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- 睡眠時無呼吸症候群の診療メソッド―睡眠呼吸障害の集学的治療―
商品情報
内容
睡眠呼吸障害の診療をどのように進めたら良いのか、どのような点に注意しなければならないのか。エキスパートが、その実践的な診療メソッドの全てを披露する。学際的な要因が絡み合う睡眠時無呼吸症候群を正確に理解し、患者個々の病態に応じた集学的治療を実現するための必携書。
序文
はじめに
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea Syndrome: OSAS)を含めた睡眠呼吸障害診療の特徴は,さまざまな分野の専門家・診療科が関わる学際性にある.
最近は通常の医療機関でも上気道形態の評価(閉塞部位の診断)と終夜ポリグラフ検査(PSG)による睡眠呼吸動態の解析により,睡眠呼吸障害の病態を把握できる時代になった.
睡眠呼吸障害の病態には,いくつかの要因が複合し関与している場合が少なくない.上気道形態の評価とPSGによる睡眠・呼吸動態の解析は睡眠呼吸障害の適切な集学的治療を行うために必要である.
また睡眠呼吸障害の重症度,上気道形態(閉塞部位),患者の希望に応じてCPAP療法,手術,口腔内装置治療,減量,就寝時の体位などを組み合せた集学的治療が行える時代になった.すなわち睡眠呼吸障害の病態を把握し,個々の病態に応じて治療法を選択できる時代になった.
睡眠呼吸障害にはいくつかの要因が複合して関与している場合が少なくない.したがって睡眠呼吸障害の治療は,1つの治療法で症状が改善する場合もあるが,病態に応じていくつかの治療を組み合わせなければ治療効果が得られない場合もある.また病態に基づいた,患者の希望に応じた睡眠呼吸障害の治療を行うためには,CPAP療法,手術,口腔内装置治療,減量,就寝時の体位などの治療法を単独で,あるいはそれらを組み合わせた集学的治療を行うことが望ましい.
一方で,業者任せの簡易無呼吸検査,業者任せのCPAP療法など,日常臨床での問題点も潜在化している.
睡眠呼吸障害診療の最近の問題点は,?診療科・担当医師などにより治療法の適応と選択に片寄りがないか,?上気道形態の評価がなされているか,?PSGが適切に行われているか,?無呼吸・低呼吸指数(AHI)などの呼吸イベントのみが重要視され,睡眠の質が軽視されていないか,?CPAP療法のタイトレーションが適切に行われているか,?子供の睡眠呼吸障害はどう診断し治療するのか,?AHIが20未満のOSAS,5未満のいびき症はどう治療するのか,?睡眠呼吸障害に合併した他の睡眠障害の治療は行われているのか,などがあげられる.
本書では,睡眠呼吸障害の診療を行う際にどのように診療を進めたらよいのか,どのような点に注意したらよいのか,その実践的な診療メソッドを解説する.
最後に長年御指導を賜っております久留米大学平野 実名誉教授,中島 格名誉教授,久留米大学神経精神医学講座内村直尚教授,現在も研鑽の場を与えて頂いております久留米大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座梅野博仁教授,久留米大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座のスタッフの皆様に感謝申し上げます.また本書の出版に際し大変お世話になりました中外医学社編集部の方々に感謝申し上げます.
注:2014年には睡眠障害国際分類が改訂され第3版(The International Classification of Sleep Disorders,Third Edition:ICSD―3)が米国睡眠医学会(American Academy of Sleep Medicine)から刊行された.この中で閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は閉塞性睡眠時無呼吸障害(Obstructive Sleep Apnea Disorders)と名称が変更され,睡眠関連呼吸障害の中の1つに分類されている.
本著書では従来からの閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea Syndrome: OSAS)を用語として用いる.
2016年4月吉日
佐藤公則
目次
01章 本邦の睡眠呼吸障害診療の歴史
1.本邦の睡眠医療の黎明期:久留米大学では
2.1980年代の睡眠呼吸障害診療
3.1990年代の睡眠呼吸障害診療
4.2000年代の睡眠呼吸障害診療
5.2010年代の睡眠呼吸障害診療
02章 睡眠呼吸障害の病態と合併症
1.睡眠時無呼吸の分類
2.上気道
3.OSASの発生機序
4.睡眠呼吸障害の病態
5.OSASの合併症
03章 睡眠呼吸障害診療の流れ
1.睡眠医療(OSASを含めた睡眠障害)の診療の流れ
2.OSASの検査
3.その他の睡眠障害の検査
4.OSASの治療
5.その他の睡眠障害の診断と治療
6.専門診療科との連携
7.治療効果の判定
04章 睡眠呼吸障害の診断法
1.問 診
2.検査方針
3.検査の実際
4.鑑別診断
5.専門医との連携
05章 睡眠呼吸障害の上気道形態の評価
1.視 診
2.内視鏡検査
3.鼻腔通気度検査
4.X線検査(X線単純撮影,頭部X線規格撮影,X線透視撮影,CTなど)
5.MRI
06章 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
1.PSGの記録
2.PSG報告書
3.ビデオ録画
4.PSG報告書の評価
5.PSG結果の説明
07章 小児の睡眠呼吸障害
1.小児のOSASの呼吸パターン
2.小児のOSASの病態
3.小児のOSASの特徴
4.小児のOSASの誘因
5.小児のOSASの合併症
6.小児のOSASの終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
7.小児のOSASの診断と治療
08章 睡眠呼吸障害の集学的治療
1.OSASに対する集学的治療
2.OSASに対する治療の適応
3.CPAP療法
4.手術治療
5.口腔内装置治療
6.減量
7.就寝時の体位
8.上気道の管理
9.アルコール,睡眠薬
10.いびき・OSASをきたす原疾患の治療
11.合併した他の睡眠障害
12.専門診療科との連携
09章 CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:持続陽圧呼吸)療法
1.CPAP療法の健康保険診療の適応
2.CPAP療法の基本的原理
3.CPAP療法の治療圧の測定(タイトレーション)
4.タイトレーションの方法
5.CPAP療法の治療圧
6.CPAP装置の種類と選択
7.マスクの種類と選択
8.CPAP療法の問題点
9.CPAP療法と定期的な外来管理
10.CPAP療法の治療継続率(コンプライアンス)を上げるためには
10章 手術治療
1.上気道形態の評価(閉塞部位の診断)の重要性
2.OSASに対する手術治療の目的
3.口蓋垂・軟口蓋・咽頭形成術(uvulopalatopharyngoplasty:UPPP)
4.口蓋扁桃摘出術
5.Laser―assisted uvulopalatoplasty(LAUP)
6.鼻腔通気度改善手術(内視鏡下鼻・副鼻腔手術)
7.鼻中隔矯正術
8.下鼻甲介粘膜焼灼術
9.下鼻甲介肥大に対する下鼻甲介手術
10.鼻ポリープ(鼻茸)摘出術,副鼻腔手術
11.舌根部の手術
12.顎顔面手術
13.Sleep Surgeryの周術期管理
11章 口腔内装置治療
1.OA治療の適応
2.OA治療の治療効果の予測
3.OAの作製とOA治療の流れ
4.OA治療中の経過観察
12章 他の睡眠障害
1.睡眠障害の分類(睡眠障害国際分類第2版: ICSD―2,2005)
2.鼻閉による睡眠障害
3.いびきによる睡眠障害
4.ナルコレプシー
5.レム睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder: RBD)
6.むずむず脚症候群(レストレスレッグズ症候群,Restless legs syndrome)
7.周期性四肢運動障害(Periodic limb movement disorder: PLMD)
13章 睡眠呼吸障害と睡眠中の嚥下・誤嚥
1.睡眠中の嚥下の解析法
2.日中の嚥下
3.正常若年成人の睡眠中の嚥下
4.正常小児の睡眠中の嚥下
5.正常高齢者の睡眠中の嚥下
6.OSAS患者の睡眠中の嚥下
7.CPAP療法中のOSAS患者の睡眠中の嚥下
8.睡眠中の咽喉頭酸逆流と停滞
9.睡眠中の誤嚥
10.睡眠中の誤嚥への対応
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書籍情報
- ISBN:9784498062740
- ページ数:192頁
- 書籍発行日:2016年9月
- 電子版発売日:2017年12月15日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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