいか,チーム医療というものにどのように関わったらよいかを悩む医療者は少なくない.

そこで,チーム医療においてもっとも大切にしなければならないポイントを,"TEAM"という語を使ってまとめてみた.


T:Talent

E:Encouragement

A:Acknowledgment & Aim

M:Move


T:Talent

メンバーには,1人1人にそれぞれの才能がある.その才能にさらに磨きをかけ,活かしていくよう努力する.

E:Encouragement

メンバーは,互いを尊重し,さらに切磋琢磨するよう励ましあう.

A:Acknowledgment & Aim

メンバーは互いに認め合い,共通の目標をもつ.

M:Move

そして,共通の目標に向かって一丸となって前進していく.

つまり,チームの1人1人が,互いを尊重しながら,励まし合い,認め合い,共通の目標に向かって前進していく.それがまさに"TEAM"医療である.


聖路加ブレストセンターは,互いに尊重し,励まし合って育んだ1人1人の才能を患者のために用いていこうという情熱が結集した有機体である.時代の流れとともに変わってゆかなければならない点,変わっていくべき点も多々あるが,そうした変化をしっかりと受けとめ,それをメンバー1人1人がチームへの自分の役割を再認識する足がかりととらえ,さらに結束の固い"TEAM"へと進化をつづけている.

本書では,われわれが日々どのような思いで患者と向き合い,どのように互いの専門性・人間性を尊重し,活用しながら,チームとして患者とともに成長し続けているかを許されるかぎり提示したい.

さらに,がんの急性期のみでなく,サバイバーシップ全体にわたるチームによるケアが必要な時代に突入したことも認識しながら,がんサバイバーシップという概念からのチームによるアプローチも視野にいれ考察を深めていきたい.

あくまで,ひとつの診療のスタイルではあるが,そのあり方が,乳がん診療に携わる多くの方々の参考として提示できればと思う.皆で,乳がん患者への慈しみの心に満ちたブレストセンターを実現していければと願っている.


2012年4月
山内英子

目次

Ⅰ章 総論

1.チーム医療のコンセプト

がんのチーム医療が目指すゴール

聖路加国際病院でのとりくみ

2.サイコオンコロジー

サイコオンコロジーの定義

がん患者の心理①:危機モデル

がん患者の心理②:「段階モデル」から「波線モデル」へ

がん患者の心理③:怒りの表現型

がん患者の適応障害の診断

適応障害への対応

がん患者のうつの診断

なぜうつは見落とされるのか?

がん患者の希死念慮

うつへの対応

家族への対応

グループ療法

コーピングとがんの進行

末期患者とのコミュニケーション

遺族ケアへ

3.Cancer Survivorship がん医療のネクストステージへ

─チームとしての関わりの重要性─

サバイバーシップの意味するものとその歴史

サバイバーシップの4つの側面

サバイバーシップの各ステージにおけるチームとしての関わり方

Ⅱ章 構成メンバーからみたチーム医療と役割

【医師】

1.乳腺外科医の役割

2.病棟医(レジデント)の役割

3.腫瘍内科医の役割

4.精神腫瘍医の役割

5.放射線診断医の役割

6.放射線腫瘍医の役割

7.形成外科医の役割

8.病理診断医の役割

9.産婦人科医の役割

【看護師】

10.外来看護師の役割

11.オンコロジーセンター看護師の役割

12.乳がん看護認定看護師の役割

13.病棟看護師の役割

【その他のスタッフ】

14.薬剤師の役割

15.緩和ケアチームの役割

16.チャイルドライフスペシャリストの役割

17.CRC(臨床試験コーディネーター)の役割

18.ソーシャルワーカーの役割

19.チャプレンの役割

20.リエゾンナースの役割

21.連携クリニックの役割

22.管理栄養士の役割

23.看護大学の役割

Ⅲ章 チームアプローチを必要とする症例より

1.若年性乳がん

将来的な妊娠に関する相談(ブレストセンター診察室にて)

遺伝性乳がんに関する相談(ブレストセンター診察室にて)

2.妊娠期乳がん

緊急Tumor Board開催

3.乳がん術後の抑うつ

サイコオンコロジストとの面談(ブレストセンター外来にて)

4.初診時Stage Ⅳ乳がん

初診時の対応

告知時


Column

・ACE(Academy of Cancer Experts)

・MentorとMenteeの関係

・初期からの患者教育の重要性

・Palliative Chemotherapy─その薬物療法は有効ですか?

・妊娠中の乳房手術について

・乳腺外科医でも使える抗うつ薬・抗不安薬の使い方

・どんな状況であれ,助けを求めて医療機関を受診する患者には支持的に接すること

・初診時Stage Ⅳの患者の背後にはOncologic Emergencyが潜んでいる! 195

・乳がん治療のパンフレット

・ボディイメージの喪失,抗がん剤に対する先入観の問題

・がん専門薬剤師の役割

・開業医との連携


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書籍情報

  • ISBN:9784498060647
  • ページ数:204頁
  • 書籍発行日:2012年6月
  • 電子版発売日:2013年5月2日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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